「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ZOOM 見えない参加者 のレビューです(総合評価C+)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 
本編70分(内、無駄垂れ流し映像10分)という脅威のコンパクトさを誇る、全編がPC画面上で展開されるオンラインホラー映画のレビュー、始めます

 最後の無編集垂れ流し映像いる?
 と思ったけど、Filmarksとか見てたら意外といる派もいてビビった

 それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 イギリス
  • 製作 2020
  • 販売 ツイン

あらすじ

新型コロナウイルスでロックダウン中のイギリス。6人の友人グループはロックダウン中も週に1度はZoomを介して定期的に集まろうと約束を交わす。ある時、グループの1人、ヘイリーが霊媒師をゲストに招き、みんなで「Zoom交霊会」をしようと提案する。メンバーはヘイリーの新しい提案にのり、いつもの飲み会のノリで和気あいあいと交霊の儀式を始める。部屋の照明を落とし、ろうそくを用意して、霊媒師の先導で進行していたが、そのうちそれぞれの部屋で異変が起こり出す。霊媒師は除霊を試みたが効果はなく、不気味な現象は次第にエスカレートしていく。彼らは暗闇に潜む何かから逃れることができるのか-?!

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
ホラーの質
設定
総合 C+

良い点

  • 短く綺麗にまとまっていてサクッと見られる
  • 中盤、霊が出て来始めのあたりの描写はいい感じに怖い

悪い点

  • 後半のホラー描写はよくある感じでホラー感が薄い
  • ラストの10分間リハーサルシーン垂れ流しが邪魔で冷める

 友人たちとオンライン会議で降霊術を試す、という設定の、話が全編PC画面上で展開される映画です。発想的には、アンフレンデッドなどの映画がもうやっているので、特段目新しさはありませんが、コンパクトにすっきりまとまっておりなかなか楽しめました。時間も短いので、結構オススメです。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 何を差し置いても、映画時間が69分、うちラストの10分間のおまけ垂れ流し映像を除けば、本編自体は60分未満という脅威のコンパクトさを誇る作品。しかし、この判断は正解だと思われます。

 さて今作ですが、一時期(今も?)、テレワーク等で話題になったzoomというオンライン通話アプリを利用したホラー映画です。その性質上、映画本編が全てzoom上、すなわちPC画面上で展開されることになるというタイプの映画。知っている方には、アンフレンデッドという映画と同じ感じのやつです、と言えば伝わると思います。アンフレンデッド知らないと言う方でも、上記の予告編を見ていただければ雰囲気は掴めるかと思います。そのため今作を見る場合は、1人、かつPCで視聴するのがもっとも臨場感を引き出せる方法かと思いますので、拘る方はそのような視聴方法をお勧めします。

 さて、それでは今作の詳細な内容など見ていきましょう。まずは良い点から。

 今作の良い点は、なんと言ってもそのコンパクトさと、中盤くらいまでのホラー描写はなかなか良い線行っていることです。

 まずは本編全体のコンパクトさについて。先程から何度か申していますが、この映画、本編の時間は1時間ないくらいと大変に短いです。

 まず開幕、この会議への参加者の簡単な紹介を済ませたら、じゃあ霊能者も交えて早速みんなで降霊術を実践しようぜ、というシーンへスムーズに移行する。もうこの時点で実にグッドです。そして、毎度お約束の「霊が来たと思ったら参加者のおふざけだった」的なノリが入るのですが、実はそんなおふざけをしたせいで悪霊に付け入る隙を与えてしまったのだ、と後半の霊障に対する説得力を持たせる設定になっているのも良き

 とまあこんな具合で、そのまま心霊現象シーンへと突入していくことになるのですが、この本格的な霊障がスタートするまでの時間が映画開始から25分と、かなり早めなのが嬉しいポイント。その他の90分映画なんかだと、なんやなんやあって降霊会開始するまでに30分以上、そして本格的に霊がでるのはそこからさらに先──という作品も多い中、この無駄なものを省いたコンパクトさは評価に値します

 またお話自体も、zoomで降霊術をやってみたら、霊をおちょくってふざけたバカがいたせいで悪霊を呼び寄せてしまい、参加者が次々と死んでゆく……というだけの大変シンプルなもの。そのため、ややこしいこととか小難しいことを何も考えずに、なんとなくホラーな気分の時にサクッと見られる作品に仕上がっている、というのも高評価ポイントでした。

 ですが、これだけコンパクトにまとまっているとは言え、肝心のホラー描写がクソではお話になりません。しかしその辺、今作は割とちゃんとしています。
 今作のホラー描写は、本格的に霊障がスタートする中盤から、死人が続出する手前くらいにかけてまでがピークです。この辺は、なんかヤバいことが起こり始めて、ここからどんな形で霊が出てくるのか、またどこからどう襲ってくるのかとドキドキしながら見られる部分でもあり、ここの出来はなかなか良かったと思います。

 特に、ZOOMによるオンライン通話特有の見せ方を工夫しているのが良いですね。自分はzoomやったことないんで詳しくは分からないんですが、なんか「顔認証を使ってその人物の顔にフィルターを被せたりする機能」があるっぽいんですけど、それが何もないはずの中空に反応し、「そこに何かいる」と分かるところなんかは、なかなか面白いなと思いました。また、自分の通話画面の背景を好きな画像や動画に設定できる機能もあるっぽいんですけど、その背景用に用意した自撮り動画が勝手にループ再生し始め、その合間合間に一瞬だけ血まみれの参加者が映る、なんかの演出も結構面白かったです。
 さらに、参加者個人の画面と、参加者一覧表示の画面を切り替えながら映画を進めていく中で、画面上のあちらこちらに異変を映していくことで、視聴者の注意を色々な部分に向けさせるような作りになっていたのも良かったと思います。

