ゾンビ映画単体として見ると、結構良い出来なんですけどね。
まあ、シャークネードも1作目は結構大人しかったし……
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 アメリカ
- 製作 2019
- 販売 トランスフォーマー
あらすじ
美しい孤島の静かな海で地震が発生。仲間のレイたちを乗せて海に出ていた船乗りのハンターは、揺れが収まった直後、釣り竿に大きな獲物がかかったことに気づく。レイが慌ててリールを巻くと、それは巨大な魚…ではなく、なんと1体のゾンビだった! 負傷者を出しながらも、何とかビーチへ逃げ帰った彼らだったが、海にはさらに無数の不気味な影が見える。さらにその時、不運にも地震の影響で大津波が発生。海中を漂う大量のゾンビを乗せた大波が、平和な町を襲おうとしていた…。
(Amazon商品ページより引用)
予告編
ストーリー | C |
キャラクター | C |
ゾンビの質 | C |
設定 | D |
総合 | C+ |
良い点
- ストーリー展開について、飽きさせない工夫はちゃんとされている
悪い点
- 津波要素が色々としょぼい
- とにかく各要素が普通どまりで、飛び抜けて良い部分がない
良くも悪くも、可もなく不可もなくな印象が強い作品です。ゾンビ映画として見るとなかなか悪くない出来ですが、どうしても頭に「シャークネード」の文字が浮かんでくると物足りなさが際立つ作品。
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サメで大成して、「じゃあ、今度はゾンビやってみよう!」というチャレンジ精神は純粋にすごく評価したい。
さて今作ですが、ゾンビが波に乗って襲来してくる、という内容のトンデモゾンビ映画です。その見た目以上にツッコミどころはかなりあり、津波の威力舐めすぎだろとか、設定に反して海からゾンビ湧きすぎだろとか、どう考えても発生したゾンビ数に比べて討伐したゾンビ数少なすぎて全然解決になってないだろとか、なんで都合よく2回も津波起きるんだよとか、まあ他にも設定に関して言いたいことは色々あるんですけど、その辺言い出したらキリがないです。かつ、「シャークネードの監督が作った映画」と聞いて、綿密な設定とかを求める層はそもそも見ないと思うので、あえて今回はこのへんはスルーさせていただきます。
さて、それでは早速、詳細な内容を見ていきましょう。まずは良い点から。
今作の良い点は、飽きさせない工夫が垣間見えるストーリー展開です。
今作見ての通り、「ゾンビが津波でやってくる!」というトンデモバカ映画感丸出しの作品。必然、これに釣られてくる視聴者が見たい内容なんて限定されてくるわけですが、製作側は開幕から「その辺、よく分かってるな」というストーリー運びをしてくれます。
まず、最初のゾンビ登場までがまさに爆速。キャラ紹介も早々に、主人公一行が海上で釣りをしてたら、魚の代わりにゾンビがかかる、という滅茶苦茶スピーディー、かつ強引な幕開けを見せます。そしてそのまま、今作1番の見せ場となるであろう、ゾンビを乗せた津波が襲いかかってくるシーンにスムーズに突入するなど、序盤から一切の出し惜しみをしません。
その後は町にゾンビが溢れかえるため、普通のゾンビ映画みたいな感じになって行くんですが、主要人物をビーチ、市場、病院、と場所をばらけて配置させ、各人物たちの様子を切り替えながら映していきながら、中盤から終盤にかけてどんどん合流させていく、という手法を取って来ます。そのため、ステージや場面、絵面の切り替えが頻繁に起き、ダラダラしたシーンが少ないことも手伝って、かなり飽きにくくなってます。とにかく登場人物たちが、基本次の目的に向けてどんどんと動いていくこと、そして主人公が救出のために各地を回る関係上、絵面の固定化も起きないため、話が進んでいると言う実感が得られるのは良いですね。
