ブログのタイトルを見て何事かと思われた方もおられるかもしれませんが、こういうタイトルの映画です。レンタル版を視聴しました。あらすじは、いつも通りAmazonさんに頼ります。
国籍 日本
発売 2011
販売 アルバトロス
【あらすじ】
落ちこぼれアイドルが“ネ申アイドル”の称号を懸けてバトルを繰り広げるスリラー。アイドルグループ“放課後プリティ生徒会”のメンバーが何者かに誘拐される。その後、脱落者には陵辱と死が待ち受ける“ネ申アイドル総選挙バトル”が開始され…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー……E
キャラクター…D
設定……………E
エロ度…………B
総合……………D
おすすめ度……E
「出ている役者さんのファンなんやで」という方以外は、見なくていいと思います。
【以下、ネタバレ注意!】
その辺のAV
をドロドロに煮詰めて浮き出てきた灰汁の部分」といった感じでしょうか。つまりそれらの大幅劣化版です。このブログで過去にレビューしてきた作品で言いますと、チアリーダー・マサカーをさらに劣化させた感じと言ってもいいでしょうか。 (チアリーダー・マサカーのレビューは
こちら)
びっくりするほどペラペラなストーリー、アイドルと言いつつ平凡なキャラクター、ガバッガバな設定と、どれをとっても
一級品のB級映画
です。いや、一級品のB級っておかしいですね。
まあとにかくいろいろと酷過ぎるので何からどのように書くべきか迷いますが、とりあえずストーリーからいきますか。
始まりと同時に、今作の主役となる、人気皆無の落ちこぼれ地下アイドル達が出てきました。メンバーは七人で、名前は『放課後プリティ生徒会』。略して放プリ。これはまあ何とも売れなさそう個性的なお名前ですね。
そしてちょろっとしたインタビューの後、彼女たちはテーマソングらしき歌とダンスを、数人の客の前で披露し始めました。これがまた何とも人気のない理由が分かるような個性的な出来栄えですね。歌が上手いとか下手とか、ダンスにキレがないとか以前にそもそも圧倒的声量不足。音程取るのがやっとって感じですね。
この後彼女たちはさらわれ、個室に監禁され、
どこかで見たことある
ような、いかにも逆らうと爆発しそうな首輪をはめられます。そして、彼女たちの監禁部屋に据え置かれたテレビに現れたおっさんが、「今からいくつかゲームするから、最後まで生き残った一人をトップアイドルにしたる」と意味不明なことをおっしゃる、というのが序盤の展開です。ちなみにこの時点で、ぐちぐちうるさかった一人が首輪を爆発させられて死にました。正確には爆発ってほどの規模はないです。予算の問題でしょう。
それと、ここまでの様子は全てネット配信されていて、たくさんの人々が見ているっていう設定です。そしてこの後、今作の肝であるアイドルバトルに移ってゆくわけですが……ここからの展開がとにかく酷い。もう酷いなんてものじゃありません。
一回戦は「CG感丸出しの電流が流れる鉄の棒を掴みながら自己紹介をし、一番視聴者からの得票数が少ない一人が死ぬ」というもの。さっき一人死んだので、六人分の自己紹介を聞かされるわけですが……。
これ、電流に耐えながら自己紹介という設定のため、「いかに電流流れてるっぽく振る舞えるか」というスーパー演技力大会以外のなにものでもありません。しかも、電流が流れてて苦しいという演技を意識しすぎてか、六人のうち半分以上は何言ってるのかさっぱり分からないという、自己紹介にあるまじきゲームとなっています。
さあ、これを生き残った五人は、次のゲームへ。二回戦は、「熱く燃える鉄板の上で全員一緒にダンスを踊って、一番視聴者からの投票が少なかった一人が死亡」というもの。もう言うまでもありませんが、スーパー演技力大会二回戦です。
言いたいことはもう山ほどあるのですが、最後までとっておきます。これも生き残った四人が挑む三回戦、そのゲーム名はなんと! 「レ☆プが嫌ならセクシーポーズ」
もう頭が痛くなってきました。すでに生き残りバトルどうこう関係なくなってきています。
さてここで、何でいきなりそんなエロ展開が出てくるねんと思われた方もおられるでしょうが、実はこの作品、今までに何度かどうでもいい回想シーンが登場してきています。その内容は、枕営業の様子だの元彼に脅迫されてエロいビデオを撮られただのの、どう見ても安易なエロシーンを出したいだけというもの。結果論となりますが、今回も『安易なエロシーンは駄作の法則』が見事はたらいてくれました。
さて、そのゲームに見事負けた一人ですが、彼女は自分のレ☆プ映像をネット配信される前に、自ら舌を噛み切って死ぬという雄姿を見せます。実際には舌を噛み切って死ぬ確率は低いらしいですが、まあこの手の映画の定番ですので良しとしましょう。
ここまで見ての率直な感想ですが「思ってたのと違う」パッケージを見るに、どう見ても七人がバトロワばりの頃し合いを展開してくれるのかなーと思ったら、実際は下らないルールに従って、自分の人気と戦っているだけ。これで面白いならよいのですが、お察しの通り全く面白くありません。苦痛です。
