「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

シンデレラ・ゲーム   のレビューです(総合評価E+)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 これを本気で面白いと思って作ったんだとしたら頭切り開いてどんな思考回路してるのか見てみたいレベル。

 ちょっと話は脱線しますが、アイドルでデスゲームと言えばこんな作品もありましたね。どっちもどっちレベルでひどい出来ですが、頭脳戦の皮を被っておきながら全く頭脳戦しないこっちのが悪質なので評価は見ての通りです。
 さて今作ですが、ネトフリにあったので見てしまいました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
 
【あらすじ】
極限のサバイバルバトルの末に明かされる愛するものの死の真相とは!?一度は夢破れた美少女アイドルたちが繰り広げるサバイバル・カードバトル。再起をかけたソリッド・シチュエーション・デスゲーム開幕!!(C)2016「シンデレラゲーム」製作委員会(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー………E
キャラクター……D
設定………………E 
総合………………E+
おすすめ度………D
 
【良い点】
・あるならこっちが聞きたい
 
【悪い点】
・どう考えてもゲームがただのじゃんけん
・じゃんけん勝負のくせに一敗したら即死なので心理戦要素がない
・対戦相手はくじで決定するので戦略の立てようがない
・暴力行為は禁止なのに窃盗はOKなど、ルール設定がガバガバ
・勝ち残ればトップアイドル確定のはずなのになぜか前年の優勝者がトップアイドル目指して参加している
・結局運営の気分次第で殺されるので緊迫感皆無
・一敗したら即死ルールなのに出せば絶対勝てるカードがあるなど盛り上がりのイロハも分かってない
 『ギャンブル系デスゲーム映画って大抵話の流れはテンプレなぞるから、どんだけ面白くなくてもまあE出すほど酷いのはないやろ』という持論を覆した迷作。こんな面白くない映画作れる才能がすごい。
 
