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スパルタン 皆殺しの戦場 のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)
グラップラー刃牙が見られると思ったら突然2時間サスペンスが始まる萎え萎え映画のレビュー、始めます

はいはいあらすじ詐欺あらすじ詐欺(半ギレ)

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 イギリス・フランス
  • 製作 2020
  • 販売 アメイジングD.C.

あらすじ

倒れても立ち上がれ! 命尽きるまで――
権力者、富豪が運営する非合法ファイトクラブ“ナックルダスト””。
そこには世界中の凶悪者たちがひしめき合い、巨額の金が動く闇の殺し合いを繰り広げる。
元英国海兵隊の男、ハード・エイトは無敗のファイターだったが、クラブの掟を破ったことで命を狙われることに。
さらには家族にも危険が及び、外に出て救いに向かおうとするが、
地獄と呼ばれる戦場の最上階に到達するには、階層が上がるごとに強くなる凶敵どもを倒さなければならない!

(Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
アクションの質
設定
総合

良い点

  • アクション、キャラクター、演出等々、光る部分は多々ある

悪い点

  • 絶妙に盛り上がらない脚本
  • アクションシーンが想像の十分の一くらいの少なさ

 「思ってたのと違う」選手権に出すために作られたかのような映画です。なんか捻りに捻っていい感じの脚本にしようとしたのが完全に裏目に出ているタイプで、とにかく絶妙に盛り上がりにかける作品。良い部分もたくさんあるのですが、脚本がその辺ぶち壊しにしているのがなんとも残念なところ。これはこれで割と面白いのですが、少なくともあらすじのような「主人公がさまざまなファイターたちと闘っていく映画」を期待すると大火傷必至なので注意が必要でしょう。

 
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 脚本連れてきてグラップラー刃牙読ませたくなる映画。

 さて今作ですが、地下闘技場最大トーナメント━━もとい、あらすじにあるように、主人公が非合法ファイトクラブで強敵とのタイマンに明け暮れながら頂上を目指す、的なアクション映画を期待して見始めたにも関わらず、実際にはクラブの運営の黒幕がどうだの警察内部のゴタゴタがどうだのクラブへの捜査がどうだのという、「強敵、タイマン、格闘戦」とは真逆の警察なんちゃってサスペンスが始まってクッソ萎える映画です。
 脚本があれなのは言わずもがなですが、このあらすじ書いて善良な一般B級映画ファンを騙した担当者は絞首斬首銃殺釜ゆで溺死電気火あぶり生き埋め薬殺石打ち鋸はりつけの中から好きなの選ばせてやるよ?

 では早速ですが、このまま悪い点から見ていきましょう。今作の悪い点は言わずもがな、あらすじ詐欺による大きく期待外れな展開と、それを加味したとしてもなんとも絶妙に盛り上がらないストーリーです。

 先ほどから何度か申し上げていますが、今作はあらすじにあるような、主人公が強敵相手にタイマンで勝ち進んでいくアクション重視の映画ではまるでありません。アクション要素ももちろんあるはあるのですが、そもそもアクションシーン自体が期待した分量の十分の一くらいしかないのに加え、さらにその中で見応えがあると言えるシーンも半分程度と、とにかくアクション要素不足が目立ちます。アクションの出来自体は結構いいだけに、ここはもうとにかく残念でした。じゃあ、その重要なアクションシーンを削ってどんな展開を入れてくるのかというとですね……

 まず今作は、主人公が非合法なファイトクラブで一戦交えようとする場面から本格的に話がスタート。元軍人の主人公ですが、対戦相手は彼より数段体格が上の大男。武器の使用が禁止され、己の拳のみで戦うこのクラブ、いったい主人公がどんな戦いを見せてくれるのか……そんな機体が最高潮に高まりゴングがなったその瞬間! 主人公はなんと、取り出したチャカで相手を銃殺します。
 もうこの時点で一気に盛り下がるのは言わずもがな。いやこれクラブで戦っていく話ちゃうんかいと。どうも主人公くん、このクラブのオーナーに弱みを握られているようで、今日この日にこのクラブからの脱走を企てていた模様。主人公は対戦相手のみならず、警備の兵たちも次々と銃殺していき、あっさりとクラブを脱走します。そしてここから、物語は新たな展開へ。

