国籍 アメリカ
製作 2006
販売 Happinet またお前か
パチモン映画シリーズから脱却しました。そして今回は正真正銘のゾンビ映画です。レンタル版を字幕で視聴しました。例のごとくAmazonさんのあらすじと、youtubeにあった予告編を置いておきます。
あらすじ
世界一危険なエリア、サウスセントラル。その地を巡る2大ギャングが雌雄を決しようとしていた。しかしそこに謎の隕石が落下。被爆した浮浪者たちが次々とゾンビ化し、ギャング達に襲い掛かる!2大ギャング達はお互いの戦いをやめ、一丸となってゾンビ達に立ち向かうが・・・。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ゾンビの質 B
キャラクターD
世界観 C
おすすめ度 B
【以下、ネタバレ注意!】
久しぶりにまともなゾンビ映画に出会えました。しかもなかなか面白かったので言うことなしです。その影響もあってか、評価もかなり良さげです。まあ、それでも突っ込みどころはありますが。
さて、今作は見ての通りゾンビ映画です。
ゾンビ映画と見せかけてゾンビじゃなかった
というような姑息な映画ではありません。最近はこれだけで評価を高めたくなってしまうので困ったものですが、あくまでそこは客観的に。
ではどんなストーリーなのかというと……まずこの映画は、隕石がホームレスの集団に落ちてくるところから始まります。その後はギャング同士の取引の描写があり、そこに乗り込もうとした警察隊が見事ゾンビ化したホームレスの集団とごっつんこ。その時点で警官隊はほぼ全滅し、生き残った二人の警官がギャングたちの立てこもる倉庫内に入り、そこで白人ギャング、黒人ギャング、警官の3勢力が一堂に会するという流れになっています。
ここまで見ると、ゾンビ映画の話の舞台としては完璧です。この後は、倉庫に立てこもりつつ脱出の機会を伺うという流れになります。なるのですが……
詳しく見ると、警官は銃を持ってるのをいいことに両ギャングを言いなりにし、かと思えば白人ギャングが銃を奪って一転攻勢。比較的良識のある黒人ギャングと警官はその言いなりになって閉じ込められ、この後も銃を持っている白人ギャングに逆らえず……という様に、この作品、銃の重要度が(別の意味で)めちゃめちゃ高いです。
しかも銃を持っている相手にすぐ口答えしたり、反抗しようとするせいでバンバン撃たれます。はっきり言って、主要人物の死因は『下らない内部抗争や、他の勢力の奴にはめられたから』が半分程度を占めます。
要するにこの3勢力ですが、全く協力する気がありません。
ですがあらすじには確か、『2大ギャング達はお互いの戦いをやめ、一丸となってゾンビ達に立ち向かう』とありますね。はい、完全にあらすじ詐欺です。
ですがまあ、この程度のあらすじ詐欺はアンデッドの大群と戦うと思ったら戦わなかった映画
よりも全然マシです。上記のあらすじも『2大ギャング達は(片方が銃を持っているせいで)お互いの戦いをやめ(ざるを得なくなり)、(形だけは)一丸となってゾンビ達に立ち向かう』と見ればまあ許せます。
またキャラクターですが、上述のようにガチ屑のリーダーが一人と、後は口が悪いギャングばっかりなので、お世辞にも魅力的とは言えません。作中では一番まともな警官も、銃を奪取された後は閉じ込められてほぼ空気です。この人達中心で話が進んでいくうえ、リーダーは暴力的で『逆らうやつはブッ頃す』タイプなので、必然ストーリーも終盤までなかなかの胸糞悪さと共に進みます。
個人的には、ゾンビ映画の主役は生存者と共にゾンビでもあると考えているので、ゾンビになかなかスポットライトが当たらない分ストーリー評価は低めです。
ゾンビ化発生の考察や対処法の研究等にもほとんど触れられていませんでした。まあこれについては「一般人が主役なんだからそこまで考えが回る方がおかしい」という批判もあると思いますが、個人的には軽くでいいので、何らかの形でそこまで触れてくれる映画が好きです。なので、世界観の評価に若干のマイナスが付きました。
それでも私がこの作品に高い評価を付けた理由は、 要は『きちんと基本ができているから』です。
隕石が落下してアウトブレイクが発生し、警察が襲われ、ギャングたちと立てこもり……と、この間非常にテンポよく進みます。
また余計な話などはほぼなく、最後まで勢いのあるままで進んでいくため飽きずに視聴を続けられます。多くのB級映画は見ている途中でだれてくるのですが、この映画ではそのようなことなく最後まで楽しめました。
また、まあところどころCG丸出しなところはありますが、ゾンビ自体の質はかなり高いです。これとテンポの良さだけでも十分評価に値しますね。
総評ですが、まずキャラクターがもっと魅力的なら、確実にA評価でした。またストーリーもこのような形でなく、純粋に3勢力が協力してゾンビと戦う展開の方が面白かったと思います。このストーリーだと「偉そうに振る舞っている嫌なギャングはいつ死ぬのか」ばかりに意識が行ってしまいました。シチュエーション等素材が非常にいいだけに、そのあたりがとても残念に思います。
しかし上述の通り、テンポの良さとゾンビの質の高さから、個人的にはかなりクオリティの高い作品でした。
ただし、純粋にゾンビを楽しむ映画とは言い難いため、オーソドックスなゾンビ映画とは少し違います。その点で、ゾンビ映画をよく知らない人に諸手を挙げて薦められる映画とは言えません。ですがまあ、そのような人が見ても結構面白いかとは思います。
友達とワイワイ見るもよし、1人でゆっくり見てもよしと、なかなかに汎用性の高い映画です。
どこかへ出かけたりお墓参りをしたりと、何かと忙しくなるお盆前のブレイクタイムに是非どうぞ。ホラー映画の棚に並んでいるお店が多いかと思います。あ、お財布とカードは忘れずに。2度手間くらいますよ(経験者)。