シナリオに既視感しかない
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 中国
- 製作 2019
あらすじ
先端遺伝子研究のためにまだ発見なされていない生物を求めて調査隊は北極圏の未開の氷原へやってきた。吹雪の中彼らの前に突如現れたのはスノー・モンスターだ。そしてメガ・シャークがスノー・モンスターに襲いかかる!氷原で繰りひろげられる壮絶モンスター・バトル
(Amazon商品ページより引用)
予告編
ストーリー | C |
キャラクター | C |
モンスターの質 | B |
設定 | C |
総合 | C+ |
良い点
- モンスターのクオリティが高い
- アクションシーンの出来が良い
悪い点
- 話が今一つ盛り上がらない
あんまり他映画を引き合いに出して劣化版劣化版と言いたくはないのですが、今作に限っては誰がどう見ても髑髏島コングの劣化――まあ百歩譲って劣化版ではないにしても、バリバリに意識してんだろ、と言わざるを得ないほどにシナリオが似通っている気がするので、もうちょっとこう……オリジナリティというか……。
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モンスターの外見がなんかコングっぽいなぁ、と思ってたら話までコングだったでござるの巻き。
さて今作ですが、未開の地に足を踏み入れた調査隊が、スノーモンスターという巨大な獣(コング)に襲われて消息を絶ち、それを探すために主人公たち探索隊が出発。その後、様々なモンスターに襲われながら、スノーモンスターを崇める村人たちが暮らす集落へとたどり着き、そこで調査隊の生き残りと合流する。そのまま、コングと意思疎通を図る儀式に参加し友好を深めるものの、そこにコングを捕獲したい人間一派が乱入。主人公たちはコングや原住民と協力しながら敵対勢力を倒し、無事お家に帰りました、めでたしめでたし、というお話です。
それでは、さっそく良い点悪い点を見ていきましょう。
今作の良い点は、モンスターのクオリティ、並びにアクションシーンの出来が良く、映像的な見ごたえはなかなかある、ということです。
今作に登場する主なモンスターは、パッケージに映っている通り、スノーモンスターという数十メートル級の巨大な獣と、雪の中を泳ぐサメ、あとはオマケ程度の賑やかしに、古代に滅んだらしい鳥の大群の3種類。まあ鳥は鳥なんで置いておくとしても、このサメとスノーモンスターのCG的なクオリティは、B級モンスター映画としてはかなりのもの。
動きはかなり滑らかで違和感はほぼなく、スローで見せられても特に気にならない質感と、造形の作りこみがあります。特に主役となるスノーモンスターは、その巨体ゆえなかなかの迫力があり、大変良かったのではなかろうか、と思う次第。
まあ、モンスター自体のクオリティが高い分、モンスターが人間を襲う際の描写の手抜き感が浮き彫りになっていて、なんかちゃっちく見えるという別の問題が出てきちゃってるんですが、まあそれはそれということで。
また、今作はモンスターとの戦闘以上に、人間VS人間の戦闘が見どころとして用意されているのですが、ここのアクション描写のクオリティにもかなり満足。銃撃戦は普通の出来ですが、近接戦、ないし肉弾戦の出来が良い。かなりキビキビとカッコよく、激しく動き回ってくれて、見ていて気持ちよかったのを覚えています。
というわけで、良い点は以上。続いては悪い点ですが、これは今一つストーリーが盛り上がって来ないことですね。
先に述べた通り、今作は単純に人間VSモンスターを描いた作品ではなく、むしろスノーモンスターに友好的な勢力と、これを捕獲しようとする勢力同士がぶつかり合うという、いわば人間VS人間の方にこそ重きが置かれているのですが、ぶっちゃけこれのせいであんまり話が盛り上がってきません。
理由はいくつかありますが、まず人間VS人間の方を主として展開していく作品の割には、圧倒的にキャラクターの魅力が不足している、というのがまず一点。さらに、人間同士の対決に焦点を当てたいがために、頑張って用意した巨大モンスターを弱く調整する、という方向に行ってしまったせいで、あまりモンスターに活躍の機会が与えられていないというのがもう一点。
特に、この「肝心のモンスターがあんまり活躍しない」というのはなかなかに残念でした。個人的には、折角モンスターが二種類以上出てくる&スノーモンスターは人間に友好的という設定があるのだから、モンスター同士をガッツリ対決させてみたら良かったんじゃないかと思うんですよね。そうすればモンスターたちの見せ場も作れるわ、話も盛り上がるわでバッチリ――まあ、そんなことしたらいよいよ完全に劣化版キングコングになるんですけど……。
というわけで総評ですが、人間同士のアクションシーン、並びにモンスターのCGのクオリティはかなり良かったんですけど、一方で思ったよりモンスターの活躍が少なく、あんまり盛り上がらないのはちょい痛かったかな、という感じの作品でした。悪くはないので、暇つぶしにはちょうどいいかもです。
今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。よろしければ、お気軽にコメントしていってくださいね!