「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

それ それがやって来たら… のレビューです(総合評価D+)

(画像:Amazon商品ページより引用)
さて今作ですが、レンタル版を借りてきて見ました。まずはあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
小林絢香は、ボランティアで少年キャンプの引率者として、親友のすみれと共に山奥のキャンプ場へやって来た。キャンプに参加したのは小学生の男女6名。キャンプを満喫し、日が暮れた頃、暗い森の中で、一人の少女が発見される。警察へ連れて行きたいが、夜も遅いため、明日の朝にすみれが山を降りて警察を呼んでくることになった。そうして翌朝を迎える絢香たちだったが、悲劇はもうすでに始まっていた…。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー……D
キャラクター…C
設定……………D 
総合評価………D+
オススメ度……D
 
【良い点】
・短い(64分)
 
【悪い点】
・この短さでまさかのテンポの悪さ
・あらゆる面で演出ド下手
・盛り上がりのなさ
 結論から申し上げますと、ぶっちゃけクソ映画でした。itとの共通点と言えば「子供とピエロが出て来る」くらいのもので、説明も中途半端なら演出もダメ、本編64分しかないのに無駄展開が多くテンポすら悪い、と良いとこ無しの映画です。しかし、本編を60分程度にまとめてきたという身の程のわきまえ具合はGoodだと思います。そこしか褒めるところがない。
【以下、ネタバレ注意!】
 itパクリ映画シリーズ邦画ver. 
 itのパクリはピエロ出しとけばいいから楽だよな(暴言)
 さて今作ですが、ボーイスカウト?的なあれで子供とキャンプに来た女子大生、そこで拾った記憶喪失の少女、突如現れるペニーワイズもどき(ピエロ)、そして起こる少年の失踪事件。これら不可解な出来事は、一体どこで繋がるのか……そんな感じの内容の映画です。上にも書きましたが、ぶっちゃけ褒めるところなんて短いことくらいしかないんで、以下はもうずっと残念な部分についてです。
 では、残念な点について。今作の悪い点は、盛り上がりのなさ、テンポの悪さ、そしてド下手な演出です。
 まずはテンポの悪さについて。上述の通り、今作は本編64分という短さを誇るわけでありますが、それを考慮すると「このテンポの悪さはなんだ」と言いたくなってしまいます。そうなってしまっている原因その1は、単純に中身がスッカスカなくせに余計な展開付け加えてくることでしょう。
 今作の話の流れとしては、女子大生の主人公グループ+ボーイスカウト的なクソガキ数人でキャンプに来たところ、そこに記憶喪失の少女と謎のピエロが出現し、なんでかよく分からんけどピエロがガキどもを惨殺し始める、という感じの内容になっておるわけですが、このシンプルな展開を素直にそのままやっとけばいいものを、今作はこの流れに持っていくまでにもう余計な展開の付け足しを行ってくるわけですよ。
 それは、最初にペニーワイズ(ピエロ)の標的となったガキはかつて友達を煽って飛び降り自殺させたことがあり、その父親から死ぬほど恨まれてるので、今回の事件の裏にはその父親がいるに違いない、的な感じの展開なのですが、ハッキリ言ってここの部分、今回の映画の内容とはまるで無関係なので丸々カットして差し支えないんですよね。この意味深な父親は今回の件と何の関係もないですし、回想以外で出てくることもなく、何なら過去の飛び降り事件自体がペニーワイズの動機と何の関係もないという、本当に単純にこの展開自体丸々時間の無駄でしかないからです。

確かに、登場人物の過去話を持ち出してきてミスリードを誘うというのはこの手の映画の常套手段ではありますが、この映画に関してはミスリードの誘い方と伏線の張り方があまりにも下手すぎてミスリードの意味をまるで成しておらず、過去の飛び降り事件を持ち出してきたところで物語に何か影響を与えたかと言うとこれがびっくりするほどなーんの効果も発揮していません。この展開分テンポ悪くなってるだけなんで本当にここ丸々いらないですし、入れるなら入れるでもっと上手くミスリード誘えるような使い方をして欲しかったですね。現状だとマジでここいらんとしか思えない。

