「どんな映画にも、きっと良い点がある」をモットーとして、主にB級映画のレビューや紹介、おすすめ等を淡々と書いてゆくブログです。

ファイナル・ガール のレビューです(総合評価D)

(画像:Amazon商品ページより引用)
これは あんまりにも あんまりだと思う。
さて今作ですが、ネトフリで視聴しました。確か、字幕しかなかったと思います。
まずはAmazon先生のあらすじ&予告編からいきましょう。
【予告編】

【あらすじ】

“変態野郎は私がぶっ殺す!

夜な夜な綺麗なスーツで身を飾り、言葉巧みにブロンド美女を騙して犯して殺す、ガールズハンティングを楽しむ高校生集団。
そんなある日、狩リ場のレストランで極上のブロンド美女を見つけた集団のボスはすぐさまナンパし、人里離れた森の中にあるアジトへ連れ込むことに成功する。
ところが、連れ込んだ美女は、幼い頃に両親が殺され、殺し屋に引き取られた女子高生だった…(あらすじ:Amazon商品ページより引用)

ストーリー……D
キャラクター…C
設定……………E 
総合……………D
オススメ度……D
【良い点】
・映像的演出面はなかなか良い
 
【悪い点】
・引くほどのガバガバ設定
・ありえないほどの説明放棄
・とにかく盛り上がってこない
 設定面のガバガバさ加減はもうちょっとマジでなんとかならんかったのか部門にノミネートされそうな勢いの実力者でした。いや、マジでもうちょっとなんとかならんかったのか。
【以下、ネタバレ注意!】
 設定があまりにガバガバすぎて失笑しか出ない。
 さて今作ですが、殺し屋(自称)として育成された少女が昇格試験の最終問題として地元でイキってる連続殺人高校生4人組を殺すよう指令を出された結果、勝手にセルフ縛りを設けてお薬でラリった相手に武器も持たず挑むも、勝手に苦戦して窮地に陥る様子を見せつけられる映画です。殺し屋(笑)
 では早速、今作の詳細な内容を見て行きましょう。まずは良い点から。今作の良い点は、映像的な演出の面についてはなかなか良いということです。
 今作の内容については後ほど詳しくお話しいたしますが、この映画の肝となるアクションの場面は、正気の主人公VS薬でラリった殺人鬼、という構図が大変に多いです。まあその是非は置いておくとして、幸いなことに、このあたりの演出については上々の一言。アクションの出来自体は普通で、これといって目を見張るものはありませんが、薬による幻覚と現実が入れ替わり立ち替わりに画面上で展開されていく演出はなかなかの見所でした。幻覚と現実がノンストップで次々と切り替わりながらのアクション、かつ画面的にも現実と幻覚の境が分かりやすく、混乱なくスッと入ってくるよう工夫された良い演出だったと思います。そう、演出は良かったんですよ。
 では、続いては悪い点を。今作の悪い点はいろいろありますが、その原因を突き詰めていけば大方最後は1つの問題点に収束します。それは、ストーリーにまで支障を及ぼすほどのガバ設定、これだよこれ。
 今作は大まかにパート分けすると、少女が暗殺者として育てられるパート(序盤)と、地元でイキっている殺人高校生4人組とヒロインが接触するパート(中盤)、そして対決パート(終盤)の3つに分けられますが、ぶっちゃけどのパートも引くほどのガバ設定と圧倒的説明不足によりまともに機能していません
