「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

【アニメレビュー】アークナイツ【黎明前奏】の感想です。アニメ化してくれてマジでありがとうございます。

アークナイツって、知ってる????

②知ってる

アークナイツ、やってる????

②やってる

ドクター、なんで1-7周回サボってこんな記事読みに来てるんですか???
まだ休んじゃだめですよ??????

 さて、強めの布教も終えたところで。
 本日は、つい先日最終話を迎えたTVアニメ、アークナイツ黎明前奏について、完走した感想などをつらつら述べていく感じのやつです。

1.そもそもどんなアニメ?

 超大人気の中国製ソーシャルゲーム、アークナイツを原作とする日本産アニメです。原作が中華ソシャゲと聞くと、「どうせ美少女で釣って課金煽るだけの、中身ペラッペラな量産型クソゲーでしょ」とステレオタイプなイメージを抱かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、アークナイツはその評価のまさに真逆に位置する作品です。不治の感染症が侵食する世界をテーマに、主人公たちの属する製薬会社が、世間のあらゆる暴力や差別に対抗する様を描く、という重苦しくも読みごたえのあるストーリーを主軸とし、老若男女様々な魅力的キャラクターたちが登場するタワーディフェンスという、近年のソシャゲに珍しい大変に硬派なコンセプトのもと制作されたゲームであります。

うーん、これは硬派

 そんなアークナイツですが、私が一番評価しているのはゲームシステム。これがもう優秀。あまりにも優秀。面白い。マジで面白い。イベントのステージ攻略が毎回楽しみすぎるんだ。あとローグライク無限に遊べる。神ゲー。

 とまあ、ここからゲームシステムの面白さへの言及を始めたいところなんですが、今回はアニメの感想なんでここらで割愛。

 さてこのアークナイツ、ゲームシステムと対をなす魅力を放っているのが、なんといっても重苦しくも魅力的なストーリー。オリパシーという致死性の不治の感染症と、その感染者たちに対する政府や一般市民からの弾圧、差別、暴力の存在を世界観の根底に据え、それに対する感染者集団の暴走的で狂気的な蜂起を止めるべく、主人公属する組織がそれに立ち向かう、という内容。

 この作品のなにが特徴的って、この感染者集団の狂乱を止めようと立ち上がる主人公たちも、ほぼ全員感染者だということなんですよね。敵も味方も、世間から弾圧され、差別された経験を持つ者同士でありながら、片方は自分たちを排除しようとした政府や民衆こそが悪で、そちらへと憎悪を向ける一方で、もう片方はあくまでも感染症が悪で、それの根絶こそが必要なんだという信念のもと行動をしています。その思想の違いから、本来手を取り合えるはずの感染者同士がお互いに衝突するという、なんとも救いようのない、しかし重厚なストーリーが展開されるわけです。

うーん、これは重厚

 というわけでやっと本題なのですが、こんなゲームを原作に作成されたのが、今回ご紹介するアークナイツ黎明前奏です。そのストーリー展開はかなり原作ゲームに忠実であり、またゲームでは文章でしか分からなかった部分が視覚的にハッキリと描写されたことにより、個人的には大変見ごたえのある内容になっていたと思います。

 閑話休題。ちゃんとイケオジキャラもたくさんいるよ!

2.良かった部分、悪かった部分

 ここからは、アニメの良かった部分と悪かった部分についてそれぞれ解説していきます。

良い点

  • アニメ化されたこと
  • 原作の雰囲気に忠実
  • OPとEDが神

悪い点

  • 原作に忠実すぎるがゆえに、イマイチ盛り上がらない
  • 一部戦闘描写がかなり雑
  • 多分、新規の人が見てもそんなに面白くない

 というわけで全話通して見た感想として、まず一番最初にどうしても挙げたい良い点が一つ。それは、そもそもこの作品がアニメ化されたことそのものが素晴らしいということです。「アニメに対する良かった点がアニメ化されたこと、って、お前それ感想になってねーだろ」と思われるかもしれませんが、いやこのアークナイツという作品がアニメ化され、今までボイスのついていなかったレユニオン陣営やドクターに声が付き、自分の好きなキャラクターがイキイキと画面上を動きまわっている。

これ以上に良かった点がありますかいや、ない(即答)

 特に、ゲームでは無声実装されていたキャラにボイスが付いたことね、これはもう全プレイヤー(ドクターと呼ばれます)嬉しかったでしょう。

 このゲーム、ストーリーパートは無音声なため、プレイアブルキャラにしかボイスが実装されていません。しかしこのゲーム、サブキャラや敵陣営のキャラがそれはもうかなりの人気があるため、このキャラクターたちにボイスが付くことを、かなりのドクターが待ち望んでいたのです。それが叶った。しかも、喋るだけじゃなくて動くんだぜ? 戦うんだぜ?

