個性――それは、投げ捨てるもの
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 イギリス
- 製作 2022
- 販売 アメイジングD.C.
あらすじ
遺伝子操作により現代に蘇った恐竜たちと人間の生き残りをかけた死闘を描いたモンスター・パニック・ムービー!
(Amazon商品ページより引用)
2030年、ウイルスの拡散や戦争により世界が分裂する中、
ある企業は遺伝子操作により白亜紀、ジュラ紀の恐竜を蘇らせることに成功する。
そんな最中、戦争の激化により何人かの人々が渓谷にある小さな避難所へと逃げ込む。
月日は流れ、底をついた物資を調達するために2年ぶりに外へ出ることを計画する。 だが、外は恐竜たちが跋扈する世界に変貌していた。
果たして、彼らは恐竜の脅威から生き残ることが出来るのか!?
人間を捕食する恐竜たちとの死闘を描いたモンスター・パニック・ムービー!
予告編
ストーリー | D |
キャラクター | D |
ゾンビの質 | D |
設定 | D |
総合 | D |
良い点
- 恐竜のCGのクオリティ自体は悪くない
悪い点
- 恐竜のCGのクオリティ以外全部
典型的な「恐竜の出来自体は良いけどそれ以外全部ダメ」な映画です。1番の問題は恐竜の使い方で、あまりにもジュラシックパークを意識しすぎ。もう恐竜が出るシーン出るシーン悉くジュラパな上に、オチまでジュラパというパクリっぷり。没個性なことは言うまでもないですが、単純にジュラパの劣化版にしか見えないので、まあ見る価値はないかな……
- ここをクリックしてレビューを表示
-
もはやジュラシックパークじゃない要素を列挙する方が早そう(過言)
と言うわけで今作ですが、一言で言えば「劣化版ジュラパ」です。
あらすじを見てもらえれば分かる通り、ストーリー内容自体はジュラパと全然違うんですけど――恐竜が出てくるシーンがさ、もう完全にジュラパなのよ、誰がどう見ても。というわけで、とりあえず数少ない良い点から見ていきましょうか。今作の良い点は、恐竜のCGの出来、これ自体はそこまで悪くないことです。いや悪くないと言うより、どっちかと言うと良い。モンスター映画にとって、モンスターのクオリティというのは当然大事ですから、ここがちゃんとできているのはそれだけで評価点ですね。
まあ、多少動きがぎこちない、地面から浮いて見えるシーンがあるなど、ちょっと違和感を覚える所はありますが、低予算映画なら充分なクオリティでしょう。
というわけで、大変残念ながら良い点は以上です。あとはもう軒並み全部ダメですね。
悪い点を挙げ出すと、ストーリー展開が稚拙だとか、設定が甘すぎるだとか、まあ言いたいことはそれなりにあるんですけど、個人的に「これだけはマジであかん」と思う点に絞って解説しようかと思います。それは何を隠そう、恐竜の使い方、動かし方が、あまりにもジュラシックパークを彷彿とさせすぎる、ということです。これが本当に、本当に良くない。
今作に登場する主な恐竜は、恐竜映画お馴染み、ラプトルとティラノサウルス。この組み合わせ自体はまあ良くあるんですけど、今作はこいつらの使い方があんまりにも酷い。どう酷いかと言うと、多分こいつらの登場するシーンの7割くらいが「あ、これジュラパで見たな」ってなることなのよ。
たとえば、初代ジュラシックパークの超有名な一幕に、ティラノサウスルとの初遭遇シーンがありますよね? 車が立ち往生したところにティラノがやって来る、あのシーンです。
ガラス越しに、ティラノと目が合う恐怖。
車の影を使いながら、見つからないよう静かに移動する緊迫感。
何度見ても素晴らしいクオリティの、大好きなシーンです。さて今作ですが、このシーンを丸々、思いっきり、言い逃れできないレベルで完全にパクっています。いや、パクっていると言うより、もはやトレースに近いですね。ジュラシックパークを一度でも見たことある人なら、嫌でも気がつくレベルにまんまあのシーンだった。車内で動いてしまって襲われるアレとか、車の影使って逃げるアレとか、もう完全にそう。
でもまあ、さすがにここだけだと偶然の一致かもしれないし、なんか私が言いがかりを付けている感じにも受けとれるかと思うので、ちゃんと他のジュラパパクリポイントについても言及しますね。
- 施設内にラプトルが侵入し、キャラクターと金網越しに対峙
- 登場人物が、ラプトルから逃げて机の下に隠れると、その机上をラプトルが闊歩し、爪をカチカチ鳴らす
- ティラノがガラス越しにギロっと覗いてくるので、じっと動かず待つ
- ティラノの接近に合わせて、ガラスの水が揺れる
- 暗闇の中、赤色発煙筒を使う
いや、完全に意識してるやん。特に、コップの水と赤色発煙等はもう完全にアウトやん。
そして極め付けは、「いや、こんだけジュラパ意識しまくってるってことは、まさか『ラプトルに襲われそうになっているところを、横からティラノが助けてくれる』ってオチじゃないだろうなwww」と冗談半分で思ってたら、マジでそうなったことだよ。
ラプトルが主人公たちに襲いかかる直前でティラノが横からスッと入って来て、ラプトルに喰らいつく。その隙に主人公たちは逃げる。まさに、まんまこれ。まんまだよ、まんま。そして、まあ言うまでもないことかとは思いますが、これらジュラパのパクリシーン、パクっただけならまだしも、当然クオリティは本家よりも圧倒的に低いです。そのため今作を見てると、見覚えあるシーンの超絶大幅劣化版が一生流れている、という地獄のような時間が、中盤以降続くわけです。そう、パクリだらけで単に没個性というだけで済む問題ではなく、ジュラパの劣化版を見せられている気持ちになる、というのが一番の問題。
ストーリーは面白くないし、しかも恐竜の出るシーンは全部劣化ジュラパ。だとしたら、この映画じゃなくてジュラパ見ればいいじゃん、となるのは必然でしょう。つまり今作、ジュラパという完全上位互換が存在するのだから、もはや存在する価値がないとまで言えます。そりゃ、ここまで徹底的にジュラパの劣化シーン垂れ流すだけの没個性映画なんだから、そう言いたくもなるよ……ティラノとの出会いからオチまで全部ジュラパオマージュ、というか劣化トレースだもん。こんなもん見るくらいならジュラパ見るわ。
そういう意味においては、今作はあらゆる恐竜映画の中でも、最も無価値なタイプのゴミと言えるでしょう。何か一つでもいいから、最低限の個性を提げて出直してきて欲しい。
-
今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!よければ、気軽にコメントしていってね