「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ゲームオーバー のレビューです(総合評価C+)

(画像:アルバトロス公式サイトより引用)
「時限爆弾付きベストを着させられてデスゲームさせられる」って内容の、南アフリカ産スプラッタースリラー映画のレビュー、始めるわ

 南アフリカの映画とか初めて見たかもしれない。

 それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 南アフリカ
  • 製作 2020
  • 販売 アルバトロス

あらすじ

深い森の奥のキャンプ場にやって来た、友達グループの9人の若者たち。深夜、催眠ガスで眠らされ、目覚めると彼らの体にはタイマー付きの《爆弾ベスト》が着せられていた。そこに現れたのは、高校時代の9人の教師だった、ピーターソンという男。『最後の授業だ』という謎の言葉を残し、タイマーをスタートさせた男はいきなり自殺してしまう。そして、恐怖のゲームがはじまった。互いを疑い、やがて殺し合いをはじめる9人。暴き出されてゆく、秘密と狂気。ピーターソンの目的とは?そして、恐るべきゲームの結末とは?

アルバトロス公式サイトより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
スプラッターの質
設定
総合 C+

良い点

  • 意外とストーリーがちゃんとあって楽しめる
  • グロ描写、爆破演出など、絵面的になかなか良い

悪い点

  • 展開がかなり強引な部分が目に付く
  • なにかもう一つ欲しい

 一言で言うなら「意外と面白かった」な作品です。デスゲーム映画としては、割と要点は押さえた作りになっており、テンポも悪くないのでなかなか楽しめる一品。期待しすぎないで見るくらいが丁度いいと思います。

 
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 総合評価的には、かなりB−に近いC+を付けました。あともう一つ何かあれば、評価を上げていたと思います。

 さて今作ですが、森の中で、表面上は仲良しグループの若者9人を集めてデスゲームをさせると言う、そこだけ聞けばありがちな内容のスリラー?映画です。しかし、単純でありきたりなデスゲームで終わらせないようにしよう、という工夫はそれなりに見られました。

 それでは早速、今作の詳細な内容を見ていきましょう。まず良い点からですが、これは意外とストーリーがちゃんと存在することと、演出面の頑張りの2点です。

 まずストーリー。今作は最初、森にキャンプに来た若者グループが、催眠ガスで眠らされて時限爆弾を装着させられる、という展開からスタート。そして、なんだかんだあって「他人を殺せば相手の残り時間を奪える=その分長生きできる」ということに気が付き、ここから本格的なデスゲームがスタートとなります。

 これだけ聞くとマジでよくある展開ですが、今作はここにちょっとしたサスペンス要素を咥えて色を出そうと頑張りが見られるのが特徴。

 そもそも彼らがこのゲームをさせられているのは、高校時代に彼らの主催するパーティーに参加した生徒が心臓発作で亡くなり、その父親が復讐のために開催している、という背景があります。そして物語が進むうちに、どうやら死亡した生徒は心臓発作ではなく、誰かにクスリを盛られて殺されたらしいことが判明。以降物語は、デスゲームの行く末を追うと同時に、高校時代に起きた事件、いわばこのゲームの原因となった殺人の犯人は誰なのか、を推測する楽しみも持つようになります。

 ただ、先に断っておくとこの推理部分、特別出来が良いわけではありません。しかし、デスゲーム系映画はゲーム内容に傾倒するあまりにストーリーが疎かになり、中身ペラッペラな作品となることも多々ある中、多少なりとも単純なゲーム外の部分へも目を向けさせようとする工夫は良かったと思います。犯人も、個人的には意外な人物で、まあ少々強引さは見られるものの、「はえー」とはなりました。

 その他、割とダラダラとした前置き少なめで人死にがスタートする事や、それなりに殺人反対な空気がふんわりと漂っていた中、最初の1人を殺っちまってから「1人殺ったら吹っ切れた」という理由で、そこから展開が加速する演出なども好き。

 また、ゲームに時間制限があること自体はありがちですが、「それぞれ持ち時間が違う&殺した相手の時間を奪える」という設定は、積極的に殺人が起こりやすくなるため、この発想も良かったと思います。

 少なくとも、ぬるい仲良しこよしで「友達殺すなんていやいやー」な虚無を長々と見せつけられたり、逆に「いやルールの割にいきなり殺人に乗り気すぎるやろ」と引くことなどはなく、割と自然な流れでゲームに持っていけていたと思います。

