

クロアチアとセルビアとか、世界史の授業以来聞いた覚えない(忘却の彼方)
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 クロアチア、セルビア
- 製作 2019
- 販売 プルーク
あらすじ
突如発生したゾンビパンデミック!首都を襲った原因不明の感染症は人々をアンデッドに変えた。病院に避難したセレブのモティカはそこでゾンビから逃れてきたミステリアスなビジネスウーマン・ヴェスナ、ドラッグとお酒に溺れる国民的女優のフランカ、そして、スキンヘッドのマクスたちと出会う。彼らはゾンビから逃れるため国境地帯をめざす。だが、マクスが噛まれゾンビと人間のハーフになってしまうなどピンチに遭遇!やがて、4人はゾンビで国家を滅亡させる計画に巻き込まれていく!
(ゲオオンラインより引用)
予告編
ストーリー | C |
キャラクター | B |
ゾンビの質 | C |
設定 | C |
総合 | C+ |
良い点
- ストーリー内容自体は個性的
- 全体的なクオリティ自体は悪くない
悪い点
- (恐らく)並の日本人ではノリについていけない
パッケージからも分かるように、ゆるーいノリのゾンビコメディ映画です。人口250万人程度の小国、クロアチアが舞台という珍しい作品。ストーリーの大筋や根幹、小ネタに至るまで「セルビアとクロアチアという国家、人種」のお話が盛り沢山であり、その辺の知識がないと今作を100%楽しむのは厳しい、というなかなかにクセの強い出来。決して全体的なクオリティは悪くはなく、コメディ寄りなので雑に楽しめるという利点はありますが、ちょっと手放しにおすすめはしにくい作品です。
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バルカン半島ってネーミングカッコいいよね(厨ニ心)
さて今作ですが、旧ヨーロッパの火薬庫ことバルカン半島内の国家、クロアチアを舞台としたゾンビコメディ映画です。
それでは詳しいレビューを……の、その前に注意点から。今作ですが、物語の至る所に「クロアチアとセルビアの関係性」を元にした展開がわんさか出てきます。かつ、物語の根幹、メインストーリーにもこれがガッツリ関係してます。私は、セルビアとクロアチアっていうと「なんでか忘れたけど対立? 不仲? だった気がする」という滅茶苦茶ふわっとした偏差値3くらいの世界史知識しかないので、ぶっちゃけ今作に対しては「話の大筋はなんとなく分かった」程度の理解しか持てませんでした。まずはそのことをご容赦ください。
それでは、特に今作において1番アクが強いであろう部分の、ストーリーから解説します。
今作はクロアチアとセルビアの関係性をネタにした展開が数多く盛り込まれているという、いうなれば「自国ネタ」傾向が強い作品です。先に述べましたが、これが小ネタ程度にとどまればいいんですけど、今作は特に後半において、メインストーリー部分にまでこれがガッツリと関わってくるからちょっと厄介。
とはいえ前半は「クロアチアを舞台にゾンビパニックが起き、主人公が出会った仲間と共に郊外を目指す」というかなりありがちな内容なので、この部分は特に言う事はありません。良くも悪くも、まあよくあるゾンビ映画、って感じです。
しかし後半になって「少数民族であるセルビア人の血が血清になる」という事実が判明してからは、ドンドンと自国ネタ傾向が強くなっていきます。しかもそこに、隣国であるスロベニアのスパイが出てきて、国家絡みの陰謀論的なものが見え隠れしてくるので、この辺からはだんだん「大筋はなんとなく分かるけど、細かい部分がよく分からん」という状態に。
そして終盤、セルビア人の血から作った血清が、実はゾンビ化を治す薬ではなく「『新セルビア人』という第三勢力の新人類を生み出してしまう劇薬だった!」という展開に突入してからは、もはや訳が分からない方向へ。この新セルビア人という集団は、ゾンビに血清を投与すると生まれる存在です。人格が完全に別の存在へと乗っ取られているのが特徴で、血清投与者以外は無差別に殺戮をしようとする、いわば見境なしのテロリスト集団的立ち位置なのですが、そもそもこの新セルビア人という存在自体が、この映画の独自設定なのか、向こうの国でいう何かの比喩なのか、セルビア人には伝わるジョーク的ななんかなのか、それとも単なる脚本家の趣味なのか、この辺が全然分からない&展開的にそれまでの流れをぶった切ってまでものすごい唐突に出てくる謎存在なので、「えっえっ」と困惑。
その後は、なんか「自然環境や動物たちには一切無害でありながら、人間だけを的確に蒸発させられる爆弾」とかいう超絶チート兵器が突然ぶっ放されて終わりとかいう、もはや開いた口が塞がらない物凄い雑なオチをつけて終わってしまいました。
こんな具合で、今作は良くも悪くもストーリー内容が個性的ではあるので、人によってはここが強みにも弱みにもなり得るかと思います。もしかすると、クロアチアとかセルビアのことに詳しい人が見たら、細かい部分も含めて面白いのかもしれないですが、ぶっちゃけ中高の世界史でちょろっと触れた程度の経験しかないであろう標準的日本人からすると、あんまりノリについていけない可能性の方が大きいと思います。現に、Filmarks等に付いているコメントを読んでいても「セルビアとかのくだりが分からん」的な意見が大半でした。
とはいえ、今作はパッケージを見ても分かるように、かなりコメディ色が強い作品であるため、ガチガチの考察が必要だったり、教養、知識がないと話を丸ごと楽しめない、というような事がないのは救いです。また、ストーリーの内容を差し置けば、その他諸々の各要素については軒並み悪くない出来であるため、深く考えずポケーっと見る分には結構面白かったのもありがたい部分。
ストーリーのテンポや展開の仕方などは特段悪くなく、飽きる事なく視聴出来ますし、後半はなかなか個性的な展開へと進んでいくため、(理解の可否はともかく)興味も持って見ていられます。ゾンビの出来については物足りない部分も多いものの、まあコメディ系だと思えばこんなもんか、程度のクオリティはありました。
キャラは「薬中の国民的女優」「隣国のスパイのおばさん」「セルビア系ハーフのために、ゾンビになったり人間に戻ったり忙しい人」などをはじめ、これまた印象的な人々がチラホラいるのでここも良し。
このように、全体的なクオリティ自体に致命的な部分は見られず、そのため「なんかノリはよく分かんないけど、なんとなく面白い」っていう感想に落ち着きました。確実に人は選ぶので諸手を挙げておすすめはできないものの、コメディゆえにノリが軽く、あまり細かく考えずとも楽しめるは楽しめるので、過度に期待しすぎず、暇つぶしにふらっと見るくらいが良いと思います。
かなり短めになってしまいましたが、今回はこのあたりで締めさせてください。あ、クロアチアーセルビア情勢に自信ニキがいらっしゃれば、是非コメントをいただけると幸いです。
今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!よければ、気軽にコメントしていってね