「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

人狼ゲーム シリーズのレビューです

皆さま、大変大変お久しぶりです。突然更新が途絶えておりましたが、仕事が忙しかったり子育てに奔走したりAPEXやってたりサボったりしておりました。今後もほとんど不定期更新になりますが、だらだらと続ける所存はございますので今後ともよろしくお願いいたします。

また、現在パソコンがぶっ壊れたのでスマホ中心生活になっているのですが、スマホだとブログが書きづらいの何の。具体的に言うと、画像作ったり文字色変えたりの操作が慣れない、というかマウス使えないのに細かい操作がストレスマッハで死にそうなので、ページ作りが以前以上に簡素になっちゃう事をお許しください。

というわけで、前置きはさておき。今回コロナの影響でゲオにも行けず、外にも出れず、だらだらゲームしたりネトフリやらアマプラ見たりの生活をしてたんですが、せっかく時間もあるし、という事で、今回以前より気になっていたシリーズを見てみました。そう、人狼ゲームシリーズです。

ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、このシリーズ、何と8本もあるんですよ。しかも、その内1本はドラマ版なので、実質映画10本超くらいのボリュームがあります。

多スギィ! だいたい人狼ゲームシリーズの評価やらおすすめやら書いてるサイトなんていくつもあるのに、今更バカみたいな時間かけて一気に見た上でわざわざレビュー書く気になんてなるわけないだろ!

というわけで、全部見てきました。以下では簡単にではございますが、各作品の評価などをご紹介し、最後にオススメの見る順番なども提唱できればと思う次第でございます。私見が入りまくりなので、あくまで参考程度にどうぞ!

【はじめに:人狼ゲームとは?】

まずはじめに、「そもそも人狼って何だよ」という方のために、ものすごいざっくりと人狼というゲームについて解説します。

人狼とは所謂テーブルゲームの一種で、プレイヤーはゲームマスターから割り振られた役職に従い、村人陣営と人狼陣営に分かれ、お互いが生き残りをかけて議論します。村人陣営の目的は、村に紛れ込んだ人狼を探し出して投票により処刑すること、人狼陣営の目的は、村人陣営に見つからないよう襲撃によって数を減らし、同数に持ち込むことです。お互いの配役は基本非公開のため、参加者は議論を重ねて誰が人狼かを推理し、また人狼は正体がバレないように立ち回りながら村人を襲撃していく、というゲームです。詳しくはググって(解説放棄)

なお、私自身は遥か昔に身内人狼を何回かプレイしたことがあるのですが、身内でやると推理以前に日頃の行いで投票対象が決まるので、ぶっちゃけクソゲーだと思います。

僕はよく初日吊りされました(半ギレ)

【今シリーズについて】

今シリーズは基本的に「高校生たちが何者かに命がけの人狼ゲームを強いられる」という世界観設定を共有しているだけの別作品群であるため、極一部を除いてはシリーズと言いつつ続き物ではありません。そのため、別にどこから見ても話は分かるんですが、基本的に後の作品に行くにつれて役職が増えてゲーム内容が複雑になって行くので、差し支えなければ順番に見る事をお勧めします。

じゃあ早速1作目からイクゾー!

1作目 人狼ゲーム B

(画像:映画.comより引用)

記念すべきシリーズ1作目です。人狼を知らない人にも安心設計で、役職設定がものすごいシンプル。狂人やら狐やらのややこしい役職は一切出て来ず、超純粋な村VS狼のバトルが見られます。

また、人狼側は襲撃対象を自分たちの手で頃さないといけない、というルールに加え、投票で決定した処刑対象の札害も参加者自身の手で行わないといけない、というルールでの進行になるため、全員が札人の痛々しく生々しい現場を目撃することになり、なかなかの緊張感があって大変良きでした。

ただし、人狼ゲーム自体がかなり運ゲー色が強い上に、今作はシリーズ中でも特にその傾向が強いので、心理戦、推理的な面での満足度は低め。

とはいえ、シンプルで分かりやすい、かつ札害シーンも多めなため、個人的にはシリーズ中でもかなりお気に入りの作品です。1作目という事もあり、入門用にも適しているため、ぜひ最初に見て欲しい作品。

2作目 ビーストサイド B

(画像:映画.comより引用)