 叩けば叩くほどツッコミどころが出てくるレベルなんですが、例えば序盤の育成パートに対しては、そもそもヒロインがなんで殺し屋として育てられてるのかに対する明確な説明がない、長々と訓練パート見せられる割りに殺し屋らしい訓練をしてない、という先の見えなさがありますし、中盤パートに対しては、「公衆の面前で女性をナンパし森に連れ込んで殺す」という行為を20回以上繰り返しているイケメン4人組が警察からマークすらされてないこと、ヒロインが相手を殺す機会はいくらでもあったのに、なぜか自分から相手の有利なフィールドに踏み込みつつ、相手が本性を現すまで律儀に待ってあげること、そもそもこの殺しが誰の依頼なのかすら分からないことなどなど、状況の不自然さに対する疑問が上がります。そして終盤、メインとなる対決パートに至っては、相手に幻覚作用のある薬を盛るという面倒で遠回し、かつ用意周到な作戦を実施しておきながらも、「銃は使うな」という師匠の教えを極大解釈し、なぜか一切武器を持ち込まないというグラップラー精神を発揮する完全に殺し屋失格な一面も。
そんな無駄に格闘家精神の高い一面を持つヒロインですが、そのくせ10年以上殺しの訓練を受けて来たとは思えないほど機転が利かず、かつ格下女性相手にイキってるだけの高校生相手(薬により幻覚状態)にいい勝負を展開してしまうという、実力的にも残念な状態。そのため、「いくらでもやりようはあったのに幻覚見せる薬盛る以外にたいした準備もせず、相手のフィールドに入る前に始末するみたいな努力もせず、『まあこれでいいか』みたいなクソナメくさった態度で望んだ結果、苦戦しなくても勝てる輩相手に勝手に苦戦しているようにしか見えない」という非常にバカみたいな展開に。しかも、本来難なく勝てるはずの格下相手に勝手に縛りプレイ設けて苦戦してるだけなので、当然展開が盛り上がってくるはずもなく
 というより、何より酷いのがですね、こんなもん行きの車の中、あるいは森の中に連れ込まれて相手が油断した隙に持ち込んだ銃で4人まとめて射殺すれば一瞬だろ、と思うのですが、それに対する今作の答えが「銃は弾切れしたら使えなくなるから使っちゃダメ」というまるで意味の分からない回答だったことでしょうか。いや、確かにこの展開だと銃持ち込んだら一瞬で終わってしまうので、なんとか銃の使用に制限かけたかったという意図は分かるんですが、そんな「充電切れたら使えなくなるからスマホ持つな」レベルの理解不能理論持ち込まれて「はぇ〜確かに」ってなると思ってんのか? しかも、あんだけヒロイン煽って銃使うなとかふざけたこと抜かしてた師匠が、最後の最後にデカい銃持って登場するという、もはや笑わせにきてるとしか思えない展開もありました。もしかしてギャグ映画だったのかな?
 まあ長々と愚痴りましたが、結局今作の構成はどう好意的な解釈をしようにもそれを許さないほど中途半端で説明不足で設定崩壊しているんですね。殺し屋よろしく、ターゲットを殺すことに重きを置いているのなら、相手のルールで戦う前にいくらでも殺しようはあったわけですし、相手に苦痛を与えることをメインに展開したいのなら、幻覚薬盛るなんて遠回しなことせずに、睡眠薬でも飲ませて拘束した後に幻覚なり拷問なりすればいいわけです。結局、細かい設定や話の整合性を無視して、やりたいことだけをくっ付けてシナリオ作ろうとするからこういう中身のないグッチャグチャの映画になるんだろうが、と言いたい。
 総評ですが、はっきり言って駄作。良いところなしかと言うとそんなことはありませんが、とにかくシナリオ始め諸々が稚拙過ぎる。シナリオ的に頭を空にして楽しみたいのですが、都合の良い方向へ持って行くための言い訳が下手すぎてキッツイです。
例えば、殺し屋少女が自分から殺人鬼に接触する展開ではなく、「連続殺人鬼の高校生がさらった女性が実は殺し屋だった」的な展開にしておくだけでも、「銃や武器を携帯していなかった」という大義名分が立つ上、「本来は殺し屋の自分の方が格上だが、相手の得意フィールドでの戦闘を強いられるので多少苦戦する」という方向にも持っていきやすく、同じことするにしても幾分もマシな展開になったと思うんですが。まあ、「高校生ごときに連れ去られて常日頃から幻覚薬携帯してる殺し屋」もどうかとは思いますが……
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