なんか見たことあるような展開のオンパレード
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 中国
- 製作 2021
- 販売 アルバトロス
あらすじ
衛生署に勤めるスーは、子供たちを連れて北衛府駅発の列車に乗っていた。すると車内で、医学院で学んでいるはずの長女・リンリンに出くわす。その時、突如車内に大量の鼠が発生し人々に襲い掛かかる。なんとか前方の車両に逃げ込むが、スーの息子ユエションを含む鼠に噛まれた者は、エルシニア感染症という伝染病に感染していた。スーは、その先にある小白河駅の病院に伝染病の特効薬があることを思い出すがー。
(Amazon商品ページより引用)
予告編
ストーリー | C |
キャラクター | C |
CGの質 | C |
設定 | C |
総合 | C+ |
良い点
- CGの出来はじめ、映像的なクオリティはなかなかよい
悪い点
- シナリオのテンプレ感
- 絵面が地味で盛り上がり不足
出てくるモンスターはネズミのみ、というなかなか珍しいモンスター映画です。ネズミは感染症に侵されており、噛まれると発熱の後、死に至るという設定。ネズミのCGはよくできており、大群が波のように押し寄せる描写などはなかなかの迫力。反面、ネズミしか出てこないので絵面の地味感は否めない、という具合。ストーリーも悪くはないもののなーんか既視感が強く、感動の押し売り感が強いのもいまいちハマりませんでした。決して悪くはないので、時間潰しにはちょうどいいかも?
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なんか展開がすげー既視感ある
さて今作ですが、見ての通り邦題やらパケ絵が新感染と鬼滅の刃のパクリなやつです。列車が舞台→無限列車でええやろ、というお手本のような安直さ。当然、新感染とも鬼滅の刃とも一切関係はございません。
そして一つ注意点。今作は、新感染っぽい構図のパッケージ&感染という文言などから、パッと見「ゾンビ映画かな?」と思いそうなものですが、今作ゾンビ映画じゃないです。出てくるのは、致死性の感染症を患っているネズミのみ。つまり今作は、ネズミー映画です。まずはそれに留意されたし。
それでは、今作の良い点から見ていきましょう。今作の良い点は、CGの出来はじめ、映像的なクオリティはなかなか良いことです。
先に述べた通り、今作はネズミが主役の映画。出てくるモンスターはネズミのみ、噛まれてもゾンビになったり凶暴になったりはせず、ぐったりするだけというなかなか頑固な仕様。「ネズミしか出てこないんじゃねぇ……盛り上がんなくない?」と思いそうですが、これが意外と悪くありません。
その理由は、物量にあります。出てくるネズミは数匹とかではなく、基本どの場面でも数十〜数百匹、なんなら数千匹というクラスの大群。例えば序盤の汽車のシーンでは、大群となったネズミが屋根を突き破って車内に押し寄せます。
その後も、ゴーストタウン、廃病院など場面を移していきますが、どの場面でもネズミの襲撃は大群が基本。黒く蠢く小さな物体が、まるで波のように押し寄せてくる場面はなかなかの迫力があります。列車、町、そして荒野とどんどんステージが広がっていき、その度に画面を埋め尽くすほどの大群が押し寄せてくるので、題材の割には結構画面的な見栄えはよかったと言えるでしょう。CGのクオリティが良いのもグッド。
反面悪い点としては、そうは言っても絵面の地味感は否めない点と、シナリオのテンプレ感の強さが挙げられます。
先ほど、出てくるのはネズミだけだけど物量がすごいので映像的な見応えはある、と言ったばかりで申し訳ないのですが、なんだかんだ言ってもぶっちゃけ絵面的な物足りない感は否めません。だって、ネズミしか出てこないし。
何よりも、確かにネズミが津波の如く押し寄せてくる描写はなかなか迫力もあって良いんですけど、言うても最初の1、2回で見慣れてしまうんですよね。今作には大群押し寄せシーン自体は何回もあるんですが、そのシーンくらいしか見どころらしい見どころがないので、完全に見慣れてしまう終盤にもなると「またこれか」感が否めなくなります。出来自体は良くても、同じようなシーンの連続しか見所がないというのは、流石にキツいっす。
もう一つ残念なのは、ストーリーの構成が「なんかどっかで見たことある」感が強く、また安易な展開多めで意外性などがないこと。『電車内でモンスターの襲撃→噛まれた人のため、特効薬を探しに外へ→近隣の村が壊滅してるのを発見』という序盤の流れは、まんま「蛇王 キングオブスネーク」という、これまた中国産のB級映画を彷彿とさせる展開でバリバリな既視感。
その後の『電車に戻って病人を助ける→みんなで協力して脱出を図るも、自己犠牲精神強めの人からどんどんと犠牲に→ついには主人公も犠牲になるが、おかげでみんなは助かりました』な流れも、あまりにもポンポンと死人が出るからか、それともキャラの掘り下げが薄いせいでイマイチ感情移入できないからか、はたまた演出が安っぽいからなのか、なーんか「登場人物を次から次へとそれっぽく死なせていけばいい感じになるな」という安直な感動の押し売り感を強く感じてしまいます。
というわけで総評ですが、映像的なクオリティ自体は高いものの、見どころたり得るシーンが「ネズミの大群が押し寄せてくる」という似たようなシーンばかりなので絵面的な盛り上がりがちょっとイマイチ、かつシナリオも既視感強め、安直展開マシマシなため、なんか色々と惜しい作品です。
ただフォローしておくと、立ち上がりが素早くて話のテンポも早め、かつあんまりダラダラした場面もないので大変に見やすいという確かな強みもあるので、総合的に見れば比較的お勧めはできる作品です。なにより、「ネズミのみ」というのがなかなか珍しく、それ自体が個性になっているので、気になった方は見てみても良いのではないでしょうか。
今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!よければ、気軽にコメントしていってね