「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ロボA-112 のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)
人間の感情を学ぼうとするロボットと孤独な少年が出会い、お互いに成長するハートフル映画のレビュー、はじまります。

これ見てリアル・スティール見たくなったけど、ディズニープラスに来てなかった。自社作品ハブるのやめて?(激怒)

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 ロシア
  • 製作 2019
  • 販売 インターフイルム

あらすじ

“キミは僕が守る―
ヒーローを描く漫画家になることを夢見る少年ミーチャ。彼の両親はロボット工学博士で忙しい日々を送っており、ミーチャは孤独な日々を過ごしていた。
ある日、両親が救助用ロボットA-112をついに完成させる。しかし、対話能力と家族観の欠如を理由に失敗作とされてしまう。
起動したロボは、自ら家族の答えを探すため、研究所ラボを抜け出し、博士の自宅へ向かいミーチャと出会う。
家族愛に飢えた少年と家族を探すロボット、そして二人に奇妙な友情が芽生え始めた。ロボに活躍の場を与えればヒーローになれると考えたミーチャは、ロボと家を出る。
その頃、ラボではロボが脱走したと大騒ぎ。国の非常事態省によって、ロボは子供誘拐犯として指名手配され、確保後の解体を命ぜられてしまう―。”

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
ロボットの質
設定
総合

良い点

  • ロボットの出来がかなり良い
  • 肝心のハートフル要素はちゃんと描けている

悪い点

  • 地味で盛り上がりにかける
  • ラストの展開が雑

 まずの注意点として、思った以上に子供向きな映画です。割と稚拙な展開もちらほらあるので、ハードル低めで臨んだ方が良いでしょう。
とりあえずロボの出来はかなり良く、また一番やりたいであろうテーマについてはちゃんと描けているので、悪くはないです。ただ手放しに褒められた内容でもないので、お勧めできるかと言うとなかなか難しいところ。

 
ここから下のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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ロボットとかA112なんて名前は嫌だ! 個性的な愛称を付けよう! →じゃ、お前今日から「ロボ」な
このセンスには流石に失笑。
日本語訳がアレなだけで、ロシア語だとなんかいい感じのミーニングとかあるんですかね……(無知)

さて今作ですが、言い方は悪いですけどロボと少年の友情が云々という、よくあるやつです。古来より使い古されていて穴が開きそうなテーマですが、そこにオリジナル要素を加えた作品は未だに人気が高いのも事実。さて、今作はどうなのでしょうか?

と言うわけで、早速良い点からいきましょう。今作の良い点は、やりたい事はちゃんとやりきっているという事と、ロボットのクオリティが高い事です。

まずはロボについて。今作はロボと少年のハートフル友情SF映画なわけですが、やっぱり主役の半分はロボが担っているわけなんで、これのクオリティが残念だと映画全体が残念になりがち。ですが今作においては、その心配は無用です。

ぶっちゃけ今作のロボのクオリティはB級映画としてはかなり高く、まあデザインは人それぞれ好みがあるので置いておくとしても、少なくとも動作の部分についてはかなり滑らかで違和感のない仕上がりとなっていました。強いて注意するとすれば、今作のロボは言動がかなり人間臭い部分があるので、それが苦手な人はちょっと注意です。同じロボで言えば、ベイマックスよりはC3POって感じです。

そしてそれと並んで、いやそれ以上に大事なストーリーに関しても、少なくとも一番やりたかったであろう「孤独な少年と愛を知らないロボが出会い、友情を育んでいく」というテーマについてだけ言えば、ちゃんとやりたかった事をしっかり出せている印象を受けました。最初から最後まで寄り道も少なく、とにかく「少年とロボの友情」にテーマを絞ってやってるだけあって、ここのクオリティは良かったですね。

家族という概念を理解できないロボが、両親不信で学校でも孤独な少年との出会いを通して人間の感情について学び、友情を育んでゆくというストーリーは、ベタですけどやっぱり安定感があって面白いですね。周りの大人たちは、研究所を抜け出し家族という概念を学ぼうとするロボのことを理解せず、ただ「研究所から脱走した」という事実のみを見て危険と認定し処分しようとしますが、純粋な少年だけは彼の優しさを見抜き、彼と行動を共にする中で友情を育んでゆく、という感じの実にハートフルで優しいストーリー。ロボの性格もかなりユーモアあふれる感じで、少年も孤独でありながら変に大人びていることがないというバランスも良かったです。

