「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

バイオハザードX のレビューです(総合評価E)

(画像:Amazon商品ページより引用)

 
前回までの有名どころとは一転変わりまして、今回はバイオハザードシリーズのパチモン映画、バイオハザードXです。レンタル版を吹き替えで視聴しました。公式サイトはもちろんWikipediaなどあるはずもなく、またパッケージ裏にあらすじがあったのですが、レンタルしたので手元にパッケージがないため、アマゾンの商品説明欄のものを記載します。

公開 2007
販売 トランスフォーマー

あらすじ

奇妙な生命体が徘徊する砂の星に不時着したスペースシャトルの乗組員たちのサバイバルを描くSFアクション。かつて“地球”と呼ばれていた砂の惑星に不時着したふたりの囚人が“ホーム”の命令により謎の存在“X”を求めて巨大な地下建造物に潜入する。

ある惑星の巨大地下建造物を舞台に、アンデッドの群れと戦う2人の囚人の姿を描いたSFサバイバル・アクション!砂の惑星に不時着した2人の囚人を乗せたスペースシャトルのもとへ、監視機関から地下研究所に眠るXを調査せよとの連絡が入る。早速、任務を遂行しようとした2人だったが、そこで彼らを待ち受けていたのは、生物兵器の影響で狂暴化したアンデッドの群れだった…。

(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー    
モンスターの質  
キャラクター   
世界観      

総合       
おすすめ度    

【以下、ネタバレ注意!】

 B級映画おなじみの元ネタパチモンシリーズです。バイオハザードとありますが、原題はTHE MEN WHO FELL. 

さて、作品の評価に入る前に。私は何を隠そうバイオハザードシリーズの大ファンで、ゲームは0~6まで全てプレイし、アウトブレイクなどの番外編にも手をだし、映画も全て視聴しました。私がゾンビものにはまるきっかけとなった作品群です。余談ですが、そのせいかバイオのパチモン映画もよく見ます。

ではここでもう一度、今作のパッケージを見てみましょう。砂漠……美女……何か、どこかで見たことあるような……?

まあ、B級映画を見ていればこの程度のパッケージ詐欺は良くあることです。もしこれがB級のパチモンだと気付かずに、バイオの新作だと思って借りた方がおられましたら、ご愁傷様です

では本題に入りましょう。さて、まずは上述した今作のあらすじですが、あれはあらすじではありません

いきなり意味不明なことを言っているように聞こえるでしょうが、それは今からストーリーを追っていくことで分かると思います。あらすじ、もう一度読んでよく覚えておいてください。

さて、上の評価を見てもらえばわかるかと思いますが、今作最大の致命傷はストーリー展開の悪さです。もう悪いなんてものではありません。

この映画の主題は「惑星にXの調査にやってきた二人の囚人がXを見つけ、その後そこから脱出する」というものなのですが、まずこのXを見つけるまでに1時間以上かかります。その間何をしていたかと言えば、施設を探索しては喧嘩し、探索が少し進んではまた喧嘩し……の繰り返しです。その間アンデッドとの戦闘は一切ありません。見どころも皆無です。

つまりその1時間、二人の囚人の会話だけで話が進むわけですが、これが特に酷い。この二人が魅力的なキャラクターならよいのですが、一人はやたら帰ろうを連呼するだけ、もう一人は特質すべき点のないくらいの平凡君です。しかも話が進むと書きましたが、ストーリー的には全く進展はありません

これらが相まって、最初の1時間は死ぬほど退屈でした。その間パッケージのヒロインも全く出てきません

しかしこんなことは序章にすぎませんでした。なぜなら、後半はもっと酷いからです。

さて1時間を経過したところで、主人公のおっさんがバイオハザードマークのついた扉を開けると、やっと今作の主役、Xが登場です! 高鳴る期待。主人公がそこで声をかけると……

何とそこには、ハリーポッ〇ーのヴォル〇モート卿を劣化させたようなおっさんが一人!

しかもそのヴォ〇デモート、急に話し始めたではありませんか! これには主人公もびっくりして腰を抜かしてしまいます。私も抜かしそうでした。

しかしそれだけではありません! 何とその瞬間、今まで全くストーリーに絡んでこなかったパッケージのあの人が! しかも手には大きな十字架を模した剣を持ち、手作り感満載の変なマスクまで着けています!

そしてその二人がお粗末な戦いを繰り広げる横で、腰を抜かした主人公が衝撃の一言!