 もうこれだけで満点よ。

 かつ、原作の雰囲気にかなり忠実に作られていたのも評価したい点。アニメ化に伴い、少し世界観をライトにしようとか、あんまり重苦しくなるのは避けよう、という変な配慮が少なく、重たいときはバッチリ重たいのが実に良かった。特に一話。

ドクター救出→暴徒が街に溢れかえる→逃げ込んだ建物内に子どもの死体→逃走中、暴徒に襲われていた親子を危険を顧みずに助ける→感謝されるどころか、「感染者は近づかないで」と牽制され、別れる

 とかいう「あー、最高にアークナイツ」という展開が私のお気に入り。この、自分たちの信念のためにどれだけ頑張っても、感謝もされなきゃ救われもしない。それでも、今自分たちにできること、すべきことを必死にやるんだという感じが、もう最高にアークナイツ。

 それと、マジで最高だった最終回のあのラストシーンね。クッソネタバレになるので深い言及は避けますが、あの一連の演出マジであかんわ。あんなん見せられたら吐く(賞賛)

 あと、OPとEDが神ってるのも外せんですわ。いやもうどっちの曲もアークナイツの雰囲気に合っていてマジで良いです。さすが、「音楽会社が趣味で作ってるゲーム」と言われるだけある。

 Youtubeに公式が公開してくれていますので、リンク貼っておきますね

 とまあ、ここまでべた褒めなんですが、そんな賞賛贔屓の私から見ても、どうしても気になった部分が三つほどあったので、そちらにも触れます。

 まず一つ目が、盛り上がりのなさ。先に述べた通り、今作は原作の雰囲気をかなり大切にしながら作られているのが伝わってくるんですけど、そうであるがゆえに盛り上がりに欠けるというジレンマを抱えています。もともと、今回アニメ化された部分の原作ストーリー自体、主人公属するロドスは基本的に状況に振り回されっぱなしな印象が強いパートになっており、感染者差別というテーマも相まって陰鬱としていて爽快感がないため、どうにも気持ちが盛り上がりづらく感じます。こんな流れが1話から6話くらいまでずっと続くので、視聴者──特に、「アークナイツやったことなくて、アニメから見始めました」っていう新規の方々──によっては、結構退屈気味に感じるような気もします。

 まあゲームにおいては、ストーリーの合間合間にゲームパートが挟まり、そこでステージを攻略する楽しさやクリアする喜びという報酬が与えられるのであんまり気にならないんですけど、アニメだとそれがないのでちょっとキツイかな、とは思いました。そこでアニメの方では、ゲームパートに代わって、合間合間に挟まる戦闘シーンでぜひとも盛り上がりを作っていって欲しかったところなんですけど、ここが問題点その2。このアニメの戦闘シーン、良い時と酷い時の差が激しいんだこれが。

 例えば、ロドスと龍門近衛局が共闘する7話の戦闘シーンは、動きも大きく派手なうえ、主人公であるドクターの指揮が活きている描写もしっかりあってかなり満足感の高いものとなっている一方、5話の戦闘シーンは全体的にかなり酷かった覚えがあります。5話はマジで酷かった。自分がアークナイツに特に思い入れがなかったとしたら、ここで視聴を切ったかもしれない、というくらい酷かった。

 つまり、ストーリーの盛り上がりが薄い上に、戦闘までなんかチープで盛り上がらない、というかなりキツイ状況がアニメ中盤で訪れるため、ここで脱落者が多く出なかったか心配でした。まあ、ゲームをプレイされている、アークナイツに愛着があるドクターの皆様は、この程度ではまるで揺るがなかったかと思いますが、アニメから入った新規の人がね……。これが問題点その3です。

 そう、このアニメはソシャゲ原作なので、「原作プレイヤーが楽しめるように」という想いと同じくらい、いやそれ以上に「このアニメを機にプレイヤーを増やしたい」という思惑があるはずなんです。なんですけど、ぶっちゃけ今作は新規の人に対してあんまり易しい作りになっていないと思いました。これを見て「このキャラいいな! アークナイツやってみるか!」ってなる場合はあるかと思うんですけど、「ストーリーめっちゃ面白いな! アークナイツ始めるか!」ってなる層は果たしてどれだけいたのかは疑問が残ります。それは先に述べたように、アニメ的に盛り上がりが薄いから、という意味もありますし、設定の説明があんまりなくて世界観を理解しづらいから、という意味でもあります。

 せめて、「テラ世界の銃器は誰もが扱えるものでは無い」ということくらいはもっと早い段階ではっきり説明した方が良いと思いました。「銃器あるのに、なぜか剣やら槍やらの近接武器持ちが多いし、遠距離武器もボウガン使ってるキャラやたらと多いな」と最初に疑問に思ったとしても、ゲームやってる時は、近距離キャラと高台キャラに別れるシステム上あんまり気にならないんですけど、これがアニメだと「いや銃あるんだから剣とかボウガンとかいらんくない?」と、結構違和感があるんですよね。かと言って、アークナイツはなかなか設定が複雑なので、それの説明ばかりされるだけでもテンポ悪くなってつまらんくなるし……この辺のバランスがかなり難しいことは重々承知なんですが……。

 とまあ、今作に対して結構不満点もそれなりにあって、特に5話6話あたりは原作ゲームファンの私にとっても結構キツい演出とかが多かったものの──総評としては

「アニメ化してくれてありがとう」

 以外の何物でもないんですわ。

 確かに不満に思った箇所はいくつかありますが、その大半は「このアニメから入った新規の人、ついて来られるか……?」というものでしたし、いちドクターとしては、原作の持つ雰囲気をとにかく大事にして映像化してくれたということに対する感謝の方が圧倒的に大きい。

 もうこの作品をちゃんとしたシナリオでアニメ化してくれたこと、これだけで満点を差し上げたい。これは心からの気持ちです。

 いやー、これで原作でも屈指の人気キャラ、フロストノヴァが登場するパートが含まれる、第二期の製作が決定してくれれば言う事なしなんですが。まあ、まだアニメも終わったばかりなんで、しばらくはこの余韻に浸りたいとおも

エッ!!??!(混乱)

オッ!!!!!!(状況理解歓喜)

アッ!!!!!!!!!!!!!(絶頂)

 みんなもブルーレイボックスを予約して、アークナイツを応援しよう!(販促)

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