シリーズ2作目。その名の通り、主人公が人狼側の作品です。何を評価点にするかによって、かなり評価が分かれる作品だと思います。

主人公が人狼側という事もあり、札害シーンが多めなのは嬉しいところ。昼間の処刑投票のシーンと合わせても、札害シーンの多さはシリーズ屈指。また、1作目から比べて役職も増加しており、前作よりは人狼っぽい議論をしようと頑張っているのが伺えます。

問題点としては、参加者同士が知り合いなため、良くも悪くも身内人狼感が強い事。特に処刑対象の投票には「人狼っぽい人」「怪しいと思う人」ではなく、「嫌いな人」「死んでもいいと思う人」が選ばれる事が多い、すなわち感情的な投票が多いのが今作の特徴です。村人同士の仲間割れが頻発するのに加えて、初日の占い忘れ、最終投票での村人側のゲーム放棄など、話がとにかく人狼有利に進みます。これは萎える人も多いんじゃないかと。

総じて、人狼としての完成度は1作目以上ですが、そこにリアルの人間関係が入り組んでくるため、それ込みで演出される身内人狼感を楽しめるかどうかで評価が変わる作品です。

3作目 クレイジーフォックス D】

(画像:映画.comより引用)

はっきり言いますがクソです。今シリーズの駄作枠その1。良い点よりも残念な点の方が多く思いつく、というより良い点が何も思いつかねえ……。めちゃくちゃ強いて挙げるとすれば、2作目に加えて役職が増えたので駆け引きの幅が広まっている事と、人狼の中でも異質の第三勢力である狐視点を取り入れた事でしょうか。でもまあ、役職なんてただ増やせばいいってもんでもないしね(辛辣)

残念なポイントは大きく二つ。一つ目は、処刑対象の頃し方が手動自動になった事。今作からの処刑は、参加者が自らの手で、というスタイルではなく、自動で首輪がしまって死ぬ方式に変更になりました。そのため、投票後に漂っていた「自分たちがこの手で人を頃した」感が薄まってます。これ個人的にマジでない。

二つ目は、主人公の頭がおかしい事です。この主人公ちゃん、「狐という第三勢力を引いた=勝っても自分1人しか生き残れない」というルールを理解していないのか、なんと突然「ゲーム中一目惚れした相手と一緒に生き残りたい!」という意味分からん事を言い出したかと思うと、その不可能を実践しようとゲームを進めるとんでもないリアル狂人な思考回路を兼ね備えています。かと思えば突然「いや、自分は『人を好きな自分』に酔ってるだけだったわ」と突然気持ちを冷まし、戦う決意を固めるなど、情緒不安定なポンコツ大魔神なので、見ていて欠片も応援する気が起きません。酔ってる酔ってない以前に、ルール理解してるんですかね……

総じて、狐視点のリアル狂人プレイが見たいわけでもなければ見る価値ないです。「第三勢力という、誰も頼れない、自分しか信じられないフォックスという役職がクレイジー」なのかと思ったら、「脳みそお花畑で恋愛体質(笑)な主人公の頭がクレイジー」というオチには驚かされました。以上。

4作目 プリズンブレイク D+】

(画像:映画.comより引用)

今シリーズの駄作枠その2。良い点もあるにはあるんですが、圧倒的に悪い点の方が目立つ。

先に良い点を挙げると、今作はシリーズで唯一、主人公含めて全員の役職が分からない状態でゲームが進行します。そのため、観客視点から各キャラクターの役職を推理しながら見られる、というのは明確な利点でしょう。はい。

と言うわけで、本命の悪い点を。今作の悪い点は、もうとにかく作りが何もかも雑な点です。雑。本当に雑。

今作はその副題の通り、最終的に脱獄するわけですが、まずその脱獄の仕方が雑。「たまたま運営のカメラが届かない部屋を見つけて」「たまたまその辺に転がってたヤスリを使って首輪をギコギコしてたら」「たまたま作りが安っぽい首のワイヤーが切れて晴れて脱出、めでたしめでたし!」という流れを、どうせ脱獄するんだからやってもやんなくても大して関係ない人狼ゲームで尺を稼いだり、クソどうでもいい過去のいじめ事件だのなんだのという薄っぺらい人間関係描写を、御都合主義な展開を交えながらダラダラダラダラダラダラダラダラやるだけの映画となってます。

