「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

モンスターパーティー のレビューです(総合評価B-)

(画像:ゲオオンラインより引用)
 
盗みに入った富豪宅が殺人依存症集団の巣窟だった映画のレビュー、始めるわ

盗人くんいつもいつも入った先の家で散々な目にあってかわいそう(小並感)

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 アメリカ
  • 製作 2018
  • 販売 プルーク

あらすじ

空き巣で小銭を稼ぐキャスパー、友人のアイリス、その彼氏ドッジの3人組。ある日、キャスパーはギャンブル依存症の父親が抱えた多額の借金を返済するため、2人に大胆な犯罪計画を持ちかける。それはアイリスが給仕を務めるバイト先の豪邸・ドーソン家の大金を盗むというものだった。犯行日当日、ドーソン家で開かれるパーティの給仕係として潜りこんだ一同だったが、その日のドーソン家では何やらワケありな面々がゲストとして招かれていた…。そんな中、家主とゲストたちの隙をついて奔走していたドッジが、ドーソン家の息子エリオットに突然撲殺されてしまう。異常な事態に慌てふためくキャスパーとアイリスだったが、ドーソン家やゲストたちはドッジの死体を見ても冷静な様子。今回開かれたドーソン家のパーティ参加者は、【殺人依存症】の克服を祝うために集った面々だった。しかし、エリオットの殺人によりそれぞれが抑えていた殺人衝動が爆発寸前に!殺人鬼=モンスターだらけの豪邸に閉じ込められた2人はこの窮地から抜け出すことができるのか!?

ゲオオンラインより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
スプラッターの質
設定
総合 B-

良い点

  • スプラッター描写の質が高い
  • ちょこちょこと見所や盛り上がりがあり飽きない

悪い点

  • 物足りない部分が割とある

スプラッター映画としてのクオリティはなかなかで、人体破壊描写などは結構しっかりとやってくれているため満足度の高い作品です。若干物足りない部分もありますが、ややこしい展開や難解な設定などもなく、割と頭を空にして楽しめるため暇つぶしに最適。

 
ここから下のレビューには、ネタバレを含む場合があります。未視聴の方はご注意ください!
ここをクリックしてレビューを表示

 ミッキーいる?

 さて今作ですが、もはや定番になりつつある盗人VS異常者映画、今度はVS殺人依存症編です。

 ストーリーについてはあらすじ通りで特質すべきこともないので、早速詳細な中身について見ていきましょう。まずは良い点から。

 今作の良い点は、スプラッター描写のクオリティの高さと、なんだかんだ最後まで飽きずに見られると言う点です。

 今作、その設定を見ても分かる通り、どっちかというとシリアスよりもコメディ寄りなんですけど、見せ場であるスプラッター部分の出来はかなり良好。撲殺などによる人体破壊描写は抜け目がなく、顔面などをしっかりボコボコのグチャグチャにしてくれるのでなかなか見応えがあります。また、刃物で切りつけた時の手首ポロリや、臓物ボトボトなどの描写もあるので、きちんと教育的に相応しくない内容に仕上がっていました

 また今作、要所要所に見せ場や盛り上がりがちゃんとあり、見ていて最後まで飽きないのもポイント。スプラッターシーンまでの道のりは特段短くはないのですが、そこに至るまでの前半と、殺人集団から逃げる後半の展開それぞれに見せ場があり、引き込まれます。

 前半は空き巣に勤しむ主人公たちの紹介と、ほぼ無計画で富豪宅への盗みを働かなければならない理由の説明を端的に描写。特に、導入部の空き巣シーンはなかなか緊張感の連続で、開幕からグッと心を掴んできます。そこから富豪宅にパーティーのバイトとして潜入するのですが、どうも彼らには不穏な空気が漂っており、何かがおかしい、という不気味な感じをよく表現しています。

