恐竜の出来は良かった(小並感)
今作ですが、レンタルして吹き替えで視聴しました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
死刑囚が恐竜と戦いを繰り広げるアクションアドベンチャー。死刑の執行がTVでショーとして放送される近未来。10人の死刑囚が、凶暴な恐竜が現れるVR世界へ送り込まれる。脱落した者は死刑を執行され、生き残ったひとりだけが釈放されるゲームが始まる。
(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー……C
恐竜の質………B
キャラクター…C
設定……………D
総合……………C−
オススメ度……C
【良い点】
・恐竜のクオリティはなかなか高い
【悪い点】
・恐竜の使い方が下手
・展開が強引かつ盛り上がりに欠ける
B級恐竜映画です。肝心要の恐竜のCGクオリティ自体は結構高く、特にティラノサウルスなんかはモーションも含めてよく出来ているんですが、とにかく恐竜の使い方が下手で盛り上がってきません。展開も強引で、脚本に殺されている映画だな、と思いました。せっかく恐竜はよく出来ているのにもったいないです。
【以下、ネタバレ注意!】
恐竜はよく出来てるんですよ、恐竜は。というよりティラノサウルスは。
さて今作ですが、死刑が見世物として機能するようになった近未来が舞台の映画です。この世界の死刑は、VR世界に死刑囚を送り込み、そこで恐竜が登場する脱出ゲームに挑戦する、というもの。その世界でのゲームオーバーは現実での即死刑執行を意味するものの、最後に残った1人には恩赦として釈放が約束される、という仕組みになっています。そしてこの様子はテレビ放映されており、国民はエンターテイメントとして死刑を楽しんでいる、というような設定です。まあ雰囲気的には、コナンのベイカー街の亡霊を思い浮かべてください。
では早速、詳細な内容を見ていきましょう。まずは良い点から。
今作の良い点は、恐竜のCGのクオリティが高いということです。
この映画は開幕、まあチョロチョロとした説明はあるものの、VRワールドに集められた死刑囚の前に、突然大本命であるティラノサウルスが登場するところからゲームがスタートします。この突然の大物の登場という展開的な盛り上がりに咥え、ティラノ自体のクオリティがモーションも含めて予想以上に出来が良かったこと、これがまあ素晴らしく、今後の展開にも期待が高まる良いスタートとなりました。開幕の掴みについてはバッチリだったと言えると思います。
その後も、ラプトルを始めとして翼竜や複数の草食竜、サーベルタイガーなど、今作にはまあまあの種類の恐竜(+獣)が登場するわけですが、軒並みこいつらのクオリティは標準以上を保っています。まあ、ぶっちゃけティラノサウルス以外はそこまで出来がいいわけでもないのですが、CGがお粗末すぎてお話に影響があるレベルではない、ということだけは言えるでしょう。これ結構重要です!
では、残念ながら良い点は以上ということで。続いては悪い点です。
今作の悪い点は、折角の恐竜の使い方が下手であることと、展開が盛り上がりに欠けることです。まあ、恐竜の使い方の下手さが展開の残念さに多大な影響を及ぼしているので、真の問題は1つだとも言えるかもしれません。
ではもう少し具体的に。今作、のっけから出来の良いティラノサウルスの登場で大きく期待を引き上げられますが、そこで期待を上げすぎたせいもあってかそれ以降はぶっちゃけ下火の連続となってしまった、というのは辛いところです。ティラノ登場以降、終盤までティラノはお預けとなり、その代わりにラプトルくんがメインを飾る台頭を見せるという某ジュラシックなパークみたいな展開になるわけですが、このラプトルくんがまーあ信じられないくらいにポンコツで絶妙に弱く、ちっとも展開を盛り上げてくれません。ただこれについては、詳しくは後述しますので、この問題は一旦置いておいて、次の問題点である物語構成の盛り上がりのなさを先に見ていきましょう。
さて、今作は全部で4つのステージから構成されており、「①森林」「②迷路」「③地雷原」「④砂漠」という配分になっています。それぞれのステージにおけるメイン恐竜は、「①なし」「②ラプトル」「③プテラ」「④ティラノ」となっているわけですが、このうちまだ面白いと褒められる出来だったのは④だけで、ぶっちゃけ①〜③ステージについてはとにかく退屈気味な時間が続きます。
まず、ステージ①はキャラ紹介要素が強めに出されており、恐竜の出番自体が冒頭のティラノを覗いてほとんどありません。まあ、序盤なんでそれ自体は別に良いんですが、もうこの時点から
恐竜の扱いがド下手であるという今作の本質が透けて見えるのが大きな問題。
