「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ジュラシックS.W.A.T. 対恐竜特殊部隊 のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)
恐竜の出来は良いけど、その対価として脚本力を置いて来た残念映画のレビュー、始めます。

SWAT(大嘘)

対恐竜特殊部隊(大嘘)

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 アメリカ
  • 製作 2021
  • 販売 アルバトロス

あらすじ

巨大バイオ企業の極秘実験。遺伝子操作により太古の恐竜を復活させ、究極の生物兵器を生み出す悪魔の計画。だが、輸送中に2頭のアロサウルスが脱走してしまう。出動した精鋭5人の《対恐竜特殊部隊》に下された指令は、恐竜を生け捕りにすること。だがそれは、恐竜の兵器としての“性能”を証明するための、実戦テストだったのだ。実験台にされた兵士たちは、高い知能と戦闘力を持つ凶暴な相手に、決死の戦いを挑むが……。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
恐竜の質
設定
総合 C-

良い点

  • 恐竜のCGはよく出来てる
  • 序盤〜中盤手前までの流れは期待感が持てて良い

悪い点

  • 襲撃、戦闘シーンが非常にワンパターンで全く盛り上がらない
  • ガバガバすぎるストーリー&設定

 率直に言うと、恐竜のCGクオリティはなかなか高いものの、それと引き換えに脚本力を持って行かれた残念な作品です。序盤はなかなか楽しいのですが、中盤以降はまるで盛り上がらず、低空飛行のまま終わり、という何とも言えない作品でした。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 恐竜のCGは良かった。なお、内容。

 さて今作ですが、アロサウルスというちょっと珍しい恐竜を主役に据えた映画です。でも今作のアロサウルス、どう見ても「ちょっとデカいラプトル」くらいの体長しかない(体高は人間と同等、全長も精々3メートルくらい)んですが、アロサウルスってもっとでかい恐竜じゃなかったっけ? Wikipedia先生曰く、8メートルくらいはあったらしいんですが……。

 まあそれはそれとして、早速今作の評価を見ていきましょう。まずは良い点から。

 今作の良い点は、序盤の期待感はそこそこ良いこと、そして恐竜のCGの質が高いことです。

 まず今作は、遺伝子操作により生み出されたアロサウルス2頭を護送中の輸送車が事故り、恐竜が工業地帯に解き放たれる、というシーンでスタート。その事態の収拾に当たるため、6名から成る特殊部隊が招集され、捕獲任務をスタートさせることになります。

 ここで一つ評価できるのは、この「恐竜脱走というトラブル発生→特殊部隊招集→作戦開始」という一連の流れを、無駄なくポンポンと進めてくれるところ。大体、開始から30分もする頃には、もう部隊員たちはアロサウルスを探して建物内を探索し始めています。この立ち上がりの速さのおかげで、開幕の掴みはなかなか良かったです。

 これに咥えて、登場する2頭のアロサウルスのCGクオリティが高めなのもテンションを上げて来てくれる嬉しいポイント。とにかくクオリティがガバいことが多いB級恐竜映画としては、動きの滑らかさや質感など、概ねの要素が期待感を上回って来てくれました。
 
 というわけで、良い点は以上です。続いて悪い点ですが、これには襲撃や逃走シーンが単調過ぎて全然盛り上がらないことと、ストーリー、および設定がガバガバ過ぎることが挙げられます。

 先ほど、恐竜のCGの質はなかなか良い、と申し上げたのですが、その反面で恐竜の使い方、動かし方についてはかなりド下手と言わざるを得ません。今作に登場するのは2頭のアロサウルスのみとなっているのですが、特殊部隊とこいつらが接敵し戦闘になったとしても、申し訳程度にちょろっと戦った後、すぐに人間側が逃げ出すか、はたまた恐竜が逃げ出すか、このどちらかのパターンばかりなので、毎戦闘毎戦闘、とにかく絶妙に盛り上がりません。

