「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ディストリクトーX のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)
途中眠気で意識が2回ほど飛びかけた盛り上がり皆無映画のレビュー、はじめます。

本編90分もないのに2時間くらいに感じた。

それでは、まずは本作の基本情報、あらすじ、予告編からどうぞ。

  • 国籍 イギリス
  • 製作 2020
  • 販売 ハピネット

あらすじ

警察官として働くゾーイとパトリック。普段通りの勤務にあたっていたが、見回りに訪れた家の住人たちが奇妙な振る舞いをはじめ、意図せぬ死の連鎖が起こり始める。今日、ここで何かが起こっている―。住人を守るべく、目の前の信じがたい現象の解明に乗り出そうとするが、やがて彼らは、町全体が謎のエイリアン・マシーンの支配下にあることに気付く。無作為かつ容赦なく人間を襲い、殺戮を続けるエイリアン・マシーンに、無謀にも立ち向かうゾーイとパトリック。生き延びた住人らの協力によって、少しずつ手掛かりを手にしていくが、魔の手は彼らにも忍び寄り、次々と住人を失ってしまう…。果たして彼らは手遅れになる前に、人類を滅亡から救うことができるのか?地球の運命は彼らにかかっている!

Amazon商品ページより引用)

予告編

ストーリー
キャラクター
モンスターの質
設定
総合 D+

良い点

  • モンスターの出来は結構良い

悪い点

  • 死ぬほど盛り上がらない展開
  • オチ

 モンスター映画というかエイリアン映画なんですが、とにかく内容がスッカスカな上に戦闘シーンがあまりにもお粗末でとにかく盛り上がりません。そのせいでめちゃくちゃ長く感じます。ぶっちゃけ駄作なので、興味があって見ようかなと思われた方は、若干覚悟した方が良きかもです。

 
ここから先のレビューには、ネタバレを含む場合があるわ。未視聴の方は注意してね。
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 詳しくは後述しますが、オチが全部悪いと思います。

 さて今作ですが、空から機械のエイリアンが片田舎の町に降ってきたので、警官の主人公がそれと戦いながら町からの脱出を目指す、という感じのやつです。それでは早速、今作の良い点悪い点を見てゆきましょう。まずは良い点から。

 今作の良い点は、モンスター、というかエイリアンの出来自体は結構良いことです。

 今作はエイリアン侵略映画なので、なんといってもエイリアンの出来はこの映画を語る上で外せない要素なわけなんですが、ぶっちゃけ造形や映像的なクオリティだけを見れば、B級映画としては結構レベルは高いです。

 この映画に出てくるエイリアンは全部で3タイプ。まずは基本となる、四足歩行のノミみたいな機械型のタイプですね。パッケージにも映ってるやつで、今作で1番積極的に襲いかかってくるやつです。なぜかパッケージだとめちゃくちゃデカく見えるんですが、実際のサイズは人間と同じくらい。
 そして、これまたパッケージに映ってる、浮遊型の母艦みたいなやつ。こっちはエイリアン本体というより輸送艇に近いんですが、まあそれなりに出てくるので1タイプに数えときましょう。こっちは四足型を運んでるだけあって、それなりにデカイです。
 この機械型2種に加えて、中盤からは黒いコートを羽織った大男型の敵も出現します。身長2メートルは優にあり、暗闇に佇んでこちらを見つめてくるその様は、さながらバイオRE2のタイラントのよう。生体型の敵はこの子だけなので、先の 2種の機械はこいつの支配下にあると思われます。

 とまあこんな具合に、三者三様の特徴を見せる今作の敵エイリアンですが、動きの滑らかさやCGの出来栄えなんかはどれも結構なクオリティに達しています。まさにその場に存在するかのよう、とまでは言えませんが、明らかに画面上から浮いてたり、動きが極度にカックカクでぎこちなかったり、ということはなく、総じてB級映画としては充分。

 特に、機械タイプの敵しか出て来ないのかと思っていた事もあり、『車に乗り込んでライトをつけたら、目の前に黒いコートの大男が!』という、今作のタイラント初登場シーンは滅茶苦茶テンションが上がりました。思えば、この部分がこの映画の絶頂だった気がします。

