「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

タイタンフォール 巨神降臨 のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)
同タイトルの某ゲームとは一切関係がない、詐欺邦題一本釣り映画のレビュー、始めます

 (登場後、即座に)タイタン壊れる

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 アメリカ
  • 製作 2020
  • 販売 アメイジングD.C.

あらすじ

軍事訓練のため、とある町に派遣されたシェーン軍曹率いる精鋭特殊部隊の隊員たち。しかしそこは、暴走した超巨大ロボットと軍事兵器が入り乱れる激戦地と化していた。
その後、暴走したロボットに襲撃された一行は、実戦を繰り広げることになる。絶えず進化する人工知能を持ち、人類を排除しようと牙をむくロボット軍団に立ち向かう隊員らの運命は……。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
ロボットの質
設定
総合 D+

良い点

  • ロボットの出来自体はかなり良い

悪い点

  • 全く緊迫感のない戦闘シーン
  • まるで盛り上がらないストーリー

 同タイトルの某ゲームとは一切関係のない、釣り邦題映画です。ロボの出来はかなり良く、動きもしっかりしていて違和感ないのでテンションが上がりましたが、ストーリーと戦闘描写が致命的に終わっているので、終始盛り上がらずに終わりました。「ロボがカッコよく動いていれば、後はなんでもいい!」という人以外には、あまりおすすめできない作品です。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
ここをクリックしてレビューを表示

 この手の釣りタイトルには珍しく、作中に本当に「タイタン」というロボットが出てくるので、邦題の半分は詐欺ではない、という事はお伝えしておきます。ただしタイタン、別に空から降って来たりはせず、普通に地下倉庫から出撃となるのでフォール要素はなし。ちなみに原題は「Robot Riot」

 なおタイタンくん、ほぼ活躍はしない模様。

 さて今作ですが、軍事演習だと騙して連れてこられた軍人様御一行が、記憶を消されて演習場に放り込まれ、そこで無人兵器たちと命懸けのバトルをさせられる、という内容の作品です。

 それでは早速、今作の良い点悪い点を見ていきましょう。まず良い点は、ロボットの出来がかなり良いことです。

 今作には基本2種類、最終決戦時含めると全4種類のロボットが登場するのですが、これらのCG的なクオリティはいずれもかなり高いです。

 まず最初に、基本的に出てくる2種類の敵について解説。まず1種類目は、全長1メートルほどの小型ロボット、スパイダー。そして2種類目は、全長約6メートルある、見た目がメタルギアREXに似ている巨大ロボ、メック。今作は終盤手前まで、この2種類(+見た目が完全に人間と同じアンドロイド)で話を回します。

参考画像:こんな感じのロボ

(画像:Amazon商品ページより引用)

 この2タイプが入り乱れる戦場を舞台に、生身の主人公たちが銃を手に戦うのですが、この2タイプの出来自体については控えめに言っても素晴らしいの一言単純に造形がよく作り込まれているだけでなく、質感も結構しっかりしており、何よりも低予算映画にありがちな「画面上で明らかに浮いている」「動いた時にCGが崩れる」などということがありません。このレベルのCGクオリティのロボットが、違和感なくぬるぬるとしっかり動く。これだけでも、B級映画的には◎を上げて良いと思います。

 また、終盤にはこの2タイプの他に、人間が搭乗できる人型兵器タイタンと、超大型人型兵器であるXー22というロボットまで参戦するため、様々なロボットを楽しめるのも今作の特徴このレベルのCGで、かつロボが4種類というのはかなり贅沢でしょう。ここは素直に、よく頑張ったと褒めたい部分です。

 反面悪い点としては、戦闘演出の酷さと、とにかく盛り上がらないストーリー、この二つが挙げられるでしょう。

 まず、先ほどロボットのCGクオリティは素晴らしいと褒めたばかりなのですが、それとは裏腹にそのロボットの使い方、とりわけ戦闘描写についてはお粗末としか言いようがありません。何が酷いって、ロボットどもがあまりにもクソエイム、かつ舐めプが酷すぎて目も当てられないのです。

 作中、ロボットと人間は何度も銃撃戦を展開し、人間は手にしたエネルギー銃で、ロボットどもは両肩についた機関銃で応戦するんですけど、このロボット側の射撃、これがもうただの一発も掠りもしないのです。しかも、横移動する人間に当たらない、とかならまだしも、直線に逃げていく敵にも当たらないわ、数メートル先の至近距離の敵にも当たらないわ、なんなら後ろをとって完全に不意打ちしたはずなのに一発も当たらない上、挙げ句の果てには障害物のない開けた場所で棒立ちする人間相手に掠りもしないなど、お前のエイムシステムぶっ壊れてんじゃないか、と思わざるを得ないレベル。

