「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

60年後… のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)

またしても大ヒットゾンビ映画、『28日後…』のパチモン映画です。なんか前にも『100年後…』とかいう映画を見たような……

国籍 アメリカ
製作 2009
販売 トランスワールドアソシエイツ

 さて、今作の原題はINFECTION: THE INVASION BEGINS レンタル版を吹き替えで視聴しました。Amazon先生、いつものお願いします。

【あらすじ】

地球外生命体が引き起こす感染の恐怖を描いたSFパニック。宇宙から飛来した物体の調査のため現場を訪れた保安官・ボーエンだったが、同行していたマーフィが突然暴れ始め、そこへやって来たビリーに襲い掛かってしまう。するとビリーも凶暴化し…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー…………D
クリーチャーの質…D
キャラクター………B
設定…………………E

総合…………………D
おすすめ度…………E

パッケージやあらすじやタイトルを見て、ゾンビ、もしくはそれに類似のものを期待した方には絶対にお勧めできません。

【以下、ネタバレ注意!】

最近、初心者おすすめ度の項目が機能していませんね……。B級映画を見ていると「これ面白いけど、ゾンビファンしか楽しめないだろうなー」というような映画って、よくあるんですよね。だから追加した項目なのですが……。

最近は
デビルと戦うのかと思ったら戦わなかった
S . W . A . T .  v s   デ ビ ル
映画や、
設定が難解すぎて誰にも理解できなさそう
エ イ リ ア ン v s エ ク ソ シ ス ト
な映画ばかり引き当てるせいで、万人に向けておススメできないという事態が頻発しています。

そして今作も、ゾンビ映画っぽさをこれでもかと押し出しつつ、ゾンビは全く出てこない映画となっております。まあ、この映画が『28日後…』シリーズと無関係なことはすぐ分かりましたが、まさかゾンビ映画ではないとは夢にも思いませんでした。もしこれを『28日後…』シリーズと勘違いして借りた方がおられましたら、ご愁傷様です。

さてこの映画ですが、正直褒めるべき個所がほとんどありません。設定はガバガバ、ストーリーは滅茶苦茶、敵のクリーチャーはお粗末なCG満載と、もうこれでもかというほどのB級映画っぷりでした。

まず、この映画はゾンビ映画ではないと書きましたが、じゃあ何なのかというとエイリアン侵略物です。

飛来した隕石から作り物感全開のワームらしきものが出現し、それが人間に寄生してゆく、というような話になります。なお寄生後は、寄生されたことが丸分かりな個体もいれば、もう普通の人間と見分けのつかない個体まで様々おります。この差は何なんでしょう。

また寄生された彼らには明確な意思があり、彼ら自身寄生者を増やすことを目的に動いている部分があるので、無暗に人は頃しません。人を押さえつけて、自分の口から寄生体を相手の口へ移す、という行為が基本となります。そのため、ゾンビのように噛みついたり、死体を食ったり、狂暴になって襲いかかって来たり……という描写はほぼ無しです。

これを頭において、ストーリーを追っていきましょう。

まずこの映画、60年前に起きたこの侵略行為の生存者である女性が、その惨状をレポーターに話す、という形で物語が始まります。ですがまあ、この60年後の世界が話に出てくるのは最初と最後だけですのでご安心(?)を。

さてこのおばあちゃんが語るには、突如隕石が来襲した日、町の人間が次々に寄生されたとのこと。そして政府がそれを完全に隠蔽し、真実を知る自分は現在までずっと精神病院こんなところに入れられ、もうそのことを知る人間はほとんどこの世にいないらしいです。うーん、実に有能な政府ですね。もちろんレポーターの女性も、最初は精神病患者のたわごとだと思って信じませんが、その内容を聞き終わった頃にはすっかりその虜に。

その内容を簡単に要約すると、寄生体蔓延る街から、恋人やその他少数の生き残りと一緒に脱出した、というお話です。

とまあここまではよくある話なんですが、その話の内容、つまり60年前の寄生体パニックのお話がですね、もうこれでもかというほどにガバッガバなんですよ。

過去にとある事情で殺人(同情の余地あり)を犯してしまった主人公と、その元恋人のヒロインが話の軸にあるんですが、とにかくこの主人公がもう超人。

友人が寄生されたにも関わらず、自我が残っていて彼が無事だったのを見るや否や「(こいつコーヒー飲むの日課だったな)」と思いだし、「寄生体の弱点はカフェインだな!」と一瞬で正解を引き当てたかと思えば、もう普通の人間と見分けのつかないレベルに寄生されていた保安官の正体を見破り、はては恐ろしいほどの豪運で敵の大群に囲まれた中から生還する始末。おばあちゃん、いくら恋人だからって、脚色入ってませんか?

