「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

マッド・レイジZ のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)

国籍……アルゼンチン
制作……2018

 最強ヒロイン、覚醒(活躍するとは言ってない)

では、まずは今作のあらすじ&予告編からどうぞ。

【あらすじ】

「2101年、世界は大規模な細菌戦勃発により、文明が崩壊。人類は資源を奪い合い、兵器による神経中毒でゾンビ化した“ドライ・ピープル”が彷徨う荒廃社会と化していた。暴力・拉致・強姦― カオスと化した無法地帯で、若い女・イリスはギャングたちに監禁されていた。ある日、1人の記憶喪失の男が連れてこられると、イリスはその面立ちに衝撃を受ける。男は、家庭崩壊によって生き別れとなった実の父親だったのだ。イリスは、父親への恨みと慈悲に揺れながら、壮絶な拷問に加担させられる。しかし、隙を見て、男の脱出に手を貸す。男はギャングたちにしつこく追われ、遠く離れた廃墟へ逃げ込むも、そこは暴徒化した“ドライ・ピープル”の集団が巣食う根城だった!(C)Realizada en Buenos Aires, Argentina. Copyright ©2018 Soy Toxico」
Amazon商品ページより引用)

【予告編】

ストーリー……D
ゾンビ?の質…D
キャラクター…C
設  定………D

総  合………D
おすすめ度……D

【良い点】
・強いて言うなら、ストーリーの流れ自体は綺麗

【悪い点】
・パケ詐欺
・あらすじが完全にネタバレ(超重要)
・びっくりするほど起伏のない眠気を誘うストーリー
・ゾンビ?のクオリティがクソ

もう全部の要素が満遍なくダメ、という感じの映画でした。強いて言えば、ストーリーの流れ自体は割と綺麗にまとまっているのですが、それと引き換えにびっくりするほど盛り上がりがなく、ただひたすらに眠くなったことだけは覚えています。あとゾンビ?のクオリティがゴミ。

【以下、ネタバレ注意!】

銃をバンバンぶっ放す最強ヒロインはどこ……ここ……?

さて今作ですが、アクション重視のゾンビ映画と見せかけて、ゾンビ映画かどうかも怪しい作品です。実際、今作に登場する敵は「ドライピープル」という名前がつけられており、飢えた人間が細菌兵器により汚染された死体を食することで理性を失い、人を襲う化け物になる、という設定がついてはいるのですが、ドライピープルが死体を食べる描写はあれど生きた人間を食べる描写は(確か)なく、なにより噛まれたとしてその人もドライピープルになるかどうかは不明です。そのため、よくあるゾンビ映画を期待するとその時点で肩透かしを喰らうことに。

また今作、見事なまでのパッケージ詐欺映画であることも先にお話ししておきましょう。今作のパッケージを見た人はだいたい、「ゾンビ+マッドマックス」ないし「ゾンビアクション」系の映画を期待することでしょう。しかし実態は、ゾンビとの戦闘はほぼ皆無、派手な戦闘シーンやレースシーンはなし、銃を持って戦うヒロインは不在で、話の大半は記憶喪失のおっさんの正体探索がメインという、あまりにもイメージとかけ離れた内容。なので、もうこの時点で振り落とされる方も多数出ると思います。

とまあ、とりあえずの注意喚起は済ませたところで、早速今作の内容を見ていきましょう。そしてすみませんがいきなり酷評スタートです。

今作の悪い点は、ストーリーに起伏がなく死ぬほどつまらないと言うことと、敵であるドライピープルのクオリティが酷いことです。

まずはストーリー。先述のとおり今作のストーリーはアクションとは無縁で、「記憶喪失のおっさんが自分の正体を思い出していく」という話と「そんな彼を前にした娘の心情変化」という、2人の人物に焦点を当てて話が進んでゆきます。つまり今作のストーリーの主軸はこの2人の心境を中心にした人間ドラマなのです。だから、今作の見所はどこかと聞かれると、強いて言うならこの人間ドラマ部分であると言わざるを得ません。しかしこれ、大変困ったことに、全く面白くないのです。

一応、ストーリーの流れ自体は割とスッキリしており、記憶喪失の男がギャングに捕まったところから物語がスタート、彼は見知らぬ女に助けられるが、彼女は自分の手助けをしてくれると同時に何故か冷たく、恨まれているような印象すら受ける。そして主人公は、彼女が自分の娘であること、さらに自分が妻を殺したことで彼女を失望のどん底に突き落としたことを思い出し、彼女が何故自分を助けてくれると同時に恨むような視線を向けてくるのか、その意味を知る──てな感じで、割と流れ自体は綺麗なんですね。ですが、流れが綺麗=面白い、とはならないのが今作の残念ポイントですね……。

まあ理由の一つとして、このストーリー1本でやっていけるほど、大した内容じゃないんですよね、中身が。例えば、このストーリー+派手なアクションだとか、これ+サバイバルだとか、あるいはこれ+魅力的なキャラ同士の掛け合いだとか、何かしらもう一つメインを張れるくらいの要素があって、その上でこういうストーリーが用意されているのならいいんですけど、今作はこのストーリー以外に、見所と言えるような見所がまるでないですからね。しかし、これがまた起伏や意外性、盛り上がりがあるわけでもなく、まあ大したひねりもないよくある感じで、ぶっちゃけ「ほーん」程度の中身しかないんですよ。これが今作唯一の見所なんで、これじゃあかんでしょうと。

しかも恐ろしいことに、このストーリー、ほぼあらすじでネタバレされてるんですよね……なんせ、この女が主人公の娘であることは、本編では最終盤まで分からないようになっているのですが、あらすじを見るとその辺おもっくそネタバレされてますからね。ただでさえ「ほーん」程度の内容しかないのに、あらすじでネタバレされてるせいで「いや、知ってたが」となり、余計心を動かされないんですよ。配給会社なに考えてんだ。

では、せめて敵であるドライピープルの出来でも良ければまだ見られるんですけど、これも叶わないのが今作の救いようのなさ。何が酷いって、メイクとかはなかなかいい感じなんですけど、動きですね、動き。例えばとある襲撃シーンでは、ギャングを完全に包囲した上で、あともう腕を伸ばすだけで手が届くだろ、みたいな場面でも、こいつらは相手に襲いかかるでもなく、ボーッと突っ立って左右に揺れてるだけなんですわ。しかもこれ、何か理由があって襲ってこないとかではなく、脚本上相手の人間がバイクに乗って逃げられるように待ったかけられてるだけなんですよね。私、こういう「理性を持たないモンスターが、脚本の都合上、場面場面に応じて露骨に弱く調整される」的なクソ下手な見せ方が死ぬほど嫌いなので、このドライピープルくんのやる気のなさには心底呆れました。

というわけで総評ですが、肝心のストーリーは大した中身がない上に、見せ場になるはずの襲撃シーンというか戦闘シーンもこんな感じなので、そりゃ話が盛り上がるわけもなく。本編は80分くらいと短かったのですが、とにかくダルくて眠かったです。
ちょっと短い気もしますが、まああんまり書くこともないので、今回はこのくらいにしておきましょう。それでは、また次回。

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