 というわけで、良い点は以上です。続いては悪い点を。

 今作の悪い点は、とにかく死ぬほど盛り上がらないストーリーと、オチです。特にオチです。オチが全ての元凶と言ってもいい。

 まずはストーリーについて。前述の通り、今作は片田舎を舞台にしたエイリアンもの。基本的には警官である主人公たちとエイリアンとの戦いや、町からの逃亡を軸として話が進むのですが、これがもうびっくりするくらい盛り上がらない。理由は幾つかあるのですが、その大半はエイリアンの侵略方法にあります。

 今作には四足型、浮遊艇、大男の3種類の敵が出てきますが、積極的に向こうから攻撃を仕掛けてくるのは四足型のみです。そしてこいつの攻撃方法というのが、走ってきてアームの先端から出る注射針みたいのでチクっとしてくるという方法。そのため基本今作の戦闘シーンは、中距離から銃を撃つ主人公たちからの攻撃に怯みながら、四足型が健気に前に出てきてチクチクしようとしてくるという、何というか地味の極みみたいな描写が大半。屋内だろうが屋外だろうが、基本この展開が繰り返されます。地味なだけでも結構辛いのに、戦闘全体が極度にワンパターン。これが今作の盛り下がりポイントその1。

 さて、走ってきてチクチクしてくるだけの四足型ですが、じゃあタイラントはどんなポジションなんだよというとですね、これが胡蝶抜きにマジでただ突っ立って見てるだけです。どうも設定上、タイラントはこの機械たちを操っているだけで戦闘員ではないらしいのですが、どう考えてもお前も戦闘に参加した方が映えるだろうがなんのための恵体だよ、と言いたくて仕方ない。
 初登場シーンなんかはまさに最悪。エンジンをかけたばかりの車の目の前に突如現れたタイラントに、「おっ、機械だけが敵じゃないのか! しかもこいつデカイしゴツいしめっちゃ強そうやんけ!」と期待を膨らませておいてからの、自分の横をゆっくり素通りしていく車をただ突っ立って見送るだけという拍子抜け展開。まさに最高で最悪の初登場。その後も、警察署内や屋外等でちょくちょく遭遇はするのですが、その度四足型の後ろで佇んでいるだけで、特に何もしてこないという監督ムーブをかましてきます。
 滅茶苦茶強そうでガタイのいい大男がただのカカシで戦闘に絡んで来ず、下っ端の四足型に行かせるだけの置物。これが今作の盛り下がりポイントその 2。

 さらにさらに、この四足型との戦闘シーンですが、とにかく相手の舐めプが目立つのも看過できません。こいつらは主人公に針を刺そうと、見かけたら積極的に襲ってはくるものの、明らかに場面場面によって露骨に強さ調整されています。初出時は積極的に車をも追いかけるほど素早く機敏であったのに対し、屋内では怪我人を抱えながら早歩きで逃げる主人公にも追いつけなかったり、銃で何度撃たれても一瞬怯む程度で果敢に向かってくる時もあれば、主人公たちのピンチには数発くらったらダウンする時もあるなど、何というかもう色々と露骨。これが今作の盛り下がりポイントその3。

 さらにさらにさらに、今作のエイリアンによる侵略の方法は、機械を使って直接手を下すだけでなく、(おそらく)ウイルスを使っての攻撃もしてきます。具体的には、突然人々が錯乱状態に陥り、挙句には自殺する、という原因不明の症状が発生。登場人物たちは四足型による直接攻撃と、原因不明の自殺衝動の2つに襲われる、という設定。
 この自殺を誘発するウイルスという存在、これ自体は全然悪くないのですが、これがさらに今作の地味さに拍車をかけています。エイリアンとの戦闘シーンは銃撃戦もあり派手だけど、ウイルスとの戦いは静かに忍び寄る見えない恐怖演出がメイン、って感じなら、お互いにいい感じに対比が効いて映えそうなものですが、今作の場合は戦闘も地味、ウイルスとの戦いも地味って感じなので、地味×地味であんまり噛み合わせが良くないんですよね。

 他にも、キャラクターの描き方が雑でイマイチ彼らの行く末に興味が持てないだとか、キャラクター同士の交流などを描くドラマパートが味気ないため話がすぐダレるとか、ストーリー全体通して『接敵→申し訳程度の戦闘→歯が立たなくて逃げる』の繰り返しなため、肝心の中身が薄っぺらくすごく無理矢理引き伸ばされているように感じるため、実時間以上に長く感じて飽きてくるだとか、減点ポイントはたくさんたくさんあるんですけど、個人的には今作の最大の問題点はこれらではないと思います。

