「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

学校の都市伝説 トイレの花子さん のレビューです(総合評価B)

B級映画あるあるー!
「見たことないと思って見てみたら、実は昔見たことあったー!」

……あ、もしかして私だけでしょうか?

(画像:Amazon商品ページより引用)

製作 2007
販売 TCエンタテイメント

さて、今回はこちらのジャパニーズホラー映画になります。レンタル版を視聴しました。見ている途中で、昔友達と見たことあるのを思い出しました。予告編&Amazon先生のあらすじをどうぞ。

【予告編】

【あらすじ】

学校には「トイレの花子さんが住んでいる」という噂がある母校に赴任してきた新卒教師・浜口美香(相澤仁美)。何も知らない美香は懐かしい母校での教師生活に胸を膨らませていた。そんな中、初授業を終えた余韻に浸りながら歩いていると、ふと、「立ち入り禁止」と書かれたトイレを目にする。噂を知らない美香はそのトイレに惹き込まれるように入っていたのだったが、そこで美香は驚くべき光景を目にする。それはいったい・・・?果たして花子さんは存在するのか!?都市伝説を実写化したサスペンスホラー。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー………B
キャラクター……B
設定………………B
ホラー度…………D
サスペンス度……A

総合………………B
おすすめ度………C

あんまり怖くないのでホラーファンの方にはそこまでおススメできませんが、ホラー映画を普段見ない方にはちょうどよさそうな感じだと思います。また設定がしっかりしていて話も面白いので、個人的にはおススメです。

【以下、ネタバレ注意!】

ネタバレ注意とありますが、この映画はホラーではなくサスペンスなので、その部分に関するネタバレは全力回避で書きました。そこまでしっかり書いてしまうと『刑事ドラマを見る前から犯人が分かっている』状態になるので……まあ、このレビューを見て「この映画見てみよう!」と思う人はいないと思いますが、一応。

とは言っても、ネタバレ部分(というよりラストシーン)に触れずにはちゃんとしたレビューに出来ないので、総評まで一通り全部書いた後、その下にネタバレ含むレビューを書くという感じにします。「もうこの映画見た」「もとから見る気なんてねーよ」という方だけどうぞ。

それはそうと……さあ、やっときました、まともな項目のA評価が! まあサスペンス要素の中でも1箇所だけ気になったシーンがあったんですが、それは後ほど。

さてこの映画、とにかく設定がしっかりしていて、無駄な描写やだらだらした展開というものがほぼありません。一番良かったと思うのが、説明にわざとらしさがないことです。

いろいろなことにしっかりした設定が存在し、かつその説明をしっかりしてくれるにもかかわらず、説明台詞があったような印象は全く受けませんでした。説明台詞や説明のわざとらしさというのは、割とA級の映画でも目立つことがありますが、この点に関して言うとこの映画は素晴らしかったと思います。

さらにほとんど謎も残らず、作中に述べた意味深なセリフや疑問点などはほぼ解決してくれます。キャラクターもなかなかしっかりと立っていて、花子さんサイドにも人を襲う理由もしっかりあり、なかなかサスペンスとして見ごたえのある映画でした。

しかしその半面、悪い点も。まず幽霊サイド、つまり花子さんに人を襲う動機や設定がしっかりとあるせいで、視聴者が花子さんに同情を覚えてしまい、そのためにホラー要素が薄くなっています。さらに、映像技術的にホラーっぽさが足りない点が追い打ちをかけ、この映画では怖いと思えるシーンはほんの数か所しかありません。

このホラー要素の薄さとサスペンスとしての完成度から、この映画はほぼホラー映画ではありません。脚本がすごいのか監督が頑張ったのかは分かりませんが、彼らは間違いなくホラーよりもサスペンス向きだという印象を受けました。

ただ1箇所だけ、ラストシーンについてはどうしても気になります。ホラーな雰囲気をMAXまで盛り上げておきながらホラー描写が下手なため、せっかくの緊迫感あるシーンが台無しに。また、なぜかここだけ、なぜそうなったかの説明が一切ないので、消化不良で終わること間違いなしです。

総評ですが、この映画はサスペンスとしてなかなかに完成されています。ラストシーンさえしっかりしていたら、いろんな項目がA評価になる予定だっただけに非常に残念ですね。

先ほども述べましたが、以下は重要なネタバレを含みます。「もう見た」「見る気ねーよ」という方だけお進みください。

さてこの映画、先ほども述べたように、なぜかラストシーンだけ全く何が起きたかの説明がありません。そのため、間違いなく消化不良になります。

以下に、ラストシーンに至るまでの登場人物の背景と、簡単なあらすじを説明します。

【花子さん】

かつてこの学校でいじめを苦にトイレで自殺した女の子の霊です。自分をいじめた同級生たちに、復讐の機会を淡々と伺っています。

【主人公(女)】

昔花子さんと同級生で友達でした。しかし花子がいじめを受けるようになり、いじめっ子たちに「お前もいじめに加担しねーとお前をいじめるよ?」と脅され、いじめにいやいや参加していました。そのことを悔いて教師になり、母校に新任教師として赴任しました。その際花子に襲われ、手首にあざが出来ます。

