「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ゴースト・シャーク のレビューです(総合評価B)

今回から、(自分が)見返した時に分かりやすいかなと思ったので、タイトル欄に総合評価を付けてみることにしました。

さてさて、今回はこちらの映画です。

(画像:Amazon商品ページより引用)

レンタル版を吹き替えで視聴しました。
説明はAmazon先生と予告編に丸投げです。

【あらすじ】

“神出鬼没の人喰いモンスター! “ゴースト化””した謎の巨大サメが、街のあらゆる場所で人間を襲う!!! ある夜、ボートで釣りを楽しんでいた一行の竿に掛かったのは巨大なサメだった。 しかし恐怖のあまりサメを撃ち殺してしまった彼らを、復讐のため蘇ったサメが襲う―!! それから数日後、人ごみで賑わうビーチが騒然とする。青白く光るサメが出現し、人々を襲ったのだ! その惨劇が去った後に現場についた地元警察は、その話を信じようとはしなかった。 そこに偶然居合わせたエバと妹のシスリー、友達のブレイスは犠牲者の残したビデオカメラに光るサメの証拠をつかむ。 そこには光るサメの背びれが映っていたのだ。 しかし警察は彼らの証言を真に受けることはなく次々と犠牲者が増えるのだった…。 ゴーストと化したサメは、水がある場所はどこでも出現出来るのだった。 豪邸のプール、シャワールーム、水たまり…。 街の至る所に出現し、ひとを襲うサメに住民たちは為す術をなくす…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

【予告編】

ストーリー………B
サメの質…………C
キャラクター……B
設定………………B

総評………………B
おすすめ度………B

全体的に粗削りな面もありますが、それを差し置いて面白さが勝るのでおすすめです。サメ物を普段全く見ない自分にも楽しめました。

【以下、ネタバレ注意!】

※評価欄が見事にBの嵐ですが、別に面倒くさくてB連打してたわけではありません。その理由は後々。

まずレビューに入る前に注意事項が。もはや恒例になりつつありますが、この映画もあらすじ詐欺&パッケージ詐欺があります。

まずパッケージについてですが、見てもらえばわかるように、パッケージには複数体のサメが映っていますね。ですが出てくる幽霊ザメは一体だけです。

次いであらすじですが、サメを釣ってしまった親子が「恐怖のあまりサメを撃ち殺してしまった」とありますが、とんでもありません。彼らは自分が釣ってしまった魚をサメに食べられたことに激高し、そのサメを銃で撃つわボウガンで撃つわ辛いソースをかけるわの狂乱っぷり。最後にはグレネードで爆殺という完全にキ〇ガイな行為を取ります。確かにここまでされたら、サメが化けて出るのも納得できますね。

以上恒例の詐欺シリーズですが、まあこの程度は可愛いものです。あまり気にしなくてよいでしょう。

では、早速評価に入っていきましょう。最初に少し述べましたが、この映画の評価はB評価の嵐です。つまりこの映画、かなり完成度が高いです。

まずストーリー構成ですが、とにかくテンポが良いの一言に尽きますね。この手の映画ではモンスターが出てくるまで主人公たちのどうでもいい身の上話なんかをだらだら垂れ流されることが多いのですが、この映画はスタートしてすぐサメがゴースト化&ビーチを襲いに来てくれるので掴みはばっちりでした。

そして序盤から中盤以降も、少し話がダレそうになるとサメが程よく襲来しにきてくれ、サメ襲来&死亡シーンが全編通して程よくちりばめられているために、最後まで飽きずに視聴を続けられました。視聴者を飽きさせないようにという配慮が感じられますね。意図してのことかは分かりませんが。

内容も、サメの暴走を止めるために主人公たちがあちこちを駆けまわり、その先々で少しずつ真相に近づいてゆく感じが、見ていてとてもよかったと思います。話の構成はかなり良かったですね。

次に設定についてですが、これもまあよく練られていたと思います。なぜこのサメだけがいきなりゴースト化したのか、止めるにはどうすればいいのか、どんな場所に出現するのか等、視聴者が感じる疑問はあらかた解決してくれたように思います。こういった、疑問を投げっぱなしにしない点には非常に好感が持てました。

他のレビューを読んでくれた方は分かるかもしれませんが、私はかなりの設定厨なので、こうした点だけでも評価が大きくアップします。今作は見ての通り、設定厨の私も結構満足できました。

特に良かったのはサメの出現条件ですね。主人公たちは途中で「奴は水のあるところにしか現れないんだ!」ということに気が付くのですが、ここで「なんだ、じゃあ水を避ければいいじゃん」と思ったそこのあなた! もう助かりませんぜ。