 それは何かというと、オチです。これが今作を駄作たらしめている諸悪の根源。

 この映画のオチなんですが、端的に言いますと「実はエイリアンは敵ではなかった」というもの。もっと具体的に言うと、主人公たちが住む田舎町に突然、自殺誘発ウイルスが蔓延し、人々が衝動的に自殺し始める。宇宙から飛来したエイリアンたちの目的は、実はその治療だったというのです。つまり、ウイルスはエイリアンが攻撃のために撒いていたものではなく、彼ら四足型ロボットが行なっていたのは、実は攻撃ではなく治療だった。だから、ろくな武器を持たずにアームから伸びる針を刺して回る、という事をしていたし、なんとなく本気で殺しにかかってきている気がしなかったのでした。その事を察した主人公が、あえてエイリアンに近づき自らも刺され、そして目を覚ます。そこで今作は終わりです。

 このオチを突きつけられた時、ぶっちゃけ最初は「意外と悪くないな」と思いました。まあ、このオチ自体はどっかで見たことあるような安易なオチではありますが、ぶっちゃけ今作、あまりにも退屈すぎて「多分このままエイリアンの目的も自殺誘発ウイルスの謎も何もかも曖昧なまま適当にお茶濁して終わるんだろうな」と思って見ていたので、まあ流石に強引ではありつつもある程度の回答が示されたことには好感が持てました最初は。でもよく考えてみると、違いました。

 確かにこのオチであれば、作中のいくつかの謎や疑問点には答えが出ます。なぜ、エイリアンはロボットや浮遊艇を量産するほどの技術力がありながら、銃火器の一つも装備していないのか。なぜ大男は襲ってこないのか。なぜエイリアンと接触してもいない人が、自殺誘発ウイルスを発症するのか──確かに説明はつく。ですが、このオチにするために、いわばこのオチありきで映画を撮った結果、そこに至るまでの肝心の本編部分がクソつまらなくなっているのではあまりにも本末転倒と言わざるを得ません。

 このオチの存在により、エイリアンが武器を持たない理由、なんか手抜きに見える理由、ウイルスの感染条件などは明らかになったわけですが、逆に言えばエイリアンは治療行為を行なっていたという流れにしたいがために、エイリアンに重火器は持たせられない、戦闘シーンも針刺すために走ってくるというワンパターン展開にせざるを得ない、造形がよくできているタイラントは突っ立たせたままのカカシにするしかない、人間を本気で殺しに行くという真剣さが出せないせいで戦闘シーンが盛り上がらないなどなど、このオチにするためだけに払った犠牲があまりにも多すぎる。そのため、オチが良い悪い以前に、そもそもオチに辿り着くまでに飽きるというどうしようもなさ。そういう意味だと、このオチありきで脚本を構築した事自体が今作1番の癌とも言えます。

 せっかくモンスターのクオリティ自体はそこそこ高いのだから、普通にエイリアンが襲ってきてお互い銃撃戦させるなり全力で追いかけてくるのをいなしながら逃げさせるなり、タイラント投入して巨体から繰り出される破壊力のある攻撃を見せつけるなりさせた方が何倍も面白くなったのでは。まあ、その分内容自体はよくある普通のモンスター映画になってしまうかもですが、そもそも現状この映画のオチ自体がそんなに特質すべきほど優れているわけでもないですし。

 というわけで総評ですが、エイリアンのクオリティは悪くないのですけれど、それを全く活かせておらず盛り上がらないストーリー展開がかなり問題あり。そして、映画全体を駄作たらしめている原因はオチにこそあり、というタイプの作品でした。

 まずは本編が面白くて、その上でオチも一捻りあるのなら全く文句はないのですが、今作の場合本編自体が面白くないですからね。もしくは、本編自体は地味だけど、オチが滅茶苦茶秀逸とかならこれまた文句はないですが、そんな高レベルにまとまったオチでもないですし──このオチをやりたいがために本編全体の面白さを犠牲にするか、オチは平凡でも本編全体が普通に面白くなる可能性に賭けるか、どちらを取るかと言われれば私は圧倒的に後者です。

今回のレビューは以上です。お読みいただき、ありがとうございました!
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