「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

サイキッカー 超人覚醒 のレビューです(総合評価C)

(画像:Amazon商品ページより引用)

超人覚醒(なお、たいして戦わない模様)

 近未来SFアクション映画です。パッケージがカッコ良かったので借りましたが、後半がひどかった。

国籍…… オランダ
制作…… 2019

それでは、まずは今作のあらすじ&予告編からどうぞ。

【あらすじ】

「2022年。治療困難な“病”をもたらすウイルスにより大勢が命を落とすが、治療薬を開発した企業“カンパニー”は、高価な治療薬を売って莫大な利益を得る。それから8年後、“カンパニー”に抵抗するデヴィッドら市民集団は、圧倒的武力を誇る当局の軍隊に取り締まられていたが、“カンパニー”は“病”の根治薬を隠し持つという情報を得て、その施設に潜入。そこにはなぜか、デヴィッドと8年前に生き別れた少女モリーがいた。」(WOWOWより引用)

【予告編】

ストーリー………C
キャラクター……C
アクションの質…C
設  定…………D

総  合…………C
おすすめ度………C

【良い点】
・前半の展開は面白い
・CGやアクションシーンは結構頑張っている

【悪い点】
・後半の展開が引き延ばしまくりでひどい
・とにかくアクションシーンの手ブレがひどい

前半の展開は普通に結構楽しめたのですが、残り30分で大きく評価を下げた映画です。所々頑張りが見える上、アクション的な出来も全然悪くないのですが、後半の戦闘シーンは流石に引き延ばしすぎや……。

【以下、ネタバレ注意!】

前半だけならB評価だった。

さて今作ですが、製薬会社に囚われて人体実験されまくった少女が超人的な力を覚醒させる、という話も入ってはいるけどメインは常人同士のバトルアクション映画です。製薬会社……人体実験……超能力……うーんこれは実写版バイ

それでは早速、今作の詳細な内容を見ていきましょう。まずは良い点から。

今作の良い点は、前半の展開がなかなか面白いという事と、CG始めアクションシーンは結構頑張っているという点です。

まずはストーリー。あらすじにもあるように、今作は近未来で人命無視して利益を独占する製薬会社と、それに対抗するレジスタンスとの対決を描いたアクション映画です。ただ、それだけではちょっと物足りないので、製薬会社に捕まり人体実験を受けた少女がなぜか超能力に目覚めて戦うというSF要素も付け加えて仕上げた作品となっております。

まあ超能力とか製薬会社とか細かいことは置いておくとして、映画前半の1時間の流れはなかなか上手く纏まっていて結構面白いです。
レジスタンスの基地がカンパニーの襲撃を受けて8年。この疫病の根治薬を求めて、今度はレジスタンスがカンパニーの基地を襲撃するのですが、薬があると思っていた金庫には、なぜか8年前に連れ去られた1人の少女が監禁されていました。彼女は救出できたものの成果なしか、と落胆する一行ですが、なんと彼女には超能力が備わっていることが分かる──という流れです。

この、ちゃんと次々に話が進んでゆき「この後どうなるんだろう」という期待と興味を持って視聴できたのは、単純ながらも大変に良かったですね。確かに展開としてはベタですし、脚本に強引な部分や都合の良い展開成分は多分に含まれているんですけど、それを考慮してもここの流れは纏まりが良く満足できました。

またこれに加え、今作は超能力等のCGや銃撃戦の描写などを始めとした、アクション要素にも結構な頑張りが見られるのも評価を上げているポイント。そりゃ大作映画とは比べ物にならないですし、もっさりカーチェイスなど若干稚拙なシーンもありますが、B級映画でこのクオリティなら充分かな、と思えるレベルには到達しています。特に、超能力関係のCGは結構良かったですね。少女が電磁バリアを展開して某メタルなギアの幸運さんのように銃弾を弾くシーンや、サイコウェーブで敵の手を切り落とす辺りなんかは、結構おおっ、となりました。
また、デザイン的な意味で好みは分かれるでしょうが、終盤の無骨なパワースーツでの殴り合いシーンなんかも結構悪くなかったです。フォールアウト76のパワーアーマーシャーシを極限にちゃっちくした感じの、ほぼ骨組みだけの試作型スーツって感じで、私は割と好きでした。

とまあ、ここまでは良かったんですけどね。実際前半1時間経過したあたりでは、「これ全然B評価あるな」と思って見てたんですけど、実際の評価がCになってるってことは、つまりそういうことです。

何がダメだったかというとですね、それはもう後半の展開のクドさと、何よりもアクションシーンの手ブレが酷すぎてめっちゃイライラすることの2つに尽きます。特に手ブレ、テメーだよテメー!!!

前半、この映画のストーリーはベタながらも、先の展開が気になって興味が持続する、と申し上げましたが、追って来たカンパニーの部隊と廃墟で銭湯に突入する後半30分は、もうマジで酷かったです。何が酷いって、前半が嘘のように話が一切進まないんですよ! というか、この間やってることは「廃墟で追手の部隊と交戦→追いかけっこ→交戦→また追いかけっこ→交戦……」というクソだるい展開が永遠と続き、決着が一向につかないんですわ。

しかも、お互いに「応援が来るまで時間を稼ごう」とか「あえて逃げ回る作戦で実はあと少しで何かが発動して……」とかいうわけでは一切なく、単純にお互い無駄に決着を先延ばしにしているだけというクソっぷり。戦う→逃げる→追う→また戦う、というループに何か意味があれば良いのですが、そもそも逃げまわったところでお互いに何の得も損もないので、意味のない映像を見せ続けられることに流石にだんだんイライラしてきます。前半の出来が良い分、ここは本当に酷かった。

また、このイライラにさらに拍車をかけるのが、後半のアクションシーンの手ブレの酷さ。いやいや、アクション映画なら多少の手ブレくらい、と思うかもですが、この映画のそれは常軌を逸しています。誇張抜きで、その辺の下手なPOV映画より断然揺れますよ。近所の元気なおじいちゃん捕まえて、スマホ持たせて撮らせた方がマシだろってくらい揺れます。しかも、例えば走るシーンとかで揺れるんなら分かるんですけど、撮影位置動いてないのに揺れまくったりだとかの「いやそこ絶対揺れねぇだろ」ってところで揺れまくります。というか普通に酔います。POVでもないくせに。アホか。

というわけで総評ですが、前半は上出来後半は論外、そんな映画でした。また、近未来で疫病が流行ってて、製薬会社が薬を作って……とかの話は全て冒頭の語りで示されるだけで、具体的にどんな疫病なのか、かかったらどうなるのかとかを映像的に示してはくれなかったり、なんで製薬会社の人体実験で超能力身についたかとかの説明も一切ないので、そこも気になる方はご注意を。まぁ、実写版バイオのアリスもそんな感じだったし、多少はね?
また、パッケージを見るといかにも少女が超能力でバリバリ闘いそうですが、実際は凡人同士の撃ち合い殴り合いが殆どなので、そこも注意が必要。

と言うわけで、注意喚起が多い最後になりましたが、気になった方はいかがでしょうか? 結構悪くないですよ、後半以外は。

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