「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

感染家族 のレビューです(総合評価B-)

(画像:Amazon商品ページより引用)
展開てんこ盛りで満足度高めの、韓国産ゾンビコメディ映画のレビュー、始めます。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 韓国
  • 製作 2018
  • 販売 Happinet

あらすじ

平和な田舎を襲う、史上最恐のゾンビ大群! 命がけの家族の攻防、果たして彼らの運命は! ?
田舎の寂れたガソリンスタンドで暮らすパク一家。定職もなくその日暮らしの彼らは、突然現れたゾンビ(チョン・ガラム)に噛まれた父親マンドク(パク・イナン)が若返ったのを見て、一攫千金の<ゾンビビジネス>に乗り出す。日和見主義の長男ジュンゴル(チョン・ジェヨン)と妊娠中の妻ナムジュ(オム・ジウォン)、口八丁の次男ミンゴル(キム・ナムギル)、芯の強い末娘ヘゴル(イ・スギョン)ら、適材適所の家族運営で若返りの依頼人も日々増えていく。ついにはガソリンスタンドの再建にも成功、一見順調なビジネスだったが、若返りを果たした人々に思わぬ副作用が勃発してしまう。そしてゾンビと化した人々が次々に道行く人を襲い、大群となってついにガソリンスタンドにも襲い掛かる……。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
ゾンビの質
設定
総合 B-

良い点

  • 1粒で何度も美味しいてんこ盛りな展開
  • キャラの個性が強い
  • オチ

悪い点

  • (コメディセンスが合わなければ)冗長な部分が多く少々飽きる
  • ゾンビがなつく

 韓国産のゾンビコメディ映画です。コメディと言うこともあり、かなり緩めの展開が特徴。見所も、ゾンビを捕獲した一家が巻き起こす騒動や、ゾンビとのラブロマンスなどコメディ部分に寄っていますが、中盤には大規模パンデミックも描かれるなど、色々な楽しみ方が詰め込まれている作品です。

 
ここから下のレビューには、ネタバレを含む場合があります。未視聴の方はご注意ください!
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 コメディ映画なのでどうしても好き嫌いはあると思いますが、完成度はなかなかに高い作品。アマプラはじめ、レビューサイトでの評判はかなり上々ですが、個人的には「好きな部分も嫌いな部分もある」という感想に落ち着いたので、その辺上手く言語化できればと思います。それでは始めましょう。

 さて今作ですが、ものすごい強引に一言でまとめると、田舎町に突如現れた1匹のゾンビが大騒動を巻き起こす……という、ゾンビコメディ映画です。詳しい内容は以下にて。

 それでは、良い点から見ていきましょう。今作の良い点は、1粒で何度も美味しい詰め込まれた展開、個性の強いキャラクター、そしてちゃんと面白いオチの3点です。

 まず今作、超が付くほどの限界ド田舎集落に、1匹のゾンビが迷い込むところから話がスタート。ゾンビにしてはかなり温厚な彼は、主人公一家のおじいちゃんだけに噛み付きます。そのおじいちゃん、それによりゾンビになる──どころか、何故か若返り元気発剌に。しかも「ゾンビに噛まれたら若返るらしいぞ」という噂を聞きつけた集落の老人たちや、近隣の街の老人たちが次から次へと押し寄せ、一家はゾンビを利用してアンチエイジング商法を売り出し一儲け、というコメディらしい展開へと繋がっていきます。

 さらにそれだけにとどまらず、このゾンビのイケメン具合に魅入られた一家の妹は、勝手にゾンビ連れ出してラブロマンスごっこしてるわ、兄貴はこいつを研究所に売り込んで儲けを独り占めしようとするわ、祖父はアンチエイジング商法で儲けた金を持ち出して勝手にハワイ旅行に行くわと、全員が全員ものすごく自分勝手な行動に走るという展開も、それぞれのキャラが立ってて良かったと思います。

 また話の主軸となる迷いゾンビくんも、「ベジタリアンなので、自衛以外の目的では人間を襲わず、キャベツとケチャップにしか興味がない」という味濃いめのキャラ付けをされているのも特徴。このため、「人間の群れには興味がないが、キャベツ畑を見てテンションが爆上がりする」など、かなり個性的な一面も見せてくれます。

 この前半の展開は、おおよそ1時間程度の尺が取られているのですが、個性的な一家とゾンビのキャラ付け、「ゾンビによるアンチエイジング商法」という面白い題材、なかなか冴えたギャグセンスなどの要素に支えられ、結構楽しく見られます。

 そして後半は、ゾンビ・アンチエイジングの利用者が副作用によって一斉にゾンビ化し、近隣含む町中が一瞬にしてゾンビ化する、というゾンビパニックへ。とは言え、根本がコメディ映画であるため、流血等のグロ描写は最低限に抑えられており、ゾンビに襲われるシーンもかなり控えめな印象。しかし、前半の展開に比べるとやはり絵面的な派手さはあるため、ここの転調でさらにグッと興味を掴んでくるのも好感触。

