「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ファンハウス 殺戮の監禁部屋 のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)
視聴後のワイ
なんやこれ微塵も面白くないやんけ! こんなん酷評不可避やろ!!!
ネット上意見1
大満足
ネット上意見2
普通に面白かった
……………

 いや、普通に酷評というか、マイナス寄りの意見もかなりありましたが、割と賛否分かれてるのが驚いた。ワイの感性がイカれたかと思った。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 スウェーデン、カナダ
  • 製作 2019
  • 販売 ギャガ

あらすじ

落ち目の歌手キャスパーは、ある日ファンハウスに招待される。
“ファンハウス”とは、隔離された空間で共同で暮らす男女の様子を生配信するリアリティ・ショーで、キャスパーは世界中から集められた7人のC級セレブと優勝賞金500万ドルをかけて参加する。
共同生活は刺激的で充実しているかのように思えたが、最初のチャレンジで1人が残酷に殺されると楽しい時間は一瞬にして惨劇へと変わった。
最後の1人になるまで続けられる恐怖の殺人ゲームはやがて視聴者をも巻き込み予期せぬ方へとすすんでいき――

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
スプラッターの質
設定
総合

良い点

  • 一部スプラッター描写やゲーム内容など、光る部分はある
  • リアリティー番組とか好きなら面白いかもしれない

悪い点

  • キャラクターに軒並み積極性がなく盛り上がらない
  • 後半以降は展開もかなり雑になってくるためとにかく萎える

 一部スプラッター描写等含めて良い点も間違いなくあるんですけど、悪い部分の方が圧倒的に目立つ作品でした。話のテンポも悪くてだんだん飽きてくるのに咥え、後半は主催者が自分で設けたルールを破って好き勝手し出すので、それにとにかく腹が立つ。
 良くも悪くも他のデスゲームものとは雰囲気が違い、これが刺さったという方もちらほら見受けられたので、興味をそそられたら試聴してみても良いやもです。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 微塵も面白くなかった(直球)

 さて今作ですが、集められた全7名の有名人が共同生活を送る様を全世界生配信しているリアリティ番組、ファンハウスを舞台にしたデスゲーム映画です。参加者たちは優勝賞金500万ドルを懸け、視聴者投票で上位を目指すのですが、投票数最下位となった参加者は、命をかけたゲームに挑まさせられる事を、まだ誰も知らない──的なやつ。
 つまり今作の流れは、

  1. 参加者による日常生活パート
  2. 視聴者投票
  3. 最下位が罰ゲーム
  4. 成功すれば生還、失敗すればルーレットを回して死に方を決める(1マスだけ生存マス有)
  5. ワンセット終了。以下、ループ

という感じで進行していきます。視聴者による投票の結果即死するわけではなく、そこから一度運営が用意したデスゲームに挑み、さらにその結果負けても、最後にルーレットを回して1マスの望みに賭け、それでもダメならやっと死亡確定、という感じになっております。ルーレットについてはうろ覚えなんですが、確か死亡が16〜20マスくらいに対して生存1マス、という感じのバランスだったと思います。

 さて、大まかな解説も済ませたところで、早速本題に入りましょう。まずは今作の良い点から紹介します。

 今作の良い点は、一部スプラッター描写やゲーム内容など、光る部分はちゃんとある、という事です。

 先に述べた通り、今作は(死人が出るまでに若干回りくどい工程は踏みますが)デスゲーム映画に分類されるため、ワンゲーム終わるたびにバッチリ死人が出ます。そして幸いな事に、この肝心要のゲーム部分、および処刑実行シーンのクオリティについてはなかなかしっかり出来ているものもある、というのは嬉しいところ。

 良かった点を抜粋すると、ゲーム部分については暗闇タイマンデスマッチと、格闘家タイマンデスマッチがツートップ。前者については、人気投票で見事ワースト1位、2位を獲得した人気ブロガーとインスタグラマーが、暗闇の小部屋に閉じ込められ、両手斧を振り回しながら罵倒しあって殺仕合うという、字面だけでもう面白いやつ。
 後者の方は、腕に自信のある格闘家が、視聴者が選んだ殺人ファイターとタイマンで殺仕合うというやつ。アクションの出来自体は可も不可もなく、という具合でしたが、他のゲーム内容が割と地味目な今作において、かなり動きの激しいこのゲームを中盤に持ってきてくれた事には、見せ場の提供的に大きな意義があったと思うため、良かったと思います。