そして、残り三人で挑むラストゲーム。それは、「いままでの得票数に従って支給された武器で頃し合いをし、最後の一人になったら勝ち」というかなりシンプルなもの。最初からそうしろよ
そしてこの勝負、一人をネイルハンマーで撲殺し、もう一人は舌を噛み切って頃すという手荒な戦法で、主人公っぽい女性が勝利を収めました。舌噛むの好きですね、この映画。
と、そんなことはどうでもよくなるくらい、ここから怒涛のラストシーンへ突入します。
まず、このゲームを主宰していた顔出しのおっさんが一言。「実は私、なんちゃらエンタープライズの社長です」
「は?」
次にその大企業の社長さん、もう一言。「実は今までのゲーム、誰一人死んでいません」
「は? は?」
最後にトドメの一発。「実は今までの、全部フェイク番組でした!」
「は? は? は?」
その後ネット画面には、死んだはずのメンバー全員が集結。彼らの話をまとめると「この社長がアイドル事業に足を伸ばそうと考えていて、その際に目を付けたのが放プリだったんだけど、全然売れてないから一発ドカンと売れそうな企画を考えた結果こうなった」とのこと。
そしてこの映画、これからも私たちを応援してね☆ 的な感じで、そのままエンディングに突入しました。
ここから怒涛の批評です。まずこの社長曰く、今回の企画は「犯罪スレスレ」とのことなのですが、一言言いたい。「犯罪です」
それとこの社長、この企画を通して「放プリは売れる!」と確信したようですが、仮にも今から売り出そうというアイドルに対して「アバズレ」だの「レ☆プする」だの完全にアウトな罵声を浴びせかけています。なるほど、確かにこれでクソビッチアイドルの名はいただきですね!
もっと気になったのが、放プリを中心としたアイドル事業が仮にうまく行ったとしても、こんな顧客の信頼を地に落とすような企画をしてしまって、本業は大丈夫なんですかね? 翌日、この社の株価が暴落する未来が目に浮かぶようなのですが……。
さらに彼、物語冒頭から顔出し本名でゲームを進めていますが、こんなの誰かが「これ〇〇社の社長じゃね?」ということに一発で気が付くと思うのですが……。少なくとも、名前で検索かけられたら即バレですね。
とまあ、少し思いつくだけでもすでに設定が穴だらけです。これだけ設定がボコボコなので、映画の最後で明かされたフェイク企画についても、本来なら衝撃が走るのでしょうが、今作では呆れかえるだけという ある意味恐ろしいラストに。
ストーリーもゲーム⇒回想(どうでもいい)⇒ゲーム⇒回想(至極どうでもいい)……の連続で非常に退屈。
キャラクターは、アイドル七人組ということで一人一人設定はありますが、見事にその設定を全く生かし切れていません。妹キャラは妹してないし、女王様キャラは腹黒いだけ、という具合です。ゲーム内容が「ファンからの得票数で生死が決まる」システムなのに、誰一人として自分のキャラを強みとした立ち回りを見せてくれませんでした。
この映画、もっとも見どころと言えるのはエロシーンくらいですが、これもチアリーダー・マサカーの劣化レベル、ましてや(当たり前ですが)R-18作品の足元にも及ばない出来と、もはやどの面で見ても救いようがない出来上がりでした。
総評ですが、設定はガバガバ、キャラ設定は生かし切れておらず、無理やり入れたエロシーンはテンポを悪くするだけ、肝心のゲームはスーパー演技大会どまりと、いったい何を褒めたらいいのか分からない出来でした。
何より、電流棒掴みをしたり鉄板の上で踊ったり、ましてやセクシーポーズをとるだけというゲーム一つ一つが安直で魅力のないものになっているのが最大の敗因です。
フェイク企画という設定を通すとしても、もっとキャラ設定や投票システムをうまく取り入れたゲームにしたり、思い切って48人くらいで最後の一人になるまで頃し合うというゲーム設定だったりしたほうが数倍楽しめたと思います。
もう無理やりに解釈をすれば、この映画は『近年人数が増大傾向にある世のアイドルグループに対して、結局ファンはグループではなくそこに所属する個人を応援しているに過ぎず、また清純を気取っているアイドルたちも、裏では汚い面、黒い顔を持っているのだ』というアンチテーゼを提唱していませんよね、分かっています。
最初にも述べましたが、出ている役者さんのファンの方、もしくはこの作品の監督のファンなのという方以外には、とてもではないですがおすすめできません。ですが視聴にかかる時間は比較的短くて済むので(75分)、もし見てしまってもそこまで時間を無駄にはしないでしょう。
ですがこの映画、見ていて一つだけよかったことが。それは、今後お気に入りのアイドルを聞かれた時に「放プリだよ」と言えるようになったことです。当然相手は「放プリ???」となるでしょうが、地下アイドルなので知られてなくて当然ですね。というわけで、私は今日から放プリ推しとして生きてゆきます。
放プリ~、プリプリ~☆(全ギレ)