そしてさらにガバガバなのが、敵の寄生体の設定です。彼らは非常に嗅覚がよいという設定なのですが、半面人間が近距離に接近しているのにも気が付かないほどの鈍感さ。

また彼ら、主人公お手製の特効薬を激烈に恐れているようで、集団で主人公をリンチしてたと思ったら「うっわ、こいつあの特効薬の臭いするわ」と感づいた瞬間、彼に寄生するのを止めるどころか、頃しもせずにすんなり帰してくれる優しさ。あの場で主人公をヤっておかなかったせいで、結果壊滅させられます。

さらに彼ら、主人公たちが籠城する屋敷の周りを取り囲み、屋敷内にはスパイも侵入させておいて、主人公たちの計画を全て把握するという回りくどさを見せ、しかも彼らが屋敷から出てくるまで一晩待ってくれるという紳士さ。しかも、朝になったら主人公たちが出てくると分かっているのに、いざ朝になると屋敷の周りに寄生体はゼロ。いったい彼ら、何がしたいんでしょう

まあそんなこんなあって主人公の活躍で寄生体は(ほぼ)壊滅、その後なぜか主人公は行方不明になり、政府の隠蔽工作によってヒロインは精神病院行きとなり、60年後の現在に至るわけです。

そこまで話を聞いたレポーターの女性は、その隕石の墜落現場に行ってみることにしたわけですが、何と驚くべきことにその場所、今でもしっかり残っています。あのー、完璧な隠蔽工作は……?

さらに驚くべきことに、寄生体がまだ生き残っていました。この60年、一体彼らは何してたんでしょうか。そして、完璧な隠蔽工作とは……。

とまあ投げっぱなしな感じでこの映画は終了です。これは酷い。

しかし実は、ラストシーンはもう一つあるのです。レポーターの女性が隕石を見に行った後、精神病院にいたヒロインのおばあちゃんのもとに、なぜか突然行方不明になっていた主人公が登場! しかも、60年前の若いままの姿で!

これにはおばあちゃんもさすがに困惑。そして一言。

「あり得ないわ……」

ええ、そうですよね。あなたの反応は正しいですよ、おばあちゃん。

そしてそれを見た主人公も、それに返すかのように一言。

「話せば長くなる」

いや、話そう。もう10分くらいは延長していいんで、そこは話しましょう。

そしてなんと、この後このことには何も触れられず、そのまま映画は終了!

隕石……寄生体……おばあちゃんヒロイン……若いままの主人公……なんかこれ、
どこかで見たことある
機 動 戦 士 ガ ン ダ ム 0 0
ような気がするんですが……。

総評の前に、この映画、とくにこの
00
ダブルオー
ENDについて、いくつか仮説を立ててみました。

仮説① ガチでおばあちゃん精神病説

ヒロインのおばあちゃんはマジもんの精神病患者で、60年前の出来事なんてなくて、現れた若いままの主人公は幻覚という設定。これなら作中所々にある超ご都合主義的展開&ガバガバな設定も説明が付きます。ですが作品の最後、寄生体は本当にいたことが分かるので、この説はその点だけ説明が付きません。

仮説② おばあちゃん精神病&予言者説

ヒロインのおばあちゃんは精神病で、60年前は何もなく、現れた主人公は幻覚というのは上の説と同じです。しかし実はそのおばあちゃんが見ていた60年前の光景は、実は未来に起こることを予言したものであり、これから起こる惨劇に近い光景を、過去の体験として見ていた、という説がこちらになります。つまり隕石が落ちたのは極先ほどのことで、寄生体もついさっきこの地球に現れた、ということになります。これなら60年前に現れたという寄生体と同じものが現在の隕石現場にいたことの説明が付き、かつ主人公が若いまま現れた点も説明が付くのですが、次はガバガバな設定がガチだということになってしまいます。

仮説③ 主人公ガン〇ムマイスター説(ガ〇ダム00未視聴者はスルーしてください)

この映画はガ〇ダム00の前篇です。つまり〇ンダムが建造されるずっと昔、イノベイターとして覚醒した主人公が、地球外から飛来した寄生生物との対話に成功する過程を描いた映画です。彼の活躍がなければ、地球は寄生されつくしていたことでしょう。本作の時代設定は西暦2070年ごろ。イオ〇ア・シュヘ〇ベルグが私設武装組織ソレスタルなんたらを創設したのが西暦2100年ごろらしいので、この事件を知った後、宇宙生命体との来る対話に備え、彼がソレスタルなんたらを創設したとすればつじつまが合いますね。今作の寄生体が頑なに人間を殺そうとしないことや、若いまま主人公が帰ってきたことなど、もう恐ろしいほどに完璧な説明ができる説です。
俺がガン⚪︎ムだ。

以上、仮説でした。皆さんどの仮説がしっくりきましたか?

総評ですが、まあ特に見るべき点はないですね。 唯一、キャラクターが割としっかり立っていて、魅力的な点だけでしょうか。あ、ガ〇ダム00劇場版視聴者の方は、一回見てみてください。新たな発見があるかもしれません。

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