 また、処刑部分については全部それなりに見所でしたが、下半身ドロドロ風呂四肢引き千切りの刑がなかなか良かったでしょうか。この二つは読んで字の如く、ナンタラカンタラ酸が充満する桶の中に下半身をぶち込まれ、ドロドロに溶けてなくなる、というやつと、四肢を繋がれて四方に引っ張られ、やがて腕が千切れるやつです。前者はグロさがグッド、後者は痛さがグッドな感じで、見ていてなかなか盛り上がりました(悪趣味)

 他にも、今作は基本的にグロ描写については結構頑張ってくれており、開幕の刺殺シーンなんかの出来も上々。開幕から期待を高めてくれます。
 また、視聴者参加型デスゲームという特徴があるためか、話の合間合間に外の世界の様子が映るのも良かった。今外の世界ではこの配信に対してどんな反応があって、かつ、なんでこんな大規模な事件なのに警察は止められないのか、ということにも言及はしてくれるため、この辺の臨場感を出すための配慮は◎

 このように、この映画に対してはかなり否定的な私の立場から見ても、何もかもがどうしようもなく酷かったという訳でなく、光る部分自体はちゃんとあった、というのは評価できる点でしょう。

 というわけで、良い点以上です。続いては本題、悪い点を。今作の悪い点は、とにかくデスゲームのセオリーを無視しているせいで盛り上がらない展開、こいつですよこいつ。

 最初に解説したように、この映画は番組視聴者の投票によって脱落者(=処刑対象)が決まるという、リアリティ番組を題材にしたデスゲームが売りなわけなんですが、ぶっちゃけこの1番の特徴を、特長にまで昇華できているかと言われると、ノーと言わざるを得ません。その理由は、リアリティ番組よろしく自分の生死が視聴者からの人気投票で決まるというのに、それを意識して、画面に対して能動的にアピールしようとする輩がほぼ不在だからです。

 これに限らずデスゲームといえば、参加者は自分の知恵を振り絞って、できる限りの力を尽くし、なんとか足掻いて生存への道を探ろうとするのが普通です、なんたって命がかかってますからね。今回は視聴者へのアピールが鍵を握る訳ですから、ある者は善人アピール、ある者は同情を引くためのエピソードを披露、ある者はカメラの前で泣きじゃくり、またある者は気を引くために炎上狙いで過激発言してみるなど、そういうキャラごとの個性を活かしたドロドロのアピール合戦が起きて然るべきでしょう。特に今作の参加者は、落ち目の俳優や不人気歌手、ブロガーやインスタグラマー、YouTuberなど、めちゃくちゃアピール合戦が盛り上がりそうなメンツが揃ってる訳ですからね。しかも、投票から投票までの間が3日も設けられており、仕込む時間はいくらでもあるという設定なこともあり、余計に。

 なんですが、いったい何を考えているのか今作、このアピール合戦がまるで起こらない。それどころか、視聴者を意識した言動をしようとする奴が、ほんの極一部を除いて存在しないのです。全員が全員、どいつもこいつも完全に意気消沈し、お互い慰め合ったり、過去バナに花を咲かせたり、参加者同士罵り合うなどして現実逃避、そんで投票の結果を待つだけという構図が一生続く。中には胸を生見せしたりして興味を惹こうとするインスタグラマーが約1人だけいましたが、その他大勢は黙ってるか嘆いてるか罵り合ってるか主催者に文句言ってるかの現実逃避野郎ばかり。だから、罰ゲーム→現実逃避→罰ゲーム……の繰り返しで、戦略性や生存を賭けた競争感がまるでなく、話が全く盛り上がらないのです。というより、このゲームが生死をかけてなかったとしても、そもそも優勝賞金500万ドルという超大金をかけたゲーム、かつ参加者の中には人気も落ちぶれて金が欲しい奴なんてホイホイいるんだから、もっと勝ち残るための様々な反応があってよさなものですが……。