 反面悪い点としては、後半に入るとホラー描写もパターンが掴めて来て物足りなくなること、そしてラストの無駄垂れ流し映像が挙げられるでしょう。

 まずホラー描写。先ほど、だいたい中盤くらいまでのホラー描写は悪くないと申しましたが、終盤、参加者がどんどん死去してゆく展開に突入して以降は大変に微妙。特に1人目が死んで以降は、割と順番に1人ずつ、しかもかなり順当に死んでいくだけのよくある感じのやつになるので、全然怖くなくなります

 まだ参加者が揃っている段階だと、次は誰のところに心霊現象が、とドキドキも出来たんですが、後半はマジで「次こいつか」という人がどんどん死んでくだけで意外性もない。そして死に方も、空中に持ち上げられてビタンビタンされたり、見えない何かに引きずられて行ったりなどこれと言った捻りもなく、どっかで見たことあるような、よくある平凡なホラーに終わってしまったのは残念でした。霊が出てくるタイミングなどもありがちなため、「来るかな?」というタイミングでベタなものがしっかりと出てくる感じも微妙。その分、時間の都合もあってか、かなりサクサクと在庫処分のごとくお亡くなりになっていくので、飽きずには見ていられるのですが、面白みや見どころには欠けますね。

 また本作は、スマホなどを用いず全員パソコンでの参加となるんですけど、これがまたよくない。例えば物音がしたりすると、「ちょっと見てくる」と言いつつ、みんながみんなノートパソコンを片手に持って移動し始めるのですが、その絵面を想像してしまうと違和感がすごい。「1人で見にいくのは怖いから」という理由だとしても、場所移動前提の話で作るんならスマホでよくないですか? 正直、設定をスマホに変えるだけでも、かなり違和感が軽減できると思うんですが。どいつもこいつも「この怪異中パソコン持って動いてるのか」と思うとちょっと笑えてしまうんですよね。しかも、開幕スマホモードへの切り替えができることを示しているシーンがわざわざ入れてあるんだから、移動時はスマホに切り替えるなり最初からスマホでやるなり、なんかすれば良いのに……とは思いました。この手のPOV作品だと「なんでそんなギリギリの状況で撮影続けてんの?」というツッコミは終始付き纏う問題ですが、今作はそれに加えて「いやいくらなんでもパソコン持って動かんだろ」という疑問が頭にチラつくので、そこは勿体無いと思った。

 そして最後の問題です。この映画は、短めだがセンスに溢れるスタッフロールが流れ、本編終わったなぁ、となった後に、「あの、これ実際のリハーサル映像なんだけどさ、なんか心霊現象映ったんですよ! 見て見て!」というノリで、なんか無編集の映像を10分間ほど垂れ流してきます。いやぶっちゃけ、本編終了後にこんなガチなのかヤラセなのかも分からないクッソしょーもない映像を、10分間垂れ流しで見させられても、「は、はぁ……」と言わざるを得ないですよこっちとしては。しかもこれがもう、別にそんなどえれーものが映り込んでいたわけでもなく、「いやこれ本編時間に入れるほどのもんちゃうやろ……」という程度のもの。まあ賛否はあるかと思いますけど、私はこの垂れ流し映像が入ってるせいで、映画本編の余韻が台無しになってるように感じました。いやマジで、こう言うのは特典映像なりメイキングなりの本編外でやってくれ。低予算映画だから特典映像とかつけれんし、とかいう事情があるんなら、せめてYouTubeなりなんなりでやってくれ。無理やり本編として入れるな。
 もし、もしどうしても本編にねじ込みたかったとしても、この映像バックにエンドロール流すとか、最低限そう言う工夫はしてくれ、とめちゃくちゃ言いたかったです。仮に本編が良かったとしても、終わりが「何これ?」って映像で締められちゃったら、映画の視聴後の感想も「何これ?」に引っ張られてしまうので、こういうのは本当にやめてほしいと思った。

 まあ、最初にも書きましたが、Filmarksとかの映画レビューサイトを見ていると、ここも良かった、という人もいらっしゃったので、こういう演出嬉しい、という人には好材料かも知れないです。私はガチでいらないと思う。

 総評ですが、まあホラー演出、キャラ、設定、だいたいの要素が及第点くらいと、結構平凡寄りのホラー映画なのですが、なによりも本編時間の短さから来るコンパクトさのおかげで、ちょっと軽くホラーな気分の時にサクッと見られるのが強みになっている作品だと思います。ホラー描写も、人が死に出す終盤はこれといって面白みもないですが、中盤あたりのクオリティは結構光るものがあり、全編通して大変ちょうど良い具合。

 また、PC画面上での展開というその性質上、登場人物よろしく遠方の友達と通話しながら、PCで同時視聴してみる、なんて見方も面白いかもしれません。アマプラにはパーティー視聴の機能もあるので、それ使ってみんなで一緒に見るというのも楽しいかもですね。使ったことないけど。
 本編時間も短くサクッと見られるので、なんとなくホラーな気分の時にどうでしょうか。致命的に残念な点もなく大変見やすいので、十分良い暇つぶしになる映画だと思います。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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