 人間側もそれにかまけてか、戦闘時は基本棒立ちで応戦する上に、人間側の銃撃は数発ヒットで相手がダウンするほど強力に調整されています。そのため今作、ロボットどもが放つ当たらない銃弾の嵐の中、人間が棒立ちでロボットどもをボコボコにしていく、という残念な描写だけが印象に残るという、壊滅的な盛り上がらなさを誇ります。動きながら撃てなんて難しいことは言わないから、せめて障害物に身を隠すくらいはしろ

 かつ、なんとかロボット側が人間サイドを追い詰めて、転んだ敵に対して目と鼻の先くらいまで近付き、撃てば確実に当たる、という場面でも、何故か十数秒棒立ちをかましたり、殺傷力皆無の体当たりを繰り返したり、などの舐めプ行為も相当に酷いこれら戦闘関連の描写の手抜き感、残念感は、本当に萎えました。ロボのCGクオリティが文句なしレベルに良いため、マジでもったいない。

 またそれに咥え、ストーリーもしっかり盛り上がらないという隙のなさ。
 ストーリーの大軸自体はシンプルで、一体何がしたい話なのか、というのは比較的分かりやすく、話のテンポもそこまで絶望的に悪いわけではないのですが、所々展開が雑で起伏に乏しく、話が全然盛り上がって来ません

 そして終盤に至っては、ところどころで見え隠れしていた雑っぷりがさらに爆発。
 「有人機動兵器であるタイタンを起動し、主人公が乗り込んで出撃する」という、今作1番の胸熱展開が訪れはするものの、このタイタンくん、格下の雑魚敵数体を相手にイキリ散らかすシーンくらいしか見せ場がなく、直後に現れた超巨大ロボに即刻ぶっ壊されてご臨終になる、という特大レベルの盛り下がり展開を披露。
 しかもその後、「原因は完全に不明だが、突然ロボット同士の同士討ちが始まったおかげで、その混乱に乗じて主人公たちはまんまとピンチを切り抜ける」という、ピンチの切り抜け方としてはこれ以上ないレベルの思考停止ご都合主義っぷりを存分に見せつけます。

 この、突然のロボットの反乱については、「他の人工知能搭載型ロボたちのデータには新型ロボの情報がなく、敵か味方か判別不能だったため攻撃した」など、何らかの理由を想像すること自体は可能ではあります。ですが、だったら「巨大ロボの撃った流れ弾が他のロボに当たり、それを攻撃と解釈したので反撃した」的な、何か敵ロボットたちが巨大ロボを攻撃する理由が分かるような描写をワンクッション挟まないと、現状の描写だけでは「理由は分からないけど、主人公たちがたまたま都合良くピンチを切り抜けた」というようにしか見えないので、そりゃ盛り上がらんわよ、という感想に。

 また、仮に何か完璧な理由があったにしても、結局この最終決戦、主人公たちは格下相手にイキってただけで、巨大ロボに対してはなす術もなくボコボコにされた上、たまたま運良く他ロボットの反乱が起きたおかげで命からがら逃げ出せただけという「いや、お前ら何もしてねーじゃん」という事実は変わらないため、結局はこの流れのままだとどう足掻いても盛り上がりはしないという。なんでこんな流れにしたんですか?

 というわけで総評ですが、ロボットたちのCGクオリティ自体はほぼ文句なしレベルで素晴らしいものの、ハッキリ言ってそれだけしか強みがない作品です。ストーリーは終盤手前くらいまでは、まあツッコミどころとか雑なところとかもちらほらあるけど、ギリギリ可もなく不可もなく程度の出来栄えだったのですが、終盤では「タイタンも出撃し、ここから最終決戦だ!」という1番盛り上がるはずの部分で完全にやらかし、無事消し炭に
 また、戦闘描写は棒立ち銃撃戦を筆頭に違和感だらけで、ゲーム経験皆無の人同士がプレイするFPSの対戦動画を見せつけられているような気分でした。「(B級映画レベルで見た時に)クオリティの高いロボが動くならもうなんでも良い」という人以外には、あまりお勧めできない作品です。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
よければ、気軽にコメントしていってね

>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