【担任(現校長)】

かつての花子の担任。花子が自殺した際、保身を図って事故として処理しました。そしてその死を利用して「命の大切さを考える週間」的なものを作り、人権活動?に勤しんでおります。もちろんそれは出世と名誉のためで、花子のことなんてどうでもいいようです。

さて、花子さんはまずこの主人公を襲うわけですが、それは復讐のためというより、自分が過去にどれだけ悔しかったかと、自分の死は事故でなく自殺だったことを教えるためでした。そして花子さんは、かつての主人公の立場を理解して彼女を許し、同窓会で学校に集まっていたかつての同級生たちに復讐を始める、というのがこの映画のラストシーンです。

ここまではいいんですけどね、問題はこの後ですよ。

その復讐の方法というのが『主人公の身体を乗っ取って、グラウンドに集まっているかつての同級生や校長を頃して回らせる』というもの。そして花子がなぜ許したはずの主人公を復讐に巻き込んだのか一切語られることなく、そのまま映画はおしまい。
恵まれた本編からクソみたいなラストシーン

さてラストシーンはこんな感じでしたが、ここで大きな疑問が起こります。この映画はこのラストに至るまで、登場人物の心情描写を実に上手く説明してくれました。花子の過去やその想い、主人公の感じていた罪悪感、校長の下衆な考え……そして最後、花子は主人公に自分の苦しみを伝えた上で、彼女を許します。その証拠に、彼女の手首からは花子に付けられたあざが消えていました。

しかしなぜかこのラストシーンだけは、花子さんがいったい何を考えて許したはずの主人公にこんなことをさせたのか全く理解できません。これをラストシーンだけ適当に作ったと考えることは容易ですが、今までの内容を見るにどうしてもそうは思えませんでした。きっと何か設定があるのではないか……以下に挙げる仮説は、そう思った私の妄想です。

仮説① 主人公を許してなかった説

花子は周到な用意をして主人公を許したかに見せかけ、実は腹のうちでは死ぬほど憎んでいたのです。なので最後、油断した主人公の身体を乗っ取り、かつてのいじめっ子を頃して回らせたのでした。実際花子は、友達だと信じていた主人公に裏切られたことが大変なショックだったようで、自殺の直接の引き金がそれと言っても過言ではありません。主人公の過去の立場を理解した上で、それが許せなかったのでしょう。なおこの説ですと、花子が超絶鬼畜&今まで積み上げてきたストーリー全否定です。

仮説② 花子無邪気すぎた説

花子は霊として10年以上生きてきたと言っても、心はまだ子供です。そのため、花子が主人公を乗っ取り頃しの代行をさせたのは、復讐でも何でもなく純粋な善意からです。つまり「あなたのことは許してあげる。私もあなたもあの時は辛かったよね。全部あいつらのせいだね。だから私はあいつらを頃すよ。でも私があいつらを頃してるのを見てるだけじゃ、あなたは満足できないし可哀想だよね。だから一緒に頃そう。でも私は身体がないから、あなたのを貸してね。あなたの身体と私の意識で一緒に頃して回ろう」こんな感じですかね……あいつらに苦しまされた自分はあいつらを頃したいほど憎んでるから、きっと主人公も同じ気持ちに違いない! と思ったわけですね。無邪気って怖いですね。

仮説③ 主人公乗っ取られてなかった説

ラストシーンでは、主人公が花子の形見の髪飾りを手に、急に無言で同級生や校長を頃して回りだし、しかも花子自身もそれをサポートするかのように校舎全体に憑りついて出現するため、誰もが「主人公乗っ取られた!」と思いますが、実は彼女、乗っ取られていません。花子の気持ちを全て理解し、
花子
との共闘という修羅の道を選ぶのでした。かつての敵との共闘……実に熱い展開ですね。

個人的には仮説③を推したいですが、自分の中で一番納得いくのは②ですかね。もしかするとラストはホラー映画でよくある「よく分からないけど怖い」感じを出そうとしたのでしょうか……それだと完全に失敗ですが。

まあラストシーンの捉え方は人それぞれあると思うので、もしこの映画を見て「ラストシーンはこういう意味じゃね?」と思われた方がいれば、是非意見を聞いてみたいものです。

なんにしろホラー要素以外は、全体的に標準以上の出来だったと思います。

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