「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ホワッツ・イン・ザ・シェッド のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)
中盤くらいまではいい感じなんだけど、終盤でやらかすモンスター?映画のレビュー、始めるわ。

なんだこのクソダサい邦題は……(原題:The Shed)

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 アメリカ
  • 製作 2019

あらすじ

くだらない奴らがのさばる、くだらない町の、くだらない毎日―。
今日も退屈な高校へ向かおうと目を覚ましたスタンは、裏庭の納屋から聞こえる怪しい声に気づく。そこに潜む“何か””を追い出そうとした、番犬、祖父、保安官が次々と八つ裂きにされ、途方に暮れていたスタンに、いじめられっ子ドマーがこう言い放つ。「お前、すごい武器を手に入れたじゃないか。これで学校の嫌な奴らに仕返しができる。」
しかし、彼らは納屋の中の怪物の本当の恐ろしさを分かっていなかった…。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
モンスターの質
設定
総合 C-

良い点

  • 中盤終わり頃の、納屋を前にしたキャラクター同士のやり取りは結構面白い

悪い点

  • ところどころ展開、設定が雑
  • 終盤の展開が萎える

「小屋の中に何かいる!」というテーマで作成された、モンスター映画……でいいのか? な作品です。作りが荒い部分は散見されるものの、小屋の中にいる”何か”を使っていじめっ子に復讐しようとする流れは結構迫真で面白かったです。しかし、後半になるとそれまでの流れガン無視でよくあるモンスター退治な展開が始まるので、そこの部分はつまらなかった。
なお、小屋にいる”何か”の正体は開幕数分で判明するため、その辺に期待しすぎると肩透かしを喰らうので注意。

 
ここから下のレビューには、ネタバレを含む場合があります。未視聴の方はご注意ください!
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邦題がダサい(確信)

さて今作ですが、主人公が「実家の小屋に得体の知れない何かが潜んでいて飼い犬とじいちゃん殺された」と友人に相談してみたところ、「マジかよ、いじめっ子その小屋に誘い込んでぶち殺そうぜ!」という斜め上の回答が返ってきてドン引きする、というお話です。流石に発想が斜め上すぎる。

 では早速、良い点から見ていきましょう。今作の良い点は、小屋のモンスターの処遇をめぐっての主人公と友人の対応、やり取りなどは、見ていてなかなか面白いということです。

 あらすじを見ての通り、今作は小屋の中にモンスターがいる、というところから話が展開していくタイプの映画。なのですが、このモンスターをなんとかしよう、退治しよう、というよくある方向へは進んで行かず、こいつの存在を隠蔽、ないし利用しようとするのが特徴

 というのも、主人公の祖父がこいつに早々に食われるのですが、主人公は保護観察処分を受けているため、彼の保護者である祖父が死去したことが保安官にバレるとムショ行き確定、という事情が。そのため、主人公はムショに行きたくないがために、「祖父の死、およびその原因であるモンスターの存在を隠蔽せざるを得ない」という構図があるわけです。まあ、そんなことしても祖父の死なんていつまでも隠し通せるわけねぇだろ秒でバレるわ、という当然のツッコミはすぐに思いつきますが、そこはご愛嬌。

 ともかく、そんなこんなで主人公は保安官の目を誤魔化しつつその場凌ぎの対応をのらりくらりとやっていたのですが、ついに友人にバレて事情を白状。しかし、一緒に対処法を考えてくれるだろう、と思った友人の口から飛び出たのは、「よっしゃ、こいつ使っていじめっ子殺すか!」という予想外の言葉でした。そうして主人公は、自らの保身のために怪物の存在を隠蔽しようとしたツケを、友人の暴走により支払うこととなる──というのが、前半〜中盤終わりくらいまでの展開です。

 そしてここの部分については、まあかなりゆっくりめの進行、かつツッコミどころは多々あるものの、話の方向性としてはなかなか面白い切り口だと思いました。

 特に、いざいじめっ子を小屋の前に連れ出し、何がなんでもこいつを殺そうとする友人と、それをやんわり止めようとする主人公、そして許しを請ういじめっ子、という三つ巴の構図から繰り出される会話劇は、それまでのぬるめの進行を切り捨てるかのような緊張感が漂い、かつ切羽詰まった迫力があって引き込まれました個人的に、今作で1番見所に感じたのはここの部分でした。ここがピークだった。