【以下、ネタバレあるけどええやろ】
 いきなりなんですが、B級映画視聴中は、あとでレビュー書くときのために簡単なメモ取りながら見てるんですけど、今作のそれを読み返して見たら基本文句と罵詈雑言しか書いてなかったんで、視聴してたときのストレスは相当だったんだと思います。単純に内容がクソほども面白くないのと、個人的に嫌いな展開盛りだくさんだったのが相まって、メモの中身はどエライことになってました。
 最初は総合Dーにしようかと思ってたんですけど、見たときのことを思い返せば思い返すほど、なんでこんなクソゴミみたいな内容の映画を平気で世に送り出せたのか腹が立って仕方がなく、そんな映画を最後まで見てしまった自分への怒りが収まらないので、若干の私怨をこめてE+にしました。まあどっちにしてもクソほども面白くないという事実は揺るがないので良いと思います。
 この映画の良かった点を教えてくれる方、募集してます。
 というわけで、以下にはもう酷評以外何も載ってません。では前置きも長くなったので、いきます。
 今作の悪い点は、まあ色々あるんですけど、とにかく一言でまとめるなら脚本とゲーム設定、これっきゃないでしょう。ぶっちゃけ作りが安っぽいとか演技が拙いとかテンポ悪いとか色々と言いたいことはあるんですが、その他の問題はクソすぎる脚本と設定の前では、束でかかってもそれぞれにすら歯が立たないくらい、この2大要素はクソクソアンドクソの塊な大戦犯要素です。
ではもう少し具体的に、ダメだった点の解説をしたいところなのですが、その前にまずはデスゲーム系作品全般に対する私の意見をちょっと聞いてください。
 先にも述べた通り、デスゲーム系の作品は良くも悪くもだいたいお約束となる流れがあり、かつ異世界転生なろう系アニメばりにガチガチのテンプレモデルが存在するため、聞いた事もない国の映画ならともかくとして、近代日本でデスゲーム映画を作ろうとすると、だいたいの話の流れは似通った内容になりがちです。さらにそれが今回のようなギャンブル系のデスゲームともなればその傾向は加速し、頭脳戦の末対戦相手の意表をついて無事勝利し、理不尽なゲームを強いてきた運営に挑戦する系のパターンがまあとにかく王道中の王道ですよ。
 ここで問題なのは、ジャンル的にお約束の黄金パターンが出来上がっている以上、各作品の腕の見せ所はゲーム設計と対戦相手に勝つまでの図式(=脚本)に大きくかかっている、ということです。なおかつ、この2つはどちらか1つでもダメだと作品全体がダメになる、というのもデスゲーム系で押さえておかねばならないポイント。例えば、どんなに高度な頭脳戦を繰り広げた末に相手を撃破しても、ゲーム内容自体が面白くなければ見る気をなくしますし、どれだけゲーム設計が斬新で目を見張るものがあったとしても、相手とのバトルがお粗末で勝ち方が雑だった場合全然面白くない、という評価になってしまいがちです。
 さて、ここまで読んでいただいて、「一体何を当たり前の事を長々と」と思われた方もいらっしゃると思います。しかしこの映画の内容を語る上で、まずはこのことをどうしても前提としてお話ししておかねばならなかったのです。なぜなら今作は、このどちらの要素にも致命的な欠陥を抱えているせいで、もうまさに「ギャンブル系デスゲーム映画の最下層レベルの作品」として、教科書に載せても恥ずかしくないようなクオリティになってしまっているからなのです! では具体的に、①ゲーム設計、②脚本に分けて何がダメだったのかお話しします。
 まずこの映画に対して何よりも言いたいのは、そもそも今作の肝心要のメイン要素であるゲーム設計自体にとにかく大きな欠陥があるという事です。古今東西世界各国、デスゲーム系映画というと実に様々な作品がありますが、今作ほどゲーム設計が下手なデスゲーム系も珍しいと言わざるを得ません。それを証明するため、まずは今作のゲーム内容を簡単に解説しましょう。
【今作のゲーム内容説明】
 今作のゲームは、カードを使ったじゃんけんです。舞台は無人島、参加プレイヤーは売れないゴミアイドルが20人。手持ちカードはゼロからスタート。
 このゲームは大きく分けて2つのフェイズに分かれています。1つ目は「カード探しフェイズ」、そして2つ目は「バトルフェイズ」です。自分の初期手持ちカードはゼロですが、カードは島中に散りばめられているため、各プレイヤーは日中時間帯に島を探索してカードを集めます。そして夜、プレイヤーはクジで決められた対戦者と手持ちのカードを使ってバトルします。これを繰り返し、勝者が1人になったら終了。勝者には、トップアイドルへの道が約束されるのです。
