「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ゴースト・キラーズ 血塗られた少女の謎 のレビューです(総合評価B)

(画像:filmarksより引用)
(自称)ゴーストバスターズのパクリを名乗る、下品で寒い――と思わせておいて、実は結構盛り上がって面白いホラーコメディ映画のレビュー、始めます!

意外にも、こういう何でもなさそうな映画が掘り出し物だったりするから、B級映画漁りはやめられねぇんだ(歓喜)

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 ブラジル
  • 製作 2018

あらすじ

不可思議な心霊現象を調査するYouTuber集団「ゴースト・キラーズ」。いつか本物の幽霊を捕まえて一攫千金を狙う完全な人生の負け犬たちだ。そんなある日、ある心霊現象を調査して欲しいと依頼が舞い込むが…。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
ホラーの質
設定
総合

良い点

  • 絵面の濃い霊の襲撃が多いため飽きずに見られる
  • 終盤の意外な盛り上がりにグッと興味を惹かれる

悪い点

  • ノリが合わなかった場合地獄

「ポンコツインチキ除霊系YouTuberが本物の霊と遭遇してドタバタ大慌て系お下品コメディホラー」だと思って見れば、意外と面白い作品です。内容自体はペラいですが、霊による襲撃が定期的にあるため飽きにくく、終盤は終盤でしっかり盛り上がるため、見終わった後の満足感はかなり高かったのを覚えています。反面、前半から終盤手前くらいまでは、寒めなギャグと下品なノリが続くため、これが合わない場合かなり地獄を見ることになりそうです。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 マジでこういう、パッケージだけ見たら「何の捻りも面白みもなさそうな量産型凡作B級ホラー」にしか見えない作品が当たりだったりするので侮れない……。

 さて今作ですが、「除霊を売りに活動しているインチキYouTuberが、あるとき本物の霊と対峙することになる」という、まあ近年よくある感じのプロットのホラー映画となります。YouTubeの台頭以降、マジでこういうあらすじの作品多いよね。

 それでは早速、今作の詳細な内容を見ていきましょう。

 先に述べた通り、今作の主人公たちは除霊系インチキYouTuber。霊が出たと駆けつけては、身内に幽霊役をやらせて退治したフリをし、それをネットに上げて日銭を稼ぐというしょーもない奴らです。そんな彼らが、ある高校から除霊の依頼を受け、そこでいつものようにやらせ除霊しようとしたところ、本物の霊が出現して大騒ぎになる、という流れ。

 もちろん、彼らに本物の除霊のノウハウなどあるわけないので、尻尾を巻いて逃げ出そうとするんですが、霊に出口も塞がれてそれも叶わず。しゃーないので校内を探索しつつ脱出口を探し、その途中で何度も霊に襲われボロボロになっていく──今作の前半から終盤手前くらいまでは、概ねこんな感じの話です。

 これだけ聞くと、大変ありがちで捻りがないプロットに聞こえますが、今作には見ている側を飽きさせない工夫がいくつかされています。私が主に言及したいのは、全体的にコメディタッチで軽く見やすいノリと、定期的な霊の襲撃シーンの挿入です。

 まずは全体的なノリの軽さから。今作はインチキYouTuberが主役なので、まあ言わずもがな、彼らが本物の霊と遭遇するまでの間はかなりおふざけでおちゃらけた雰囲気が漂います。しかし、学校で本物の霊に遭遇した瞬間に作品の雰囲気が一変し、それまでの軽いノリは鳴りを潜め、真面目で緊迫感漂う展開がやって来ません。そう、来ない。これが今作の特徴その1。

 この手のプロットの作品だと、霊との接触以降はなんか真面目な雰囲気になりがちな傾向があるんですけど、今作の場合は基本的に、最初から最後手前まで緩い雰囲気が続きます。いや、実際に登場人物たちの目の前では、仲間の頭が爆発したり、霊の少女に取り憑かれた仲間が襲って来たり、血だらけになる大怪我を負わされたり何度も危うく殺されかけたりなど、かなりシャレにならない深刻な事態が起きていくんですが、それでいて合間合間には無駄口、無駄口論、無駄寒ギャグなどが飛び交うノリが終始垂れ流されることになるため、かなり軽い気持ちで見ていられます。当然合う合わないはありますが、ハマればこれが結構心地よい。

 しかもそんなノリでありながら、反面ホラー描写の出来映えはなかなかの高水準で、流血ドバドバ、メイク盛り盛り、身体欠損大歓迎な精神で手を抜かず作成されていることが分かるため、これがまあ画面映えして良い感じ。かつ、これらホラー描写を伴う霊による襲撃が、展開の節々に、定期的にポンポンと挿入されてくるため、常に画面に動きがあって飽きません

 この、緩くて軽いノリと妥協しないホラー描写が交互に混じり合いながら展開していくため、話自体はあんまり進展しないんですけど、意外にも飽きずに見ていられます

 とまあ、こんなノリで終盤手前くらいまで進行することとなるのですが、実はこの後のオチの部分こそが今作の真骨頂だった、というのには大変に度肝を抜かれました。それまではなんかバカっぽいノリ強めの雰囲気だったはずが、いざオチになると突然「それまで保身第一でバラバラだったポンコツチームメンバーたちが、それぞれちゃんとカッコいい見せ場を作りながら、自分の全力を持って霊と対峙し、協力して除霊に成功する」という、なんか異様にマトモっぽい盛り上がる展開に突入したのです。自分は、そこで一気に引き込まれました。

 ぶっちゃけ終盤手前までのノリの軽さから、「どーせオチとか、なんかテキトーに全滅させて終わりなんだろ」という、ロクな期待をさせないでおいてからの、いざ蓋を開けてみればこのマトモに盛り上がる熱い展開だった、というギャップのある構成が実に上手いですね。狙ったのかどうかは分かりませんが、この展開のギャップで完全に「おっ!」とさせられたので、ここは高く評価したいところ。

 ただし、一つ補足しておくと、オチ手前まで続く今作の「軽いノリ」というのは、なかなかに下品で低俗なタイプのものとなっています。かつ合間に挟まれるギャグも、特段面白くもありません。軽いノリという言葉で濁しましたが、ストレートに言うと「低俗なインチキポンコツYouTuberのクソ寒いノリ」という感が大変に強いです。

 かつ、中盤以降はホラー描写自体も、それに引っ張られてか低俗思考が強くなってくる(赤ちゃんがシコってぶっかけ攻撃をしてくる、便座からクソが飛び出して襲ってくる等)ため、ぶっちゃけ言ってこれらのノリが合わなかった場合、オチ云々以前に地獄を見ることになります。

 合わない方には絶対に合わないですが、前半のノリがそれなりに刺さり、かつその程度の映画として舐めて見ていると、終盤の盛り上がりで一気に心を掴まれる、そんな感じの作品でした。ホラー描写、スプラッター描写の映像的なクオリティもなかなかに高いので、個人的にはなかなかお勧めできる作品です。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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