 そしてラストシーンでは、このゾンビパンデミックは世界的な広がりを見せて収集が付かなくなり、一家からも犠牲者が出てバッドエンドか──と思わせておきながら、まさかの「抗体持ちがゾンビに噛み付くと、ゾンビを人間に戻せる」というトンデモ設定を持ち出してきて、そのまま強引にハッピーエンドという、これまたコメディ路線な終わり方を披露します。このオチ、一見滅茶苦茶に見えるものの、最初は「(アンチエイジングを謳い)有料でゾンビを住民に噛みつかせ、感染を広げてしまった」一家が、オチでは「無料で抗体者をゾンビに噛みつかせ、感染を収束させる」という対比が効いていて、結構「なるほどそう来たか」と思わさせられます

 また、この手のホラーコメディは、「最初はコメディ路線だったが、オチは丸投げバッドエンド」という残念作品も多い中、多少強引ながらもちゃんとハッピーエンドで終わらせてくれた事を私は高く、高く評価したい
 何の捻りもないクソ雑BAD END<<<<<<<超えられない壁<<<<<<<安易なHAPPY ENDの法則

 とまあこんな具合で、一つの作品の中に「1匹のゾンビをきっかけに家族が騒動に巻き込まれる展開」「ゾンビとのラブロマンス」「コメディタッチなゾンビ・パンデミック」など、様々な要素がギュウギュウに詰め込まれています。一つ一つの題材自体は、既存のゾンビ作品に似たようなものがあるのでそれほど斬新さはないものの、今作はそれらを全部詰め込んでいるので、二転三転して行く展開を楽しめるのが最大の特徴と言えるかもしれません。

 それでは、良い点は以上です。続いては悪い点、と言うより、個人的に残念だった点について。それは、(コメディセンスが合わなければ)前半が多少冗長に感じることと、終盤でゾンビがヒロインに完全になつく事です。

 まず前半部分についてですが、先に述べたように、今作の「家族の生活」を中心に描いた前半パートは、時間にして約1時間ほどあります。この間の見所は、各々身勝手な一家を中心としたコメディ描写に寄っているため、コメディセンスや波長が合わなければ、ここの部分が冗長に感じる可能性はあり得るかと思います。

 幸いにも、扱っているコメディは強烈に人を選ぶ内容ではなく、割とオーソドックスで受け入れやすいものではありますが、まあコメディなんでどうしたって合う合わないはありますわね。個人的には、可もなく不可もなく。何度か笑えた部分もあるけど、ちょっと冗長に感じたところもある、と言う感じ。

 そしてそれ以上に、個人的に今作において最大に残念だったのは、ゾンビがヒロインになつくことです。

 今作はゾンビコメディという事なので、最初に登場するゾンビ君は、ケチャップとキャベツ以外は食わなかったり、人間の肉に興味なかったりするなど、コメディ相応の動きや立ち回りを披露することは先に述べた通りです。さらに、なまじ顔がいいためにヒロインが一目惚れしてしまい、イケメンゾンビ相手に一方的にラブロマンスを押し付けてくるような展開へと話が流れていく事、これもこれで悪くはなかった。

 しかしこれらについては、あくまでも「ゾンビは食欲のみに突き動かされる無感情、無理性な存在」という前提をギリギリ崩していなかったからこそ楽しめたのですが、今作は後半に行くに連れて、このファーストゾンビが明らかに人間臭い挙動を繰り返すようになります。

 例えば、(キャベツ畑を見た時に)明らかに喜びの表情を顔に出したり、ヒロインの身の上話に反応する素振りを見せるなど。そしてついには、家族のピンチに颯爽と駆けつけ、ヒロインを逃すため故意に外側から扉を閉めるなどの理性ある守護ムーブを披露。最終的にはゾンビの囮を引き受け、点火したライターをガソリンの方へ投げ自爆するなど、もはや無理性とは程遠い知的な動きを繰り出します。

 この、「ゾンビが一般的なゾンビとしての範疇を超えた人間臭い知的行動をすること」を是とするか否かで、今作の評価はそれなりに変わってくるでしょう。個人的には、ゾンビはあくまでも無感情で無理性な存在であり、それに接する周りの人間が、彼の行動を自分に都合の良いように勝手に解釈して一方的に情を寄せる、みたいな構成が好物なので、今作の展開は受け入れがたかったです。ゾンビがベジタリアンだから、と言うところまではコメディの範疇で全然良かったんですが、終盤の局面の流れはやり過ぎに感じました。ぶっちゃけ、この部分で結構冷めた。

 と言うわけで総評ですが、ゾンビコメディとしてはかなりてんこ盛りな内容で、扱っている題材はじめキャラクターの出来、二転三転する展開、コメディらしくしっかりと笑えるオチなど、高評価なポイントは多々あり、視聴後の満足度はなかなかに高いのが特徴。反面、前半の展開、というより一部コメディ描写が少々冗長に感じる可能性はあり、何よりもゾンビが割とガッツリヒロインになついてしまうので、これを受け入れられるかどうかで終盤の展開への評価は変わってきそうです。

 ですが、先に述べたように各レビューサイトでの評価はかなり上々で、全体通して良かったと言う声も多数見受けられたので、「行けそう」と思ったら迷わずチャレンジしてみることをお勧めします。

今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。
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