「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

アクセル・フォール のレビューです(総合評価Cー)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 
エレベーターを舞台にしたシチュエーションスリラーかと思ったら、突然X-MENが始まった風呂敷広げ過ぎ内容微妙映画のレビュー、はじめます。

本編映画が3作品くらい出た後で、「あのキャラクターの出自には隠された秘密があった……」的なキャッチコピーで作られた前日譚系ドラマみたいな内容の作品。なんでこれを単体映画で……?

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 オーストラリア
  • 製作 2021
  • 販売 アメイジングD.C.

あらすじ

脱出不可能。地上500mのエレベーターで繰り返される「急降下」。
深夜の超高層ビル、地上500mのエレベーターで目覚めた1人の女、アリア。目隠しされ手を縛られたまま、エレベーターは急降下を繰り返す。
壁にはモニターがあり、拷問される父の映像が流れている。そして、携帯には母が銃で殺される音声が残っていた。誰が何のために―?そして、
刻まれる死へのカウントダウン。アリアは疾走するエレベーターを脱出し、父を助け出すことはできるのか?

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
CGの質
設定
総合 C-

良い点

  • 意外性はあった
  • CGが綺麗だった(小並感)

悪い点

  • 話があまりにも散らかりすぎ
  • やはり絵面の単調さは目立つ

 良くも悪くも、展開に意外性はある映画でした。まあ問題があるとすれば、ソリッドシチュエーションスリラーかと思ったら、まさかX-MENの序章だとは思わなかったってことですかね。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 完全にコンセプトが迷子。

 さて今作ですが、小説書いたことのない中高生がコンセプトもしっかりしないままに勢いだけで筆をとり、書きながら思いついたアイデアをしっかりと吟味もしないままとにかく全て紙にぶつけていった結果、なんかすごいとっ散らかった内容の作品が出来上がったものの、うーんでも折角完成させたんだし今から書き直すのもなんか勿体無い気がするし何より面倒臭いから、まあこれでいいや! というノリで最低限の誤字脱字だけをチェックしてそのまま新人賞応募係に送りつけたかのような、なんかそんな作品です。俺かな?

 とりあえず今作に関しては、CGのクオリティは結構高かったですよ、という良い点があるにはあるんですが、それ以上に悪い部分がとにかく気になってしまうので、申し訳ないのですが以下は概ね不満点の列挙になります。ゆるして亭ゆるして。

 そんな今作の不満点なんですが、主に二つ。それは、絵面の単調さ、そして何よりの本命、あまりにもとっ散らかった内容です。

 まずは絵面の単調さについて。今作は見ての通り、エレベーター内を主体とした作品。そのため、主人公の行動範囲は(幼少期の過去回想を除くと)狭いエレベーター内に限定されます。
 かつ、このエレベーター、とある事情から『自由落下→急ブレーキ→上昇』というプロセスを繰り返しています。この自由落下の際は、閉じ込められた主人公の身体は宙に浮き上がって天井へと叩きつけられ、その後急ブレーキと共に床へ投げ出される──そんな地獄のような急降下を何度も経験することになります。

 そして幸いなことに、本作1番の見どころたり得るここの部分のクオリティはなかなかのもので、CG的な出来栄えは上々。なんですけど、こう何度もこの描写を繰り返される&絵面的にここくらいしか見所らしい見所がないので──やっぱりこう、見飽きてくるんですよね。最初の数回はいいんですが、後半にもなるとどうしても「またか」感がね。

 しかしまあ、これについては今作のコンセプトを見た時点である程度は予想、というよりは覚悟が出来ていたことなのでまだ良いんですよ。むしろ問題なのはそこよりも、今作のあまりにとっ散らかったストーリー、こっちだよこっち。

 その話の前に、まずは今作のストーリーを簡単に解説しておきます。今作は、訳もわからぬまま見知らぬエレベーターに閉じ込められたヒロインが、訳も分からぬままに地獄の急降下と上昇を繰り返される、という、文字通りのジェットコースタームービー。しかし、これだけではシンプルすぎるがゆえに、なかなか濃いめの味付けがされています。

