「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

#フォロー・ミー のレビューです(総合評価C-)

(画像:Amazon商品ページより引用)
SAWが見られると思ったらなんちゃってホステルが始まって萎え萎えなデスゲームもどき映画のレビュー、始めます

言うほどフォロー・ミー要素あるか?

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 アメリカ
  • 製作 2020
  • 販売 アルバトロス

あらすじ

過激な動画で人気ブロガーのコールと4人の仲間たちは、招待を受けてロシアにやって来た。目的は《究極のリアル脱出ゲーム》に挑むこと。モスクワ郊外の元監獄という不気味な廃墟に仕掛けられたトラップをクリアして、拷問装置に囚われた仲間たちを制限時間内に救い出せるか?前代未聞のスケールで全世界に向けライブ配信はスタートする。だがやがてコールと仲間たちは知る事になる。これが単なる《ゲーム》ではないことを…。

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
設定
総合 C-

良い点

  • 序盤の脱出ゲームシーンはそれなりに楽しく見られる

悪い点

  • 中盤からの盛り上がらなさ
  • あまりにも伏線が露骨すぎて秒で読めるオチ

 立ち上がりの期待感は悪くなく、脱出ゲーム開始からしばらくは楽しめたのですが、中盤に状況が大きく動き出してからはむしろ下火。そのまま低空飛行し続けてゴールという、期待外れな作品でした。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 駄作ではないけど別に面白くはないという、反応に困るタイプの──これいっつも言ってる気がしますね。でも事実だからしょうがない。

 さて今作ですが、人気配信者含む5人組が脱出ゲームに挑戦したところ、それは実は命懸けのゲームだった──かと思いきや、突然人攫いの集団に拉致され、拷問殺人配信ショーに強制出演させられてしまい、仲間が次々と殺されていく中、決死の脱出を図る――
 そんな内容の、前半は安っぽいSAW後半は安っぽいホステルになるような映画です。前半は脱出ゲーム系スリラー、後半はスプラッターがメインのくせに、作中1番グロいシーンは序盤の死体解剖シーンという謎采配なので、あんまりグロくはないです。そのシーンを除けば、よほどの無耐性でない限りスプラッターとか無理無理! という人でも多分普通に見られる程度。

 それでは早速、今作の詳細な内容を見ていきましょう。まずは良い点から。

 今作の良い点は、序盤はそれなりに期待感を持って見ていられるという事です。開幕から30分くらいまでの間は、まあ単なるよくある導入パートなんで置いておくとしても、そこから脱出ゲームがスタートする展開に入って以降はなかなか面白いです。

 今作の脱出ゲームは監獄が舞台で、挑戦者のうち4人はそれぞれ別々の牢に入れられ、かつ全員別々の処刑器具を装着されます。それを、1人自由に動ける主人公が、パズルを解きながら助けてゆく、というもの。なのですが、これが明らかに「ゲーム」の枠を超えており、繋がれている処刑具もアイアンメイデンや電気椅子、人間大の密閉水槽に、四肢を引きちぎられる装置など明らかに異常。
 最初は演出だと思っていた彼らも、一歩間違えば死にかける度を超えた処刑具の異常さに疑問を持ち始め、最後に仲間の1人が溺れ死にかけた事でその疑惑は確信に変わります。何とか全員揃って脱出には成功したものの、ゲーム開始前にいた運営陣は全員姿を消しており、もぬけの殻となった監獄に取り残される主人公たち。こうしていても埒があかないと判断し、強引に扉をこじ開けて外へ出る──ここまでが、だいたいこの映画の前半部分です。

 この部分は、ぶっちゃけパズル内容もかなりシンプル、かつ実質犠牲者ゼロで全員生存できるため、デスゲームパートとして特段優れているわけでもなく見応え的にも普通です。ですが、これをデスゲームの導入、チュートリアルパートとして見れば、「この後本当のデスゲームが始まるんだな」という期待感を持たせるにはなかなかの出来だったため、ここのパートはそれなりに楽しんで見ていられました特に死体の解剖シーンは結構気合も入っていて、腹にメスを入れて内臓をかき回し、臓器から鍵を取り出す様子がしっかり映されていて好感触だった覚えがあります。

 と言うわけで、良い点以上。ここからは悪い点を。今作の悪い点は、中盤以降の盛り上がらなさ、そして秒で読めるオチです。

 さて、それなりに期待感を高めてくれた前半パートから、話は大きく動きます。実は、ゲーム途中に人攫い集団の武力介入があり、この脱出ゲームの運営陣は全員殺されていたのです。そのまま連れ去られる主人公たち。そして彼らは見知らぬ場所での拘束後、拷問殺人配信ショーに強制出演させられ、1人ずつなすすべなく無惨に殺されて行く。こんな感じの展開が幕を開けるわけです。

 ここの部分はハッキリ賛否が分かれるでしょうね。なんせあらすじやパッケージからは、脱出ゲーム系スリラー映画の雰囲気がバリバリに出ているため、その脱出ゲーム部分を中途半端にしたまま、いきなり殺人ショーという名の一方的なスプラッターパートが始まるわけです。言うなれば、SAWを見てたら途中からホステルが始まるようなもんなので、単純に期待外れだと思う人も一定数出てくるでしょう。少なくとも私はそっち側で、普通に導入部からさらに進化した脱出ゲームへと展開していくのを期待していたため、一度ここで興味を削がれました。