 また、これと双璧をなすレベルで話のテンポを破壊している要因その2が、ド下手な演出。もう演出については特に言いたいことが色々あるんですが、テンポの悪さに関係している部分から順番に行きます。
 まず何よりも、今作は全編通してどことなく会話が不自然なシーンが散見されます。話の都合上子役が多いのでなんか演技がわざとらしい、という部分ももちろんあるのですが、各人の演技力の問題以上に会話の内容自体がなんかおかしいんですよ。何と言うか、脚本自体がきちんと整備されていないのではないかと感じさせる部分が実に多いんです。特に日常会話のシーンで顕著なんですが、全体的に事前に決められたセリフがあるというよりは「しばらく何気ない会話をする」とか「なんか楽しそうに遊ぶ」レベルの指示しか出てないんじゃないかと思われる部分が数多く見受けられるのです。横に並んで歩いてるシーンでも、川で楽しく遊んでるシーンでも、みんなでご飯食べてるシーンでも、何処と無くぎこちなさを感じるというか、初対面の人たちが手探りに会話繋ごうとしてる感があるというか、迫真空手部のラーメン屋のアドリブのくだりを更に下手にした感じのを見せつけられてる感があるというか、とにかくそういう「棒読みとは違うが、アドリブとしては不自然すぎるぎこちない会話シーン」が実に多いんですよ。しかも、こういうシーンに限って無駄に長く尺とってたりするので、もう本当にこれのせいで会話シーンのテンポが死んでる。
  また、先述した「息子が飛び降り自殺して父親が激怒する」という、結局本編とはなんの関係もないシーンを無駄に何回も何回も繰り返し流してみたりだとか、車のエンジンかけて走り去っていくのを眺めてるだけのシーンを無駄にノーカットでお届けしてみたりだとか、そういういちいち無駄な部分がテンポを殺してるのも大きな問題。中身がスッカスカ、かつ説明すべき部分を放棄して投げっぱなしな部分が多いだけに、こう言った細かい部分が余計に目に付きやすいので余計に腹が立ちます。
 また、何でもない場面から緊張感ある場面に切り替わるようなシーンなのに同じ音楽流しっぱなしにしてるせいでメリハリがない、シーン切り替えが一々ブツ切りで突然次のシーン始まったりするので不自然に感じるなど、もう演出の気になる部分を挙げだすとキリがない。これら一つ一つは割と些細で、目くじら立てるほどの事でもないように見えるかもしれませんが、これら演出面での細かい不満点がどんどんと積み重なり、全体として演出全部がド下手に見える、と言うのが今作の抱える大きな問題です。
 さらに、今作に登場するガキはペニーワイズの手によって最終的に全滅するため、殺害シーン自体は多く盛り込めそうなのですが、大人の事情か予算の都合か、今作には殺害シーンらしい殺害シーンはほぼなく、殆どがカットの連続で事後死体が転がっているだけ、と言うのも盛り下がりを加速させますね。
 と言うわけで総評ですが、ぶっちゃけクソ映画です。本編が短いのでサクッと観れるといえばそうですが、60分映画の割にはテンポが悪く、無駄な展開多めで盛り上がりにも欠け、何より演出が全体的にド下手なせいで見ていて面白みを感じられません。特に演出に関しては、「とにかくこのシーンが悪い!」というよりは、全体的に低レベルでいちいち細かい不満点が目に付くという割と救いようのない仕上がりなので、個人的にはあんまりお勧めしません。さらに、重要な本筋に関してもペニーワイズの正体や記憶喪失少女にばっかり肩入れする理由、そもそも何で今更出てきて無関係なガキ殺戮しまくったのかなど説明不足な部分も多く、その反面無駄なシーンだけは全力で垂れ流して時間無駄にするという、クソ映画になる要素を併せ持って生まれたクソ映画という感じです。
 個人的にはあれですが、「ピエロ出るホラー映画なら何でもいいわ♂」という方ならどうぞ。
>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