 「一体どうなってる!?」

こっちのセリフだよ!!!

もう視聴者は完全に置いてけぼりです。しかもアンデッドと思しきおっさんは、「私は悪魔だ」的なことを言い出し、ヒロインらしきマスクマンは「イエス・キリストの名のもとに」的なことを言って剣を振り回します。

このシーンを見て、多くの人が思うでしょう。「え、これ生物災害の話じゃねーの?」

はい、違います。この悪魔を閉じ込めていた扉には、確かにバイオハザードマークが書いてありますが、この映画には生物兵器はおろか、細菌やウィルスの類も一切登場しません

そしてその悪魔と戯れた後、やっとヒロインがマスクを外してお顔を拝ませてくれます。なかなかの美人さんです。この時点で70分経過。さあ、後20分程度しかありません。

さて、ここで私はパッケージにあるキャッチコピーを思い出しました。

13年間、たったひとりで地球を守り続けた女

うーん、(キャッチコピーだけなら)カッコいい! 某生物災害映画の女主人公のようなカッコよさですね。

ところがここでも、その女性から衝撃の告白が!

「この13年間、あの悪魔について研究してきたけど無駄だった」

キャッチコピーが半分否定されました。話を見ていると分かりますが、このヒロイン、悪魔に対してなす術を持っていません。彼女が地球を守ってたというよりは、悪魔が本気出してなかったの方がしっくりきます。

しかも、彼女はさらっと外に仲間がいることを暴露します。たったひとりではありませんでした。この時点でキャッチコピー全否定です。

それと、言い忘れていました。敵の悪魔の攻撃方法ですが、基本的に精神攻撃です。相手に幻覚を見せたり耳元で諦めろと囁きまくったりと、非常にまどろっこしい攻撃をしてきます。

つまり絵面が非常に地味です。これが、この映画が後半になっても退屈な理由の一つでしょう。

さてこの後の展開ですが、悪魔の精神攻撃から逃げ回る主人公とヒロインは、悪魔との最終決戦へ。ヒロインが悪魔とCG全開の戦いを繰り広げる中、主人公のおっさんはガン逃げ。その甲斐あってか、見事脱出に成功しました!

さて、そして悪魔とヒロインの気になる決戦の行方は……?

結論から言うと、ヒロインが勝利したっぽいです。ぽいと言ったのは、決戦のシーンは完全カットされているからです。悪魔の出番はもう終わりです。

この後は、主人公は一応地球からの脱出に成功し、まあその後いろいろあって映画は終わりです。いちおうラストシーンは続編に繋げたい感じの終わり方でした。そんな馬鹿な

さて、ここで記憶力の良い人は気が付くはずです。

話の展開が、あらすじと全然違う……と。

そうです。この映画の内容はあらすじと全然違います。きっと上記のあらすじを書いた人は、この映画を見ていなのでしょう。

つまり、この映画は『奇妙な生命体が徘徊する砂の星』が舞台でもなければ、『生物兵器の影響で狂暴化したアンデッドの群れ』など一体も出てきません。そして主人公たちは一体の悪魔から逃げ回っているだけなので、『アンデッドの群れと戦う2人の囚人の姿』どころか『戦う2人の囚人の姿』自体がほぼ見れません。B級映画は数あれど、これほど高度なあらすじ詐欺は今まで見たことありませんでした。

総評ですが、この映画、褒めるべき点が見当たりません。前半の展開がだるすぎて笑いすら起きませんでした。唯一の加点はヒロインが美人なことですが、その登場が遅すぎて話になりません。

一つだけ感心した点は、ここまで全くゾンビと関係ない内容の映画に『バイオハザード』という邦訳を付けようと思いついた人物のセンスです。この人とあらすじを書いた人に、この映画を10回くらい見直させたいですね。

とまあ個人的に、死霊の盆踊りよりは多少マシ程度の出来でした。むしろネタにならない分それ以下とすら言えます(酷評)。

友達どうしでわいわいしながら見るものお勧めしません。前半で、集まった友人の半分以上がおやすみすることでしょう。

効果的な利用法としては、フリスビーカラス除け瓦割の練習台などいろいろありますが、レンタルしたものでしたらそのどれにも使えません。 レンタル版の唯一の利用法としては、副作用のない睡眠導入剤としての利用が効果的です。

最近熱帯夜が続きますから、夜寝つけないという方は、是非レンタルショップへ足を運んでみてくださいね。

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