確かにこいつは水場にしか出ないのですが、問題は出てこれる水の量。水たまりくらいのレベルかなと思っていましたが、実際はそんなもんじゃありません。プール、お風呂はもちろん、排水管の漏れたところから、車を洗おうと水を出したホースから、コップに注いだ水程度でもアウトなうえ、最後には雨が降って天からサメが降ってくるというなんともシュールな仕上がりになっています。要するに、ほとんどどこからでも襲ってきました。

あらすじを読んで「水場だけならたいしたことねえな」と油断させておいて、実際は生活のどこからでも出てくるという恐ろしさ。この絶望感はなかなかですね。

キャラクターについても、なかなかに上手く描けていたと思います。主人公の女性は多少喧嘩っ早く口が悪いですが、サメとアグレッシブに戦ったりと行動派な側面もあるので、結構好印象でした。周りの事態を信じようとしないおっさんたちも、後半はそれぞれのやり方で事態を収束しようと動き出すので、まあ魅力的だったと思います。

とまあここまでべた褒めですが、B評価ばかりということは、裏を返せば『面白いんだけど今一つ物足りない』点が多いということです。

ストーリー構成は良いけれども、話の内容自体はありきたりな展開で、今一つインパクトに欠けるところがあります。また、幽霊ザメは一匹しかおらず、町中の人を襲っているという設定の割に、なんとも絶妙なタイミングで主人公たちの前に度々現れます。このあたり、なぜ主人公たちが付け狙われるのかの設定が欲しかったですね。逆に幽霊ザメが何体もいる設定の方が、話の展開的に良かったのでないかと素人目に思いました。

設定も今述べたことに加え、結構しっかり作りこまれてはいるのですが所々荒いですね。一番気になったのは、幽霊ザメの出現条件。先ほど、どこからでも出てきてなかなか絶望感があっていいと言いましたが、この設定も甘い部分があります。簡単に言うと、水から飛び出てきた後、どう動くのかという話です。

ラストシーンで、主人公たちは雨の中幽霊ザメから逃げ回り、壁もなく、かろうじて屋根があるだけの物置小屋に逃げ込んで雨から逃れたのですが、幽霊ザメは雨の中から出てこれないようで、主人公たちに噛みつこうとするも噛みつけないというシーンがあります。ついさっき、屋内に出来た水たまりからアグレッシブに空中へ飛び出し、壁の中に消えて行った彼と同一のサメとは思えません。

水から出てくるのは分かったけど、そこから水のない空間を移動できる時とできない時があるというのは、なかなかご都合で動かしているなあと感じました。

そしてこの映画最大の駄点は、殺戮シーンをはじめとしたCG描写が酷いということです。爆発のエフェクトはもちろんのこと、サメに襲われて死ぬシーンは、『青白く光るサメが通過した後、残った人間の下半身がビクビクしているだけ』というかなりお粗末なものです。一方で、いくつかちゃんと頑張った死に方もありましたが、それでも殺戮シーンはお粗末な印象の方が強いですね。

幽霊ザメ本体も、終始青白く光っているだけのただのサメとお粗末な出来ですが、これについては褒められる点が一つ。多少作りこみが粗くて青白く光っているだけでも、ゴーストという設定のおかげで、モンスターとして比較的作り物感のないように見えます。

この技術力で本物のジョーズでもやろうものなら、人工物感満載のサメがCG丸出しで襲ってくる様子が目に浮かぶようなので、この点についてはナイスと言わざるを得ません。お粗末なCGしか作れないことを見越しての設定かどうかは知りません(恐らく違うでしょう)が、結果的にいい判断でした。

総評ですが、作りに所々粗い部分が見られるものの、テンポの良いストーリー構成となかなかにしっかりした設定に助けられて、全体としてみると標準以上の出来になっています。致命的に悪い点は特に見当たらず、お粗末な出来のモンスターもゴーストという設定のおかげでそこまで気になりませんでした。むしろ褒められる点の方が多いので、私的に満足のいく作品でした。

飽きずに完走することができるので、私のようにサメ物を見ない方にもおすすめできる映画です。おそらくまだ準新作扱いだと思うので、旧作にでもなったタイミングでレンタ
ルしてみてください。

それと余談ですが、以前にあげたスローターのレビューの方に質問コメを下さった方へ返答をしました。何か映画に関して質問や知りたいことがあれば、どうぞコメントの方に書いて行ってください。見つけたら何かしら返信します(答えられるとは言ってない)。またもちろん、質問以外のコメントも歓迎です!

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