「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

呪われた死霊館 のレビューです(総合評価Cー)

(画像:映画.comより引用)
 設定はすごく面白そうだったんだ。
 さて今作ですが、Netflixで見ました。まずはあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】

【あらすじ】
霊能者と偽って除霊詐欺を繰り返す若者たちが、本物の霊が潜む屋敷に入り込んだことから巻き起こる恐怖を描いたイギリス製ホラー映画。心霊現象に悩む依頼人に嘘の除霊を施し、金を騙し取っている4人の若者たち。霊能者役のアンジェラはこの仕事に嫌気が差していたが、借金を抱える兄ジャクソンに無理強いされ仕方なく続けていた。そんなある日、彼らのもとにグリーン夫人という老女から除霊の依頼が舞い込む。調べてみると、彼女が暮らす屋敷ではかつて複数の少女が惨殺される事件が起こっていた。いつものように嘘の除霊を開始する4人だったが、やがてアンジェラの前に少女の霊が姿を現す。主演は「ミッドサマー」のフローレンス・ピュー。Netflixで2018年10月5日から配信。(あらすじ:映画.comより引用)
ストーリー……C
ホラー度………C
キャラクター…C
設定……………C 
総合評価………Cー
オススメ度……C
【良い点】
・コンセプトは◎
・演出や雰囲気は悪くない
 