とまあこんな感じで、ロボのクオリティよし、テーマ性良しな今作なのですが、やっぱりどうしても気になる点も二つほどありました。それは、とにかく内容的に地味で盛り上がりに欠けること、そして大事な大事なラストシーンの展開が雑なことです。

先ほど今作、一番やりたいであろうテーマに関する部分は、正面から向き合ってきちんと描けていると申し上げましたが、それ以外の部分ではぶっちゃけ問題点が多いです。何が問題かというと、とにかく展開が地味で盛り上がりに欠けるんですよ。今作に限らずですが、ロボと人間の交流を描く系の作品って、大抵の場合は「ロボットと少年少女との交流」という大テーマ以外の見せ場も用意されている事がほとんどです。例えば名作映画でいうと、ベイマックス、ターミネーター2、ドラえもん鉄人兵団、リアルスティール──はちょっと違うかもですが、とにかくほとんどの作品には、戦闘なりコメディなりの見せ場が盛り込まれています。

これはなんでかというと実に単純な話なんですが、やっぱりこの「人間とロボットとの交流、友情、家族、愛」っていうテーマが使い古され過ぎていてこれ一本で勝負はキツいっていうこと、そして何より、これだけで話を構成しようとすると、よほどの脚本力がない限り圧倒的に見せ場不足で地味な作品に仕上がってしまうからです。というか、これ一本でやろうとした場合、とにかく中盤あたりの盛り上がり不足が顕著でキツくなります。

やっぱりロボットが出てくる以上は、見る側も何かしら「ロボットにしかできないこと」、例えば人外のパワーやスピードを活かしたアクションだとか、感情がないからこそ人との交流の中から生まれる落涙必死の感動展開とか、逆に無感情だからこそできるコメディ的な描写とか、そういうのを期待するわけですからね。しかし今作、技術的な問題なのか脚本力の問題なのか、そういう展開がほぼありません。ひたすら、ラストシーンの感動展開に向けて、一歩ずつ着実に歩を進めるような地味ーな展開が続きます。一応、今作のロボも車より速く走れるとか、40mくらい飛べるとか、身体の各所に災害救助用の器具を仕込んでいるとか、そういう設定だけは出てくるんですけど、それが活かされる描写はほぼなし。

もちろん、先に上げた名作映画ばりのクオリティでアクションなり感動要素なりの追加要素入れろって意味では全くないんですけど、やっぱりこう言う展開がないせいで全体的に地味になってる感は否めないですね。折角災害救助用のロボットって設定で、かつ作中にも火災とか台風とかの災害が発生してる伏線もちゃんとあるんですから、そういう現場で活躍して再評価されるだとか、活躍したのにみんなに怖がられて余計孤立し、そのおかげで主人公とさらに友好を深めるだとか、そういう「ロボならではの見せ場」をストーリーの中盤くらいにちゃんと作ってあげないと、こうも盛り上がらんかと思いました。映像的、技術的に稚拙になっても良いんで、そういう展開は欲しかった。

いや一応、ラストシーンでは自分を捉えにきた敵の頭に鉄骨が落ちてきそうになるのを身を挺して守り、敵味方関係なく人間を守る災害救助用ロボとしての実力を発揮し認められる、って展開があるんですけど、ここに至るまでの過程が駆け足すぎると言うか、悪く言うと雑なんですよね。序盤の救助試験での、鉄骨落下訓練の成績が振るわず不合格になった、ってくだりとの比較がやりたかったっていうのは分かるんですけど、なんか鉄骨落ちてきたのもいきなりすぎてかなり無理矢理ですし、これで敵側も「ロボットが助けてくれたので廃棄はなし!」ってなるのも都合良すぎるし、最後のハッピーエンドに持っていきたかったからねじ込んだ感あるし──

と言うわけで総評ですが、テーマ性のやり抜きやロボのクオリティなど光る部分は多々あるんですけど、やっぱり全体的な盛り上がり不足と、最後の見せ場が結構雑だったことも相まって、まあ「うーんこんなもんか」という評価に落ち着いてしまいました。やっぱり、テーマ自体がそもそも使い古されすぎて、それ一本でやろうと思ったら相当な技術力が必要とされますからね。ちょっと無謀だった感はあります。

とはいえ、AmazonやFilmarksなんかのレビューサイトなどを見ていると、このストーリー展開こそ良かったと言う方も当然いらっしゃったので、人によってはこのシンプルかつ分かりやすくスッキリした展開が刺さることもあるかと思います。気になられた方はどうでしょうか。

今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。
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