この手の作品は趣味が悪いという人もいると思いますが、リベンジ物すこすこマンは分かってくれるはずだ。
さて今作ですが、ネトフリで字幕で見ました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
ジョージアの人里離れた場所に、トレッキングにやってきた若者3人。 しかし、その地はかつてのグルジア戦争で地雷が撒かれたエリアだった。3人は三角関係のもつれからケンカになり、ダニエルがその場を立ち去る。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)“
ストーリー……B
キャラクター…C
設定……………C
キャラクター…C
設定……………C
総合……………C+
オススメ度……C
オススメ度……C
【良い点】
・展開に引き込まれる
【悪い点】
・肩透かしを食らう部分が多い
・前半がねちっこ過ぎる
総合評価をBーにしようかC+にしようか死ぬほど悩んだ映画です。ストーリー的には展開に引き込まれる部分が多く上手く出来ているなあ、という印象を受けるのですが、悪い意味で予想を裏切られる部分も多いです。また、前半がとにかくしつこいくらいにおっさんの変態描写をぶち込んでくるので、展開が間延びしている部分もあるでしょう。総合的には、CとBの絶妙に中間位置に属する映画ですが、個人的にラストシーンが嫌いなのでC+、ということで落ち着きました。
【以下、ネタバレ注意!】
今作ですが、山登りに来た男女グループのうち1人が地雷を踏んじゃって動けないところに地元民の犬連れたおっさんが登場し、手伝ってあげる代わりに女のパンツよこせだの犬みたいにヨツンヴァインになれだの順番に服脱げだのえっちな命令を連発したのち、結局よくわからんタイミングで雑にレイプ⇨そこからおっさんへの復讐が始まる……というリベンジ物です。他のリベンジ物との差別点としては、だいたいは女が直接復讐する作品が多いところ、今作では直接被害を受けた女はレイプ後死亡してしまうため、その彼氏がおっさんに代行復讐しに行く、という流れが特徴です。
それでは、早速詳細な内容について見ていきましょう。まずは良い点から。
今作の良い点は、引き込まれる展開が多く、比較的飽きずに視聴できるということです。
結婚を約束した男女+男友達の3人グループで山登りに来た一行でしたが、ひょんなことから男友達が地雷を踏んでしまう、というところからスタートする今作。しかし、いくらなんでも地面にむき出しレベルで露骨に仕掛けられた地雷に自演を疑った私でしたが、その直後、この地雷は新郎が仕掛けたものであることがカミングアウトされます。理由は、婚約してるにもかかわらず、新婦と男友達がズッコンバッコンしてたからだそうで、復讐のため新郎は仕掛けた地雷を友達に踏ませ、動けない友人と新婦を残してその場を立ち去ってしまう、というところが、今作の真の出発点でした。さて、ここに犬連れた地元民のおっさんが現れるわけですが、このおっさん、自分が銃持ってる&男が動けないのをいいことに、「助けるの手伝ってやるからそこのギャルのパンティおくれ」となんか豚みたいなこと言い出し、そこからエロ同人みたいな流れに突入する……というのが、今作の前半のあらすじです。
ここで評価すべきは、展開を安っぽくしないよう工夫されていることでしょう。普通、自分が銃持ってる状況で「この女レイプしよ」と心に決めたなら、銃で脅してやることやっちまうのが最速、かつ1番楽な方法でしょう。しかしこの映画では、銃を使って相手を脅すという方法は基本的に温存されます。実際何回か銃を向けるシーンはあるのですが、「命だけは助けてやるから俺様のマグナムを云々」という安っぽい流れには持って行きません。
