国籍 日本
製作 2010
販売 ジョリー・ロジャー
今回はジャパニーズホラーです。予告編はあったのですが、Amazon先生にもあらすじが書いてなかったので、MONDO TVさんのほうのあらすじからどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
女子高生の栞(しおり)は、学校で誰かが都市伝説の降霊術「ひとりかくれんぼ」をしたという噂話を聞く。その日、アルバイトのため入院中の母親の見舞いに行けなくなった栞は、独り暮らしをしている兄を訪ねるが、誰もいない部屋のパソコンには「ひとりかくれんぼ」のネット掲示板が表示されていた。栞は兄の幼なじみの白石とともに、こつ然と姿を消してしまった兄を探すことになるが……。前作「ひとりかくれんぼ 劇場版」でメガホンをとった山田雅史監督が再投球し、アイドルグループ「AKB48」の増田有華が映画初主演を務める。(あらすじ:映画.comより引用)
ストーリー……D
キャラクター…C
設定……………D
ホラー度………D
総合……………D
おすすめ度……D
いろいろな部分がガバッているので、純粋にホラーを期待している方にはまずおススメできません。
【以下、ネタバレ注意!】
ともかく、今作は見ての通り、日本のホラー映画です。新劇場版とありますが、別に旧劇などを見ていなくても問題なく話は分かります。自分も見ていません。
さて『ひとりかくれんぼ』といえば、一時期2chなどで話題になった“アソビ”の一種です。
「『ひとりかくれんぼ』ってなんぞ?」という方のために簡単に説明しますと、これは降霊術の一種らしいです。超大雑把な説明をすれば『人形に霊を乗り移らせて、その人形と夜中に、二人っきりで命がけのかくれんぼをする遊び』ですね。これ以上詳しく知りたい方は、自己責任で検索をかけてみてください。いろんなサイトがヒットします。
もちろんひとりかくれんぼをプレイする場合も自己責任でどうぞ。もしこれをやって、部屋の電気スタンドが浮かび上がってバットで戦うことになったり、足音が一つ多い気がする某症候群にかかったり、黒猫ボーイとしお君にストーカーされる羽目になっても、当方は一切責任を負いません。
まあとにかく、今作はこの『ひとりかくれんぼ』を題材にした映画です。そのはずなのですが……。
そもそもこの映画、ストーリー展開がブツブツ切れて怖くないとかホラー演出が下手で怖くないとかキャラクターが人間の屑ばかりだとか以前にひとりかくれんぼがほとんど関係ありません。
まずは演出面から。この映画のホラー演出は一部なかなか優秀な部分もあり、怖い雰囲気作りには割と成功しています。見ている側もホラーシーンになると息をのむような描写も多々あるのですが、この映画はあと一歩で怖くなるというところで場面が切り替わるので、結果壮絶な肩透かしをくらった気分になれます。
しかもこの事態、基本的に最初から最後まで頻発します。ホラーシーンをもっと削って、一つ一つのシーンをもっと時間をかけて書き込めばよかったと思うのですが。しかも中盤以降はそもそもホラーシーンが怖くないという事態に陥るため、結果ホラー部分についての出来は悪いです。
そしてストーリーですが、これがまた分かりにくい。特に登場人物同士の人間関係がよく分かりません。この作品、主要な登場人物は五人なので、逆に言えばこの五人の関係さえ分かっていれば話はすんなり分かるはずなのですが、それでも何が起きているのか全く分かりません。
この原因は、今作のストーリーには二つの大きな軸があるのですが、これがごちゃごちゃに混ざり合って今どっちの話なのか分からなくなるためです。以下に簡単なストーリー説明を。
ストーリー軸① 主人公の兄とその友達が、昔いじめてた女の子の霊に復讐をされる話。主人公の兄はひとりかくれんぼをしていて消され、今はその友達が霊に追われている。
ストーリー軸② 主人公の彼氏に振られた女が、主人公を逆恨みして呪いをかける話。その女はひとりかくれんぼをした結果、飛び降りて自殺した。
見ての通り、それぞれのストーリー軸にひとりかくれんぼが絡んでくるわけですが、上を読んだだけでは一つ疑問が残ると思います。「なんで兄と逆恨み女は、ひとりかくれんぼをしてたの?」 順当な疑問ですね。
その答えですが、全く分かりません。
なぜなら今作は『ひとりかくれんぼをしたら霊に襲われた話』ではなく『霊が恨んだ相手を襲う話に、むりやりひとりかくれんぼをくっつけた話』だからです。つまり、主人公たちが襲われる原因に、ひとりかくれんぼは全くと言っていいほど関係ありません。これが今作のストーリーを究極にややこしくしている一番の原因です。
そもそもひとりかくれんぼは誰かを呪う術ではなく、むしろ自分を呪う術なので、逆恨み女が「主人公うぜぇ」→「ひとりかくれんぼしよ~っと♪」となるプロセスが意味不明です。
また今作のひとりかくれんぼをした人の共通点として『それをする一か月前から霊が見えていた』というものがあるため、なぜか霊がひとりかくれんぼをさせようと必死に努力している話でもあります。
とまあこんなかんじで、今作は設定がガバッている&説明不足のダブルパンチのおかげで、今どっちの霊に襲われてて、それとひとりかくれんぼがどう関係してるのかが全然分かりません。
総評ですが、とにかく怖い雰囲気を出そうという感じは伝わってくるのですが、無駄に設定が複雑&説明不足&下手な演出のトリプルパンチのおかげで、特に中盤以降はただただ退屈な映画でした。無駄なホラーシーンを削って一つ一つに力を入れ、なぜ登場人物がひとりかくれんぼをしてたのかくらいは説明し、軸をどっちかの話に絞るだけでも、B評価くらいの出来にはなったんじゃないかと素人目に思います。
やりたいことを全部詰め込んだ結果、見事に噛み合わずにぐちゃぐちゃになった典型例のような映画ですので、私からはおススメはしません。
唯一褒められる点としては、俳優の演技力(特にAKBの人がやってる女主人公)はまあまあよかったと思います。もちろん『女優じゃない割には』『B級映画の割には』の話で、さすがに本職の女優には及びませんが、アイドル主演映画としては十分な出来だと思います。出演者のファンの方なら、見てみてもいいのではないでしょうか。