またゲーム内容も大概酷く、役職だけは増えた割には大した推理も披露せず「やっべもう投票締め切りまで時間ないンゴ! とりあえず一番声でかいやつ吊っとけ!」な展開が続きます。ハッキリ言ってクソ面白くない。

ラストの狂人による人狼炙り出し作戦は面白い発想だとは思いましたが、そもそも狂人は人狼サイドなので、人狼の炙り出し行為自体がゲームの前提に反しており、ここも好みが分かれるポイント。

総じて個人的に駄作だと思いますが、ネット上の意見を見ていると割と賛否が分かれているので、刺さる人には刺さるっぽいです。僕には一ミリも刺さりませんでした。ただし、このシリーズ中で一番ハッピーエンドっぽい作品なので、ハッピー至上主義の方はどうぞ。まあ、あの後速攻捕まって頃されそうなんで、結局バッドエンドっぽいんですけど……

この辺りで、「34と駄作続き、もうこのシリーズダメかも分からんね」と思い始めます。

5作目 ラヴァーズ B】

(画像:映画.comより引用)

ここにきて奇跡の怪作爆誕。ストーリー、キャラ、ゲーム内容、完成度、オチ、ぶっちゃけ全部好きな名作。人狼ゲームシリーズの中でも、12を争うほど好きです。

褒めたいところは沢山あるんですが、大きく分けると三点。

まず一点目、投票で決定する処刑対象の札害方法が、勝手に首輪が閉まる自動方式参加者の手で凶器を使って直接札害しないといけない手動方式に再変更になりました。私はこの、参加者全員の面前での札害描写が緊迫感あって好きなので、まずこれが何より嬉しい。

二点目、心理描写の高度化。今作は新たにキューピッドと恋人という役職が増え、シリーズ中で最も役職が多く、それに伴いゲーム内容もかなり複雑化しています。そしてゲーム内容が複雑ということは、それだけ見所も多くあるということです。各キャラ同士の駆け引きが増えただけでなく、人間関係描写も複雑に絡み合い、最初から最後までかなり見応えのある内容となりました。

三点目、オチ。この部分は若干賛否割れる部分がありそうなんですが、僕はね、好きなんですよ、この救いようのないオチが。少し御都合主義な展開も含まれていますが、それを差し引いても良いんですよね、オチ。すこなんだ。

ただ、強いて悪い点を挙げるとすれば、ゲーム内容が複雑すぎる事に加え、登場人物が全員人狼経験者と言うこともあり、人狼未プレイの人はこの作品から見ると確実に展開についていけず置いてけぼりになると言うことです。今作がシリーズ中でも屈指の面白さなのは間違いないですが、だからといってここから見始めるのだけはお勧めしません。

と言うわけで、文句なしに現状シリーズ最高傑作です。多分このシリーズがどこまで続いても、この作品を超えるのは無理です。そう思わせるほどの傑作。

6作目 マッドランド C】

(画像:映画.comより引用)

今までの人狼ゲームと違い、村人側より人狼側の人数が多いという変則的なゲーム「狂人村」を題材とした作品。具体的には、人狼が1人、村人側が2人に対し、狂人が7人もいます。すなわち、村人側は1人でも欠けたら敗北確定なのに対し、人狼側は投票で吊られなければ勝利確定という大変なクソゲーなのです。この人狼側死ぬほど有利な状況下で、村人側の主人公がいかに勝利を掴むかまでを描いた作品なのですが……

まず前提として、このゲームは村人2人をあぶり出して排除すれば勝ち、というわけではありません。なぜなら、狂人は人数のカウント上は村人側なので、人狼陣営は最終的に狂人の数を1人にまで減らさないと勝ちにならないからです(人狼の勝利が確定するのは、人狼と村人の数が同数になった時であるため)。つまり狂人としては、自分が生き残るためには村人2人を頃すだけでは不十分で、人狼に襲われず、かつ昼の投票でも吊られないような立ち回り、すなわち人狼に媚を売って自分を気に入ってもらう立ち回りを強いられます。そのため序盤は特に、人狼が狂人に媚を売らせようとする描写のオンパレード。