 おそらくなんですけど、「登場する恐竜は2体だけなので、話の尺的に特殊部隊員が速攻で捕獲、ないし処理してしまう事態は避けたい」けれど「現場に出ている部隊員は5名しかいないため、恐竜がガンガン人を襲って殺して行かれても困る」なのに「恐竜と特殊部隊との戦闘はそれなりの頻度で描きたい」というあれこれの思惑が重なった結果、「接敵してもすぐどっちかが逃げる」という、1番最悪なパターンが超多用されてしまっているのです。

 しかも今作のアロサウルス2頭は、遺伝子操作により皮膚がカッチカチに硬質化しており、至近距離での一斉射撃や狙撃を受けても傷一つ付かないという化け物じみた性能をしているため、100歩譲って人間側が恐れ慄いて逃げ出すのは分かるとしても、有効打を持たない人間に対して、後一歩進めば噛みつける距離にまで近づいた超装甲アロサウルス側が逃げ出すのは不自然極まりない

 まあ製作陣も、流石にこれは不自然だと考えたのか、作中では「アロサウルスは遺伝子操作により人間以上に賢くなっており、夜行性の自分たちに有利な状況が訪れる(=夜になる)までは慎重な行動をしている」というような、まあ取ってつけたような安っぽい説明がなされます。ですが、それなら毎度毎度人間の前にホイホイ出て来ては、襲うフリだけして逃げて行く、という無駄にリスクしかない行動を繰り返すのは完全に意味不明。というかそもそも、夜行性だか何だか知らないですが、今この瞬間、目の前に無力にも等しい人間がいるのに、それを襲わずに見逃すor自分が逃げる、というのは、機を見ているとか慎重になっているとか、そう言う次元の話じゃなくない? 単なる舐めプだろ。

 いやさぁ、アロサウルスに「人語を理解しており、こちらの会話を盗み聞いて行動している」「作戦立案能力が高く、人間の裏をかくのが上手い」などの、「こいつら人間よりも賢いんですよ!」という特徴を持たせるのは別にいいんですけど、そう説明されている割にいざ作中での行動が「無意味な上にリスクしかない顔出し→即逃走の繰り返し」「一歩踏み出して噛み付けばノーリスクで殺せる相手を『今は時期が悪い』という謎の理由で見逃し続ける」「最終的に、幼稚園児も引っかからないレベルの見え見えの罠を踏んで爆殺される」というような、どう考えてもIQ3くらいしかない謎行動の繰り返しなので、頭いい設定とアホ行動がまるで噛み合っておらず全く説得力がない

 こんな感じで、今作は一見それっぽい説明や理由を放り込んではくるものの、その理屈に穴がありすぎてガバガバさが際立っている、という事態がかなり頻出します。恐竜に関する頭いい設定と展開との矛盾もそうですし、恐竜が自分たちの卵を守る気があるんだかないんだかよく分からん行動をしてくることや、せいぜい一個小隊程度の戦闘力も持たない程度の雑魚恐竜を、兵器として運用するために数億ドル出して買いたいと宣う国が続々出てくる、という見積もりが甘過ぎる展開などなど、それはもう挙げ出せばジャンジャカ出てくる。

 中でも1番酷かったのが、「主人公たち特殊部隊を攻撃するよう命令されて発射されたドローン軍団だったが、『恐竜が2頭とも死んだ場合は、機密保持のために雇い主を始末しに行くようプログラムされていた』ために即座に引き返し、そのまま黒幕を爆殺しに戻る」というまるで意味の分からん展開が唐突にブッ込まれ、そのまま映画が終わったことですかね。いや、流石に意味分からなさすぎて吹き出したわ。一体どこの世界に「作戦失敗したら俺のこと殺しに来てね♡」って設定してドローン送り出すアホがいるんだよ

 と言うわけで総評ですが、恐竜のCGクオリティはなかなか良さげ、かつ開幕も素早い展開が繰り出され、なかなか期待感を持たせてくる作りになっていたことは良かったです。反面、それ以降の展開は舐めプワンパターン展開の連発な上に、脚本に穴がありすぎて話が全然入って来ず、戦闘、逃走シーンの質が低すぎて盛り上がり皆無という、かなり残念な作品でした。せめて脚本が並程度の出来なら、それなりにお勧めできる作品になったかもしれないだけに残念です。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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