 しかしこれがまあ、移行後のスプラッターパートのクオリティが高ければそれはそれとして楽しめるのでありだと思うんですけど、残念ながらこのパート、スプラッターとしては非常に中途半端で見応えのないものとなっています。何より残念なのが、この拷問殺人の様子を金持ち向けに配信している、という設定のはずなのに、肝心の拷問殺人部分がカメラに全然映らないんですよ。これは配信向けのカメラに映らないという意味もありますが、私たちが見ている画面上にもまともに映らないという意味でもあります。

 例えばこのパート開始直後に、1人は首を切られて、1人は電鋸を押し付けられる形で2人殺されるんですけど、そのどちらの死に方も殺す瞬間に実行犯の男がカメラの前に覆い被さる形の構図になるため、肝心の殺害シーンが映らないんですね。ここのシーンはあまりにも萎える。お前配信者として5流だろと思わざるを得ない。
 かつ、金持ち向けに殺人を配信してる、と言いつつも、殺し方も非常にあっさりとしたお味で全然盛り上がらないんですわ。よくこんな見応えないショーで金取れるな、と言うレベル。

 とまあ、後半のスプラッターパートはこんな具合。一応このパート、主人公だけは早々に拘束を解いて脱走し、敵の目を掻い潜って仲間を助けるために奔走したりもするので、広い意味でこの部分も脱出ゲームと捉えることもできなくはないんですが──そう言う見方をするのなら、まだ前半の導入脱出ゲーム部分の方が面白かったため、やはり盛り上がりと見応えに欠けます

 そして、こんな具合に話が進んでいよいよ迎えた終盤、実はこの一連の流れは全てフェイクで、殺されたと思っていた仲間たちは実は生きていたことが判明する、という衝撃()のオチを迎えるわけですが……ぶっちゃけ「やっぱりな♂」と言う感想しか出てこないので、この渾身のオチすらも盛り上がらないと言う残念仕様。というか、このオチを匂わせるために仕掛けられている各伏線があまりに露骨すぎて滅茶滅茶読みやすいんですよ。

 例えば、先程殺人ショーの様子がカメラに映らない、と言う話をしましたが、そもそもこの「殺人を配信中なのに、みんなが1番見たいであろうその瞬間が配信用カメラに映らない」というのはあまりにも不自然過ぎます。そうなると、何か映せない事情があんのかな、と思わざるを得ないんですよね。そうなるともう可能性としては二択しかなくて、

  1. 予算の都合でスプラッターシーンを撮れなかった
  2. シナリオ的に映せない事情がある

に絞られます。
 でも、①番の可能性は消えますね。なぜならこの映画、脱出ゲームの開幕に、「死体の腹を切り裂いて鍵を取り出す」というシーンを堂々と映していたため、人間を切り裂いて臓器を取り出す描写をする程度の力はある、と言うことになりますから。それが出来て、喉を切り裂く程度の描写ができないと言うのはあまりにも不自然
 となれば必然②になるわけですが、もう脚本上殺しの瞬間を映せない理由なんて、「実は殺してないから」以外ないんですよ。もうここの時点で、だいたいオチの予想が付きます。

 そしてこの予想が確信に変わったのは、3人目の死亡シーンの時でした。この3人目は、主人公に助けられて絶賛脱獄途中だったんですけど、その途中に敵の見張りに見つかります。細い一本道の通路で、相手は銃を持っており、後ろは奈落へと通じる穴という絶望的な状況。その状況で何と、銃を持っている敵の見張りが突然こちらに向けて発砲しながら全力ダッシュを仕掛けてきて、あろうことか3人目にタックルかましてそのまま一緒に奈落へ落ちていくという、脳みそ腐ったゾンビでももう少し考えて立ち回るだろ、と言いたくなるほどの意味不明なわざとらしいムーブを披露。ギャグマンガかよ。
 そしてこの瞬間思ったよね。「これ絶対フェイクやん」

 とまあ、他にも主人公の拘束具だけあまりにも都合よく簡単に外れて脱獄できたりだとか、いくつかオチを匂わせる描写はある上に、このオチ自体がもう割と使い古されていることもあって、その手の作品を一度でも見たことがあればこのオチを読むこと自体はそれほど難しくないオチが読めてしまうと途端に面白くなくなるという大きな問題を抱えています。個人的にはやっぱり、序盤の解剖シーンをガッツリ映す余力はあるのに、肝心のスプラッター配信は見せないと言う不自然極まりない部分が強烈に引っかかり、分かってしまった感じです。このオチが読めないままラストを迎えられればまた印象は変わってきたと思うので、この伏線を貼る部分はこんな雑な扱いをせずに、もっと繊細に気を使ってちゃんとやって欲しかった

 と言うわけで総評ですが、前半も後半もそれなりな内容なのでひどく退屈するような作品ではなく、全体的に壊滅的なほど悪くはないです。しかし、やはり全編通しての盛り上がり不足問題、そして安易で使い古された上に読みやすいオチが決定打となり、まあ順当にそんなに面白くないなと言う評価に落ち着きました。

 ですがまあ、このオチが仮に読めなかったとしても、そもそもこのオチありきで展開を進めているせいで、スプラッターシーンはどう足掻いても具体的にガッツリした描写を出来ないために見所不足になるのは避けられませんから、そもそもが後半盛り上がり不足になるのはほぼ決定事項でしょう。かつ、個人的には後半のホステルチックな展開よりも、前半の脱出ゲームを正当進化させたような内容を見たかったというのもあるので、そう言う意味でも微妙な作品でした。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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