 というわけで、良い点以上。次は悪い点ですが、これは何度か申しているように、設定や展開に雑、ないし甘い部分が散見されることと、終盤の展開です。

 まずは設定、展開の雑さについて。今作、内容的にはモンスターをメインに見せていくというよりは、小屋にいるモンスターの処遇をめぐる人間関係描写こそが話のメインとなっているわけですが、その割にはどうにも雑な設定や展開が散見され、今一つ話にのめり込めないのはマイナスポイント。

 1番ひでぇと思ったのが、「モンスターは吸血鬼なので日光が弱点=日中は小屋から出られない」という設定があるのですが、終盤で主人公が気絶している間に、なぜか白昼堂々と小屋から脱出したらしい、ということが明かされるシーン。もちろん、納得のいくそれらしい理由は皆無。

 しかも、その際に小屋の前で寝てる主人公には一切手を出さず、夜になってから再度わざわざ襲いに来る、という謎の律儀っぷり。いやいや、この展開がアリなのだとしたら、そもそもこの映画のストーリーが成り立たないじゃん、と流石に思ったわよ。正直言って、「この後モンスターが襲いに来ることにしたいから、とりあえず逃がしておこう」というノリにしか感じられなかったです。

 その他、日光が弱点であることに気がついた割には、主人公は小屋を壊すでも燃やすでもなくモンスター放置したままにしてる事とか、「悪夢を見る→なんだ、夢か……」な展開が短期間に4回ほど連続するなど、演出がクッソクドい部分があって萎えるだとか、とにかく今作の展開、設定は雑な部分が散見されます。

 また、その辺には諸々目を瞑り、今作最高に盛り上がった主人公、友人、いじめっ子による三角口論のシーンを楽しめたとしても、そのあと今作が行き着くのは、実によくある何のひねりもないモンスター退治展開であること、これも非常に残念な点。

 もう少し具体的に言うと、少なくとも前半は、モンスターよりもキャラクターたちに焦点を当てる事により、ちょっとだけ個性的な切り口を見せてくれていたと思うのですが、その辺一通り終わった後は、「夜に襲ってくる吸血鬼の襲来に備えて、武器を集めて家を補強しよう」という大変安易でありがちな方向に話が進みます。そうして最終的には、家に侵入してきた吸血鬼と屋根裏で対決、これをなんとか退治する、というなんの面白みもないよくある陳腐な展開へ行き着き、そのままエンド、となるのです。

 いやー、正直これは萎えました。どう考えても、「このモンスター使っていじめっ子どもやっちまおうぜ」という話になった時点で、後半はその内容をさらに広げ、「モンスターを利用して何かをしようとする(が、それが大変な事態へ繋がっていく)」という展開メインで話を組み立てていった方が、前半との繋がりも出て盛り上がったと思うのですが──なんで終盤はそれまでの流れガン無視して「やっぱこのモンスター退治しよ」という超絶安易な方向に話を持っていってしまったのか、と不思議でなりません。

 かつ、それを終盤の展開に持って来るのなら、モンスターの正体や弱点を開幕数分で明かしてしまったのも、モンスターと対決する際の「どうすればこいつを倒せるのか」を模索するという楽しみ、ひいては勝負の盛り上がりを大きく阻害しているだけと言わざるを得ません。総じて、前半と後半との噛み合わせが悪いと言うか、「結局何がしたいんこの映画」となっちゃってるようには感じました。

 と言うわけで総評ですが、中盤くらいまではそれなりに個性的な切り口もあり、かつモンスターの潜む小屋を目前にキャラクターたちがそれぞれの立場で言い争う場面など、なかなか見応えがあって楽しめる部分もちゃんとありました。反面、設定や展開がかなり雑な部分も散見される上に、終盤は完全にその辺に転がっていそうなありがちで陳腐なモンスター映画に成り下がっていることはどうしても気になってしまいます。

 話の進行も結構ゆっくりめ、かつ主人公の行動がかなりどっちつかずで、決断を先延ばしにしているだけの優柔不断さが気になるなど、人を選ぶ要素もそれなりにあるため、個人的にはあんまりお勧めできない作品です。

今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。
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