 はい、まあ見ての通りなんですが、今作で行うゲームは詰まる所カードを使ったじゃんけん大会です。カードでじゃんけんというと、カイジの限定ジャンケンを思い出しましすが、今作はそんな高度な心理戦を取り扱った作品じゃあ断じてねえ。それでは、このルールに潜むガバガバポイントを順番にお話ししていきますよ。
 まず、初期手札ゼロスタート&カードは島内を探索して手に入れるというこのルール。カードを手に入れるための探索というと、謎解きが伴ったりとか隠してある場所に一定の法則性があったりとか、ゲームで勝った者にカードが与えられるとか、カード取得をかけて戦うとか、そういった「探索パートを盛り上げる」要素が伴っていてもおかしくなさそうなところですが、今作ではカードの隠し場所にマジで法則性もクソもなく、なんとなく道歩いてたら「あ、落ちてた」くらいの代物でしかないため、探索フェイズは探索というよりお散歩に近いという有様。
 しかも、暴力行為は禁止されていますがなぜか窃盗についてはお咎めなし&盗られたカードを取り返そうともみ合いになったら取り返そうとした側が一発アウトで即斬首なので、探索フェイズは「お散歩、時々引ったくり」という怪盗ロワイヤルを否応なしに見せつけられます。そのくせ、せっかく窃盗オッケーなのに、引ったくりや窃盗術に特化した戦略を組むキャラクターもろくにいなければ、相手の拾うカードを観察するなど、探索フェイズで「カードを拾う事以外」の行動に意味を見出そうとするキャラクターがほぼいないので、この探索パート全体がゲーム性皆無でほぼ無意味という惨状。単純に考えて、物語の半分を占める要素がこの有様では全体が面白いわけない。これがまずゲーム設計の問題点その1。
 ではさらに肝心なバトルフェイズはどうなのかというと、それもまた問題が山積み。勝負がガチのじゃんけんなので運ゲー以外の何者でもないというのはもちろんなんですが、それにしたって運ゲーが過ぎるのが今作の問題。何が酷いって、じゃんけん対決のくせに一敗した瞬間即死という極端すぎる勝敗判定なんですよ、これがもうとにかく大大大問題!
 いや普通に考えてですよ、この手の映画でじゃんけんをベースにしたゲームを採用する場合、どう考えたって同じ相手と複数回戦うように設計するでしょ。例えば、5戦して勝ち数多い方が勝ちとか、先に3回勝った方が勝ちとか、カードを消費しきった上で星を3個以上持ってた人が勝ちとか、作品によってパターンは多彩ですが、ギャンブル系デスゲーム作品で戦略の一切絡まない運ゲー一発勝負で面白い作品を作るのは相当難しいんですよ。
その理由は実に単純で、少なくとも複数回は同じ相手と勝負するようにしないとそこに戦略が全く生まれないからだよ。そりゃそうだ、複数回勝負なら「初戦はあえて負けて相手の出方を伺う」「これまでの相手の出した手から傾向を分析する」「相手の残り手札を予想する」などの戦略が立つ余地がありますが、初対面の相手と突然じゃんけん勝負して、負けたら即死なんてルールのどこに戦略が生まれる要素がありますか。相手の出方を伺ってる間にこっちの首が飛ぶぜ。
 まあ百歩譲って、運ゲー1発勝負であったとしても、例えば限定ジャンケンのように島に存在するカードの総数が決まっていたり、金を介してカードの売買ができたり、チームを組んで情報を共有したり、対戦相手を指定出来たりするなど、何かしら相手の行動や勝ち筋の高いカードを予測する術があるのならまだ許せます。しかしこのクソゲーでは、じゃんけん一敗即死という運ゲー極まる内容、かつわざわざカードを使用するというワンクッションを置いているにもかかわらず、カードの総数、残数その他カードに関する情報が一切開示されない上、対戦相手すらクジで決定するためまともにチームも組めないという、「初対面の相手とじゃんけんして負けたら即死」以上の要素がマジのガチで存在しない、超純粋な運ゲーと化しているのです。わざわざカード制にして出せる手を限定しているにも関わらず、それをした意味が一切ないことに咥え、なんなら自分の出せる手が限られている&手持ちカード無くなったら問答無用で即死という制限まであり、自分の取れる戦略の自由度がクッソ低いため、普通にじゃんけんした方がまだ面白そうという酷い惨状。