さて、圧倒的不利な村人側が作戦を練って人狼側に勝利する物語、と言えば聞こえはいいですが、実際のところは最悪すぎるゲームバランスのせいで見ていてもあまり盛り上がりません。村人側が最終的に勝てたのも、結局人狼がゲーム下手だったから勝てた的な部分も大きく、まあクソつまらなくはないけど特別面白いわけでもないという作品に。

唯一、最後の夜と最終投票のシーンはなかなか良く練られた作戦で良かったと思います。そこを除いては、良くも悪くもまあまあな作品でした。シリーズ中では中間くらいの面白さ。また、ゲーム内容がかなり変則的であることから、ここからの視聴はおすすめしません。

7作目 ロストエデン B+】

(画像:Amazon商品ページより引用)

ここにきて、まさかのドラマ版。30×10話分あるため、総計約5時間、そのボリュームは映画にして3本分ほど。しかも、それだけの時間を使ってやっていることは、他の映画と同じで人狼ゲーム1回のみなので、「こんなん絶対壮絶な尺伸ばし連発間違いなしやん」と思うところですが……見事にその予想は裏切られ、蓋を開けてみれば出来具合はシリーズ最高傑作です。

褒めたい点はいくつもありますが、代表的な部分を挙げるとすれば、二つ。

まず一つは、今までの映画版に比べて時間が大量にあるため、キャラクター同士の人間関係描写をより丁寧に掘り下げられている点です。映画版は良くも悪くも時間が限られているため、わりかしどれもテンポよく話が進む反面、キャラクター描写については簡素になりがちでした。主人公周りの数人は過去話も交えて掘り下げていた作品もありましたが、登場人物が常に10な今シリーズでは、とてもではないですが映画の時間内のみで全員のキャラを掘り下げている時間はありません。

その点ドラマ版は、登場人物全員を同じクラスから選抜する事でキャラ同士の関係性を密にする土台を作った他、全員が何かしらの目的を持って集められた事、そしてそれは、過去に彼らが犯した罪に関わっている事などが明かされます。今までの人狼ゲームのように、「誰が生き残るのか、全員の役職は何なのか」を推理するという楽しみ方以外に、「なぜこの10人が集められたのか、彼らの過去には何があったのか」という、キャラの背景を掘り下げるという楽しみ方が追加されています。これはドラマ版ならではの展開で、とても良かったと思う点です。

そしてもう一つ、このドラマ版を傑作たらしめている良い点が。それはこのドラマ版には、このシリーズで初めて、高校生同時失踪事件を追う警察視点という、外部から事件を追う視点が追加されている事です。今までのシリーズ作品は全て、高校生たちが人狼ゲームに集められてゲームを行うという、内部の視点しか扱ってきませんでした。つまり彼らがゲームをしている間、外の世界ではどんなことが起きているのか、一切知らされることはなかったのです。

その点このドラマ版は、展開の半分ほどを外部である警察視点に割く事により、ゲーム中の外の様子を定期的に提供してくれます。警察が高校生10人の同時失踪を捜査する中で、彼らの過去に何があったのか、どんな共通点があるのかなどが少しずつ見えてきて、それがゲームの展開にリンクしてくる構成は、非常に新鮮味があって面白かったです。個人的にはゲーム内容よりも、この警察視点の存在こそがこのドラマ版最大の見所だと思いました。

総じて、今までの映画版における醍醐味、「ゲーム内容を楽しむ」という楽しみ方に加え、ドラマ版は登場人物たちの過去に起きた事件の捜査を通し、キャラの背景やこのゲームに潜む黒幕の存在の推理など、「ゲーム外の要素を楽しむ」という楽しみ方が追加されています。これがもう本当に見応え満載で、途中でダレることもなく、頭からオチまで一気に駆け抜けることができます。さらに嬉しい事に、今作はドラマ版として作られたからかゲーム中に登場する役職もシンプルで、ゲーム展開もゆっくり目であるため、ここから見る人でもゲームについて行きやすいというオマケも。

入門によし、映画を全部見終わってから見てもよしの非常に良い作品になっていますので、時間があれば是非見ていただきたい一本です。

8作目 インフェルノ D

(画像:映画.comより引用)