また、定期的に各地でのゾンビとの戦闘も盛り込まれているため、これもなかなか楽しめます。その戦闘の中には、粉砕器にスタイリッシュにゾンビ放り込んでいったり、電撃を複数体にお見舞いしたり、ラストに強いゾンビとの素手タイマンバトルを入れたりと、これまた絵面の単調さを避けた遊び心も多めの調整となっており、主人公が中二病ナイフを手にゾンビを倒していくシーンなんかもカッコよくて良き。この辺は、さすが経験の豊富な監督だな、といったところ。
というわけで、良い点は以上です。続いては残念だった点を。今作の悪い点は、まず津波要素がとにかくしょぼいこと。そして、良くも悪くもちょっと普通すぎる、ということです。
まずは肝心の津波要素について。今作、そのコンセプトが「ゾンビ×津波」である以上、津波要素にも期待が高まるのは必然。一体ストーリー中で、ゾンビと津波をどう融和させ、物語を展開させてくるのか……それが楽しみで視聴したところもあるのですが、ぶっちゃけ今作における津波、とにかく色々としょぼいです。
まあ百歩譲って、ビーチで津波に襲われたのに負傷者ほとんどいないとか津波の威力舐めすぎだろ問題には目を瞑るにしても、今作の津波は単なるゾンビの輸送係としての役割しか担っていない、という点が大変に残念なポイント。今作では計2回、津波が発生することになるのですが、そのどちらもが単に陸上へとゾンビを運んでくるだけの装置にすぎないのです。
まあ、1回目はまだ「ビーチに津波が襲いかかる」という描写があるだけマシな方で、2回目なんかは津波が街を飲み込んだりとかそういう描写すらなく、単純に「津波がゾンビ連れてきたせいで、またゾンビの数が増えたね」という程度の扱いにとどまるため、この部分は本当に拍子抜けしました。
シャークネードの方は、「サメを何とかするのももちろんだが、同時に竜巻も何とか止めないと」というように、「対サメ」と「対竜巻」、二つへの対処を同時に迫られる、という構成になっていたので、どちらもが主役級の脅威として存在感を放って君臨していました。しかし今作では、津波は自然発生したゾンビ運搬係以上の意味を持たないため、「ゾンビの発生源を潰す」ことに全力が注がれ、中盤以降、津波は完全に空気と化しています。ぶっちゃけ津波という要素を丸々消して「単にゾンビが海から上がってきた」という展開にすり替えても、話自体はなんの問題もなく成り立ってしまう。これが大変に残念でした。
そんな感じなので、序盤のゾンビ津波襲撃シーンが終わった以降は、陸に上がってきたゾンビと戦いながら突破口を探す、というごく普通のゾンビ映画みたいな展開になるため、コンセプトの割には良くも悪くも展開が普通すぎるんです。先述の通り、ストーリー自体は飽きさせない工夫がされてはいるものの、津波要素を上手く活かせていない上に、期待を上回るような展開もなく流れ自体はかなりありがち。キャラクターも、屈強な主人公だけはギリギリ魅力的ではありますが、その他大勢は掘り下げ不足で可もなく不可もなく、という感じで、特別印象に残るキャラはいなかったかな、と思います。とにかく、軒並みの要素が可もなく不可もなくな印象が強く、今一つ物足りなさを感じました。
というわけで総評です。監督どころか、主演の俳優さんもシャークネードからの続投であるため、どうしてもあの作品が頭によぎってしまい物足りなさを感じてしまうんですが、単体のゾンビ映画としては結構スッキリまとまっていてなかなか楽しく見られるため、全然悪くはありません。様々な工夫がされているため、特に飽きを感じることもなく、気が付いたら映画が終わっていました。その辺は良かったんですけど、ただやはり、ゾンビ×津波と銘打ったからには、津波の扱い方はもっと丁寧に、見せ場を作ってあげてほしかったです。現状、津波がなくても話が成り立ってしまうので。
見た感じ、続編も全然作れそうなストーリーではあるので、できればそちらに期待したいところ。シャークネードも2で大化けしたので、こちらも期待したいですね。まあ、あるかは未定ですが……。
今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。よろしければ、お気軽にコメントしていってくださいね!