憎しみは憎しみを生むだけだって、分かれ!
それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。
- 国籍 アメリカ
- 製作 2020
- 販売 アメイジングD.C.
あらすじ
はぐれ者たちが集まる最強集団に所属するマギーは、従妹のメアリーが大学アメフトチームの男達にレイプされたことに怒りを爆発させる。
(Amazon商品ページより引用)
ダークムーンによってクズな男たちに倍返しのリベンジを果たし、強さ、生き方に憧れたメアリーもダーク・ムーンに加入することに。
しかし、マギーの恋人がアメフトチームの男達にアジトを教えてしまい、急襲を受けメアリーは殺されてしまう。
ダーク・ムーンのボス、トリガーはかつてないほどの怒りに震え、復讐の幕が上がる!
予告編
ストーリー | D |
キャラクター | C |
設定 | D |
総合 | D+ |
良い点
- 短いので飽きる前に終わる(本編73分)
悪い点
- まっっったく盛り上がらない
- 何がしたいのか意味不明なストーリー
一体何がしたかったんですかね……(唖然)
憎しみあっても何にもならないよ! 的なこと言いたいのかな?(困惑)
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戦争になるわ!(3 on 3)
さて今作ですが、ダーク・ムーンという名前の女性限定不良バイカー集団が、アメフト部のクズ男どもに昏睡レ☆プされた仲間の報復を果たすため立ち上がり、壮絶な決闘の末に相手を嬲り殺して見事復讐を果たす、というよくあるストーリーだったらそれなりに面白かっただろうな、という映画です。圧倒的にいろいろな要素が描写不足なんだよね……。
それでは、さっそく良い点から解説いたします。今作の良い点は、映画本編が短いので、飽きる前に終わるということです。
今作はお世辞にも出来が良い映画とは言えず、後述するように問題点はかなーりあるのですが、大変大変ありがたいことに、本編が約73分しかありません。かつ、展開自体もかなりポンポンと話が進んでゆき、またイベントも本編時間の短さの割にはかなり多く存在するため、話が全然進まないとか状況が停滞して退屈とか、そういう心配とはほぼ無縁。この、状況や展開はどんどん進んでゆく上に、本編自体もかなり短いというダブルパンチのおかげで、今作はほぼ間違いなく、飽きるより先に映画が終わります。これは明確に良いところと言えるでしょう。
まあ世の中には、本編が70分しかないくせに内容の引き延ばしが酷過ぎるせいで、退屈で苦痛で倍速使わないと耐えられないような不燃物も存在するので、やはり短いだけでなく、イベント豊富で展開迅速、テンポ良しな上に短時間という今作の構成は、その一点においては優等生認定しても良きでしょう。これにはテンポ厨の私もにっこり。
ただ、「テンポも良いし時間も短い! うーんこれは良作!」とはならないのが今作の残念な所です。言わずもがなその理由は、今作の抱える悪い部分がデカすぎるせいですね。では以下には、悪い点について解説していきます。
今作の悪い点は、一体全体何がしたいのか不明瞭なストーリーと、そのせいもあってまっっっっっったく盛り上がらない展開の二点です。この二つがとにかく致命傷。
そもそも今作、大まかな流れとしては「女子大生が昏睡レ☆プ!される → 従姉妹のつてで女性バイカーやさぐれ集団、ダーク・ムーンに相談 → クズ男たちを捕まえて報復 → クズ男たち、報復された報復のためにダーク・ムーンを襲撃、誤射で女子大生死亡 →ダーク・ムーン、報復された報復に対する報復のためクズ男たちと決闘、見事報復を果たす → 無関係な主人公の彼氏、死亡」という感じなのですが、70分の中にこれだけイベントが盛りだくさんであるにもかかわらず、これがもうびっくりするほど盛り上がってこないのです。
その理由の一つとしては、とにかく一つ一つのイベントが物凄く薄味で消化不良だから、というのが挙げられます。というのもこの映画、基本テンポ良く爆速で物語が進んでゆくのと引き換えに、こちらが見たいシーンまで一瞬で終わらせて次々進んで行ってしまうため、なんかダイジェストでも見せられてるんじゃないかという気分になってくるんです。
代表的な所でいうと、おそらく今作最大の見せ場であろう、ダーク・ムーンとクズ男たちとの3 on 3最終決戦ですが、お互い睨み合ってファイト開始、という所からまさに一瞬で決着がつきます。その間、なんと20秒。マジで、殴る→殴り返す→殴る→KO、バリのスピード。他にも、もう一つの見せ場であろう、誤射で女子大生が死亡してしまう乱闘シーンもわずか30秒程度ほどしかありません。一番最初にクズ男たちに対して報復するシーンも、複数人で囲んでケツに焼き印入れて返してやるなど、「あんなに息巻いてた割に生温くね?」という肩透かしを喰らいます。
つまるところ今作、リベンジ映画でありながら、肝心要のリベンジシーンが非常に薄味で低クオリティなうえ、時間的にも一瞬で終わるという、お前自分の映画のジャンル考えろよ、という調整をされているのです。しかも、そもそも報復の発端になったレ☆プシーンや、その結果女子大生が傷ついて悲惨な思いをするという、被害者に同情を集めさせることによってその後の報復シーンを盛り上げる役割を果たす部分の書き込みも、時間的にも技術的にも圧倒的に不足しているんですね。そりゃどうやったって盛り上がらんわよ。
しかもそれだけにとどまらず、今作は結局報復を通して不幸な人間を増やしているだけなので、報復そのものを達成した爽快感やクズ男たちが制裁されることに対する満足感というのが全く感じられないという意味においても、お前リベンジ映画として結局何がしたいねん、と言いたくなるのも大きな問題。
先述のとおり、今作は「報復→それに対する報復→さらにそれへの報復」、という段階を経て話が進んでゆくのですが、この復讐劇、マジで散々な結果に終わります。特に、レ☆プ被害にあっただけなのに最終的に殺された女子大生と、男だからって理由だけで刺し殺された主人公の彼氏がただただ不憫すぎて、爽快感も満足感も宇宙の彼方に吹き飛んで行ってしまうため、「復讐は一応達成したけどそもそも依頼者死んでるし、リーダーはツイフェミばりに男嫌い拗らせすぎて頭おかしくなってるし、無関係な主人公の彼氏を巻き込んだ結果、男だからって理由だけでリーダーに殺されるし、主人公は彼氏亡くした上にあんなに慕ってたグループ抜けることになるし」という、まるで「憎しみは憎しみを生むだけ」「復讐なんて無意味」と言わんばかりの虚無感、モヤモヤ感だけが残ります。まさに「お前結局何がしたいの?」と言わんばかりの内容でした。リベンジムービーでこんなことすんなし。
総評ですが、あらすじだけを見て「レ☆プするクズ野郎を女性軍団が制裁! 報復大成功スッキリ爽快!」な内容を期待すると、あまりの落差に真顔になること必至です。しかも、見せ場の報復シーン含めて全体的に話がポンポン進み過ぎて、明らかに書き込み不足な展開もかなり目立つため、ただただ流れてくる映像を消化するだけ、という状態になりがち。リベンジ映画でありながら、報復に繋がってくる前提部分の書き込み不足のみならず、報復シーンも一瞬で終わる上に、そもそも報復自体意味がないという、結局何がしたいんだこの映画、という感想だけが残りました。私からはお勧めしませんが、まあ短い上にイベントが多く、飽きずにサクッと見られるので、よほど気になられた方はどうぞ。
今回のレビューは以上。読んでくれてありがとう。よろしければ、お気軽にコメントしていってくださいね!