「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

忌怪島 を見てきた感想―村シリーズの悪い部分が全部出てるゴミ―

(画像:映画.comより引用)

どうもみなさまこんにちは。管理人のさがんです。
今回はですね、現在絶賛上映中の新作ホラー映画、『忌怪島』を早速見てきたので、それの感想を愚痴りつつ、マジでもうこの監督村シリーズの時から何一つ成長しないどころかむしろ悪くなってんだけどどうなってんだよなんでこんな面白そうな題材でこんなゴミみたいなクソ映画作れるんだよもはやクソ映画作る才能あるだろクソが、とかいう感じのやつです。
もはやお察しかと思いますが、もう以下には基本的に文句しか綴っていないので、万が一にも今作のことが好きなんや、という方は精神衛生上読まない方がいいと思う。
というわけで、まずは今作の簡単な紹介から。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

あらすじ

VR研究チーム“シンセカイ”の片岡友彦は、非科学的なことは信じない脳科学者だった。片岡は父の死をきっかけに、ある島を訪れるが、不可解な連続死が発生。片岡は、園田環とともに、解き放たれた女の怨念で赤く染まった島の真相を解き明かそうとするが……

予告編

というわけで今作、めちゃくちゃ簡単に要約すると、『新開発のVR世界があの世とシンクロしてしまい、そこで発生した怨霊が現実世界に侵食してきたので、VR世界と現実世界、それぞれで対策を講じて怨霊を倒す』みたいな感じの話です。
それでは以下には、今作を見てきた率直な感想を申し上げようかと思います。

【感想】

 率直に一言で申し上げるならば、今作は思い付いた面白そうな要素をふんだんに盛り込んだまでは良かったが、そのどれもが調理不足で説明不足、ひいては展開にまるで整合性が取れておらず、何もかもが中途半端なために全体的に全く締まらないクソ映画、という評価に落ち着きました。もっと簡潔に言うならば、村シリーズの悪い部分をバッチリ受け継ぎつつ、良かった部分はちゃんと消したゴミです。見方によっては村シリーズ以上に酷い。

 それでは、いったい何が酷いのか。まあ、あれもこれもと詳細に挙げ出すとキリがないので要点を絞りますが、大きく分けると

  1. ホラー描写がゴミ
  2. ストーリー展開がカス

の2本柱に行き着くでしょう。これに、③キャラの掘り下げが雑、を咥えてもいいかなー、と言う具合。

 それではまず、①ホラー描写についてなのですが、これはもう擁護のしようもないレベルでゴミです。微塵も、微塵も怖くない。
 自分、何回か公言しているのですが、ホラー映画好きなのにホラー描写が死ぬほど苦手でして、具体的にはテレビの特番や、あのクソ映画「事故物件」の前半パートのレベルでもうダメ、その日の夜はトイレ行けない勢なんですけど、そんな程度のホラー耐性しかない自分が、今作100分間通してほんの一度でも「怖い」という感情が想起されることは、マジのガチで微塵もありませんでした。いやもう自分でもビックリしたわ。
 例えば、あのジャパニーズホラーの面汚しの代表格である「村シリーズ」だとか、某貞子をオモチャにして遊んでるあのシリーズだとか、いわゆる「ダメだこりゃ」系ホラー映画でも、本編中どっか一度くらいは「うお、ここちょっと怖いな」と感じる演出が含まれているもんなんですよ(当社比)。

 なんですけど、今作にはね、ないんだ。そんなものは。

 ただの一度もな。

 ハッキリ言って、これはヤバいよ。ホラー描写の質だけ言うのであれば、間違いなく犬鳴村と同レベルか、下手すりゃそれより酷いです。演出はワンパターン、描写は安っぽい、おまけに今作のシンボル怨霊である「イマジョ」が、ビジュアル、襲撃方法、動作、どれをとってもクッソ低レベルと、もはやどうしようもないクオリティ。もはや、ここまで怖くないホラーシーンを作って大々的に世に出せる事実こそが一番のホラーと言えるかもしれない。そういう意味では間違いなくホラー映画であると言えますね……。

 それでは次、②ストーリー展開について。今作、ホラー描写についてはこの有様なので、それならいっそホラー部分は諦めて、まあストーリー展開が面白ければ良いかな、と開き直って考えたとしましょう。実際今作、「VR世界と現実世界を怪異が行き来する」「VR世界と現実世界、両方で何かしらの解決を要する」という設定自体は普通に面白く、また「なぜイマジョはVR世界に発生したのか」「現実との干渉を止めるにはどうすれば良いのか」など、次々と明かすべき謎を提示しながら話を進めてくれるため、一瞬「おっ、なんか面白くなってきそう!」という期待を高めてくれる瞬間自体は存在します。現実とVRの境界が曖昧になる演出も割と好みで、設定、展開、演出、それぞれの方面から期待を高めてくれるのも良い。

 なんですけど……今作が、実際に面白くなること。そんな奇跡は、起こらない。起こらなかったんだ。

 いや何がダメってさ、とにかくもう「自分で貼った伏線を回収する気がない」「自分が用意した展開に対する、マトモな説明をする気がない」この二つが氾濫しているせいですよ。それっぽい意味深なことを言って匂わせたり、「これは、今後こういう展開が来るのか?!」と思わせぶりな態度をとったくせに何もなかったり、果てには、多くの謎を提示するだけするくせして、それらをまともに回収する気が微塵も感じられない。というより、自分で提示した謎に対するちゃんとした答えを持っているのかも相当怪しい。
 もう、脚本監督が何も考えずに、思い付いた要素を好き勝手ポンポンポンポン放り込んでいったはいいものの、それらの整合性がまるでとれておらず、収拾がつかなくなったから、「まあ、なんか意味深なシーン放り込んで誤魔化して、『あとは視聴者のご想像にお任せしまーす』しとけばええやろwま、本当はナーンも考えてないんやけどなw」という、そういう視聴者を舐め腐ったテキトー極まりないゴミみたいな態度が透けて見える。これが何よりいけないんですよ。

 そしてこれ、村シリーズの悪い部分、そのまんまなんですよね。

 あのさぁ……思わせぶりで意味深な謎を提示するだけなら、その辺の鼻垂らした素人でも出来るのよ。それを納得感のある展開に昇華して、作品としてまとめ上げるのがお前らプロの仕事ちゃうんか? あんだけ好き勝手に謎や疑問を匂わせるだけ匂わせておいて、ほんで最後は何の説明もなく全てぶん投げて、それどころかラストシーンで二つほど追加で謎ぶん投げておいて、それでなんの説明もなしに、一体何が何やら完全に意味不明なまま、勝手に終わる。

これで「うーん、面白い作品ができた」と思ってるなら、完全に終わってる

 もしくは、そんだけ謎の提示だけして説明しない、っていうスタイルを貫きたいんなら、もう一から十までちゃんと説明しろとは言わないからさ、せめて『考察しがいのある展開』にしてくれない? 今作の致命的な点は、それもないことなんですよ。「あれ、一体どういうことだったんだろう?」っていう部分があまりにも多すぎる上に、「いやこれ製作陣くんさ、絶対何も考えてねーだろ」というのが透けて見えるので、考察とかする気も起きない。

 納得感もない、かと言って考察のしがいもない作品。こういうの、なんて言うか知ってます?

 そう、ゴミだよ。

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