「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

シーワールドZ のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)
パッケージだけはマジでセンスがある、水族館を舞台としたゾンビ映画、はじめるわ。

 パッケージ絵を作る人のセンスだけはすごいと思う。なお、内容。

 それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 アメリカ
  • 製作 2021
  • 販売 アルバトロス

あらすじ

シャイニング・シー水族館では、生物たちの検査を行っていた。獣医師のカレンは、瀕死状態のタコに薬物を注入する。しかし、その薬品は動物がゾンビ化するおぞましい事件が起こっているエデン動物園から調達したものだった。タコは一瞬にして蘇るが、突如凶暴化し飼育員たちを襲った後、ダクトの中に逃げ込む。一方、館長のミランダは、議員たちに資金調達の相談をしている最中、頭上のダクトから聞こえる激しい物音に気付くが―。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
ゾンビの質
設定
総合 D+

良い点

  • 立ち上がりが早く、開幕の期待感は良さげ

悪い点

  • ストーリーがワンパターン展開の連続で飽きる
  • 戦闘、接敵描写があっさりし過ぎていて全く盛り上がらない

 知ってる人は知っている、あのゾンビ動物園映画「ズーンビ」の続編?スピンオフ?作品です。今回の舞台は水族館ということで、パッケージにも映っているあんな生物やこんな生物が、ゾンビになったりならなかったりします。
ゾンビ生物と言いつつも、外見上も物語上も別にゾンビ感はほとんどないため全く盛り上がらないという、典型的な「企画は◎、内容×」な作品。スルーでいいんじゃないかな。

 
ここから下のレビューには、ネタバレを含む場合があります。未視聴の方はご注意ください!
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 ズーンビと言い、マジでパッケージだけは面白そうなのがタチの悪い作品。

 参考→ ズーンビのレビューはこちら

 さて今作ですが、水族館を舞台にゾンビウイルスが蔓延し、感染したゾンビ生物たちが襲って来る! という内容の作品です。

 それでは、まず良い点からいきましょう。今作の良い点は、開幕の期待感が高いことです。

 今作はまず、開館前の水族館内でゾンビ化する薬剤を注射されたタコが逃げ出し、館内がロックダウンされる、というところで幕を開けます。そのタコはダクトに入り込みつつ、ゾンビウイルスまみれの粘液をあちこちにばら撒き、水槽内の生物を次々とゾンビ化させていくことに。そして、一部の生物たちは水槽を突き破って館内に流れ出し、閉じ込められた職員がそこからの脱出をはかる、という導入です。

 今作の特長は、ここまでのいわゆる導入パートの流れを、かなりの展開力でスピーディーに畳み掛けてきてくれるところでしょう。ダラダラした流れや余分な会話パートなどはほとんどなく、「この映画見てるってことは、取り敢えずゾンビ生物見たいんでしょ」と言わんばかりにポンポンポンと話を進め、本筋のパニックシーンまでとっとと話を進めてくれるのは評価点

 また内容的にも、館内の水槽が次々に割れてそこら中が水浸しになり、そしてその溢れ出した水の中にはゾンビ化した生物が──という、かなり期待感溢れる内容となっており、そのため開幕から30分くらいまでは、かなり楽しく見ていられました。

 というわけで、良い点はここまで。続いて悪い点ですが、これらストーリーのワンパターンさと、ゾンビ生物の扱いが悉くあっさりとし過ぎていて、話が全く盛り上がらないところが挙げられます。

 まずはストーリーについて。良い点でも褒めた通り、今作は確かに立ち上がりは素晴らしいの一言です。しかし、そこから先の展開についてはかなりマンネリ気味で、ハッキリ言って右肩下がりの一方

 今作は中盤から終盤にかけて、館内に閉じ込められた職員一同が「どこから脱出しよう」「どこに行こう」「どうしようどうしよう」とあーだこーだあたふたするだけのシーンがかなり多い。かつ、何らかの行動を起こしたかと思えば、チョロっとあっちに行ってみてはダメで引き返し、ほんのりこっちに行ってみてはダメでまた引き返し──というようなワンパターン気味な展開の連続で構成されており、話的にも絵面的にもぶっちゃけまるで盛り上がりません

