「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ミステイクン のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)

主演は野性爆弾くっきー氏。くっきー出てるので見てみたんですが、まぁ映画としては……色々と惜しい作品でした。

 ネトフリにあったんでそこで見ました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。

【あらすじ】
お笑い芸人・野性爆弾の川島邦裕が主演を務めた新感覚サスペンススリラー。「自分の部屋が気持ち悪い」とカメラを回し始めた川島。ところが、衝撃音、フリーズ、不協和音、リフレインなど奇怪で恐ろしい現象が次々と川島を襲い、耳慣れない音が鳴り…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

【予告編】

ストーリー………D
キャラクター……C
設定………………D

総合評価…………D+
おススメ度………C

【良い点】
・発想自体は全くもって悪くない
・最後に「なるほど」とはなる

【悪い点】
・仕掛けが分かった上で見ても腑に落ちない部分が多々ある

全編に対しある「仕掛け」が施されている一風変わったホラー映画です。そのためネタバレ後の視聴は今作の評価を大きく変えることになりかねないので、興味ある方は映画見てから以下のレビューを読まれることを強くお勧めいたします。興味ない方はこのままどうぞ。

【以下、ネタバレ注意!】

野性爆弾くっきーが主演しているホラー映画です。くっきーはくっきー役として出ているので、まあくっきー好きな方は見てみればいいんじゃないでしょうか。ある意味前半15分のクソ無駄な時間なんかは実にくっきーしていると思います。

 さて今作ですが、くっきーが格安アパートに引っ越して来たところから話が始まり、どうも家賃が異様に安すぎることに違和感を覚えた彼が、パラノーマルアクティビティよろしく部屋でカメラを回し、異常が起きないか探ろうとする、という内容の映画です。ただ、これは映画のあらすじのほんの一部に過ぎず、実は本編全体にとある仕掛けがしてあり、ラストシーンでその正体がわかって「おおおおっ!」ってなるのを狙ったタイプの映画でした。
 まあ、一言で言うとカメ止めっす(ネタバレ)

では早速、今作の詳細な中身について見ていきましょう。まずは良い点から行きましょうか。
 今作の良い点は、設定の発想自体は良いと言うことと、ラストシーンでちゃんと「あー、なるほど」となることです。

どう言うことかと言うと……と始めたいところですが、その前に今作の大まかな流れとネタバレからお話しないと先に進めないので、まずはそこから行きましょう。先に述べた通り、今作は野性爆弾くっきーが引っ越して来たばかりの事故物件でビデオカメラを回し、不審なものが映らないかを検証する、という内容の映画です。まあホラー映画なので、当然霊が映ったりとかカバンが動いたりとか不可解な現象がいくつか起きるわけですが、この映画の本番はラストシーンにこそあります。

実はこれまでの映像は全て、VTR中で起きる通常では起こりえない不可思議な現象を回答者が指摘するという、「ミステイクン」というクイズ番組用に撮影された映像であり、ラストシーンでは突然映像がストップしてピンポーン、という回答ボタンを押した音が響き渡り、場面がスタジオに切り替わって次長課長の河本が不可思議な出来事を指摘する、と言うところでネタバラシとなります。ここで(勘の良い方は別として)視聴者は初めてこの映画の全体像が見渡せ、それまで抱えていた不自然さやモヤモヤがパッと晴れるという、今年風に例えるとカメ止めみたいな内容の作品となっています。

