配給:コンマビジョン、あっ……(察し)
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 アメリカ
- 製作 2018
- 販売 コンマビジョン
あらすじ
全人類、虫の息。
元メジャーリーガーだが今や落ちぶれる一方のジョニーは鬱屈した日々を過ごしていた。
(Amazon商品ページより引用)
そんなある日、突然変異によって巨大化した殺人ゼミの大群がロサンゼルスを襲撃、平和な街は大パニックに陥ってしまう。
生まれ故郷を守る為、ジョニーとその仲間たちは米軍ですら歯が立たない最強セミ軍団の退治に乗り出す事に。
人類とセミの最終戦争《セミマゲドン》が今始まる!
予告編
ストーリー | C |
キャラクター | C |
セミの質 | D |
設定 |
D |
総合 | C+ |
良い点
- フラッシュムービーみたいなノリのクソ雑CGが懐かしさを想起させる
- 意外にもストーリーはしっかりしているので、割と飽きずに見られる
悪い点
- 多少、爆発力には欠ける
クソ雑魚CG映画請負人こと、コンマビジョンが放つセミ映画です。人間の頭よりデカくなったセミが、大量に押し寄せてきて街中の人々を襲いまくる作品。CGのクオリティはフラッシュムービーレベルですが、ストーリーが結構しっかりしており、セミの襲撃シーンもかなり盛り込まれているので、意外にも飽きずに見られました。反面、セミの襲撃の仕方にバリエーションが少なく、多少爆発力には欠けるかも。
ともかく、クソCG耐性のある方には、結構オススメの作品です。
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今作ですが、終末セミセミパニック映画です。セミのモンスターパニック映画は、多分初めて見ました。それでは早速、今作の詳細な内容を見ていきましょう。まず良い点は、雑さが爆発しているCGのクオリティと、意外としっかりしたストーリー展開です。
まずはCGについて。これについては予告編を見てもらうのが1番早いと思うので、上記の動画をぜひ見ていただきたいのですが、今作はコンマビジョンお馴染みの、クソみたいに雑なCG(+模型)を使ったモンスター映画となっております。
肝心のセミのCGについてはお粗末さ加減が極まっており、立体感が皆無で、平面のセミがブンブン飛んでくるだけのシーンが大半。また屋外のシーンでは、画面上のどこかしらには雑にセミを漂わせておくレベルのヤケクソっぷりで、かつ、セミが襲いかかってくるシーンも豊富に用意されているため、単純にセミが画面内に映っている時間が長い。そのため、雑なクオリティのCGゼミを、満足行くまで存分に堪能することが出来ます。
そして、そんなセミに襲われて人が死ぬシーンが、なんか10年以上前に流行ったグロ系フラッシュムービーとかで見覚えがあるようなクオリティをしているのも特徴。例えば、首だけがちぎれてスィーっと飛んでいく(明らかに合成)、顔が膨れて爆発する(無駄にグロい)、雑に四肢がもげるなど、どこか懐かしさすら感じる演出に心を動かされます。おもしろフラッシュ倉庫とか見てた20代後半の人には、結構刺さりそうな演出だと思いました(小並感)。
その他、血のエフェクトを画面上にベタ貼りで処理しているシーンも多いため、人間の動きについて行けずに血飛沫がずれる、なんて細かい見所さんもちらほら。これら隙のない雑っぷりに、逆に好感が芽生えてきます。
さらにセミだけでなく、今作は屋外を舞台とした撮影シーンのほぼ全てをクロマキー合成に頼っており、実際に屋外で撮影されたであろうシーンはほとんど見当たらないのも特徴。結果、背景からはセミだけでなく、人物すら切り抜き合成感丸出しで明らかに浮きまくっており、終始画面上の違和感がすごいことになっています。
またCGだけでなく、小学生が夏休みの工作で作ったみたいなセミの雑模型もちょこちょこ登場するため、アナログ、デジタルそれぞれの方面から安っぽさを展開してくるという隙のない布陣。そのため、今作はこれ一本で、各方面に渡る全力全開の安っぽい演出の魅力を、終始存分に味わうことが出来ます。
なお、これが肌に合わなかった場合、終始地獄なのは言うまでもないでしょう。
続いて、ストーリー。演出面は雑っぽさがとんでもないことになっている今作ですが、反面、意外にもストーリーはしっかりしており、そのおかげでかなり見やすい作品となっているように感じました。
セミの発生源をかるーく説明したところで、キャラ紹介を簡潔に済ませつつ、とっとと巨大ゼミの大発生→人間への襲撃を描き、街中でのパニックシーンへパパッと突入。その後、主人公たちをあっちやこっちへ移動させて小イベントを挟みつつ、最後にはセミ軍団との簡易決戦、そしてオチへ……という、なかなかに安定感のある構成となっています。
しかも、平凡で単調な展開かと思いきや、最終局面では「セミどもは交尾すれば死滅するので、放っておいても当面の危機は乗り切れるが、それだと幼虫が孵化する17年後、また同じような惨劇が起こる」ということを危惧した主人公が、自身を犠牲にしてでもセミどもを殲滅してやる、と漢気を見せるシーンなど、ちょっと燃える展開も盛り込まれていたりして割と話が盛り上がり、なかなか良かったと思います。
これに咥え、モブがセミに食われるシーンを話の合間合間に挟むことによって定期的に見せ場を確保しつつ、(クソ雑演出を除いては)展開上悪ノリが酷すぎる部分もかなり控えめになっていました。かつ、長引きそうになるダルい会話シーンなども抑えた配分となっているため、それら総合的に考えるとこの手の雑さを売りにするタイプの映画としてはかなり見やすく、飽きずに視聴できました。それでいて、かなり強引なこじつけ設定などもちょいちょいあるためツッコミどころはシッカリと確保されており、「ツッコミながら見る」という楽しみ方もちゃんと出来るように調整されています。
というわけで、良い点は以上です。続いて悪い点ですが、これは多少爆発力に欠けることが挙げられるでしょうか。
まずなによりも気になったのは、セミの襲撃パターンの少なさ。基本的に、
- 人間の首筋にかぶりつく→倒れる
- 人間を空中に連れ去る→身体の一部をもぎ取る
の2種類が大半です。そのため、襲撃シーン、虐殺シーン自体は多々あるものの、あまり代わり映えしません。出てくるのはサイズが同じセミのみ、そして襲撃パターンも単調とくれば、途中で見飽きる可能性は割とあり得るでしょう。この辺は、同じコンマビジョンの雑演出作品である「BAD CGI SHARKS 電脳鮫」や「必殺! 恐竜神父」に比べると、少し見劣りする部分に感じました。
と言うわけで総評ですが、アナログ、デジタル両面において溢れる雑演出を存分に堪能できつつ、それでいてストーリーはモンスターパニックとして意外としっかりしているので、その手の演出に耐性があるなら割とオススメの作品です。反面、セミの襲撃をはじめとした演出は少々単調気味で、ぶっ飛んだ展開も控えめなので、人によっては多少物足りなさを感じる部分もある──かもしれません。まあ、この単調な襲撃シーンが癖になる、という側面もあるので、一概に悪いとは言えませんが……。
また余談ですが、今作はエンドロールのバックに撮影時のメイキング映像が流れるのですが、主要キャラの方はもちろん、一瞬で死亡するモブの方も含め、撮影時の雰囲気は和気藹々でとても楽しそうだったのが印象的で、見終わった後にほっこり出来ました。こういうの、もっと増やしてもええんやで。
今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。よろしければ、お気軽にコメントしていってくださいね!