「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

リアル人狼ゲーム のレビューです(総合評価E+)

(画像:Amazon商品ページより引用)
懲役72分。
クソが。

人狼のこと1ミリも知らない幼稚園児だけで集まって作ってそう。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 日本
  • 製作 2013
  • 販売 ブロードウェイ

あらすじ

拉致されて、とある施設に集められた8人の男女。「人狼ゲームをしてもらいます」と館内放送の声だけが聞こえてくる。「この村の中には、2人の人狼がまぎれこんでいます」一方的に、人狼ゲームの説明をし始める館内放送の声。しかし、8人は「早く解放しろ!」など監禁されたことに怒っていて…。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
設定
総合 E+

良い点

  • 短い(72分)こと等もあり、飽きる前に終わる

悪い点

  • 製作陣に人狼経験者が1人もいないため、人狼部分の出来が壊滅的にゴミ
  • キャラに個性や魅力が皆無で、ただただ台本読み上げてるようにしか聞こえない
  • 展開に説得力がなく、シナリオ自体も支離滅裂で滅茶苦茶

 人狼としても酷いし、映画としても酷いので、マジで余程の方以外は見なくていいと思います。一応アマプラで見られます。

 
ここから下のレビューには、ネタバレを含む場合があります。未視聴の方はご注意ください!
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 「狙ってゴミを作ってみました」と説明された方が納得できるレベルのクソ映画。

 さて今作ですが、クソ映画です。人狼をテーマとした映画として見ても、デスゲーム系スリラー映画として見ても、四方八方どこからどう見ても隙のない、紛うことなき多面的クソ映画。アマプラで配信されてますが、これ見るくらいなら人狼ゲームシリーズ見た方が数億倍マシ。

 では早速、詳細な内容を見てゆくのですが──良い点がね、ないんだわ。

 いや一応、本編が短い(72分)ため、比較的飽きを感じる事なく映画が終わる、というのは褒められる部分です。仮にこの内容で90分映画にでも引き伸ばそうものなら、純粋に苦痛に感じる時間が18分増えるだけだったので、ある意味この短さに抑えたのは英断と言える。そこだけは褒めてもいい。

 またもう一つ。今作は他の総合評価Eランクの産業廃棄物に比べて、かなり退屈や苦痛を感じる事なく、少ないストレスで見られました。その理由は、割と定期的に人が死んだりして展開は進展してゆくため、中身のない会話シーンばっかりで話が進まない、という事態がなかったから。そのため一瞬、私は今作に対して「まあ退屈で死にかけたりはしなかったし、総合評価はD−くらいかな?」という甘い考えがよぎりもしたのですが、冷静になって考えるとそれは誤りだった。

 今作は見ての通り、人狼をテーマとして命をかけたデスゲームが繰り広げられる、という内容なため、一応人狼のルールに則って話が進みます。つまり、議論の結果誰か1人が死に、夜のターンにまた1人犠牲者が、そしてまた議論が始まって、投票の結果人が死ぬ……という形で話が展開していくことになる。そのため、この人狼というゲームのフォーマットに則って映画を作る以上、よほど意味の分からんことをしない限り、定期的に議論をする場面が入り、また程よいペースで人が死んでいくことになるので、否が応でも話は進むんですよ。つまり、今作がそこまでテンポ悪くなく話が進展していくのは、人狼というフォーマットが優れているというだけの話であって、別に今作の脚本が優れているから、という話ではない。まず最初に、これだけは言っておきたかった。

 そしてここからは、もう完全に今作の酷評しか載っていません。これからが地獄だぞ。

 では今作の悪い点を。それは、シナリオ、キャラクター、設定、そしてモチーフとした人狼要素、とにかく全部です。もう全部ダメ。何もかもダメ。文句しか浮かばない。という事で、一つずつ潰していきましょう。

 まずは、今作を見る人がおそらく1番期待するであろう、人狼部分の出来について話しましょう。今作は人狼というテーブルゲームを、実際に命をかけてやらせてみる、という内容の作品です。人狼については、「人狼とは」等で調べていただければ、ルール等を解説したサイトがボコボコ出てくるので、全く知らないという方はちょっと調べてみてください。例えば、こちらのサイトの「人狼ゲームとは」の部分だけ読んで頂ければ大丈夫です。

