C+かB-かでかなり悩んだけれど、個人的好みでB-にしました。
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 フランス、カナダ、アメリカ
- 製作 2017
- 販売 アメイジングD.C.
あらすじ
表示された数だけ人を殺すか、さもなくば、自分が死ぬか。死のゲームがスタート!
(Amazon商品ページより引用)
酒とドラッグとセックスにまみれたパーティーを楽しむ若者たち。退屈しのぎに部屋の片隅に埋もれていたレトロな見た事も無いボードゲームを始める。
ボードゲームに表示された24という数字。ルールは簡単、制限時間内に表示された数だけ人を殺せばクリア、殺せなければ死ぬのはプレイヤー。
カウンターが0になるか、プレイヤーが全員死ぬまで終わらない死のゲーム。最初は信じていなかった若者たちだが、突如、仲間の頭が吹き飛び、現実のゲームであることを
思い知る。無差別な殺人に追い立てられる彼らだが、それぞれ生き残りを賭けた決意と覚悟を決め、走り始める。果たして、ゲームクリア出来るのか・・・それとも。
予告編
ストーリー | C |
キャラクター | C |
スプラッターの質 | B |
設定 | D |
総合 | B- |
良い点
- グロ描写の質が良い
- 70分程度と短くまとまっているため見やすい
悪い点
- 内容自体はスカスカなため、ストーリー的な見どころには欠ける
ゲームを題材としたスプラッター映画です。「24人殺さないと終わらない死のゲーム!」という題材の割には鬱々とした空気感の作品で、犠牲者も無実の人が大半となかなか救いようのない話。そのため、「なんかアホな奴らがボンボコ死んでくノリの軽いスプラッターが見たい!」という人が見ると逆流性食道炎を起こしかねませんので、そこは注意してください。
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パッケージには、「ハイテンション・スプラッター・ホラー」とか書いてありますが、殺人描写はかなり淡々としており、殺しを強要されている登場人物たちの精神状態も常にお通夜状態なので、どっちかというと「ローテンション・スプラッター・ホラー」なのではないか。
まあ、グロ描写自体は結構しっかりしているので、「とにかく何でもいいから血が見られればテンションが上がる」という殺人狂みたいな人にとってはハイテンション(になれる)スプラッターホラー、と呼べなくもないかもしれません。
それでは、今作の良い点から見ていきましょう。それは、70分程度という短さにまとまっているためサクッと見やすいことと、スプラッターの要であるグロ描写の質がなかなか良いことです。
まずはストーリーについて解説。あらすじにもある通り、今作は乱痴気パーティーを楽しんでいた若者たちが、死のゲームに巻き込まれる、というお話。簡単に言うと、パッケージにあるような見た目のボードゲームに触れると、「24」という数字が表示され、それと同じだけの人数を殺さないとプレイヤーが死ぬことになる、というシンプル極まりないゲームをさせられます。
殺さないといけない人数が24人なのに対し、プレイヤーは全部で7人くらいしかいないので、必然無関係の人を巻き込んで殺すことになります。そのためプレイヤーたちは、早々に家を出てターゲットの選定に入ることに。しかし直後には、「無関係な人を殺したくない派」と「生き残るためなら殺しもOK派」に分かれることになります。
殺しもOK派の2人は、通りすがりの人を容赦なく殺し、その後「もうじき死ぬ人なら殺してもええやろ」という考えで緩和ケアセンターに乗り込み、無差別殺人を決行。一方殺したくない派の2人は、彼らの虐殺を止めるために同じくセンターに乗り込み、対峙することになります。まあその後なんだかんだあってプレイヤー1人だけが生き残り、ちょうど殺した人数の合計が24人になったのでゲームは終了。ただし、大量殺戮が警察に見逃されるわけはなく、生き残った1人はそのまま逮捕。そして元凶となったゲーム盤は証拠品として警察に押収されますが、時が経ってまたそれをプレイしようとする人が現れる……という終わり方。
