「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件 のレビューです(総合評価B-)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 
邦題考えたやつのセンスが完全に終わってるけど内容的には悪くないスリラー映画のレビュー、始めます。

 こんなクソみたいなタイトルの今作ですが、実はこれ、元はこんなタイトルじゃなかったんですよ――一度邦題が変更されてこうなってしまったのです……

 なお、変更前後のタイトルは次の通りです。


 変更前タイトル:元カレとセスナに乗ったらパイロットが死んじゃった話
 変更後タイトル:元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件

 さて、あなたはどっちの邦題が好き?

 私はどっちも嫌い。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 スウェーデン
  • 製作 2020
  • 販売 ギャガ

あらすじ

友人の結婚式のため小型飛行機でインド洋に浮かぶ南の孤島へ向かうことになったサラ。
タイミング悪く、偶然乗り合わせたのはかつての恋人で今は気まずい関係のジャクソン。
内心穏やかでないものの、大人の余裕を演出しながら、目の前に広がる真っ青で美しい海と一面の快晴に心弾ませ、空の旅は始まった。
ところが、離陸直後にパイロットが心臓発作で急死。
この設定、映画ならジャクソンが元空軍とか、元CIAとかで、色々あるけど奇跡的になんとか着陸させるんだろうけど、元カレ、生憎ただの人。
ってことは、「色々あるけど結局バッドエンド」⁉
完全に「詰んだ」二人が取った、まさかの行動とは一体―。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
設定
邦題
総合 B-

良い点

  • ピンチが次々と訪れるため、終始飽きずに見られる

悪い点

  • 引くほど都合良くピンチが続くのでハラハラするというよりも笑っちゃう

 『元カレとセスナに乗ったらパイロットが死んじゃった話』『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』という日本のタイトルを並べてみれば、「あぁ、そういう話なんだなぁ」ということが一撃で分かる非常に親切設計な映画です。邦題はともかく、内容的には悪くない作品で、スリラー映画として普通に見られます。それなりに面白いので、暇つぶしにはちょうどいいかも。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 ここでゴミタイトルをひとつまみ…w

 さて今作ですが、『元カレとセスナに乗ったらパイロットが死んじゃった話』という2ちゃんのスレタイみたいな邦題から、『元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件』という2ちゃんのスレタイみたいな邦題に変更されたという経歴を持つ、原題『Horizon Line』な作品です。タイトル変更の理由については明言されていませんが、一説によると「そもそも作中で登場する飛行機ってセスナじゃなくね?」というのが関係あるとかないとか。小型飛行機のこと全部セスナだと思ってるバカしかいなかったのかな?

ここから邦題に関する愚痴です。興味のある方だけどうぞ。

 いや確かにさ、「タイトルを激長の内容説明文にすることで目を引かせる」「あらすじを読まなくてもおおよその中身が分かるため、興味のある人に手に取ってもらいやすくする」などの手法は、近年ネット小説やラノベ、漫画などを中心に広く見られるようになった手法ですけど、お前これを(一応)真面目なスリラー映画の邦題でやってどうすんのよ……。しかも、よりによって『〜な件』とかいう、モロにネット掲示板のスレタイだとか中身のうっっっっすい量産型萌えラノベに使われがちなタイトルにしてくるという壊滅的センス。控えめに言ってゴミ。

 まぁ、「つまらない邦題より、こういう奇を衒ったタイトルの方がむしろ見られる」「無難な邦題にしたせいで誰にも見られないよりは、ゴミみたいなタイトルでも話題になった方がマシ」などの意図があるんでしょうけど──じゃあ仮にこの作品が売れたとして、販売会社や他社が「なんや、真面目に邦題考えん方がむしろ売れるやん」と考え、こんなその辺の小学生でも思いつきそうなタイトルの作品が量産され出し、新作ラインナップが『〜な件』『〜な話』『〜なようです』とかのゴミみたいなタイトルばっかりがズラーーーッと並ぶようになったら、もうこの世の終わりだよ。

 まあ、「うわなんやこのゴミみたいな邦題は! けしからん! レンタルして見るか!」とかいう、私みたいな頭のおかしい逆張り野郎がいるせいで販売会社が味をしめるので、文句言えないんですけどね。実際『水平線』とかいう直訳タイトルだったら絶対見てないし。