 さて、そんな今作の人狼要素についてですが、楽しみにしておられた方には大変申し訳ないことにマジでゴミです。酷い。ガチの初心者だけ連れてきてゲームさせてもここまで酷くならんやろ、というレベルのゴミ。
 どのくらい酷いかというと、村人4人、人狼2人、占い師1人、騎士1人の卓でゲームを始めて、最終的に自称占い師が4人出ます。人狼やったことある方ならこれだけでヤバさが伝わるレベル。リア狂2人卓。地獄かな?

 もちろん忘れてはならないのは、この映画内で行われている人狼は普通の人狼ではなく、命がかかっているということです。つまり、仮に自チームが勝ったとしても、その過程で自分が処刑されては意味がない。だから、村人が吊られそうになった瞬間に「いや俺占い師や!」と苦し紛れの偽カミングアウトするという、普通の卓なら捨てゲーゴミカス行為にしかならないリアル狂人が生まれる。それはね、分かるんですよ。

 ただ、それならそれで、それを前提としたシナリオの組み立て方と説得力のある演出を用意すべきでしょう。例えば村人による占い師カミングアウトについても、「これは普通の人狼と違うから、村人が騙っている可能性もある」と一言入れ、それ前提で推理していくことにより、そこに普通の卓とは違った新たな戦略が生まれたりする。だから楽しめるのだと思うのですが、残念ながら今作は、そんな高度な領域には微塵も達していません。どいつもこいつも、占い師カミングアウトを「吊られそうになったら口にする魔法の呪文」くらいにしか考えていない上、投票する側のみんなも「もしかしたらこいつが占い師かも」という可能性を考慮して議論することも一切なく、ほぼ満場一致で自称占い師が投票して吊られる。そんなゴミみたいな流れが繰り返されます。人狼において必須となる、役職がまるで機能していないのです。

 しかしまあ100万歩譲って、「その辺の説明不足でした、メンゴメンゴ」というような好意的解釈をしたとしても、今作には人狼を少しでもかじったことのある人なら絶対に採用しないであろう、ゴミみたいな展開が山ほど含まれています。以下には、今作の人狼パートがどのくらい酷かったのか、クソだった部分を抜粋してお届け。

  • 初日、唯一名乗り出た占い師を「なんか怪しいから」という理由で、ほぼ満場一致で処刑
  • 初日、意味分からんタイミングで、ババアがドヤ顔経験者アピール→その日の夜に人狼に襲われる
  • 2日目、さらに1人名乗り出た占い師を「なんか怪しいから」という理由で、ほぼ満場一致で処刑
  • 2日目夜、騎士がガードに成功し犠牲者ゼロに抑えるが、翌日「俺が守ったぜ!」と謎の騎士アピール→その日の夜に人狼に襲われる
  • 3日目、自称占い師が2人名乗り出るという人狼恒例の流れがやっと始まり、ここから少しそれっぽくなるかな、と思ったが、「対抗占い師から黒を出されたから」という前代未聞の理由で偽占い師が人狼である事を自白
  • 4日目、占い師と人狼と村人の3人だけが残り、かつ全員の役職が割れたため投票により村人の勝ちのはずが、ヒロインが身内を庇うため自分に投票→村敗北
  • 運営、なんかヒロインが自己犠牲した精神が気に入ったらしく、処刑は不問→生きて返すというルール無視

 と、そもそも命かかってる云々とかいう言い訳すら通用しないレベルの、人狼素人でもやらないような脳みそ塩漬けゴミカス利敵行為が横行する地獄のような卓が完成しておりました。特に酷かったのが、意味不明なタイミングでの騎士カミングアウトと、対抗占い師から黒を出されただけで自白したアホ展開。いや、いったいどこの世界線を探したら、対抗の占い師から黒を出された、って理由で自白するアホがいるんですかね。この辺に関してはもうそもそも「いや、このゲームのルール分かってる?」と言いたくなるクソゴミ展開だった。

