「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

アトランティック・リム のレビューです(総合評価Cー)

(画像:Amazon商品ページより引用)
 ここまでくると便乗根性も賞賛に値する。
 さて今作ですが、レンタル版を吹き替えで見ました。まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からどうぞ。
【予告編】
【あらすじ】
巨大怪獣と人型巨大兵器が地球の運命を懸けて激突するSFアクション。アメリカ東海岸が巨大怪獣により壊滅的被害を受けてから数年後、人類は巨大兵器「アルマダ・ロボット」を作り上げる。しかし、再び現れた巨大怪獣は想像を超えるものだった。(あらすじ:Amazon商品ページより引用)
ストーリー……C
キャラクター…C
CGの質…………C
設定……………D 
総合……………Cー
おすすめ度……C
【良い点】
・怪獣やロボットの出来自体は良い
 
【悪い点】
・ロボットがポンコツすぎて使えない
・突っ込みどころ満載
 某パシフィックなリムの完全完璧なるパクリ便乗作品第2弾です。第1作目「バトルオブアトランティス」の時もそうでしたが、公開タイミング的にもド直球なタイトル的にも完全に喧嘩を売りに来ているとしか思えない内容。当然出来としては遠く及ばないので、「パシリム好きだし見るか」という人には絶対にお勧めできない作品です。でもまあ、その辺気にしなければ以外と楽しめるーーこともないんだよなぁ……。
【以下、ネタバレ注意!】
 パクリ便乗映画シリーズの筆頭作品と言っても過言ではない映画。ちなみに、いつもの「邦題だけ適当にパクって付けた」映画ではなく、もはや原題が「ATLANTIC RIM 2  RESURRECTION」という、生まれながらにして生粋のパクリ映画です。内容的にも、「東海岸に現れた怪獣を倒すためにロボット出撃」という実に某映画を意識した内容で、公開年も某アップライジングにぶつけて来る実に強気な映画。なぜその姿勢を内容に活かせなかったのか。
 ちなみに、こいつは2作目ですので、当然前作が存在します。
前作はこれ↓
 うわぁ、もう見るからに見るからですね……。
 ちなみに、私はこの前作も見たのですが、このブログ始める前に見たのでレビューがないです。そして今作は続きものなので前作と話が繋がってるといえば繋がってるんですが、まあぶっちゃけ誤差なんで今作からでも見れるでしょ。
 では早速、今作の詳細な内容について見て行きましょう。まずは良い点からでしょうか。
 今作の良い点は、ロボットと怪獣のクオリティ自体はまあまあ高いということです。
 あらすじを見ての通り「東海岸に怪獣が現れたので、事前準備していたアルマダロボット(イェーガー)を出撃させて戦うぜ!」という実に申し訳程度の元ネタ改変を施した今作ですが、最も肝心の要素である怪獣、並びにイェーガーのCG的なクオリティに関しては充分見られるレベルには来ていた、というのは素直な評価点でした。まあ、パシリムと比べると圧倒的なレベルで見劣りするのは当然ですが、便乗パクリ映画として見ればなかなかの出来だったんじゃないでしょうか。
 さらっと流しめに言いましたが、怪獣VSロボットを主軸に置いた映画として、そのバトルが見られるレベルに仕上がっている、というのは映画として超重要なことだと思うので、ここについては合格点をあげたいと切に思います。そう、ここについては。
 では、以下にはこいつ何にも分かってねぇな、という点を。今作の悪い点は、とにかくシナリオ上イェーガーがポンコツすぎて使い物にならないということと、とにかく設定にツッコミどころしかないことです。
 先述の通り、今作における怪獣とイェーガーの出来自体は充分及第点レベルには達しています。達してはおりますが、問題なのはその使い方、特にイェーガーの方ですね。何が問題かというと、シナリオ的に圧倒的ポンコツ調整を受けているせいで、こいつが登場するシーン全部とにかく盛り上がってこないんですよ。具体的にこいつがポンコツだと感じたシーンを挙げると、
・脳波コントロール採用のため、イェーガーがダメージを受けるとパイロットが痛い
・脳からの命令がイェーガーに届くまでに尋常ではないラグがある
・ラグが酷い上専用装備まで故障して使い物にならない
・飛んできた岩を腕で防いだだけでパイロットが死亡
・コクピットがガラス張りなため溶解液でパイロットが死亡
 もうね、明らかに目についたシーンだけあげてもこれくらい酷いです。マジでポンコツなんてものではない
 しかしですよ、ここで「これだけポンコツで問題山積みだけれど、もう人類に残された希望はこのポンコツロボットしかいないんだ!」的な展開だったらまだ燃えますよ。ですが今作のシナリオは、そんな見せ場をイェーガーに与えることすら許してはくれないのです。