 それでは、映画本編の良かった点、悪かった点を見て行きましょう。まずは良かった点から。

 今作の良い点は、とにかく次々と危機的状況が発生するため、スリラー映画として飽きずに見られる、ということです。

 この映画の内容はタイトルの通り、「元カレと小型飛行機に乗ったらパイロットが死んじゃったので、素人2人でなんとかする」という話なのですが、この「なんとかする」の部分には想像以上に色々な出来事が起こります

 パイロットが急な発作に倒れたのち、2人でコクピットに座って操縦桿を握るまでは良しとして、運悪くGPSも自動操縦機能もぶっ壊れてしまったため、2人はあてもなく飛び続けることに。その後なんとか地上と無線が繋がりますがそれも途切れてしまい、右も左も分からない中、陸地を求めて海上を飛び続ける2人。そこに嵐がやってきたりだとか、燃料漏れが発生したりなど、2人の航路には次から次へと問題が発生し、2人はその対応に追われることとなります。

 こんな具合で、ただただ海上をあてもなく飛び続けるだけでなく、今作は次から次へとピンチのピンチのピンチの連続なため、見ていて飽きないのは大変ありがたいポイント。この手の作品だと、危機に陥るまでは良いとして、その後はキャラクター同士による単なる罵り合いに近い口喧嘩や悲観的な愚痴ばかりを聞かされ、それと言った行動も起こさずイベントもまるで起きないという、激しい中弛みに苛まれることが多いのですが、今作は最初から最後まで危機たっぷり、それに対してキャラたちが奔走する、的な内容となっておりますので、そのような心配とは無縁です。それでいて、前振りの丁寧さや立ち上がりのスピード感も悪くないのでニッコリできます。これはスリラー映画として、とにかく偉いポイント。

 さて、良い点は以上です。続いては悪い点ですが、これには、ピンチの発生の仕方があまりに都合が良すぎるため、だんだん笑えてきてしまう、というのを挙げさせてください。

 先ほど今作は、終始危機的状況が連続するため見ていて飽きないのは素晴らしい、と言ったところで恐縮なのですが、今作のピンチの扱い方はハッキリ言って露骨すぎ、かつあまりにも都合良く次から次へとピンチに陥っていくので、ハラハラするどころかだんだん笑えてきてしまうんですよね。

 開幕パイロットが死亡し、おまけにGPSも自動操縦も使えないので、今自分たちがどこを飛んでいるのか、どこに向かえば良いのかも分からなくなってしまう、というピンチから始まり、その後は目の前に現れた嵐の中を突っ切ることになったり、高度を上げすぎたせいで高度障害(?)を発症、軽失神に陥ったりというピンチを重ねます。

 ぶっちゃけこのあたりまでは、話の都合上「まあこのくらいはしないと映画にならないしな」と全然許容はできましたし、なかなかハラハラして見ていられました。しかしこの後、なぜか無線機もコンパスも壊れてしまったり、タンクが壊れて燃料漏れが発生し出すあたりになると、「次から次へと随分と都合良くピンチになるな──と思い始めます。」

 その後も、ヒロインが飛行中の翼によじ登って落ちそうになったりだとか、島を見つけて海面着陸(失敗)したりだとか、まあ色々とあったんですけど──なによりも極めつけの「小島に着陸出来て助かった、と思ったら、それが満潮で完全に海に沈む」というピンチに至っては、もうハラハラ以前に笑っちゃったよね。しかも、足元にはサメが泳いでいる、というおまけ付き。流石にここまでツイてないことある?

 とまあこんな具合で、今作のピンチの陥り方はあまりにも露骨、かつ割と雑なので、後半あたりからは「いくらなんでもピンチになりすぎでは?」とちょっと引いちゃいます。しかも、これだけピンチのピンチのピンチの連続を畳み掛けてきた割には、最終的に「機内で通信を送ってた相手が船で迎えにきてくれて助かる」という、なんの捻りもないアッサリした終わり方だった、というのも肩透かしを食らいました。

 まあしかし、全体的に飽きずに見られたのは事実ですし、何よりも「何もイベントが起きずに一生罵り合いと愚痴こぼし大会やってるだけのゴミみたいな自称スリラー映画(笑)よりは数億倍もマシ」だったことは間違いないため、個人的にはなかなかおすすめの映画です。難しいこともなく気楽に見られる作品なので、お暇な時のお供にいかがでしょうか。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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