とにかく、今作の中盤の見せ場、レイプシーン突入までの流れでは、主人公?のおっさんは力づくでの行動を控えます。例えば、「パンティくれたら塹壕掘るの手伝ってやる」とか「脱ぎたてパンティくれたら無線使わせてやる」とか「一枚づつ服を脱げば現地言語翻訳してやる」とか、今作のレイプ魔のおっさんはあくまでも等価交換を大切にします。まあ等価交換と言いつつも、(無線の件りなどは特に)とにかく難癖つけまくって女が脱ぐ以外の選択肢を潰しながら半強制的に脱がせていくのですが、この「形式上は女が自分から脱ぐようにしむける」というドン引きな性癖描写が無駄にリアルで惹き込まれます。監督の趣味なのか脚本の趣味なのかは分かりませんが、「銃で脅してレイプする」という「地雷関係ないじゃん」な安易なシナリオに走らず、地雷で1人動けないからこそ成立するシナリオに持って行こうとした流れは評価されるべきでしょう。まあ、それにしてもとにかくねちっこくて長ったらしいんですけどね……これ半分趣味入ってるでしょ。
まあとにかく、そんなこんなでレイプシーンまではとにかくしつこいくらい丁寧丁寧丁寧に描いてきた今作が迎える大きなターニングポイント。それは、実は男友達が踏んでいた地雷はフェイクであり、新郎が浮気の復讐に仕掛けたいたずらだったということ、そうとも知らず動けない男友達の目の前で、新婦がレイプされそのまま誤射で事故死してしまったということです。正直この展開には、これまた大きく引き込まれることになります。というのも、てっきりレイプされた女が復讐に向かういつものパターンだと思っていたので、その本人が死んじゃったというのは驚きました。しかし、さらに衝撃が待っていたのはここから。
さて、この手の映画の第二の見せ場である復讐シーンですが、一体どういう復讐を用意するか? というのは実に映画としての腕が試される部分です。私はてっきり、その場で仕返しするとか、後ろから追いかけて行ってなんかするとか、時間軸的にほぼ同日中の仕返しが来ると思っていたのですが、ここでもこの映画は魅せてくれます。なんと、目の前で浮気相手の新婦を殺された男友達は、そんな出来事があった後日も後日、そのおっさんの自宅をなんらかの手段で突き止めひょっこりお邪魔する、という方向に。しかもただお邪魔するだけではなく、道に迷った観光客を装っておっさんの妻と娘に接触し、あたかも初対面かのような態度で接触する、という、この手の映画にはこれまた珍しい社会的制裁を加えるタイプの復讐方向に話が進んでいきます。てっきり、物理的直接制裁が来ると思っていた私は、ここでまた大きく惹き込まれました。
というわけで、今作はあらゆる意味でいちいち自分の予想を裏切ってきてくれたので、その度に驚きと先の展開への期待感が高まり、結果最後まで飽きずに見ることができた、これは実に大きい収穫でした。なお、ラストシーン。
では、良い点は以上です。続いては悪い点を。今作の悪い点は、そうは言ってもやっぱり前半ねちっこすぎるということと、惹き込まれる展開も多い一方、肩透かしを食らう展開も多いということです。
前半のねちっこさについては先述の通りなので、ここでは主に肩透かし展開の連発ぶりについて言及します。まず最初に肩透かしを食らったのはレイプシーン。パンツ一枚脱がせるのにもとにかく時間を使ってねちっこくねちっこくねっちりねっちりやって来た今作、さあ実際本番が始まったらどうなるのかと思っていたのですが、始まってしまえばこれが実にあっけない。女は露出なし、岩越しに腰打ち付ける演技なの丸わかりと結構雑な出来栄え。別にレイプシーン描き込んでR18並にしろとかそういうわけではないのですが、ここまで1時間近く使ってレイプのお膳立てをねちっこくやって来た割にはこれかよ、と思わずにいられない&この場面の描き込みこそが、後半の復讐シーンにつながってくる大事な場面になってくるので、もうちょっと頑張って欲しかった。