まあ千歩譲って、運ゲー一発勝負というあっさり味運用を、個性的なキャラ出したりとかテンポを良くしたりだとか、次々とゲームを変えて飽きさせないような工夫をしてたりとか、それ以外の運用面でカバーするような工夫がされているのならまだいいですよ。しかし今作は、もうゲーム内容が最初っから最後までこの運ゲー一本ですからね。お散歩怪盗ロワイアルと運ゲー一発勝負初対面じゃんけん大会見せられるだけの映画が面白いわけないんだよなぁ……。

 なお、このクソゲーには一応特殊カード的なものがあり、「出せば強制相子を取れる」という戦略に組み込むことができるような強カードもあるにはあります。しかし、これを手に入れるためにはポイントを使って交換する必要があるのですが、そのポイントを貯める方法はなぜか最後の最後まで秘密であるため、相子カードを大量取得することを戦略に組み込むことすら実質不可能という、全くもって意味の分からない制限をかけられています。おまけに、相子カードのような特殊カードが今作には3枚存在するのですが、それぞれのカードは使ってみるまで詳しい効果を教えてくれないので、使われた相手はおろか使った本人すら初回は効果がよく分からんまま使う必要があり、自分の戦略にすらまともに組み込めないという意味の分からない有様。このクソゲー考えたアホは出頭するように。
 ここまで見ていただければ分かるように、結局今作はお散歩怪盗ロワイアルパートと一発斬首運ゲーバトルの2部構成を繰り返すだけのゲーム設計であるため、そもそもゲーム自体がクソほども面白くないという大きな欠陥を抱えています。しかし、ゲーム設計のガバガバさにも負けないほどの輝きを放っているのが脚本のガバガバさ! ここからのレビューは、決着までの流れがいかに酷いものであったのかを力説するパートに移ります。
  さて、ある程度お話ししてきたことですが、ゲームが極限までに運ゲーを極めた内容である上、せっかくの探索パートに探索以外の意味を見出そうとする奴がほぼいないこと、暴力行為は禁止だっつってんのに参加者20人中3、4人は暴力行為のNG取られて爆死するなど死に方がいちいちワンパなこと、こんな極まった運ゲーに対し「僕はこのゲームを心理戦だと考えている」とドヤ顔で言い放った奴がどんな戦略使ってくるのかと思えば「今からグー出すぜ!」と事前宣言するだけという頭の悪さ全開で挑んできて結果手札切れで敗北するなど笑いを誘ってくることなど、もうここまでの時点で色々と頭を抱える要素はてんこ盛りなのですが、今作が脚本上とにかく酷いことになったのは終盤、プレイヤーが主人公とライバルの2人だけになったところからです。
 ここからは何とかお話を綺麗にまとめて物語を畳む準備をする段階に入るわけですが、今作はもうこの部分がとにかく酷い。いったい何がどう酷いのかを、ポイントに分けて紹介します。
 まず、主人公とライバルの2人だけが残り、自分の甘さに気づいた主人公が友人でありライバルである女と決着をつけに行こうと決戦のバトルフィールドへと足を踏み入れた瞬間、突如ライバルの首輪が爆発して何もしてないのに対戦相手が死亡します。突然の出来事に呆然となる主人公と視聴者の僕。そしてここから始まる運営の告白!
 運営曰く、今死亡した彼女は前年の優勝者だったのだが、「同じ人が2年連続で優勝するのは面白くないのでは」という懸念の声があり、結果、強制的に勝者を失格にした、とのこと。そして代わりに、去年の決勝で敗退したけど運営が気に入ったので殺さずに生かしておいた人材がいるので、主人公にはそいつと代わりに戦ってもらおう、とかなんとか滅茶苦茶なことを言い出します。
 いやーもうね、この時点で視聴意欲激萎えですよ。いや本当さ、この脚本作ったやつ頭沸いてんじゃねーのか? そもそもこのゲーム自体が「勝てばトップアイドル確定!」という条件でやってるのにも関わらず、前年の優勝者が参加してるってことは「去年勝ったのにトップアイドルになれなかった」という事実の裏返しであって、このゲーム自体がなんの意味も成さない茶番にしか見えなくなった、という風に視聴者に捉えられてしまうというリスクを考えた上での脚本なのか? と小一時間問いたい。
 さらに、前年優勝者だかなんだか知らないが、ルールに則って勝利した参加者を運営の都合で勝手に失格扱いにして即死させるってことは、この後主人公がどうなっても運営が約束を守ってくれる保証がない&運営の気分次第で消されるんじゃ結局ここまで勝ち残ってきた意味がないので、この映画全体が全く無意味な話にしか見えなくなった、という風に視聴者に捉えられてしまうというリスクを考えた上での脚本なのか? ともう小一時間問いたい。
 さらにさらに、前年大会で敗北したにもかかわらず、運営に「気に入ったから」というクソみたいな理由で生かしてもらった上、全く関係なかった今回の大会に決勝の段階になってひょっこり現れ、主人公と1戦だけして勝ち扱いにしてもらおうという考えのクソみたいなキャラがラスボスに出て来て、話が盛り上がってると思い込んでいる脚本家の脳みそ切り開いて小一時間じっくり観察したい。おうおういったい俺に何時間使わせれば気がすむんだこのクソ映画。
 まあともかく、そんなこんなで自信満々でひょっこり出てきたラスボスとの対決を迎えた決勝戦、いわば今作を締めくくる最後の戦いとも言えるこの超大事な場で主人公がとった行動はというと、なんと「出したら絶対勝ち」とかいう超チートカードを1枚場においてそのままゲームエンドという、およそギャンブル系デスゲーム映画がまず絶対避けるであろうスーパー稚拙な脳みそ思考停止展開をぶち込んで来て、そのままゲームセット! 主人公優勝してthe end! めでたしめでたし! となりました!
 いや、もうこれは逆に才能あるわ。普通に考えて、一敗即死なんてゲームルールのラストバトルで、ラスボス相手に「出したら勝ち」なんてチートカードを初手に使わせる激萎え展開を何の躊躇いもなくぶち込むなんて、平均以上の知能レベルがあればまず間違いなく忌避しますよ。だってありえないでしょ。遊戯がペガサスとのラストバトルで、開幕「あ、エクゾディア揃ったわ」とか言ってそのままゲームエンドする並の萎え萎え度ですよこれ。

 普通は絶対にしない。でも今作はする。それが今作の特徴です。
 というわけで総評ですが、まあとにかく製作陣の頭が悪いとしか言いようがない。ゲーム設計もぐちゃぐちゃなら脚本も目も当てられないレベルの酷さと綺麗に二拍子揃っており、「どっちも面白くないんだから面白くなるわけがない」という、面白くない理由がクソハッキリ分かる擁護負荷なクソ映画中のクソ映画でした。いったいどうやったらここまで面白くない展開にできるのか、なぜこれでGO出してしまったのかを徹底的に問い詰めたいレベルの駄作中の駄作。見る価値一切ないので見なくていいと思います、以上です。
 なお、この映画には原作漫画があるのですが、そちらの方は読んでないので、この映画の内容がそれに準拠した結果こうなったのかオリジナル要素詰め込んだ結果こうなったのかは分かりませんが、ここまで映画があれだと原作の方も気になってきましたので、機会があれば読んでみたく思います。以上、現場からでした。
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