「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

デス・アプリ 死へのカウントダウン のレビューです(総合評価D+)

(画像:ゲオオンラインより引用)
思い付きで撮ってるんじゃないかと思うほどストーリーがペラッペラのホラー映画のレビュー、はじめるわ

絶対に兄嫁かブロガーを主人公にしといた方が面白かったと思う。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 イタリア
  • 製作 2018
  • 販売 プルーク

あらすじ

誰も信じられなくなるー恐怖の【拡散】アプリ
ある日、学生のアージアは携帯電話の中に身に覚えのないアプリを見つける。恐る恐るアプリを起動すると、そこには拡張現実ゲームのようにカメラが立ち上がる。そしてカメラに映し出されるのは、そこにいるはずのない死者の姿だった…。「死者の世界に接続する」アプリの機能には、タイマーが付いており24時間からカウントダウンが開始。制限時間を過ぎると自身の命を奪われてしまうことに気づく。24時間後に生き延びるためには、誰か他の人の携帯電話にこの呪いのアプリをダウンロードさせること。一体誰が何のために開発したアプリなのか。アージアは生き延びるために、この呪いの連鎖に強制参加することになるのだが…。

ゲオオンラインより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
ホラーの質
設定
総合 D+

良い点

  • ホラー描写のレベルは悪くない

悪い点

  • デスアプリの設定が滅茶苦茶
  • ペラペラストーリー

「こんな題材の映画面白そうじゃね?!」って飲み会の場で盛り上がってノリだけで撮影に漕ぎ着けたはいいものの、誰も細かい設定とか考えてなかったからとりあえず撮りたいシーンだけ撮ってストーリー適当に終わらせときました、って感じの映画です。ホラーのクオリティは悪くはないのですが、とにかくストーリーが──

 
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 細かい設定なんも考えてなさそう。

 さて今作ですが、販売会社曰く「リング、イット・フォローズを彷彿とさせる」ホラー映画です。キャッチコピーは「お前はもう……死んでいる……」。なお当然ですが、ひでぶ要素はないです。

 それでは早速、今作の詳細な内容を見てゆきましょう。まずは良い点から。

 今作の良い点は、ホラー描写のクオリティはなかなか良い、ということです。

 この映画を端的に換言すれば、スマホ版リング、ないしスマホ版着信アリです。「霊が見えるようになるカメラのアプリ」がいつの間にかスマホに入っており、それを24時間以内に別の人間のスマホに入れなければ自分は死ぬ、と言う設定。アプリ自体は、カメラ+カウントダウンタイマーのみという大変シンプルな作りで、それが定期的に勝手に起動し、死ぬまでの時間をお知らせしてくれるという心折設計となっております。

 そのため今作は、このアプリを介してスマホ越しに霊を視認することになるのですが、これをはじめとした心霊描写のクオリティは結構頑張っています。基本、スマホカメラを向けると、そこには居るはずのない人の姿が──というシンプルなものなのですが、この不気味さの演出はなかなか悪くありません

 また、中盤から後半にかけては、霊の姿がだんだんとスマホを介さずとも現実でも見えてくるようになり、主人公が精神的に追い込まれていく、という過程の描写も割と良かったと思います。スマホアプリ上でだけ見えるものだと思っていたら、それが目の前にも現れた、という恐怖の演出は、やはりありがちながらも良いですね。

 ただし、今作の霊は基本その場に突っ立っているだけだったり、後ろを通ったりするだけのことも多く、怖がらせ方としては結構思わせぶりな描写が目立ちます。また、遠くからこちらに向けて霊が真顔でただ歩いてくる、という完全にイット・フォローズをバリバリに意識した描写が何回も入るなど、あまりホラー描写自体に目新しさや斬新さはなく、怖すぎてキツいということもないため、物足りないと感じる可能性も充分あります。
 かつ今作、途中からはアプリを介さずとも普通に霊が見えるようになるんですけど、その後もアプリが起動するたびにどいつもこいつも毎回毎回律儀にカメラを覗いて周囲をぐるりと見渡して来やがるので、あまりにもわざとらしくて冷めるという部分もあったりします。その辺は注意ですね。まあでも、その辺を差し引けばホラー描写についてはまあまあでした。

 という感じで、ホラー描写については目新しさはなくとも悪くはない、という感じなのですが、反面今作、ストーリーには大きな問題を抱えています。何がというと、もうびっくりするほど内容がペラッペラなんだなこれが。