【悪い点】
・展開がスローすぎる
・オチありきな構成のせいか強烈に腑に落ちない部分がある
 設定は面白そうだったシリーズ(B級映画あるある)。
 とはいえ、中身自体も悪いわけではなく、展開がスローすぎるところはあるものの演出や雰囲気など所々光るところもある映画でした。ただまあ、全体的な評価としては微妙という結論に落ち着きました。
【以下、ネタバレ注意!】
インチキ霊媒師が本物の幽霊に遭遇してしまいどえらい目に会う、というあらすじを見てワックワクで見たのですが、その実態は思っていたものとはだいぶ違ってました。まあこれはこれで……とも思ったのですが、それにしても問題点が多々。
 では早速、詳細な内容を見ていきましょう。まずは良い点からいきましょう。
 今作の良い点は、お話のコンセプトは実に良いということ、そして全体的な演出や雰囲気は悪くないということです。
 まずは話のコンセプト。もう何度も同じ話になってしまいますが、今作はインチキ霊媒によって心霊現象に悩まされる方々から金を巻き上げる兄妹が、本物の心霊現象と遭遇してしまいどエライ目にあう、というテーマを扱ったホラー映画。いやーもうね、この設定を聞いただけで正直ワクワクが止まらんでしょう?
 ぶっちゃけこの映画のあらすじを見たとき、私は完全に「金稼ぎしか目にないバカな兄妹が、本物の怪異に襲われてなす術なく蹂躙される映画」だと思いました。私はこの手の、登場人物が襲われるべくして怪異に襲われるホラーが大好きなので、当然それを期待して見始めたわけなんですが……何とですね、兄ちゃんの方はだいたい想像通りの屑人間だったんですけど、妹の方はどうもマジで霊が見えてるみたいで、しかも兄が始めたこのペテン商売にもウンザリしている、というような描写が開幕からなされます。この時点で思うよね、「あれ、ちょっと思ってたんと違くね?」妹ガッツリ見えてんじゃん。
 そんなこんなで、金稼ぎしか頭にない兄と、マジで霊が見えるしこの商売にも罪悪感を感じている妹、そんなコンビ+この商売に加担する友人たちのキャラ紹介を交えつつ、この物語はゆっくりと幕を開けます。正直この時点では、「霊感皆無のバカ兄妹が痛い目を見る」という図式を期待していた自分にとってはかなりのテンションダウンになりましたが、その盛り下がった期待を良い意味で裏切ってきてくれるのが今作の特徴
 さて、今作のメインとなる老婆からの依頼を受けて屋敷に到着後、マジで霊が見える妹はそれに導かれるように屋敷の中を探索しますが、その途中に口を縫い付けられた少女たちの姿を目撃します。これが今作のメイン怪異となり、主人公グループの中からは口を縫い付けられる者が出るなど、いよいよ実害も及ぼしてくるようになるのですが、今作はここから急展開を見せます。なんと、この屋敷に現れる少女たちの霊は、実は依頼主である老婆によって殺された女の子たちであり、現実に主人公グループから人をさらって口を縫い付けるなど、実害を及ぼしていたのも全部老婆の仕業であり、少女たちの霊はただそれを見ているだけで全くの無害だったのです。
 いやー、ここに来てまさかの「やばいのは怪異ではなくババア(と息子)」「生きている人間の方が霊よりやばい」という展開には予想を裏切られ楽しめました。主人公がマジで霊が見えている分、そのミスリードがうまく機能していたと思います。まあ、その分納得いかない点も多いんですけどね……それについては後ほど。
 また、霊関連の演出や雰囲気の出し方についても良好な部分が多い、というのも今作の良いポイント。特にメインの屋敷編に突入してからの、口を縫われた女の子たちが見えるようになってからの演出については、不気味さがよく出ていてよかったと思います。またラストシーンの、兄が死んだことを暗示する別れの場面についても、霊が見えるという主人公の特徴を生かした演出の仕方をされており、目をみはるものがありました。
 霊関連の演出が良好、そして何より、作品コンセプトと予想の裏切り方が上手い。この2つの武器を持っている今作ですが、それでも私の見終わった後の評価は「微妙」の一言でした。悪くはないけど面白くはない、そんな評価に落ち着いてしまったのには、今作に大きな問題が2つあったからです。その問題点、今作の悪い点は、展開が遅すぎることと、とにかく腑に落ちない展開、これでした。
 展開についてですが、キャラ紹介と妹が霊見えてる描写などを含めてあれこれ説明を盛り込んだ結果、今作のメインとなる屋敷へ突入するまでの間、まずここまでの展開がかなりスロースタート気味で結構退屈。時間にすれば約30分と、導入パートの長さとしてはちょっと遅いかな程度なのですが、その間とにかく見どころになるようなシーンや楽しめる場面がないため、実時間より長く感じてしまいます。結構後半の伏線としては大事な部分も入ってはいるのですが、やはり見どころの1つも入れてくれないと辛い、というのが率直な感想。
 また中盤、屋敷に突入して以降は徐々に盛り上がってきますが、展開は相変わらずスロー気味な進行なため盛り上がりに直結してきていたかというとこれも微妙なところ。結局のところ、終盤のミスリードへ誘う展開重視な部分があるので、心霊関係の描写の良好さのみで基本走ることとなり、前半で抱えた負債の完済には至っていない、という印象を受けます。
 そして、そんなこんなで盛り上がり不足のまま迎えた終盤、実はヤバいのはババアの方だったということが分かる時点で、今作の盛り上がりは最高潮に達することになるわけですが、ここで! ここでこの展開をすんなり受け入れることができ、かつ予想を裏切られることとなったのなら、この部分はそれまでの盛り上がり不足な展開を補ってもなおお釣りがくるくらいの見所あるシーンになっていたことでしょう。しかし黒幕がババアだったと判明する時点で、それに対する驚き以上に「えっ、じゃあこれまでの展開おかしくね?」大きく納得いかない部分が思いついてしまうこと、これが今作の抱える大きな問題その2なのです。
 良い点でもあげましたが確かに、確かにここでババア黒幕判明を持ってくるのは、それまで単純な霊障だけだと思っていた予想を裏切られて良かったんですよ。しかしそもそもこのババア、中盤でこいつらがニセ霊媒師だと見抜いた時に激昂し、仲間の1人を捕まえて口縫い付けた上で、そいつごと1回こいつらを家から追い返しているんです。その後、こいつらの乗る車がたまたま事故ったから良かったものの、こいつらが無事帰路についていたとしたら、口縫い付けられた仲間の証言で犯行即バレ、警察出動、即刻逮捕ではい終劇、そんなコース濃厚だったわけです。無計画に口縫い付けた上で一回追い返すというガバガバ極まる展開には、真っ先にツッコミを入れたくなりました。
 悪く言えば、完全にオチありきで作ったせいで展開の整合性取れてねえな? そう思われても仕方ないレベルのガバだった。せめてガソリン抜いとくとかブレーキ壊しとくとかいろいろやりようあるやん? まあそれにしても、1回屋敷から出してあげるのはどうかと思いますが……。
というわけで総評ですが、物語の1番の重要部分である黒幕判明シーン、この展開自体は良かったと思うんですが、これ以外に盛り上がりがなさすぎてそこに至るまでに退屈が持続することと、やるならやるでツッコミどころでないような構成にしてくれよと思ったこと、ここの部分がとにかく大きかったので、総合的には悪くないけど面白くはない、そんな感じの評価に落ち着いてしまいました。細かいところと言えばそれまでですが、こういうどんでん返し系の映画はそのシーンをいかにすんなり受け止めさせるかにかかっていると思うので、ツメが甘いのは見過ごせないです。
 では、今回はこの辺りで。ご視聴ありがとうございます。
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