 続いては、グロをはじめとした演出の頑張りについて。これについては、結構血糊ドバドバでなかなか見栄えが良かったと思います。かつ、目にナイフが突き刺さる、喉を掻っ切る、銃で撃たれて頭がグチャッとなる、そして撃たれた部分にちゃんと風穴が空いているなどなど、グロの表現については手を抜かずしっかりとやって来たな、という印象。また、作中にキャラが爆死するシーンも2回ほどあるんですけど、この際の爆発もちょっと笑っちゃう程度には派手さがあり、見ていてニッコリ。

 というわけで、良い点は以上。続いては悪い点ですが、それには展開の強引さ、そして物足りなさが挙げられます。

 まず強引さについてですが、これは私が1番強く感じた、そして今作を見た人ならほとんどの人が感じるであろうこととして、「このゲームの開催理由が強引すぎる問題」が真っ先に挙げられます。

 端的に説明すると、主催者は「息子はこの9人のうち、誰かに殺されたことは分かるけど、誰が殺したか分からんな──しゃーない、全員拉致って時限爆弾付きベスト着させてデスゲームさせよう!」という考えを持ち、このゲームを開催。ここまではまあギリギリ分からんでもないですが、最高に意味不明なのは、この主催者のおっさんがゲーム開始と同時に自殺することです。

 普通、「9人のうち誰が復讐すべき犯人か分からん」というなら、全員拉致って拷問にでもかける、もしくは手っ取り早く全員殺すのが1番自然な流れでしょう。しかしあえてそうせずに、わざわざこんな手間暇かけたデスゲームをさせるということは、「お互いに殺し合う姿が見たい」からだと思うんですが、それならその様子を見届ける前に、しかも開幕同時に自殺しちゃうなんて行動は控えめに言って意味不明

 しかもゲームのルールだと、「最後に残った1人は生き残れる」ということになっているのですが──いやいや、それで真犯人が生き残った場合、どうするつもりだったんですかね? 殺し合わせる動機として「残りの1人は解放する」と明示するのはいいですが、本当に生きて帰したらいかんでしょ。復讐になってないやん。

 「犯人候補を全員とっ捕まえて、ケータイと車を遠方に隠し、殺した相手の時間が自動で移る機能付きのハイテク爆弾ベストを人数分揃えて、完璧なデスゲームのお膳立てしたぜ! 誰が犯人か分からんし下手すりゃ犯人だけ生きて帰るかもだけど、ヨシ! よっしゃ開始前に死ぬか!」って、どういう心境なんですかね……?

 また、こんな面倒な復讐方法を取る理由として、作中だと「あいつ(主催者)は昔から簡単な事をわざわざ難しくする奴だったから」的な意味不明な説明がされるんですが、当然これだけだと説明不足もいいところ。せめて、「息子の死に関連するゲームをさせることで反省を促すため」「息子と同じ死に方をさせて苦しみを共有させるため」とかの、息子の死とゲーム内容に関連があることが分かる描写でもあれば納得度も違ってきたと思うのですが、当然そういうのもナシ。

 とにかくこの、ゲーム開催理由の雑さを筆頭に、今作はとにかく展開が強引、ないし雑な部分がまあまああったように感じました。

 それでは次、物足りなさについて。良い点で述べたとおり、今作はちょっとしたサスペンス要素あり、頑張るグロ描写豊富なデスゲーム部分あり、と全体的に工夫は見られるものの、それでも今一つ物足りなさを感じてしまう、というのも残念な部分でした。

 サスペンス要素については、先に述べたようにデスゲームとの組み合わせ自体は結構良好。しかし、過去回想等もなく全てが口だけでの説明にとどまるため、あまり臨場感などはなく、あくまでおまけ程度の出来になっちゃってます。

 ゲーム自体もグロ描写は頑張るものの、全体的に各人物の動きがわざとらしいのが目に付いてしまいます。例えば、「殺すつもりなかったのに間違えて殺しちゃった☆」な展開が2回連続で挿入されたりだとか、馬乗りになって動けない相手に対し何回も斧を外したりだとか、銃を持ってるのに(舐めプした結果)、わざわざ相手にゼロ距離まで近寄らせてまんまと奪われてみたりなどの、いわゆる「萎える」描写多めなのは気になりました。

 つまりは各要素、総じて「思ってたよりは良かった」程度の出来なので、あまり期待を寄せすぎると「こんなもんか」となる可能性が高いということです。

 総評ですが、単に「特に意味もなく殺し合わせて終わり」というだけでなく、ちゃんとストーリー的な見どころを用意しつつも、ゲーム自体もちゃんと面白く仕上げてくれていたのには好印象。グロ描写等も抜かりなくやっており、視覚的にも楽しめたのは大きかったです。反面、ゲームの開催部分に関する設定がガバッガバで受け入れ難いことや、各要素に物足りなさを感じる部分も。あまり期待しすぎずに見るくらいが、丁度程よく楽しめる映画だと思います。

今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。
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