現時点でのシリーズ最終作で、ドラマ版であるロストエデンの続きです。

ハッキリ言いますがこれ以上ない蛇足です。多分、蛇足で辞書引いたら例文登録されてるんじゃないかってくらいの蛇足です。見なくていいです。というか、言い方は非常に悪いんですけど、内容が面白いとか面白くないとか以前に、この映画が存在する事自体が罪です。作った奴廃墟に閉じ込めて人狼ゲームさせたいくらいの出来。マジで何でこんなもん生み出したのか問い詰めたい。と言うわけで、以下はほとんど酷評というか愚痴です。インフェルノ好きな人ごめんなさい。でも僕はこの映画無理(真顔)

と色々言いましたが、ゲームの内容自体は、そこまで悪いわけではないんです。むしろシリーズ的には中の中くらいか、なんなら中の上くらいのポテンシャルはあります。じゃあ何がそんなに気に入らないのかというと、その理由はただ一つ。

それは、そもそも綺麗に完成された前作からの続編なくせに、これと言って話が進むわけでもなくクソ中途半端に惰性でダラダラと続けただけに終わるどころか、前作で扱ったテーマを完全否定するに等しい事をやらかして前作の価値を下げるという、完成された作品の顔面に泥を塗りたくった映画でしかないという事なのです。これがもうゲーム内容がどうとか以前にとにかく大問題。

そもそもですよ、前作ドラマ版のロストエデンは、それはそれは見事に綺麗さっぱり完成されてるんですよ。高校生同時失踪事件の発生から、それにより人狼ゲームに巻き込まれた高校生視点だけでなく、失踪事件を捜査する警察視点という、2つの視点を同時進行させるという試み。これによりロストエデンは、従来通り、高校生から見たゲーム内部の緊迫感、デスゲーム的面白さをしっかり演出しつつも、警察視点では彼らを繋ぐ過去の事件の調査やゲームの裏に潜む黒幕の存在の捜査などを通し、外部から事件を追うサペンス的な面白さも兼ね備える作品となりました。そして警察の捜査が進めば、キャラクターたちの過去やお互いの関係性が少しずつ暴かれていく事により、キャラクターの個性がどんどん掘り下げられていくという、サスペンスパートとゲームパートがお互いに絡み合って面白さが増幅していくという構成。これがもう、今までマンネリ気味、ネタ切れ気味だった人狼ゲームというシリーズに新たな風を吹き込み、新鮮さを感じさせてくれていたんです。だから私は前作が好きだったんです。

それをですね、このシリーズ中でロストエデンだけが持つその個性をですね、インフェルノくんは完膚なきまでに消し去ってくれました。

まず、インフェルノにおける警察パート。これ全部いらないです。前作の警察パートには、失踪事件を第三者視点から描くと同時に、失踪した10人の過去を探るという重大な役割がありました。先ほども述べましたが、これにより各キャラの個性が掘り下げられ、それが事件の裏に潜む黒幕の存在の捜査にも繋がっていたわけですが、ロストエデンの最後にはその辺りの「ゲーム外の謎」の部分が、全部綺麗さっぱり解決します。なぜこの10人が集められたのか、過去にあった事件とはなんだったのか、参加者に潜む黒幕は誰なのか、などなど。それはもう全ての謎が綺麗さっぱり。となると必然、警察パートが担っていた、参加者たちの過去の調査とそれを通してのキャラ個性の掘り下げという役割はロストエデンの時点で完了しているため、インフェルノで警察が担う役割はもう何も残ってないんですよね。一応、形上外部からの失踪者の捜査だけはやってくれますが、大した進展も新事実の発覚があったわけでもなく、ゲームの運営側っぽい人物とたまたま接触できたくせに何かアクションを起こしたわけでもなく、最終的には「廃墟で不審車両を見た」という今までの捜査ガン無視のクソ都合のいい情報を掴んで現場に急行してみたらちょうどゲームが終わってた、という、「お前ら一体何のためにいんの?」としか言いようのないクソ雑な展開には呆れを通り越して笑いが出ます。無能以外の感想が出てこない。