 リング然り着信アリ然り、だいたいこういう「後、○時間(日間)で死ぬ」系の映画って、大体中盤くらいまでかけて状況説明やら設定解説やらをホラー描写交えつつやった後、終盤でやる事って大抵一つなんですよ。それは、「どうすればこの死を回避できるか」という、生き残る方法を探る事。例えば、過去に同じ被害にあった人の情報を探したりだとか、怪異に共通する事項を見つけて解決策を探ったりだとか、この呪いの元凶となった人物、ないし場所を訪ねたりだとか。

 今作で言えば、このアプリの出どころを探ったり、誰が作ったのかを調べたり、元になったというゲームのことを深く掘り下げて調査したりなど、色々とやるべきことは思い浮かぶはずです。なんですが今作、このアプリに関する基本的なルールを人伝に聞き出して以降、主人公は「勝てるわけない……もうだめだ……おしまいだぁ……」モードに入り、うだうだうだうだしたり義姉に当たり散らかしたりして貴重な時間を潰します。そしてあろうことか、最終的にはこのアプリに関する謎の探求を完全に放置したまま、「こんなアプリがあって危ないから、人にスマホを貸すのは……やめようね!」という注意喚起のライブ配信をかました後自殺するという、なんの解決にもなっていない激寒ムーブをかまして来ます。いや、突然死を宣告された一般人の反応としてはこれで正しいのかも知れないですけど、映画の展開としては三流もいいところ。細かい設定考えるの面倒くさくなってぶん投げました感満載やんけ。別に死ぬのは構わんけど、それに抗ってみせようという姿勢すら示さないのは主人公失格。死んで当然、お疲れ様でした。

 というよりそもそも、このデスアプリの設定自体相当無理があるというか、飲み会のノリで適当に決めた感満載なのがそもそもの問題。こういう「人になすりつけたら死を回避できる」系の映画って、大体一度なすりつけに成功したら死は免れることが多いんですけど、今作そうじゃないんですよ。カウントダウンがゼロになる前になすりつけに成功すると、タイマーが元に戻ります。つまり、なすりつけに成功した時点で、カウントが24時間に戻るというわけです。なので、自分が生き続けようと思ったら、誰かのスマホにこのアプリを入れるという作業を毎日続けなければいけません

 さらにこの「誰かになすりつける」という作業がまた問題。今作におけるなすりつけと言うのは、相手のスマホに直接このアプリを入れる必要があります。しかしこれ、例えばアプリのダウンロードページのURLを送って相手にダウンロードしてもらうとか、招待コードを送ってアプリを入れてもらうとか、そういう生易しい次元の話ではありません。どうもこのアプリ、ネット上には存在しないようなので、自分が直接相手のスマホを操作して、物理的にインストールさせる必要があります。つまり、相手のスマホを借りて、画面ロックを外させ、なんらかの操作をした上でダウンロードが終わるまで待ってもらい、それから何事もなかったかのようにスマホを返す。そんな作業をしないといけません、毎日いくらなんでもハードル高すぎるやろ。

 しかも、それだけ頑張ったとしても、ルール上スマホを壊したり買い換えたりするとアウトなので、どうあがいても「自分の寿命=今自分が使っているスマホの寿命」と言うことになります。もう大人しく死んだほうがいいんじゃないですかね?

 とまあ、色々と設定に無理がありすぎる上に、生き残るためのハードルがかなり高く、かつそれを毎日続けないといけないどころか、そもそもアプリを入れられた時点でスマホを買い換えられないため、持っても10年がいいところ、人によっては2〜3年もしないうちに死亡確定という、壮絶な無理ゲーを強いられます。

 しかしこんな無理ゲーだからこそ、この死の連鎖を断ち切るために、主人公は根源を断ち切るべく動いて欲しかったんですよ。実際途中で「私は他人を犠牲にしない方法を探す」とか大口叩いてたんですから。その結果、根絶に失敗して死んでもいいんです。とにかく主人公である以上、成否に関わらずそういう姿勢は見せてほしいのです。でも結局やったことといえば、ヒスって他人任せにした上でわーわーきゃーきゃー騒ぎつつ、生きるために努力する他人の足を引っ張って道連れにした挙句、お気持ち表明注意喚起して自殺するだけ。これで盛り上がるわけないじゃん。

 というわけで総評ですが、まあホラー描写のレベルは悪くないんですけど、そもそものデスアプリの設定がかなり無理がある上、それをめぐるストーリー展開に中身が無さすぎて興味が持続しないという、大変残念なパターンの映画となっております。

 アプリのルールを把握した後に、友人たちと協力して死を回避する方法を探したり、というパートが入ればまた面白かったのかもしれませんが、それもなしでただうだうだしてただけなので、終盤の失速っぷりはなかなかのものでした。

今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。
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