 そしてこれらを見て、私は確信しました。「あ、この映画の制作陣に、まともな人狼経験者いないんだな」と。今作の人狼は、野球で言うなら「ヒット打ったら三塁に走り出す」レベルの奇行が満載ですが、確かに、野球見たこともやったこともない人ばかりが集まって、見様見真似でやってみた、ってんなら、こうなったのも一億歩譲って理解できます。

 いや、まさかと思いますけど、まさか、まともな人狼経験者入ってこうなったんじゃないですよね? ルール無視の地雷行為を次々と踏み抜いていくクソゴミ展開満載の作品の製作陣に、まさか経験者なんていないですよね? 万に一つ、いや億に一つ、絶対にないとは思いますけど、もし仮に経験者が入っててこの出来だったとしたら、ちょっと私の常識では理解しきれない現象ですね。「素人が三塁に向けて走り出した」ってんなら笑い話ですけど、「高校時代野球部でした、ってやつが突然三塁に走り出した」となれば、会場ドン引き必至ですよ。
 だから、経験者なんて製作陣に入っていなかった。そう言うことにしておきましょう。

 とまあ、人狼部分はこのように壊滅的です。人狼をモチーフにした作品でありながら、人狼部分がこんな出来、という時点で駄作に片足ズブズブに突っ込んでいるのですが、今作の恐ろしいところは、これにとどまらずその他要素も軒並みひどい、ということです。

 まずはシナリオについて。今作は、単に参加者をさらって来て、命をかけた人狼をさせる、というだけの内容ではなく、実は参加者8人には、とある共通点があることが明らかになります。それは、1週間前に轢き逃げで死亡した、とあるアイドルの死に間接的に関わっている、と言うこと。どうやら主催者たちはそのアイドルの熱狂的ファンであり、間接的とはいえ彼女の死に関わった彼らを集め、このデスゲームをさせているらしい……というストーリー。こういうストーリーを用意すること自体はね、別に全然いいんですけど、正直言ってシナリオにかなり粗が目立ちます

 まず単純に、こういう人狼ゲーム部分とは関係ない参加者同士の繋がりをシナリオに組み込んでしまうと、純粋に人狼としての面白さが薄まります。なぜなら、本来与えられた役職に則り、言動などから人狼を推理して炙り出していくゲームのはずなのに、「こいつが轢き逃げ犯っぽいから」「過去話が嘘っぽいから」などという、人狼ゲームに直接関係のない部分での怪しさが投票結果に直結してしまうため。そのせいで、例えば初日、占い師カミングアウトしたにも関わらず、「でもなんか過去エピソード紹介の時に嘘ついてそうだから」という、人狼ゲーム一切関係ない部分で怪しいと判断されて、ほぼ満場一致で吊られる、という、普通の人狼ならまずあってはならない展開に突入したりする。

 そして、どっちかというとこっちの方が問題なのですが、アイドルの死に関連した人物を集めて粛清する、という展開をやりたいだけなら、別に人狼ゲームさせる必要全くないじゃん、という、まず真っ先に思い浮かぶであろう至極当然の疑問に、一切の回答を出せていないこと。普通に考えて、参加者の粛清や贖罪の強要を目的としてゲームをさせるのなら、人狼なんかより適したゲームが山ほどあるはずなんですよ。
 例えば、その人物やアイドルの過去にマッチした処刑器具を用意するとか。そうする事で、参加者はゲームを進めていくうちに、運営側の目的が見えてきたり、このゲームの持つ意味がわかって来たり、自分が犯した罪を自覚して許しを乞うようになったりなど、ゲームの進展とシナリオが密接に絡み合って話が進んでいく、そうだから見ていて面白いのです。しかし今作の場合、こういう配慮がまるで存在せず、なんで人狼ゲームなんてさせられてるのかよく分からないまま話が進行し、そのまま終わる結局、今作で人狼をさせられているのには「製作側が人狼をモチーフにした映画を撮りたいって決めたから」以上の理由が与えられていないので、話全体が大変チープで支離滅裂に見えて白けます。これが良くない。