とまあ、こうしてまとめてみると話自体は結構ありがちでベタ感はあるものの、今作はこの内容を70分程度という短い時間でまとめてくれているので、サクッと見やすいことが特徴。導入の若者パーティー描写は多少滑ってる感がありカッタルい部分もありますが、およそ10分も我慢すれば本題へと突入するスピーディーさを持ち合わせているため大変ありがたかったです。
また、その導入以降1時間以内に24人も殺さないといけないので、必然ダラダラしたシーンは少なめになり、人が死ぬ描写もちょいちょい挟まってきて飽きさせません。
ただ、本編内容がサクッとまとまっていたとしても、肝心のスプラッターの出来が粗雑なら見ていられないのですが、今作はそのグロ描写関連のクオリティがしっかりしているのが本当に偉い点。一言で言うと、「ちゃんとグロい」。これに尽きます。
今作のゲーム設計は、「ある程度の時間犠牲者が出なかった場合、無作為にプレイヤーが1人ずつ、頭が爆発して死んでいく」というものになっています。この、「頭がパーン死」自体はあらゆるデスゲーム映画、スプラッター映画でもはや定番となっていますが、今作のそれは頭爆発とは名ばかりの安易なクソ安っぽいクオリティにはとどまっていません。
まず対象者は、まるで水膨れのように顔全体がドンドンと膨れあがり、やがて頭部が歪な形となった後に爆発を起こし、血だらけの肉片を辺りに振り撒きます。しかも、その爆発後の頭部がぐちゃぐちゃになった死体もしっかり転がしてあるなど、かなりこだわりを持って丁寧に作られていることが見て取れました。まさに、「てきとーにCGで血飛沫飛ばして、爆発っぽく見せて誤魔化すか」という手抜き映画とは対極のクオリティにあります。
この、数回入る頭がパーン描写が1番印象に残ったのは間違いないですが、今作はその他の死なせ方もかなり頑張っています。登場人物たちは早々に銃を手に入れるので、「これ以降は銃殺がメインか」と思いきや、車で跳ね飛ばして上半身と下半身を引き千切る殺し方を披露したのを皮切りに、刺殺、撲殺、首絞めなどなど、バリエーションがなかなか豊富なのは良かったと思いました。
それでは、良い点は以上です。続いては悪い点ですが、これにはなにより、内容のスカスカさが挙げられます。
先ほど、本編が70分程度にまとまっているためサクッと見やすい、という話をしましたが、その代償か、全体的な話自体はかなり薄味の仕上がり。
まずゲーム設計自体が「時間内に誰でもいいから24人殺すだけ」というシンプル極まる内容なため、これ自体には新鮮味もなければ面白みもない、というのが一つ。ストーリーも先に紹介した通り、スピーディーではあるものの、オチまで含めてかなりベタでありがちな内容なので、これといって特質する部分もなかった、というのも一つ。
またグロ描写自体は良いものの、やはり頭がパーンする場面が1番「おっ!」となる部分なので、普通の殺し方が大半を占める後半パートは見所に欠け、正直失速している感が否めません。先に述べたように、殺し方に色々なバリエーションを用意したり、虐殺シーンをアニメーションを使って描くなど小粋な演出もあったりはするものの、やはり単純に見栄えの良い頭パーンに比べると、その他の死亡シーンはどうしても見劣りしてしまいます。
その他、無駄に長いキスシーンが挟まってウザかったりだとか、謎のマナティ推し(エンディング後に特典映像まで挿入される謎の推されっぷり)が不可解だったりだとか、ちょいちょい引っかかる部分もあり。
総じて、短くまとまっていてテンポも良いため見やすく、肝心のスプラッター描写のクオリティもなかなか高いなどしっかりとした評価点はあるものの、シナリオの薄さをはじめ、全体的に細かい不満点がちょこちょこと浮かんでくる感じの映画でした。とはいえ、細かいことを考えずにサクッと見られて、映像的な出来も良い、となかなかおススメできる作品でしたので、気になられた方は是非どうぞ!
今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!よければ、気軽にコメントしていってね