ステージ1では、恐竜との接敵により脱落者が出過ぎる事態を防ぐため、ゲーム運営側が意図的に参加者との接触を避けるように恐竜たちを動かしているのですが、ゲーム途中で参加者3人のグループとラプトルの群れとが接触するという予期せぬ事態に見舞われます。まだ後ろに3ステージも控えているため、ここで脱落者が出すぎてゲームの盛り上がりが削がれ、視聴率が爆下がりすることを恐れた運営側は、この事態に対し、なんとラプトルを透過処理して参加者たちの側をすり抜けさせ、接敵自体をなかったことにして済ませるという、ゲーム運営として1番やってはならないクッソ面白みのない対処法をとってその場をやり過ごそうとします。いや、もうこの時点で盛り下がりまくりですよ。今作における初のラプトルの出番が、運営の都合でなかったことにされたんですから。俺がもしこの番組見てたら、この時点でチャンネル変えてTwitterでボロカス叩く(決意)
そんなこんなで、ステージ1はこれといった恐竜との接触もなく、参加者のてきとーなキャラ紹介だけして終わりました。もうこの頃には、序盤のティラノ登場の興奮は冷めきり、プラマイゼロに戻った状態です。
ここから始まる第2ステージは、迷路内でラプトルに追われながら脱出を目指すというもの。しかしここでも、ラプトルは数だけは揃っていてもぶっちゃけ無能の集団で、おっさん1人に対して3匹で取り囲んでいるのにクッソ苦戦するわ、迷路内で人間相手にも追いつけないわの酷い有様。おまけに、参加者たちは各々バラバラに迷路を進んでいたはずが、ラプトルが放出されてからはいつの間にか全員が一箇所に集合し、それを後ろからラプトルたちが束になって追いかけるという、迷路要素皆無な拍子抜け展開に。おまけに追いかけっこの末見事に全員取り逃がし、そのまま第3ステージへ突入するという、いったい何のために迷路とラプトル出したのか全く理解出来ない謎展開を見せつけます。もうこの時点で確信しました。この映画恐竜の使い方めっちゃ下手だわ。
そして第3ステージについてはもう本当に見ていて怠かったので割愛しますが、地雷原と言いつつ地雷が埋まっているのはごく一部だけだし、ここでのメイン恐竜っぽい扱いのプテラノドンについてもちょっとちょっかいかけてくる程度で話の盛り上がりには全然貢献できていないし、キャラ間のやり取りについてもなんかどんどん雑になっていくしで、この辺は完全に「早くティラノサウルス出ないかな」ということだけ考えて見てました。なぜ悉く恐竜の見せ場を潰していくのか。
そしてやっと迎えた第4ステージ。鎖で繋がれた参加者2人と、そこに乱入する2匹のティラノサウルス。そして始まる、ティラノの同士討ち。やはりティラノサウルスについては安定のCGクオリティで、これが2匹も出てきてしかも縄張り争いまで始めるため、話の展開はあれとしてここの部分だけは割と楽しく見られました。なぜこれを最初からしないのか。
というわけで総評ですが、恐竜の出来事態は良いけど、使い方がド下手。これが今作の評価です。総じて展開の盛り上がらなさの原因には、恐竜の使い方の下手さが挙げられるでしょう。
・ラプトルを出しておきながらも、透過処理してスルーさせた第1ステージ。
・迷路×ラプトルという組み合わせを出したものの、ラプトルを一方向からしか射出しなかったために迷路内での予測不可能な接敵や、ラプトルとの接触を警戒しながら進むというという見所と緊張感溢れる事態が一切起きず、単に後ろから追ってくるラプトルから逃げるだけというクソ面白みのない展開に持って行ってしまった第2ステージ。
・ここらで変化球が欲しかったのに、さらに恐竜の出番と見所を奪いつつ、クソてきとーにいてもいなくても良い使い方しかできないプテラだけ出して、プテラ×地雷原という言葉だけ聞くと面白そうに聞こえる設定をまるで活かせていなかった第3ステージ。
この、1〜3ステージまでの展開が完全に死んでいるせいで、折角出来の良い恐竜のCGが全然活用できてない。これは痛すぎました。
この他にも、無駄な人間描写というか薄っぺらい死刑囚同士のやり取りが単なる時間の無駄にしか見えないのでやめて欲しいところとか、主人公が冤罪なことを皆知ってるのに死刑判決受けているところとか、たまたま参加者の中に主人公の妻を殺した真犯人が参加してて最後の最後で何の脈絡もなく突然カミングアウトして頭が吹き飛ぶところとか、他にも言いたいことは色々とあるんですけど、疲れるのでやめます。マジであってもなくても良い会話シーンに無駄な尺裂くんなら、もっと恐竜の見せ場作ってくれよな、頼むよ。こっちは恐竜が出てて暴れてれば何でも良いんだからさ(暴言)
とはいえ、開幕のティラノサウルス登場における大きな盛り上がりの演出と、第4ステージのティラノサウルス同士の縄張り争い描写はなかなか目を見張るものがあったので、ティラノサウルスすこすこマンの方はいかがでしょうか。