というか、そもそもですよ。前作で初めて警察パートが採用された時、私はある事を察したんですよ。このシリーズに限らず、大規模なデスゲーム系の作品が警察の捜査パートを避けるのって、話の整合性を取るのが難しいから、という理由があると思うんですよね。だって普通に考えてくださいよ。一回のゲームに十数人の高校生が同意もなしに集められて、廃墟とはいえ大規模な施設に監禁され、ほとんど全員が死ぬ。しかもそれを賭けの対象にして全国配信し、何年も、何十回と繰り返す。そして、勝者は大金を握らせて普通に帰す。

こんな事日本でやってみろよ、即バレるわ。しかも今回の事件、同じクラスの生徒が総勢で17人も同時失踪してるわけですからね。こんなん全国ニュース不可避だわ。

そんな中、警察が今までこのゲームの存在にすら気づかず、謎を追うも全く正体が掴めない。こんな不自然な事がありますか?この無茶を不自然でなくさせようとすれば、それなりの理由が必要です。

一番簡単な理由は、警察内部にゲーム運営側の手が回されているという説。だってこのゲームの運営側は、入会金1億円を取った上で、このゲームを賭け事にしていますからね。一回のゲームで動く金は、数十億、もしかすると数百億という巨額にもなるでしょう。当然その会員ともなれば、富裕層が大半を占めるはずです。つまり、政府や警察等の関係者がいても何らおかしくありません。つまりですよ、あえてこのシリーズに警察の視点を出したという事は、「下っ端刑事の2人は解決に向けて頑張るが、上層部から止められて捜査が上手く進まない、結果警察は運営にたどり着けない!」的な展開がしたいんだなぁ、と思いますやん。それなら分かりますわ。

でもこのインフェルノ、警察の捜査が進まないのは、警察が無能だからという以外の理由を何1つ用意してくれません。

つまり、前作での警察パートはしっかりとした明確な役割を持っていたのに対し、今作の警察パートは「警察無能なんです」という主張をすることしか頭にありません。この時間まるまる無駄なだけに留まらず、前作の警察の頑張り全否定です。もしかして脚本アホなのか?

そして警察パートが機能していないという事は、この映画の楽しみ方として残っているのは、「結局誰が生き残るのか」というのを見るという、従来のマンネリ化したデスゲーム部分の楽しみ方しか残っていません。しかも今作の参加者は全員クラスメイトなので、投票や札害対象の選定には存分に私情が入り込み、人狼の戦略的な面白さはかなり薄いです。キャラの個性や関係性も前作の時点で掘り下げられ切っているので特に進展等もなく、どうせ主人公側が生き残るのは目に見えているので大して緊迫感もない、まさに蛇足というに相応しい出来。誰やこれ作ったの。

総評ですが、蛇足。ロストエデンで終わっとけばよかったのに、としか言いようのない作品。警察パートの無能化により作品価値も無価値になった、ロストエデンの残りカスという感想です。マジで見なくていい。

【見る順番について】

さて、ここまで読んでいただいた方は、「結局どの作品からどう見ればいいんだよ!」とお思いのことだと思います。ベストは1から順番通り見ることなんですが、「そんなのやだやだ! 面白い奴だけ面白い順番で見たいんだい!」というわがままさんのために、厳正なる審査の結果、私的見るべき順番をご用意しました。これだ!

人狼ゲームビーストサイドラヴァーズロストエデン

はい、「結局順番通りに並べていらない奴抜いただけじゃねえか!」と思われそうですが、その通りです。話が繋がっていないとはいえ、ゲーム内容的な難易度は回を追うごとに難しくなっていくので、結局は順番通りに面白そうな奴だけ見ていくのが最も正解に近いと言えます。まずは1作目を見て世界観と設定を掴み、以降は面白いところだけつまみ食い、というスタイルが良いでしょう。気になる方は、間にクレイジーフォックス  、プリズンブレイク、マッドランドを挟むのも有りかもしれませんね!

インフェルノ? 知らんな。

【人狼ゲームシリーズの総評】

とまあ色々言いましたが、ネット上の評価を見る限り、どの作品にもそれなりにファンの方はいらっしゃいました。私が酷評するインフェルノやクレイジーフォックスも、この作品好き、という方は割といらっしゃる印象です。あくまで一個人の意見として受け取っていただけると幸いです。結局作品の面白さは、君自身の目で確かめてくれ!

と言うわけで、長くなりましたが以上です。おしり。

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