 結局、最終盤に「地下に電力を復旧させに行って、扉の電子ロックを外して脱出しよう」という方針が定まるまでは、マジで館内をうろついたり立てこもってお話ししたりしているだけなので、話が進んでいる感が全くないのも退屈に感じる原因。

 かつ、(予算の都合でしょうが)開館前が舞台ということで、水族館という広い舞台の割には、登場するキャラクターも10名にも満たない程度とかなりこじんまりとしており、捕食シーンが相当少ないこともこの盛り上がりの阻害に拍車をかけています。

 ただし、館内を当てもなくうろついている間に、カニやワニ、タコやヒトデなどのゾンビ化した様々な海洋生物と接敵する事になるので、ここの戦闘や襲撃シーンが面白ければ文句はない──と言いたいところなんですが、大変残念なことに今作はここの出来もクッソ微妙。何が良くないって、大きく原因は二つ。

 まず一つ目の問題は、登場するほとんどのゾンビ生物たちの登場シーンが各々ほぼ一瞬のみであり、まともな戦闘や襲撃がまるで発生しないことです。覚えている限り、今作にはタコ、ヒトデ、ワニ、セイウチ、イルカ、カニ、サメなどの生物が登場するものの、そのうちまともに出番があったのはタコ、次点でカニくらいなもので、その他の生物たちは出番自体がほんの一瞬しかないか、ないし話の賑やかしにちょいちょいと出てきては、その度にたいした見せ場もなく退場、という扱いが大半を占めます。

 また、(これまた予算の都合でしょうが)浸水した水族館を舞台としているくせに水中のシーンが皆無なので、出て来る生物が陸上でも動けるような奴らに偏っている、というのも残念な部分。タコはともかくとして、ワニだのセイウチだのカニだのヒトデだの、ぶっちゃけ劣化動物園と言わざるを得ないようなラインナップなのは大変残念でした。サメは水のない通路上で横になってるだけだし。

 そして二つ目の問題が、そもそも話の内容的にゾンビである必要がまるでないこと。これは「ズーンビ」という映画のレビューでも似たようなことを言ったのですが、今作に登場するゾンビ生物たちは、身体にゾンビらしい欠損などが全く見られない上、ゾンビ化した生物が他の健常な生物を襲い仲間にする、というようなゾンビ映画的描写も皆無、かつこいつらに襲われた人間キャラがゾンビ化することもないという、「いやこれゾンビじゃなくて単に凶暴化した動物やん」という出来になってしまっています。これがとにかく残念なポイント。

 改めて言いますがゾンビ映画って、「家族、友人、仲間、ペットなど、普段は友好な関係を築いている者が、理性を失って襲ってくる恐怖」や「噛まれただけで自分も感染してしまう緊迫感」などが大きな見所になると自分は思っているので、これらの描写が皆無に等しい今作は、いわゆるゾンビ映画的な面白さが全くありません。これが、噛まれた人間もゾンビ化するような内容だったり、最低でもゾンビ生物たちが他の生物に食らいつき、次々と感染が広がっていく様子などが描写されていれば印象も大きく変わって来ただろう、と思うだけに残念でなりませんでした。

 総評ですが、立ち上がりの期待感はなかなか良いため、最初は楽しく見ていられるんですけれど、ワンパターンでお粗末な展開の連続でだんだんと見飽きてくる上に、ゾンビ生物たちの出来もゾンビ感がまるでないという残念さで、ハッキリ言って中盤以降はずっと右肩下がりでそのままゴール、という感じの作品でした。

 いやほんと、「ゾンビ×動物」というテーマを扱っておきながら、なんで人間と動物のゾンビが入り混じって襲いかかる、バイオハザードアウトブレイクfile2の「咆哮」ステージみたいな内容にしないのか。そもそもカプコンは、アウトブレイクシリーズのリメイク、リマスター、続編などはいつになったら発売するつもりなのか……謎は深まるばかりです。

今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。
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