ゾンビ映画から一転、今回は猟奇殺人をテーマにしたホラー映画です。レンタル版を字幕で視聴しました。というより、そもそも吹き替えがありませんでした。まあ、B級映画にはよくあることです。あらすじは、今回もAmazonさんにおせわになります。
国籍 アメリカ
製作 2003
販売 Happinet
あらすじ
ジェイソン、フレディを凌ぐ恐ろしき殺人鬼が美女チアリーダーたちに次々と襲いかかる―。セクシー女子大生VS凶悪殺人鬼のサバイバルホラー!コスチュームものの中でもダントツ人気のチアガール出演のホラー作品。チアガールは美女揃いの女子大生たち、水着に、シャワーシーン、セクシーショット満載サバイバル・セクシー・ホラーが2ヶ月連続でリリース!【ストーリー】セクシーで美女揃いのチアリーダーチームが男たちと山へドライブへ。突如吹雪に襲われ、さらに車は故障し、身動きができなった彼女たちは山小屋へ避難することに。深夜、若い男女が戯れる中、一発の銃声が鳴り響く―。忍び寄る殺人鬼の影…。果たして。彼女たちは、無事に生きて帰れるのか―。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー………D
キャラクター……C
ホラー度…………E
サスペンス度……E
エロ度……………A
総合………………D
おすすめ度………D
殺人シーンが残念すぎるという意味では、猟奇殺人系を見たことない人でも余裕で見れると思います。
【以下、ネタバレ注意!】
まず評価を見て、こう思われる方も多いのでないかと思います。「エロ度Aってなんだよ」
取りあえず、話の大まかな流れから書きたいと思います。
さて、あらすじを見るだけではよく分からないかと思いますが、この映画はまず殺人鬼が脱走したというところから始まります。そして、その殺人鬼が逃げ込んだ山で偶然遭難してしまったチアリーダーの一団が、山小屋を発見してそこで一晩明かそうかというところで事件が起こり、とまあ大体こんな感じなのですが……。
まずこの映画、チアリーダーの話ですが、チアリーディング要素はありません。登場人物はほぼチアリーダーなのですが、踊ったりするシーンは冒頭に一瞬ある練習シーンのみです。しかも作中では全員バリバリに私服なので、チアリーダーである必要は一切ありません。もうこの時点で意味不明です。
さらにキャラクターですが、容姿は美人な人が揃っていますが、映画的に性格や行動が魅力的で、印象に残るとまで言えるキャラは特にいませんでした。可もなく不可もなくといったところです。
しかし、そんなことはこの作品においては些細な問題でした。
この映画の一番の問題は「一体どこを目指しているのか分からない」ということです。
1回見た限りだと、私はこの映画から3つのアピールポイントを感じ取りました。1つはホラー。もう1つはサスペンス。そして最後の1つは、エロティックです。
もう自分で何を真面目に書いているのか分かりませんが、多分監督が一番真面目だと思うので、その姿勢を受け止めてあくまで真摯に書いていきたいと思います。
まず1つ目のホラー要素ですが、これはかなり薄いです。殺人鬼に襲われる恐怖を描いた作品は数あれど、ここまで演出の仕方が下手な映画も珍しいのでないかというほどの酷さでした。殺害方法は、基本後ろから不意打ちの繰り返しで飽きてきますし、「あぁこいつここで死ぬな」というのがすぐ分かるのでハラハラドキドキ感も皆無です。総じて全く恐怖感はありません。
2つ目のサスペンス要素ですが、これはむしろ意外性の要素と言い換えたほうが分かりやすいかもしれません。つまり「衝撃のラスト!」といったような感じで「真犯人は、実は殺人鬼じゃなくて身内にいたんだよ!」という衝撃を、ストーリーの1つの売りにしているということです。まあ、これは良くあることですね。
ところがこの映画、真犯人が脱走した殺人鬼と別にいるということは見ているとすぐ分かります。そのせいで、身内から真犯人が名乗り出ても衝撃など一切なく「何やお前やったんか」で終了。
しかも、その犯人が犯行に至った動機が「1年前に事故で死んだ友人の復讐のため」というものなのですが、この1年前の事故の内容が分かるのは犯人が名乗り出てからという完全な後出しじゃんけん。また、作中の人物全員が犯行は殺人鬼の仕業だと信じて疑わないため、真犯人につながる情報が全然出てきません。
このため、「犯人が別にいることは分かるが、それが身内なのか部外者なのかも全く分からん上、犯人が名乗り出ても動機等が後出し過ぎて衝撃も何もない」という酷い作りとなっています。
そして3つ目、エロティック要素です。
考えてみればこのブログを始めて以来、まだA評価を付けていないことに気が付きました。そんな中で、記念すべき初A評価をこんな訳の分からない映
画の訳の分からない要素に付けることは私も誠に遺憾なのです。
しかし、この映画を見たことある人なら分かるかと思いますが、監督がこの映画の中で一番力を注いでいるのは間違いなくここです。
今作ですが、特に前半は意味もないシャワーシーンの連続で、延々と裸踊りを見させられる映画を彷彿とさせるような展開です。
ただし、某映画と比べてもお色気シーンのクオリティが異常に高いです。正直ここだけを見れば、R-18指定食らっても仕方ないレベルの出来で、むしろこれはホラー映画と言っていいのか不安になってくるほどでした。
そして、この映画が他のB級映画と明らかに差別化できる点はここしかありません。以上を考えると、エロティック要素を評価項目から外すわけにはいきませんし、しかもこのレベルなのでA評価付けざるを得ませんでした。もう一度言いますが、誠に遺憾です。
しかしこの多すぎるくらいのお色気シーン、1つ問題が。クオリティが高いのは認めますが、エロティック描写が多すぎて明らかに話のテンポを悪くしています。少し話が進展したかと思ったら入浴シーン、また別の話に変わったら入浴シーンと、これでもかと言わんばかりに話の腰をぶった切ってくるので、ストーリーに全く集中できません。
先述のようにこの映画、どこを目指しているか分からないと言いました。つまりこれまで挙げた3要素ですが、見事に喧嘩しあってお互いの良さを消しあっているのです。
つまりこの作品をホラーとして楽しもうとすると、多すぎるお色気シーンがテンポを悪くし真犯人が誰か気になってホラーどころではなくなり、サスペンス性を求めると下手なホラー要素とお色気シーンのせいで話が進まないことにイラつき、開き直ってエロティック要素を楽しもうとしようものなら、最低レベルのストーリー自体が邪魔といったように、もう収拾がつきません。
総評ですが、つまるところこの映画、全ての要素が中途半端すぎて、いったいどの層の客を狙っているのか分かりません。エロティック要素で他のB級映画と差別化が出来ていると言いましたが、それはあくまでホラー映画としてでの話であって、正直そこに期待して見るくらいならR-18コーナーにでも行ってください。
ホラーもエロも楽しみたい人にならおすすめかとも思ったのですが、先ほど述べたようにお互いの要素が完全に喧嘩しあっているので、そういう人にもおすすめできません。
一番おすすめできるとすれば「前情報なしに借りてみたら、意外とエロシーン多くてやったぜ」という人にくらいだと思いますが、ここまで読んでくれた方に前情報なしな人はいないでしょう。
どうか一度このレビューの記憶を抹消してから、何かに導かれるようにレンタルショップへ向かっていただく他ありませんね。