 そしてそこから、話は本番のスプラッターシーンへ。盗人主人公グループ3人組の1人が、殺人衝動に駆られた富豪に殺されたことをきっかけに、状況は一気に加速。以降は、シャッターで閉ざされた富豪宅内で、命をかけた鬼ごっこが始まります。主人公2人組(+協力者)に対して、パーティー参加者の面々は殺人衝動に駆られる異常者なので、人数比的にそうぽんぽん殺しが起きるわけではありませんが、それでも一つ一つの殺害シーンはクオリティがなかなかに高く楽しめます。また、妊婦という最強クラスの生存フラグをへし折ってヒロインがあっさり退場する展開など、意外性もありgood. テンポがめちゃくちゃいい作品、と言うわけではありませんが、要所要所に入る見せ場とスプラッターの出来に支えられ、飽きることなく完走できるのは明確な強みです。

 このように良い点に恵まれる今作ですが、一方では多少物足りない部分も残る、という弱点も抱えます。

 1番顕著な物足りなさは、今作特有の設定をイマイチ活かしきれていないことでしょうか。この映画は単なる殺人鬼集団が相手なのではなく、「殺人依存症を抱えながらも、それを克服しようとする人々」が相手となります。作中では、この殺人依存を酒に例えて説明されており、ようはアル中が飲みたくて飲みたくて堪らないのと同じような感じらしいです。そんな欲求を何年も抑えて暮らす彼らですが、ついに1人が衝動を抑えきれなくなってバイトの1人を手にかけた事から、一気にタガが外れたように欲望が爆発。主人公たちに襲いかかる……というストーリーなのですが、この「殺人依存症集団が、一つの殺しをきっかけに欲望が暴走する」という部分。設定こそ良いのですが、実際の描写ではかなりサラッと流されてしまっています

 というのも、このパーティー参加者の殺人依存症集団、実際は比較的まともな人とかなりブッ飛んでる人で二極化されてしまっているのです。ヤバいやつはもう事件起きる前から明らかにヤバい雰囲気醸し出してますし、比較的振る舞いがまともな人は、殺人発生後も主人公たちを助けたりとかなりまともなんですよ。そしてこの立場が基本変わることはなく、最初の殺人勃発直後からまともな奴はまともなまま、ヤバいやつはヤバいままで話が進行していきます。

 折角全員が殺人依存症という設定を用意したのですから、この部分はもう少し上手く見せて欲しかったと思わざるを得ません。それこそ最初の殺人をきっかけに、一見まともそうに見えた人が、血の匂い、肉の切れる音、被害者の歪んだ表情や悲痛な叫び声、鮮血に染まるナイフなどを見てあの日の衝動がフラッシュバックし、感情ではいけないと思いつつも欲求を抑えきれなくなって、押し込んでた感情が爆発する──そういう描写が見たかった。現状だと、全員殺人大好きだけどそれを抑えて生活している、という面白そうなバックボーンを用意したのに、結局ヤバそうな奴がヤバいだけで、まともそうな人はまともなままなので、イマイチな印象を抱いてしまいます。この設定なら、主人公たちに協力してくれていた人も、過去の殺人の衝動を抑えきれなくなって──みたいな展開があっても良かったんじゃないかとは思います。

 他にも、やっぱり殺人シーン自体は多くないってこととか、中盤にいきなり出てきていきなり退場した化け物なんだったのとか、ラストシーンちょっと雑じゃないかとか、まあ言いたい事は幾つかありますが、やはり1番気になった部分に比べればさしてな問題でした。

 というわけで総評ですが、飽きずに見られるストーリーにハイクオリティなスプラッター描写など、高評価なポイントはしっかりある一方で、ちょっと物足りなさも残るかな、という印象の映画です。ただし、難しい設定や難解な展開などもなく、頭を空にして見るのには最適クラスの映画なので、まさに暇つぶしにピッタリな作品です。スプラッター好きな方など、いかがでしょうか?

今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。
よろしければ、お気軽にコメントしていってくださいね!

>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