肩透かしシーン2番目は、目の前で新婦を亡くした男友達が、おっさんの家を突き止めて訪問するシーン。この登場には、「おっ、ここからの復讐は物理制裁じゃなくて社会的制裁タイプか!」とワクワクさせられたのは先述の通りですが、これがまた蓋を開けてみれば結局はおっさんと妻子を拘束して物理制裁を加えるだけだったのにはガッカリしました。友達男がクソ意味深に初見装って相手の家庭に飛び込んでくるので、おっさんを精神的に追い込んで社会や家庭から孤立させていく復讐劇を展開してくれるのかと期待したのですが、残念ながらそういう方向には行かず終いだったのは実に残念でなりません。個人的には、そういう方面の復讐が見たかったよ。
そして個人的最大の肩透かしポイント。復讐が始まると、男はおっさんの目の前で、娘に対し、彼が新婦にしたのと同じことをさせます。パンツ脱がしたりとか、服一枚ずつ脱ぐように強要したりとかですね。ここでやっと、前半のねちっこすぎるまでの展開が意味を持って生きてきて、男の復讐についても「おっさんの目の前で、自分がしたことを再現する」という内容だとはっきりしたので、「まあ、これはこれでありか」と思っていたのですが……最後、男は娘に対して面白ロシアンルーレット中にリボルバーをぶっ放し、頭を撃ち抜いてしまいます。そして何を思ったのか、自分は殺す気満々で引き金引いてたのに、いざ殺した瞬間になると、男は「やっべ、やっちまったわ……」みたいな顔して茫然自失になり、その場にへたり込んでエンド、この映画は幕を下ろします。
これ見たとき流石に思ったよね、「なんやこの終わり方」
いやまあ、復讐の内容が社会的制裁ルートではなく、「自分が他人にやったのと同じことを娘に対してやらせる」という内容だったというのはまだいいんですよ。でも最後、おっさんの罪とは無関係な娘を殺した挙句、自分で殺したくせに茫然自失の表情を浮かべて終わるとか、あまりにも男の行動に一貫性がなさすぎて疑問符しか浮かびませんでした。娘を殺しちまって茫然とする程度のメンタルなら最初からターゲットをおっさんだけに絞るor家族を巻き込みつつも銃殺等直接手は出さないでおけばいいだけだし、無関係な娘を殺してでも復讐したいと思ったのなら最後までちゃんとやりきって欲しいんですよね。そのどっちもできないまま、実に中途半端なままで物語が終わるため、非常に胸糞悪くモヤモヤします。
娘を手にかけた瞬間、無関係な娘を殺してしまった後悔が芽生え、急に自分の罪を自覚して云々、というラストにしたかったのかもしれませんが、「おっさん自業自得だぜざまぁ」という趣味の悪いシーンを見たくてこの映画を見た自分からすると、こんな変にリアルなシーンは大きなお世話なんですよね。そりゃ、実際頭に血が上ったままに立てた計画に沿って無関係な娘を殺してしまったら、その直後こんな反応になるでしょうけど、そんなシーンが見たかったわけじゃないんだよなぁーーしかも、じゃあ地雷にかかった友達男と、レイプされて殺された新婦に非がなかったのかと言うと全くそんなことはない、というのも、その感情を加速させます。なんにせよ、「きっちり復讐は果たして終わる」という綺麗な終わり方を放棄し、「やるにはやったけど茫然自失&張本人であるおっさんの処遇については言及なし」という、実に投げっぱなしで中途半端で胸糞悪い終わり方だけは全くもって好きになれませんでした。所々、光る部分はあっただけに残念です。
というわけで総評ですが、惹き込まれるシーンや期待値を上げてくるシーンは多く、特に復讐スタートの場面なんかは一気にテンションを上げられましたが、反面ガッカリさせられるポイントも多いです。また、いくら復讐シーンで活かされるとは言え、前半がねちっこすぎて展開が間延びしている部分もあるでしょう。しかしまあ、個人的にはラストシーンが受け入れられるかどうで評価が結構変わってくる映画だと思います。個人的には受け入れられませんでした。そもそも無関係な娘を巻き込んで射殺してはいけない(戒め)
余談ですが、物理的には危害を加えず、おっさんの家庭を崩壊させて精神的に追い込み、社会的に抹殺させるエンドだったならばBは固かったと思います(悪趣味)
それでは、また次回。