 どうもこのクラブのオーナー、主人公が逃げたことに腹を立て、報復に彼の恋人を殺害したようなのです。それを知った主人公、今度はオーナーに復讐を果たすために、再びクラブに戻ってきます。
 ここで失速した期待感は一応回復。なるほどなるほど、ここからは「私の元に辿り着きたければ各階で待つ刺客たちを倒してくるのだな」的な展開になるのかなと、勝手に次なる期待を膨らませたその瞬間! あろうことか主人公くん、通報を受け突入してきた警察にあっさりと捕まります。そしてそこから始まるのは、取調室で行われる主人公へのゆるーい尋問。
 ここで今作の盛り下がりはいきなり最高潮に。地下闘技場は? 最大トーナメントは? 強敵とのタイマンは? ステゴロアクションシーンは? もしかしてこれ以降尋問パートメインなの? 様々な失望や不安が駆け巡りました。

 結論から言えば、この主人公くん、警察に捕まる前にちゃんと殺ること殺ってたみたいで、クラブ内で大暴れした様子。そして以降は、警察による尋問パートと、主人公がクラブ内で暴れた証拠映像を警察が確認する、という体の過去回想アクションパートが交互に展開されていくことになります。
 ですが、やはり話のメインは現在の時間軸である警察尋問パートの方に傾いている、というのもそうですし、単純にそちらに時間を割いている分、クラブでのアクションパートの分量が少なくなっていることも相まって、どうにもこうにも絶妙に盛り上がってきません。かつ、クラブでのアクションパートも、強敵とのタイマンを制して階を上がっていく、という構図ではなく、雑魚軍団戦なども含まれているせいで主人公がまともにタイマンしたのはたったの2回のみ、というこれまた大変盛り上がりに欠ける構成。さてはお前、需要を理解してないな?

 まあ、それだけアクションシーンを軽視した分、なんちゃってサスペンスパートのオチとなる黒幕の炙り出しに関する部分は、伏線回収も効いていてなかなか悪くなかったんですけど、そのオチに持っていくために道中の盛り上がりが完全に犠牲になっていることを考えると、素直に褒められたものではありません。
 オチは特に捻りなくてもいいんで、普通にアクションパートモリモリで、主人公が階層を進んでいく毎に次々と強敵が出てきてステゴロタイマンアクション繰り広げてくれる展開の方が100倍需要があったと思うんですけど……。

 とまあ、とにかく「期待外れ」という言葉が大変しっくり来る今作ですが、反面良い点も多いです。

 例えば、アクションシーンの出来自体はB級映画であることを加味すればかなり良さげなクオリティに纏まっていた事。特に、2回だけ挿入される強敵とのステゴロタイマンシーンは、どちらも結構見応えがありました。他の雑魚敵戦や銃撃戦もなかなかしっかり出来ていて、総じてアクションの質自体については割と文句なしの出来

 また登場するキャラクターも、主人公を筆頭にしてなかなか個性的で良いキャラが揃っている印象を受けます。特に、彼が道中エレベーター内でタイマンすることとなる聴覚障害の巨人のキャラは良かった。主人公と友人でもある彼は、エレベーター内で一戦交える前に、手話で「お前とは戦いたくないよな」と意思疎通しながらも、お互いの目的のために拳を交える──このシーン嫌いな人類おるんか? というレベル。

 その他、雑魚敵戦など演出が面白い部分があったり、オチ手前からの部分は若干強引さも否めないもののなかなか盛り上がって来て楽しめたりなど、良い部分や光る部分自体は割とあります。でもだからこそ、序盤の期待外れによる失速と中盤のタルい展開が余計残念に見えてしまう、という側面もあるという問題児。

 総評ですが、アクションシーンの出来を始め光る部分は数多く存在する一方で、とにかく期待外れな展開と盛り上がらなさによる失速が痛い作品でした。割とこれはこれで楽しめる系の作品ではあるのですが、あらすじのような内容を期待して見るとガッカリ必至なのでお気をつけ下さい。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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