「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

キッズ・リベンジ のレビューです(総合評価C+)

(画像:Amazon商品ページより引用)
10代の子供がマフィア相手にトラップ仕掛けて孤軍奮闘する映画のレビュー、はじめます

 トラップの殺意が高いのもそうですが、何より子ども自身が殺しを楽しんでる節がある映画。それなりにグロいシーンもあるので、ホームアローンとかのノリで見るのはちょっとだけ注意。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 アメリカ
  • 製作 2012
  • 販売 トランスワールド・アソシエイツ

あらすじ

親同士の再婚がきっかけで姉弟となったローレンとオーウェン。両親が購入した新居に引っ越し、家族4人の新たな生活が始まる予定だった。しかし間も無くして謎の男達が家の中に押し入り、両親が殺害されてしまう。男達はオーウェンの父親がマフィアから横領した金を取り返しに来たのだった。ローレン達も絶体絶命と思われたその時、内気な性格であまり話しをしなかったオーウェンが、手元にある道具を駆使して男達を打倒するべく奮闘するのだった。そして姉弟は、生き残るために果敢にも反撃を開始する!

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
設定
総合 C+

良い点

  • 全体的に良くまとまっていて見やすい
  • 軒並みの要素が平均点以上の出来

悪い点

  • 全体的にあと一歩物足りない

 何かもう一つ抜けた要素があれば、余裕でB評価に届いた作品です。身体的に未熟な10代そこらの子供が、知恵とトラップを活かしてマフィアを撃退していくというコンセプトは好き。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 さて今作ですが、寡黙でミリオタな少年が美人の義姉を守りながらマフィアを滅殺していくお話です。こういう妄想中学生くらいの時にしたって人は正直に言ってみなさい。

 では早速、今作の詳細な内容を見てゆきましょう。

 今作を一言で端的に表すなら、概ね殺意の高いB級ホームアローンと言った具合。この場合の殺意が高いというのは、トラップの内容云々ではなく少年の性格です。ホームアローンは基本ギャグ時空の作品なので、確実に死ぬクラスの罠も多数ありましたが、食らった側は普通に生きてました。けど今作、その辺は結構現実寄りで、死ぬような罠を喰らえば普通に死にます。というか、罠を囮にして後ろからナイフで刺し殺す、という描写が過半数なので、単純に登場人物の殺意が高い。そしてこれが、今作最大の特徴にもなっています。
 それではここで、今作の簡単なあらすじ解説。

 開幕から30分ほどは、なぜ少年少女がマフィアに狙われることになったのか、という舞台設定の説明と、登場人物紹介が大半の導入パート。超簡単に言えば、彼らの両親がマフィアの金に手をつけてた。
 そして彼らの家にマフィアが流れ込んできて両親を殺害、口封じのために姉弟を捕まえようとするも、この弟くんがミリオタかつ精神異常者で他者への攻撃性が異様に高い、という設定で物語は展開していきます。
 巧妙に罠を仕掛け、追っ手に負傷を負わせたり、不意打ちで殺したりしながら脱走を図る2人。
 しかし姉が捕まってしまい、助けるために弟くんは単身救出へ、そこで今作最大の見せ場となる死のピタゴラ装置を仕掛け、見事マフィアを全滅、最後は彼らを裏で操っていたマフィアのボスに対し、特攻を仕掛けてエンド、という感じの流れでした。

 そしてこれを踏まえ、まずは今作の良い点から見ていきましょう。

 今作の良い点は、全体的に平均以上のクオリティにまとまっているため見やすい、ということです。

 先に申し上げたとおり、今作の特徴的な部分はやはり、10代の少年少女が銃を持ったマフィア相手に知恵と度胸とトラップで立ち向かう、という点でしょう。かつ、主人公の少年は(多分)中学生?くらいにして、人を殺すことに対しなんの抵抗も抱かない寡黙なサイコ野郎、という設定。この部分が下地にあり、話的には侵入者のマフィアVS姉弟という構図が終始続くので、内容的にかなり分かりやすいです。難しい話とか頭使う部分も特になく、純粋に姉弟の反撃を楽しんでいれば良いので、非常に見やすいのがポイント。