 まず今回の事件ですが、実は彼女の父親はCIAであり、その敵対組織によって父子共に誘拐されたために起きたものでした。敵対組織は父親からある人物の居場所を聞き出そうとしており、結果、父は拷問にかけられ、ヒロインは父に口を割らせるための道具として利用されます。
 ──まあ、ここまでは分かるよ。こうでも理由付けしないと、一般人がエレベーター内で何度も昇降運動させられる状況が作れないもんな。だから、ヒロインは人質ということにしておいて、意図的に拷問まがいの昇降運動をさせられる。これはすんなり飲み込める設定ですわな。

 でも問題はここからなん。

 さてこの主人公なんですけど、実は原子レベルで物質を崩壊&結合させたり、未来予知が出来たりなどの超人的な能力を生まれ持ったミュータントだったのです。ところがどっこい、彼女はなんだかんだあってその恐ろしい力を封印しており、今は普通の一般人。ですが今回の事件を受けて再びその力が覚醒し、最終的には『自由落下するフリーフォールエレベーター』と『自分自身B級ヒロイン』とを融合させて『エレベーターズ・ガーディアン』を特殊召喚し、その効果でエレベーターの操作権限を全て掌握エレベーターの壁に自身の巨大な顔を浮かび上がらせながら、乗り込んできた敵兵を自由落下させて壊滅させる、という衝撃の展開へと突入。その後は、「お前と同じ能力を持つ双子を探すのだ」と死に際の父に言い残され、1人旅に出る──という大変感動的な場面でこの映画は幕を下ろします。

 いや、これ何の映画?

 なにこの『エレベーターの急降下をテーマにした映画を作ろう、と思い立ったはいいものの、それだけだとなんか味気ないし時間が余りまくるからなんか個性的な味付けを、と考えていたところ、ちょうど見ていたアメコミ映画に影響されて「これだ!」と思い付き、内容の吟味もせずに勢いに任せてウキウキで脚本修正した結果、もはや何映画なのか分からないほど原型をとどめない話になった』感は。
 
 これでですよ、このスリラー→アメコミヒーロー展開を半ばギャグっぽいノリで処理してくれているのなら、突っ込みながら笑って見られたと思うのでまだマシだったんでしょうけど、今作の場合はあくまでも真面目にこの展開に取り込んでくる。しかも、お察しの通りこのヒーロー展開、スリラー部分との噛み合わせがよろしくない

 いやせめてさ、主人公のヒーロー能力が覚醒する理由に、今作の大テーマである「エレベーター」が密接に関係している、とかなら、前半のスリラー展開とのリンクも見えてそれなりに受け入れられるものになったのかもしれないですが、能力の覚醒理由は単に「主人公がピンチになったから」だけであって、エレベーター一切関係ないんだよね。
 一応、なんでヒロインがエレベーター急降下なんていう特殊な拷問を受けているのかは説明されるんですけど、これまた単に「悪役がCIAの父親に、部下をエレベーターで殺されたから」というだけの逆恨みな理由。いや、特殊能力だのヒーロー覚醒だの、エレベータースリラーとまるで無関係の要素をこれだけぶち込んでおいたくせに、エレベーターに重きが置かれている理由がこれだけ、ってんじゃあいくらなんでも弱すぎるよ。

 結果、エレベーターを舞台にしたスリラーとアメコミヒーロー展開との噛み合わせがよろしくなく、どっちもものすごい中途半端に混ぜ合わせただけの、全体的にとっ散らかった話にしか見えないという問題が顕在しており、面白いと言えるレベルにはまるで達していませんでした。まあ、意外性だけはあったので、気になった方は見てみます? CGクオリティとかは結構良く、ストーリーもそれなりにしっかりとあるので、そこまで悪くはないですよ。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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