「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ホラーストーリー  のレビューです(総合評価C +)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 ちょっと珍しい?インド発のホラー映画のレビュー始まるよ!
 ネトフリでやってた夏の映画特集?的なやつで勧められたので見ました。インドもこんな映画あるんだなぁ、と思った(無知)
 もう予告編すら見つからなかったので、今回はNetflixからあらすじだけ掲載いたします。
【あらすじ】
7人の男女は、スリルを求めて幽霊が出ると噂の廃ホテルで一夜を過ごすことに。だが、これが決して終わらない悪夢の始まりだとは、まだ誰も気づいていなかった…。(あらすじ:Netflixより引用)
ストーリー……B
}キャラクター…C
ホラー度………C
設定……………C 
総合……………C+
オススメ度……
【良い点】
・芸術点が高い
・飽きずに見られる
 
【悪い点】
・ホラー描写がベタで怖くない
 インド産ホラーということで、とにかく登場人物の顔が濃いホラー映画です。インド顔の濃いキャラが怪異に見舞われているという何とも言えないミスマッチ感ですが、これがまたなかなか面白い。ホラー描写はベタな一方、いちいち芸術点が高く、私は結構好きな映画でした。
【以下、ネタバレ注意!】
さて今作ですが、ヒンディー語のホラー映画です。人選も当然インド人なので、とにかく登場人物の顔が濃い。そしてその顔の濃いキャラクターたちが、怪奇現象を前に泣き叫ぶのが今作の特徴なのだ。そしてその光景は、ちょっと面白いのでした。
 では、早速今作の詳細な中身を見ていきましょう。まずは悪い点からです。
 今作の悪い点は、ホラー描写がベタの域を出ていないということです。
 インド産のホラーということで、一体どういう攻め方をしてくるのだろうか、と思って見始めた今作でしたが、意外にもその切り口は普通
 過去に自殺が発生し廃墟となったホテルを舞台に、男女7人のグループが肝試しをしに潜入する、という導入で始まる今作。その後、暗闇の向こうに空き缶を投げると返ってくる、という怪異に出会ったのを皮切りに、廃墟なのに映るテレビ、突然流れ出すシャワー、そしてついに出てしまう死者……そんな数々の怪異に襲われ、一行はパニックになって一目散に入り口めがけて駆け出すも、階層がループしており一向に出口に辿り着けず、閉じ込められてしまうのです。そして6人は、ここからの脱出目指して動き出すのでした。
 まあ、話の前半部分としてはこんな感じなのですが、ここからもすでに伝わってくるレベルのベタなホラー感。この後に起きる怪異も、廊下で誰も乗っていない車椅子に襲われたり、人がいないはずなのに人の姿を見かけたりなど、基本ホラー描写に関しては非常にベタ。これに加え、BGMの主張がとにかくうるさいことや、人が死ぬ瞬間のシーンの作りが雑なこと、キャラの顔が濃いことなど、結構な要素が相まって、まあ終始怖くはなかったかな、というのはホラーとして痛い点でした。廊下を歌とともに闊歩する車椅子や、「登場人物たちが死体で発見された」と書いてある未来の新聞を読み上げる老婆と出会う場面など、間接的な恐怖描写の出来は悪くないんですが、直接的に幽霊に襲われたり、死人が出る場面の描き方はちょっと下手だったかな、という印象を受けました。後、なぜか幽霊の顔にモザイクかかってたりかかってなかったりするのが気になった。
  しかし、ホラー表現がベタである一方、今作にはしっかりとした良い点が。それは、飽きずに見られる構成と、芸術展の高さです。
 まずは話の構成について。今作の特徴の1つとして、登場人物たちが常に事態の解決策を模索し続けてくれることがまず挙げられるでしょう。怪異に襲われて慌てふためくだけではなく、この建物からの脱出をとにかく優先して行動を起こしてくれるため、物語が常に動いている印象を与えてくれるのは飽きにくくて実にいいと思います。
 だいたいこういう「行ったらヤバイ系の場所に勝手に入って怪異に襲われる」タイプの映画だと、逃げ回ったりするのに精一杯で対応が後手後手に回りがちなイメージがあるのですが、この映画に関しては「屋上からケータイを使ってみよう」「地下からの脱出口を探そう」「この場に巣食う悪霊を倒そう」など、(その試みが上手くいくかどうかは別として)常に現在の目的が明示されて話が展開していくのは個人的に好きな構成でした。
 また、常に目的を持ってキャラが動くという構成に呼応するかのように、これまたこの手の映画には珍しく、怪異に対する明確な解決策が示されるというのもこの映画の大きな特徴。こういうホラー映画だとほぼほぼラストはキャラ全滅か、もしくは怪異を撃破できずに終了、というバッドエンド気味な流れが主流だと思うんですが、この映画は怪異を物理的に攻略することが可能であり、「このホテルに巣食う悪霊のパワーの源である謎の装置に油ぶっかけて燃やす」というまさかの解決策が提示されるので、これが若干新鮮でした。怪異に流されるばかりではなく、反撃の目がしっかりとある、というのは、まあ賛否はありそうですが私は好きでした。
 そして何よりも、今作一番の特徴。それこそがインド映画のこの登場人物にしてなせる技、芸術点の高さです。一体何がどう芸術的なのかというと、何とも言葉に言い表すのが難しいのですが、何となく全体的に「画になる」シーンが多いのです。登場人物の顔の濃さがそれを支えている部分が大きいのですが、バーフバリに出てきそうなキャラが怪異に泣き叫ぶミスマッチ感、これが何とも斬新?で面白い。また普通のシーンでも、なぜかキャラが横一列に並んで会話するシーンとかが多くてこれまたなんとも最近のホラーとしては新鮮な印象。
 しかし、やはり芸術ポイント高得点を叩き出したのは、今作のラストシーンでしょう。悪霊の力の源となっている装置を燃やし尽くせば怪異を倒せるということに気が付いたヒロインが、ロビーで手に入れた火種を装置の元まで運ぶべく疾走を始める終盤。そしてここからのラストシーンは、まさに怒涛の芸術点の嵐。ヒロインが手に直接火種を持って全力疾走するだけでもすでにかっこいいのに、悪霊がこれを妨害しようと進路上のあらゆる障害物を飛ばしてくる、そしてそれを避けながら駆け抜けるヒロインホラー映画にあるまじきこの芸術点の高さ、伝わります?
伝わって?
 というわけで総評ですが、ホラー描写事態はベタ気味である一方、ストーリー展開事態はかなり流れがよく、おまけに芸術展も高い、気軽に楽しめる一風変わったホラー映画といったところでしょうか。特に、素手に火種を持ち全力疾走するヒロインの姿のかっこよさは一見の価値ありです。興味のある方は是非如何でしょうか。
>

©Copyright2021 第B級映画レビュー小隊