 ストーリー自体も立ち上がりこそ早くはないですが、無駄な部分も少なく盛り上がるべきポイントはちゃんと抑えているので、最初から最後までなかなか楽しく見られる印象。
 登場するキャラクターたちも、寡黙でサイコな主人公の少年や、可愛いねーちゃん、悪党は悪党なんだけどどこか憎めないマフィア軍団など、なかなか良いのが揃ってます。特に姉弟コンビは結構良かったですね。ねーちゃんがギャーギャー騒ぐ系の頼りない奴なんですが、殺るときゃ殺ってくれますし、その分弟がしっかりしてる、というか殺意が高いので、なんとなくバランスが取れてる感じ。最終的には打ち解けて仲良くなってるし、どこか微笑ましい雰囲気すら感じました。

 とまあこんな感じで、ストーリーもキャラも設定も、分かりやすくてそこそこ面白く、どれも平均点はしっかり超えてきている印象。肝心のマフィア撃退トラップを使った攻防戦も面白く、その見応えを邪魔しないシンプルなストーリーや、それを使う少年の攻撃的な性格もハマってて良かったと思います。
 強いて懸念点を挙げるとすれば、ヒロインのねーちゃんがよく騒ぐ事ですが……まあ一般人が突然マフィアに命狙われたらこんなもんだと思うので、そこまで気にはならなかったです。気になる人は気になるかも。

 このように、軒並み平均スコア以上の出来を持つ今作ですが、悪い点を挙げるとすれば、やはり全体的な物足りなさが筆頭にくるでしょう。

 ストーリーは見やすく組まれており、頭を使う要素もなく本編自体も短めなので、サクッと気軽に見られるのは間違い無く利点なのですが、その分想像の域を出てきません。言うなれば、「まあ大体こんなもんかな」という「こんなもん」の範疇に収まるくらいの内容です。
 まずメインストーリーですが、よく言えば見やすく分かりやすいんですけど、あえて悪く言うなら少々安易が過ぎます。自分は周囲から理解を得られない寡黙なミリオタだが、内に高い攻撃性を秘めている。そんな自分に突然美人の義姉ちゃんが出来て、しかも銃を持ったマフィアに両親を殺される。そいつらを、知恵と度胸を駆使したトラップで顔色一つ変えずに滅殺し、最後はナイスバディの義姉ちゃん守って何かいい感じの雰囲気に。こんな、思春期の陰キャ中学生が一度は妄想しそうなストーリーを、何の捻りもなくそのままお届けしてくるので、なんというかこう、「映画的にはもうちょっと捻っても良かったのでは」と思わざるを得ません。

 個人的には、折角少年が攻撃性高いサイコな設定なのだから、そこをもっと突き詰めて一流ハンターばりの脅威度を持たせ、彼らを狩りに来たはずのマフィア側がむしろ狩られる恐怖に怯えるみたいな、ある種ドント・ブリーズ的な展開にしてみても面白かったのかな、と思います。現状だと、マフィアに狙われて逃げる姉弟目線を見せたいのか、彼らを追う中でどんどん殺されて行き「もうやだこの任務!」するマフィア視点を見せたいのか、若干中途半端な感が否めません

 逆に、ストーリー自体にはさして捻りはなくても、トラップの出来が良かったり映像的な見応えがある、というのなら話は別なのですが、これについてもやっぱり今作は微妙。トラップも決して悪くはないのですが、木を高速で足にぶつけて負傷させたり、上から物を落としたり、車のロックをかけた時の音とライトの点滅で敵を誘き寄せたり、というシンプルなものが大半で、かつ登場頻度もそこまで高くはないので、やはりこれも期待の範疇に留まります。1番最後の多少複雑なピタゴラ装置だけは割と良かったですが、そこ以外は至って普通。

 というわけで総評ですが、大体の要素は平均越えで大変見やすい映画なのですが、反面大体の要素が概ね想定通りで若干物足りなさを感じます。ストーリー、キャラ設定、トラップの出来、何か一つこちらの期待を超えてくる要素があれば胸を張ってお勧めできる作品になり得たんですが、現状だと「暇つぶしにはちょうどいいよ」って感じの評価に落ち着きました。
 無難に面白いは面白いので、ご興味のある方はいかがでしょうか? 今ならアマプラで見れますぜ。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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