 せめて、そのアイドルが実は人狼のプレイヤーだったとか、参加者は全員人狼サークルの所属だったとか、こじつけレベルでもいいので「やらせるゲームが人狼である理由」くらいは用意しておけよ、と思わずにいられません。アイドルの死をテーマに、参加者同士が話し合いや議論の結果処刑を進めていき、お互いに身を切り合うような内容の作品を作りたかったんでしょうけど、それなら普通に「参加者8人の中に轢き逃げ犯が紛れているから、それをお互いに議論で探し出せ」というゲームにでもしておくほうが、話の流れとしてよっぽど自然でしょう。そうして議論を進める中で、一見無関係に思えた過去の自分の行動が、実は間接的とはいえアイドルの死に関わっていた、と参加者が自覚していく、とする方が間違いなく見応えのある内容になったはず。それを差し置いて、あえて無関係にしか見えない「人狼ゲーム」をチョイスした、整合性のあるキチンとした理由は用意しておかないと。そういうところが粗いんだぞ。

 結果、人狼もやりたい、でもアイドルの死も絡めてオリジナル要素も出したい、とどっちにも手を出した結果、見事にどっちも中途半端で面白みのない展開に終始してしまっています。

 次、キャラクター。人狼部分もダメならシナリオも終わってるので、せめてキャラクターくらい──と思いたいのは山々なんですけど、これも全然ダメ。何がダメって、今作に登場するキャラクター、全員が全員とにかく無個性で魅力がない、ということ。一応、不良っぽいとかネジが外れた教員だとか、兄妹愛を大事にするヒロインだとか、実に表面的なキャラ付けだけはされていますが、マジでそんだけです。

 普通、8人も集めてこういうゲームをさせたら、キャラ毎の思考の違いだとかで投票先にそれなりに個性が出そうなもんですけど、毎度毎度ほぼ満場一致気味で処刑が執行されるため、ゲーム進行にキャラの個性が全く活きてこない。かつ、人狼中のキャラの思考回路はリア狂のポンコツに傾いているため言動などに魅力がなく棒読み率が非常に高いことも相まって、「単に台本通り動かされているコマ」にしか見えないのです。

 そして、この物語の肝となるアイドルのキャラ付けについても大変に雑。そもそも、死んだアイドルのためにこんなデスゲームを仕組んだ運営側が、いったいどれだけこのアイドルを愛しており、かつ彼女がどれだけ魅力的な人物なのか、という重要部分に関する話の掘り下げが全くない。運営側曰く、「このアイドルが路上で全力一生懸命でやってることに心を打たれたから、熱狂的なファンになった」という事らしいのですけど、申し訳ないことにこのアイドル、踊れば客を舐め腐ったお遊戯してるようにしか見えないし、持ち歌は明るい般若心経みたいなクソゴミ曲だしで、運営側の言い分に一切共感できず、まるで説得力がありません。こんな舐め腐った自称アイドルに、彼女のためなら殺人も厭わないほどの固定ファンが複数付くなんて、随分とアイドルって楽な商売なんですね、とでも言わせたいのかと思うレベルの出来。

 さて、言いたいことも大体言えたので総評に入りますが、一言で今作を表すと見れるゴミです。人狼という優秀なフォーマットのおかげで、テンポ自体はそこまで悪くないのと、短いので飽きる前に終わるため、見ているだけならたいして苦痛ではないのは救い。しかし、意味不明なオチも含めてシナリオは支離滅裂キャラクターは無個性で魅力なし設定もてきとー、と微塵も面白くないため、72分無駄にしたな、という感想しか出てこない作品です。
 人狼がテーマの作品ですが、人狼部分の出来があまりにもあんまりなので、ぶっちゃけ「人狼とかやった事ないんだよね」「そもそも人狼って何?」という人の方が楽しめるかと思います。まあ、人狼部分以外の出来も大概酷いので、オススメは致しませんが。

 そして何が恐ろしいって、こんなゴミ作品にも関わらず、これ続編あるんですよね……。一応、それもアマプラで見られるのですが──どうすっかな、俺もな(疲弊)

今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。
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