「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ザ・キャビン 監禁デスゲーム のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)
デスゲーム系映画と思いきや、見所に乏しいベッタベタのサスペンス映画だった作品のレビュー、始めます。

 タイトルはまあギリギリともかく、パッケージの詐欺っぷりがひどい。

 それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 イタリア
  • 製作 2020
  • 販売 トランスフォーマー

あらすじ

久しぶりの友人との再会に喜ぶフェデリコ、ロベルト、ジュリオ、ミケーレ。彼らは7年前に事故死した友人アレッサンドロの母が開いた展覧会に招待されていた。しかし、翌日彼らが目を覚ましたのは雪に覆われたロッジ。水も食料も、防寒着すらなく外に出ることができなかった。さらに室内の壁には「真実を」と書かれた文字とアレッサンドロがいつもつけていたペンダント、そして彼ら宛てのメモが置いてあった。 「アレッサンドロは殺された。死にたくなければ真実を話せ。明日までに白状しないと、全員を殺す。」 謎のメモと突然の出来事に困惑する4人。ただ時間が過ぎていく中、椅子に隠されていた拳銃を発見すると、互いの疑いと不満、そして緊張はピークを迎える。誰が彼らを閉じ込めたのか、誰がアレッサンドロを殺したのか。そして、彼らは無事生きて帰ることはできるのか…! ?

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
設定
総合 D+

良い点

  • ストーリー自体は割とまとまってるので、サスペンス映画としての出来はまあまあ

悪い点

  • テンポ悪めで退屈気味に感じる
  • 内容がありがちで緊迫感がない
  • 冬の山小屋というシチュエーションをまるで活かせていない

 まず、パッケージと邦題は完全に詐欺なので注意してください。明らかにパッケージがSAWを意識している&邦題に監禁デスゲームと付いているので、「SAW的なやつかな?」と期待するととんでもない痛手を見ます。
 内容的には単なるサスペンス映画なのですが、そのサスペンス的な出来栄えもお世辞にも良いとは言えないのが厳しいところ。決して悪くはないのですが、良くも悪くも並みの2時間サスペンスドラマ程度のクオリティだと思った方が良いかもです。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 さて今作ですが、2時間サスペンスドラマ寄りの見どころが薄い内容の作品に対し、明らかに釣る気満々の邦題とパッケージを貼り付けた詐欺映画です。いつもの。

 とりあえず良い点悪い点の前に、内容における注意点から。すでに申し上げた通りですが、今作は明確に誤解を招かせるようなタイトル&パッケージでお届けされていますが、内容的にはサスペンス映画です。

 具体的に言うと、男4人が雪山の山小屋に軟禁され、「7年前に死んだ共通の友人について、この中の誰かが事故死に見せかけて殺したはずや。犯人名乗り出ろ」という旨のメモが置かれており、それについて4人があーでもないこーでもないと口論する、という物語。なお、軟禁主は書き置きを残した以外、特に4人の行動に干渉してきたりだとか、自白を促す粋なミニゲームを用意していたりだとかの計らいは存在しないため、一般に連想されるようなデスゲーム的な展開には一切なりません。まずはそれをご了承ください。

 それではそれを踏まえ、良い点悪い点を見ていきましょう。まず今作の良い点ですが、これはサスペンス映画としての出来栄えはまずまず、と言うことです。

 先にご説明した通り、今作は山小屋に軟禁された4人が過去に起きた事件についてあーだこーだと口論しながら、一体誰が犯人なのかを探って行く、という部分が見所になっているサスペンス寄りな映画。そのため内容的には、「現在時間軸での推理&口論」と「過去に起きた事件の回想」を交互に織り交ぜて展開して行く感じになってます。

 まあぶっちゃけ、過去回想の使い方がお世辞にも上手いとは言えず、内容的にもかなり平凡なサスペンスなためそこまで見所もなく、おまけに設定的にもかなりガバが目立ち無理矢理気味な部分もある──と欠点は多いものの、話自体は割とスッキリ纏っていて、小難しく考えずとも話が分かりやすいです。

 舞台が隔絶された山小屋のみ、かつ登場人物も4人だけとシンプル極まる構成も特徴的であるため、あれこれ思考を巡らせる必要がなく大変に見やすいのは利点と言えるでしょうか。

 それでは、続いて悪い点。今作の悪い点は、話のテンポが悪いこと、内容的に平凡すぎて物足りないこと、そして、雪山の山小屋というシチュエーションをまるで活かせていないこと、大きく分けてこの3点です。

 まず今作、現在の出来事と過去の回想が交互に織り交ぜられて話が展開して行く、と言いましたが、ぶっちゃけこの場面の切り替え、もっと言うなら回想の使い方が下手。と言うのも今作、過去に起きた事件の描写を話の合間合間に挟んで来るのですが、これが結構細かくぶつ切りにされて挟まって来るせいで、なかなか現在時間軸の出来事が進まず、単純に話のテンポが悪くなってます

 しかもこの挟み方も、「話の要所要所で必要になった分だけ過去の視点を挟んでくる」「過去と現在がリンクして話が展開していく」というような上手な構成になっておらず、単純に現在のエピソードと過去のエピソードを時系列通りに並べ、それを細かくぶつ切りにして、あまり意味なくお互い交互に並べただけのカプレーゼ方式での提供となるため、これも大変良くない。これのせいで、現在編で作った緊迫感が、過去回想が入るたびにいちいち途切れてしまっています

 また、先程良い点で「舞台が固定、かつ登場人物が4人と少なく、構成がシンプルなので見やすい」と申し上げましたが、それは裏を返せばそのまま「物足りない」にも繋がってくると言うこと。特に今作の場合、話の都合上4人の中には「この軟禁を仕組んだ人」と「友人を殺した犯人」が紛れていることになるのですが、ぶっちゃけ「こいつなんとなく怪しいなあ」と思った人がそのまま順当に犯人、ないし黒幕だったりするので、意外性が全然ないんですよね。

 もちろん、「序盤ではあからさまに怪しいダミー役を立てておいて、実はそいつは白で本当はこっちが……」というような工夫自体はされているんですけど、まあダミー役を立てる事や、最初に疑われる奴が本当は無実、というのはこの手のサスペンス物ではもはや定番中の定番過ぎるため、特段何の驚きもないです。それこそ、2時間もののサスペンスドラマなんかを数回見たことがある人であれば、「せやろな」となる展開しかない。これも、今作の退屈さを加速させている原因ですね。

 咥えて、舞台を隔絶された山小屋に設定したおかげで、余計な登場人物なんかを出さずに済んではいるものの、特徴的でもあるその舞台設定に、それ以上の意味を持たせられていないのもガッカリポイント。

 折角、この山小屋は7年前に友人が死んだ事件現場(付近)である、という設定があるのにも関わらず、山小屋付近にある痕跡とか証拠とかを使って犯人を推理する、というパートはほぼ皆無。そのため、「外界から遮断されている」という以外、そもそもこの舞台設定である必要がない、というのは流石にいかがなものかと思います。

 と言うわけで総評ですが、まあ見やすいは見やすい上に、話自体も別に面白くない事はないんですけど、構成の問題でテンポが悪い事だとか、舞台設定を活かせていない事だとか、何よりもサスペンスとしてあまりにもベタすぎるために意外性や見どころに乏しい事などが相まって、記憶に全く残らなさそうな映画でした。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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