 ここで褒めたいのは、このラストシーンを見るとちゃんとそれまでの疑問は大方解決され、「あーなるほどね」となるということです。この手のラストシーン1発逆転評価を狙った作品というと、まあA級B級問わず世に多く存在するわけですが、そもそもこのラストシーンで「はぁ? 何やそのオチは?」となる作品もまあ少なくありません。そうなってしまってはもう元も子もないわけですが、その点今作はラストシーンを見れば一応はそれまで気持ち悪く感じていた部分に対する回答は得られ、とりあえずは「あー、なるほどね」とはなります。
 もう少し具体的に言うと、今作は何か怪奇現象が起きるたびに「1/10、2/10……」とおそらくホラーシーンの残り数であろう数字がカウントされたり、「お分りいただけただろうか?」と言わんばかりにホラーシーンがリプレイ再生されたり、突然風呂場でタコと遭遇する、みたいなホラーとはかけ離れた演出が時々あったりなど、真面目にやって滑ってんのか何か考えがあっての演出なのかの瀬戸際ギリギリな攻め方をしてきます。このあたりの視聴時に感じていた不信感や疑問が、「これは実はテレビ番組用の企画だった」という解答を与えられれば、一応はすっきり解決するんですね。
 そして、パラノーマルアクティビティちっくなホームビデオ回してたら大惨事ホラー発生系POV映画かと思いきや、実は全体がフェイクだったという設定を、主演に野性爆弾くっきーを据えることで多少の違和感は「まあくっきー主演映画だし変な演出あってもおかしくないわな」と許容させることで、ネタがバレないよう上手いこと誤魔化そうとする発想自体は悪くなかったと思います。
 というわけで、良い点は以上でした。続いては、それでもどうしても気になった悪い点を。今作の悪い点は、そのような解答が与えられてもなお腑に落ちない部分があるということです。
 既にお分かりの通り、今作は本編自体はさしてホラーとして面白いわけでもなく、いくら最後のオチ用の演出だとは言ってもそれが滑っている部分もまあまああるという、決して高評価を付けられる内容の映画ではありません。反面、オチでそれまでの疑問点が氷解することによって全体評価が底上げされているわけですが、この1番大事なオチの部分で、それを聞いたとしてもなお腑に落ちない部分が多々あるというのはやはり痛いところ。1番酷いのは、この映画は本編時間約60分という激短映画でありがなら、その1/4に該当する前半15分は、ホラー演出もくそもなく全く動きがないということなのです。
 具体的にこの前半15分はと言うと、くっきーが寝たり屁したり歯磨きしたり屁したり、ピアニカ弾いて屁したりするだけの内容しかなく、ホラー演出もクソもあったもんじゃないということに咥え、今作の設定や現在の状況が分かるのは、その後に宅急便のにいちゃんがやってきて、そいつに対してくっきーが「最近引っ越した」「家賃が安かったから事故物件かも」「何か起きないかビデオ回して監視してる」と説明を始めてからになるため、つまり何が言いたいかというと、この前半15分がスタートダッシュでずっこけて全体のテンポ殺してる1番の要因なんでこの部分丸々いらねーんだよ!
 百歩譲って、これが普通のホラー映画だったとしたら、この部分は良くある導入の無駄パートとして受け入れることができたかもしれません。しかしここで大問題なのは、「この前半15分のくっきーがダラダラするだけの部分は、今作に丸々不必要です」ということを、この映画自身が映画内で断言してしまっている、ということなのです。
 思い出していただきたいのは、この映画は全編「今作はクイズ番組用に作成された映像である」という設定です。つまりこの映画は丸々クイズ番組における「問題です(ジャジャーン)! 今から流れる映像には、物理的には起こりえない現象が10個隠されています。それはどの部分か、早押しでお答えください!という出題に該当する部分なんですよね。つまり何が言いたいかというと、お前クイズ番組の出題映像で15分間も無意味な映像垂れ流すとか頭沸いてんじゃねーのか? ということなのです。
 そうです、これが普通のホラー映画ならいざ知れずですよ、今作がクイズ番組用の映像だと考えれば考えるほど、今作のスタートはどう考えても「宅急便のにいちゃんが家に来てその人に対してくっきーが現況を説明する」というシーンから始めるべきであり、どう考えてもそれが自然なんです。だってそれまでの部分丸々いらねーんだもん、いや冗談抜きで。この部分は本当にくっきーがだらけているだけなので、映画としてもクイズ番組用映像としてもあまりにも無意味かつ冗長すぎるんですよマジで。
 まあ、監督がこれを入れた理由は粗方のところ「皆くっきー見たいからこの映画見てるんでしょ? じゃあくっきーらしい無意味パートもちゃんと入れなきゃね!」的なクッソ安易な判断で入れたんでしょうが、そのせいで映画自体のコンセプトがブレッブレのブレブレになってんじゃねーかよ! お前こんなもん流してみろよ、くっきーファン意外チャンネル変更不可視聴率爆死プロデューサー解雇不可避ですよ。クイズ番組用の映像、という前提で映画作ったんなら、それに準拠した内容で作れよおう!
 また、出題映像として考えれば明らかに全体的にテンポ悪すぎるところとか、最後の大オチで宅急便の男がくっきー撲殺しようとした理由が意味不明なところとか、そもそも「鏡に首吊った女の人がデカデカと映ってる」「テレビから霊が出てきて追いかけられる」「チャッキーやジェイソンに襲われる」「髪の毛を吐く」など、答えがいちいち露骨かつ引くほど簡単すぎて、これクイズ番組として成立してねーだろ、と言いたくなるという部分もあり、解答を与えられた上で見ても、というよりこの解答だからこそ納得いかない部分が多い、というのはどうなんでしょうね、と思っちゃうわけです。スタジオのクイズ答えてる連中の、白々しいやらせ感満載なコメントもなんか腹たつ。
 というわけで総評ですが、最初は総合Cー付けてレビュー書いてたけど、書いてるうちになんか文句ばっかり浮かんできてしまったのでD+に格下げしました、という内容の映画です。まあ全く面白くないかというとそんなことはないんですが、もうとにかくいちいちテンポが悪い上に、普通のホラー映画ならギリ許容できる部分を、「クイズ番組用映像」という解答を与えてしまったせいで「じゃあおめーこのテンポの悪さはおかしいだろうがよぉ!?」と自分から許容できなくしに行った采配ミスが響いています。
 また、エスパー伊東がカバンから出てきたり、チャッキーや貞子など他のホラー映画をリスペクトした、「この部分を見られると今作がフェイク映像だとばれてしまう」という都合の悪い部分は隠し、見せてもギリテレビ番組企画だとばれない部分だけを抜粋して本編がお届けされるので、答えが分かった時のスッキリ感が今ひとつ薄い、というのも問題点だと思いました。どうせやるなら、全編見られても問題ない映像をノーカットでお届けした後、その後でネタバラシしたほうが、その後の爽快感がより大きくなるんでそうすればよかったのに。
 とまあ、文句は言い出したらダラダラと出てくる作品ですが、くっきー好きな人ならワンチャンどうですか? というか、くっきーファン視点の感想が聞きたいので誰か見てください。ネトフリにありますよ!
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