 かつ、自分が生き残ること=他人が死ぬ事になるため、生存のためのアピールとかはしないならしないで、じゃあ脱出する方法を模索して全員で生き残る努力をしようだとか、視聴者に生殺与奪の権を握らせて、自分たちは結果をただ待つだけのこの現状をとにかくなんとかしようだとか、そういうふうに積極的に動こうとするキャラも約1名(即死)以外不在で、淡々とデスゲームと諦めムード漂う生活シーンが交互に流されるだけで、生きようとする努力をするキャラがほぼいないのです。個人的には、生きる強い意志を持つキャラ不在のデスゲームほどつまらんものはないと思うので、本当に面白く無かった。

 また、後半からは主催者側の暴走も酷くなるのもマイナスポイント。人気投票に敗北した場合でも、その後執行される罰ゲームに勝利したら、脱落することなくショーに戻れる、という設定があるのですが、先にご紹介した格闘家タイマンデスマッチのゲーム、なんと格闘家のキャラは見事タイマンバトルに勝利し、ゲームに勝つんですよ。なんですが、その後主催者の気まぐれで、今度は殺人ファイターを3人同時にけしかけられるという必敗の勝負を持ち出され、結果ボコボコに撲殺される、という、主催者自らが特大のルール違反をかまします。

 この、そもそも主催者がルールを守らないという展開は、本当にデスゲーム系で1番萎えるんですよ。だって、どれだけ頑張っても結局主催者の気分一つで殺されるんじゃ、そもそもゲームとして成立していないからです。だから私は、このタイマンデスマッチの時点で、この駄作に対する興味を完全に喪失しました。

 他にも、主人公とヒロイン(仮)が、それまで全然いい仲になる伏線とかなかったのに、最終日前に一晩寝ただけでお互い謎の愛情が芽生え、最後のゲームで2人同時に自殺を選ぶ、とかいう安易な感動展開にもさらに萎えたりだとか、最後の大オチである、生き残った1人と主催者が実はグルだった(もしくはゲーム終了後恋仲になった)とかいう、なんの捻りも意味もない展開にイラッとさせられるなどもあり、後半はとにかく酷いです。特に、主人公とヒロイン自殺以降の展開については、「おっ、そうきたか!」と思わせたかったんでしょうけど、ぶっちゃけ陳腐になるだけで逆効果です。ハッキリ言って、格闘家タイマンデスマッチ以降の展開はマジでゴミです。見る価値なし。

 というわけで総評ですが、まあ確かに一部ゲーム内容やスプラッター描写など、光る部分自体はちゃんとあり、そのこと自体は大変喜ばしいことなんですけど、ダメな部分がとにかくダメ。特に、生き残るために足掻こうとするキャラが不在なことと、主催者によるルール無視、この2つはデスゲームものとして相当致命傷なので、これが露骨に顕著になってくる後半は全くダメでした。

 そして多分、今作は全体を通して、「この視聴者や世間は常に過激なものを求める。主催者の俺なんかより、大衆の方が怖いし残酷だぜ」的な感じのこと言いたいんだと思うんですけど、そもそもそういう風刺っぽいテーマって、まず大前提として本編の内容が面白くあった上で言われたんなら刺さる事もあるんですが、本編つまんないところにそんなこと言われてもなんも響かねえっていうのがまず一つ。そして、そもそもそのテーマ自体がありふれすぎていて今更言われてもな、っていうのが一つ。さらに、こういう悪役になんか真理っぽいこと言わせて深いこと言ってやった感を出してる展開がもうありきたりで陳腐っていうのが一つ──などなど、この作品のテーマ自体も素直に受け入れ難い、という具合だったので、もう私には今作、何から何までことごとくダメで、結果「微塵も面白くない」という感想に落ち着きました。

 なんですが、ネット上の評価を見ていると、今作に割と好感を覚えた方もちらほらといらっしゃるようなので、見る人によっては結構楽しめる可能性も秘めているようです。特に、私はこういうリアリティ番組って全く興味ないんですけど、そういうのが好きな人には刺さる──のかも知れません。興味のある方は、挑戦してみるのも良いかもです。意外と掘り出し物の1本になるかも?

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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