 今作の怪獣バトルは全部で2回ありました。まずは1回目、突如現れた怪獣に対し、かねてより準備していたポンコツクソラグイェーガーを3機使った撃破作戦が展開されます。しかしその蓋を開けてみれば、結局怪獣撃破の有効打となった攻撃はミサイルのみで、巨大ロボ特有の近接戦は皆無に等しく、しかも飛んできた岩を腕でガードしただけで回線がショートして起動しなくなり、挙句ガスがコクピットに充満してパイロット死亡とい「みなさーん!
このロボットこんなにポンコツなんですよー!」
と言わんばかりの大活躍っぷりで、この時点での立ち位置は完全に劣化版戦闘機。どうせミサイルしか使わないなら、ロボットである必要がないんだよなぁ……。
 そんなことを考えながら見ていると、今度は怪獣の死骸から大量の小型怪獣(人間サイズ)が放出され、これ以降は街中に溢れる小型怪獣の掃討作戦へとシフト。そして御察しの通り、小型怪獣が相手ということなので、これ以降しばらくイェーガーは出てきません。このあと待ち受けているのは、いかにして小型怪獣を被害を抑えて掃討するのか? という、なんか普通のモンスター映画みたいな展開です。
 しかし、こんな展開があったくらいで今作を普通のモンスター映画と比べてはなりません。この事態に対する今作の回答は、「怪獣を研究して、人間にも環境にも無害な対怪獣用の病原菌を作ればええやん!」という、予想の斜め上にすっ飛んでいくものだったのです。「お前、現に小型怪獣が街を襲いまくってるのに、そんなもんの開発に何年かかると思ってんだよ! なに悠長なこと言ってんだ!」と激憤する僕。
 それを差し置いて、そんな夢の兵器をその日のうちに完成させてしまう今作。もはや突っ込んではいけないのだろうか。
 今作を人に紹介するときは、『こんな御都合主義感満載の兵器を、屋外の荒野で小型怪獣の死骸を解剖しただけで、研究室に帰るまでもなくその場で作り上げてしまう映画』とでも伝えておけばオッケーでしょう。
 さて、こんなとんでも兵器を開発したところに、2度目の大型怪獣の襲撃が! しかしどうもこの細菌兵器、小型だろうが大型だろうが関係なく殺っちまえる性能らしく、あとはこいつを散布すれば勝ちじゃね、というムードに。「だったらこれを戦闘機にでも積んで街中に散布すれば、大型も小型も一掃できて終わりやん」と冷静になる僕。
 それを差し置いて、なぜか細菌兵器散布機を問題だらけのポンコツイェーガーに積み込み始める今作。この世界には戦闘機とかないんですかね……。
 まあ何はともあれ、とりあえず2度目の怪獣VSイェーガーの舞台は整いました。ここからまたポンコツイェーガーが巨大怪獣とワチャワチャし始めるのですが、当然の権利のごとく散布機が故障。結局「散布ができないなら怪獣に直接ぶっ刺すしかねーな」という脳筋な結論に至り、都合よく小型も大型も合体して1匹になってくれた怪獣の首に散布機をぶっ刺すイェーガー。これが怪獣に効果覿面で万事解決、万歳万歳、という感じでこの映画は幕を下ろします。
 という感じでですね……もう見ての通り、今作のシナリオはイェーガーに活躍させる気がまるでありません。1回目の戦闘にしたってそうですし、2回目の細菌兵器散布作戦に至っては「小型獣はこれを散布するだけで掃討できても、大型獣に対しては直接体内に注入しないと効果が見込めない」的な設定にしておけば、「イェーガーへの搭乗はリスクだらけだが、直接怪獣に注入できるのは近接戦のできるイェーガーしかいない!」という少しは熱い方向に持っていけるというのに、なんでそんな簡単な設定作成すらしないのか、私にはまるで理解が出来ませんでした。とにかく、現状のイェーガーが戦闘機以下の戦力しか持っていないことは誰の目にも明白であるため、なんでもいいからイェーガーを使わなければならない必然性、もしくは納得のいく説明をして欲しかった
 また、見ての通りイェーガーは紙装甲&クソラグ&その他問題が山積みであるため、戦闘においては「怪獣つえー!」ではなく「イェーガー雑魚やん」という印象しか残らないのも盛り上がりを大きく阻害している要因。今作の怪獣は、きちんと整備してラグをなくしていれば普通に倒せた相手ですし、最終戦もちゃんと散布機が作動すれば一瞬で方がついてましたし、結局のところイェーガーが苦戦する場面は全て人類側の準備不足しか感じないんですよ。つまり、こっち側の不備によって、苦戦しなくてもいい相手に勝手に苦戦してるだけの印象しか残らない。これじゃあ盛り上がるわけないじゃん!
 総評ですが、これは流石にストーリーもうちょっとなんとかなったやろ……と思わずにはいられない映画でした。即興御都合細菌兵器開発を始めツッコミどころは多々ありますが、それよりもシナリオが全力でロボの登場と活躍を阻害している感じで、見ていて全く盛り上がらなかったです。CGクオリティだけは及第点であるのに、これはあんまりにもあんまりだった。
 また、イェーガーは3機もあるのに3機とも同じ武器、性能で全く差別化が出来ていないというのも大減点ポイント。しかもチーム運用前提で開発した機体と来ているので、この手抜きが余計に響きます。デスゲイルズ見習って、どうぞ。
 というわけで、個人的にはあんまりオススメしない今作ですが、パシリムファンはいかがですか?(微笑)
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